そんなこんなで大騒ぎだった朝も終わり、
午前の授業も終わって今は昼休み。
風丘は、今日、当番で雨澤の代わりに来ている雲居と、
保健室でコーヒーを飲みながら話していた。
「・・・・・・・・・ってのが朝にあったんだよ。全く。
みんな怯えちゃうし、夜須斗君や惣一君はキレちゃうし・・」
「・・・なんや、あのおばはんら昔と全然変わっとらんのかいな。
初めて会うた時に雰囲気そのまんまやと思てたら、
中身もそのまんまやったとはなぁ・・・
ちょっとはおとなしくなったんやないか思ってたけど、
あかんかったか。」
「うん。・・・・っていうかさぁ、拍車かかってる気がするよ?
昔より教師の中でのポジション上になってるしねぇ・・・」
「せやな(苦笑)。 まさか金橋が教務主任なっとるとは思わんかったわ。
ってそれ以前に、あの二人がまた舞い戻ってんのが予想外やったしなぁ。」
「光矢はまだいいじゃない。校医でそんなに接点ないんだから。」
「ハハ、せやな(笑)」
二人が世間話をしているところに・・・
「はーい 元気?」
「魅雪!」
「ああ、そういや自分、事務員になったんやて? 知らんかったわ。」
「いちいち光矢に報告するほどのことでもないでしょ。
それよりコーヒー飲ませてよ。
おばさんたちばっかりの事務室や、
地田や金橋がいて落ち着けない職員室なんかじゃ飲む気もしないわ。」
「なんや、ここに来たんもあの二人が原因か。」
「あったりまえでしょ。どれだけやられたと思ってんのよ、中学、高校時代。
公立なのにエスカレーター式ってめんどくさいシステムで、
あの二人に6年間つきまとわれたのよ?
もう顔見るだけで、嫌気がさすわ。」
「アハハ・・・確かに。」
「葉月、よく耐えられるわね。今日、あんたのクラス、
持ち物検査あの二人がやったんでしょ?」
「そうそう。昔の光景がフラッシュバックするくらい変わってなくってさー」
「で、大丈夫やったんか?」
「そんなわけないじゃない。あの五人組・・・洲矢君以外はみーんなダメ。
しかも、『やり方に納得いかない』ってそれで夜須斗君と惣一君がキレちゃってさ。
特に惣一君は地田先生を『鬼ばばぁ』なんて言ったから、
地田先生もキレちゃって竹刀振り上げて・・・・」
「ほんま!?」
「とっさにかばっちゃったよ。振り下ろされた竹刀手で受け止めて。
『この子は俺の生徒だから』って。」
「葉月、やるじゃない。 その時の地田の顔、見たかったわぁ」
「おかげで俺は睨まれたけど(苦笑)。」
その時だった。
「お、噂をすれば影ってよぉ言うなぁ・・・」
保健室前の廊下を、その5人が通った。
「おい、お前ら! ちょおよってけや。」
「「「「「ええっ!?」」」」」
それを強引に、光矢が保健室に連れ込んだ。
「あら、噂のご本人たちの登場ね!
あんたたち、今朝派手にやっちゃったそうじゃな~い」
「なんであんたまでいんだよ・・・・」
夜須斗がため息をついて言う。
「いいじゃない。細かいことは。雨なんだし、どうせ暇でしょ。」
「暇って決めつけるなぁ!」
つばめが反論。が・・・
「あら、じゃあ忙しいの? 何する予定なの? 言ってごらんなさい。」
「うっ・・・・」
氷村の追求に、結局答えられずじまい。
「ほら、みなさい。」
「ううう・・・・じゃあ、この際・・・・」
つばめは、おもむろにポケットから伊達メガネを取り出した。
「「「え?」」」
「『風丘たちの中学時代について質問しちゃおう!』コーナー!!」
テレビだったらパンパカパーン!という
ファンファーレが鳴り響きそうな勢いでつばめが叫んだ。
「なんだよそのテンション・・・」
「つか、いつもんな伊達メガネ持ち歩いてんの?」
惣一たちからもつっこみがあがるが、
つばめはそんなの気にしていない。
「っということで! 風丘っちにはこれから僕たちが質問することに
ガチンコで答えてもらいたいと思いまーす!」
「ええっ?」
「いきなりすぎるやろ?」
「・・・まぁまぁいいじゃない。ちょっとおもしろそうだし☆」
「それじゃあ第1問! 出身中学はどんな感じでしたかー?」
この質問に、3人は吹き出した。
「な、何がおかしいのさっ」
「言わなかったっけ? 俺たち幼なじみは、全員ここの中学・高校出身だよ?」
「「「「「ええええっ」」」」」
「し・か・も! あたしたちもあんたたちみたいに五人組組んでたのよ~
ここにいる3人と、あと霧山森都・波江海保って2人とでね。」
「そういえば、あの2人もこの学校に来るって聞いたよ?」
「ほんま!? ほんなら昔のグループ再結成やんなぁ・・・」
「リーダーは?」
「葉月よ。」
「「「「「ええええっ」」」」」
全員が驚きの声をあげる。
「なんだよそれ! じゃあ風丘だって、俺たちのこと言えねーじゃん!」
「アハハ・・・」
惣一に反論され、風丘は苦笑する。
「バカねぇ。葉月があんたたちみたいにおバカな失敗するわけないでしょ。
あのころのあたしたち、葉月がリーダー・グループの一員だって
ばれないように必死でねぇ。
今覚えばなーんであんなに必死でかくまってたのかしら。」
「せやなぁ・・・そのせいで意味もなく地田や金橋にそうとうしばかれたしなぁ」
「地田や金橋って・・・・」
夜須斗が不思議そうに口に出す。
「あの2人は、俺らが生徒だったころもこの学校にいたんだよ。」
「「「「「ええええっ」」」」」
本日3度目の驚きの声。
「惣一が朝されそうになったことを、あたしらしょっちゅうされててねぇ。」
「え~ そこまでカミングアウトするの?」
「いいじゃない、この際だもの。」
「おい、それって・・・」
「もしかして・・・・」
「ああ。『お仕置き』や。しかもお前らと違て生やさしい平手なんかとちゃう。
金橋は指し棒、地田は竹刀か木刀でビシバシやられてなぁ。」
「あいつら手加減無いから、次の日とか青あざできてることもあって、
ほんと大変だったのよ? まぁ、葉月だけは泣いたこと無かったけどねぇ・・・・」
いとも簡単に血の気の引くようなことをさらっと言いのける氷村。
3人