あっちぃ・・・・・ 

8月の25日・・・もうすぐ夏休みも終わるってのに、この暑さはなんなんだ!
「残暑お見舞い申し上げます」なんてきてるけどちっとも残暑じゃねー!


~~~♪♪♪~~♪~♪♪~~~


んっ? 誰から・・・って雲居!? やべぇ、なんかヤな予感・・・


「もしもし?」

「惣一。明日暇か? 暇やろ。

もう1人誰か連れてウチ来いや。甥っ子の面倒みてほしいねん。
あ、拒否権無しやで。拒否ったらはーくんに言うさかい(笑)。
ほな、明日朝8時にな。遅れたりしたら承知せぇへんで。」


ピッ ツーツーツー


はぁぁぁぁぁ!? 何だよ、この一方的な電話! 

俺の意見とか1回も聞かれてないし!
確かに・・・・暇だけどさ・・・・

ああ、宿題はラスト3日にかけるタイプだし(笑)。夜須斗の手借りて。

さーて・・・誰誘うかなぁ・・・

面倒みてほしい、なんて言うくらいじゃ小学校前だよなぁ・・・
つばめは却下だな・・・あいつじゃきっと舐められる・・・

いや、俺はつばめよりは上だぜ?
夜須斗は・・・あいつはこーゆーの要領イイしうまそうだけど、

確か最近また俺と遊んでて門限破って
じいさんから外出禁止くらってんだよな・・・・わざわざ誘うのは悪いか。
洲矢は・・・ダメだ。

久しぶりに帰ってきたって家族でヨーロッパ旅行だ・・・
・・・・・残るは・・・仁史か。まぁ、体力有るしいいか。
あとで℡しとこ・・・






そして翌日・・・


「悪ぃ、仁史・・・いきなりすぎで・・・」

「んっとだよ! まぁ、そこまで予定入れてなかったからいーんだけどなっ」


ニカッと仁史が笑った。

あ、仁史は運動は出来ても勉強がからきしダメな筋肉バカタイプ。
まぁ、子供の相手すんのにはちょうどいっかなーって。。


2人でくだらねぇ話しながら雲居の家に・・・・

雲居の家って、1階が病院、2階・3階が自宅って、

すんげーでけーんだよな・・・


「ここ、雲居んち!? でっけー!!」


あ、仁史は雲居んち初めてか。家のある方向全然ちげーもんな。


ピンポーン


「雲居ー 俺ー 惣一ー 仁史と2人で来たー」

“おっ、待っててや 今行くさかい”


1分ぐらいして、雲居が出てきた。


「よぉ投げ出さんで来たやん。ほな、上がってや。」


案内されたのは広いリビング・・・・ほんとでけー・・・


「あら、光矢。どちら様?」

「「へっ?」」


出てきたのはすっげー美人な女の人・・・誰だ? この人・・


「ああ、今日、亜輝羅(あきら)みてくれる、

俺が校医やっとる学校の生徒や。」

「あら! そうなの!? 

今日はわざわざ夏休みなのにごめんなさいね。
わたしも光矢もちょっと遠くの大学病院まで

出張しなきゃいけなくなっちゃって・・・

あ、初めまして! わたし、光矢の姉の灯(あかり)です。

光矢の病院で看護婦してます。」


「「ええええええっ!?」」


こ、光矢のお姉さん!!?? マジ・・・!? 似てねぇ・・・・


「何や、俺に姉貴がおったらあかんのか?」

「いや、別にそういうわけじゃ・・・ないっすけど・・・」


仁史もしどろもどろだ。そりゃあな・・・・


「亜輝羅は今5歳なんだけど、すっごくやんちゃで・・・・ 

大変かもしれないけどよろしくお願いしますね。」

「「は、はい・・・」」


やっべぇ・・・柄にもなく敬語使ってるし、俺ら・・・・


「なんや、お前ら姉貴が相手やとやけーに礼儀正しくなるんやなぁ?」

「う、うるせぇよ・・・」


なんでそーいうのにめざといんだ、雲居・・・・


「亜輝羅! ちょっとおいでー!!」


灯・・・さん? に呼ばれて、ちっちゃいガキ・・・じゃねぇ、

幼稚園ぐらいの子がでてきた。この子が亜輝羅、か。


「なーに? ママ。」

「あのね、今日ママとこうちゃんお仕事で遠くまで行かなくちゃいけないの。
だから、今日はこのお兄ちゃんたちと遊んでてくれる?
良い子にしてたら、おみやげ買ってくるから。ねっ?」

「ほんと!? うんっ! いいよっ!」


こうちゃんってのは雲居のことか・・・・ってか、即答OKかよ。。
いいな、単純で・・・


「姉貴、そろそろ行かんと。ほな、亜輝羅? 

ええ子で待ってるんやで?
お約束も分かってんな?」

「うんっ だいじょーぶっ」

「せやったら安心やな。ほな、行くで。

ああ、惣一たちも頼むな。昼飯は頼んであるから。」

「おう。」
「ういっす。」




・・・・雲居たちは行った。でもよぉ・・・こっからどーすんだよ!?


「どーするよ、仁史・・・」

「あー・・・うー・・・亜輝・・羅くん?」

「亜輝羅でいーよっ☆」


うぉっ フレンドリーだな・・・


「んじゃ・・・亜輝羅? 何して・・・遊ぶ?」

「ボール!」

「ボール? ボールだってよ、惣一・・・」

「・・・あー。亜輝羅。それ無理じゃね? 

外雨降ってるし。。 結構本格的に。」


家に来るまでは雲行き怪しくても降ってなかったんだけどな・・・


「え~~~ じゃー、ゲームの部屋行くぅ・・・」


うおっ、もうご機嫌斜めかよ・・・・

まぁ、とりあえずゲームの部屋、とやらに行くか・・・




「これ・・・」
「はは・・・」
「「すーげぇーーーーっ!!!!」」


古くは○ァミコンから、最新の○iiまでぜんっぶそろってんじゃん!


「おい! 仁史見ろよ! 【ストリートファイター】の最新版があるぜ!」


【ストリートファイター】ってのは最近出たアクションゲームで、

かなり操作が高度で、
かなりのゲーマーでも一筋縄じゃいかないって評判なんだ。
ただソフトの値段が高いから、なかなか手ぇ出せなかったんだよな・・・


「そこにあるの、こうちゃんとママのやつだよ? 

おっかい(←怖い)のがいっぱい出てくるから、やっちゃだめって・・・」


雲居のかよ!? あいつゲーマーだったんだ・・・

まぁ、こんだけ機器充実してて、
家に『ゲームの部屋』なんてある時点でゲーマーだけど・・・・・

確かにここに並んでんの、

アクションゲームで人撃ったり倒したりするのばっかだから
亜輝羅みたいなちっちゃいやつにやらせるゲームではねぇよな・・・


「亜輝羅は、いつも何やってんの?」

「うーんっとねぇ・・・○生ゲーム!」


ああ、あの某有名ボードゲームをソフトにしたやつか・・・


「んじゃ、とりあえずそれやるか。」




・・・・でもさぁ、そういうのって

なんべんもなんべんもやるわけにはいかねぇじゃん。
ステージ変えて3回やって、

さすがに亜輝羅も飽きたみてぇだな・・・・
ああ、つーか【ストリートファイター】やりてぇ・・・!


「な、なぁ亜輝羅! ちょっとだけ、俺らで別のゲームやってていい?」

「え~・・・・いいよ・・・じゃあ、僕1人で遊んでる・・・」

「え、おい亜輝羅!・・・・いいのかよ?」

「大丈夫だろ。それより早くやろうぜ!」


「おいおい・・・」




渋い顔してたわりには仁史も乗り気で、気づいたら・・・・


「・・・・! やっべぇ、12時半過ぎてた!」

「でも昼飯って雲居が頼んでるって・・・・」


「・・・全く・・・。やっぱりこういうことになってましたか・・・。」

「ふぇぇ・・・・」


・・・・背筋が凍るってこういう感覚なんだな・・・
振り向いたら、冷たーい目した霧山と、半泣きの亜輝羅が立ってた・・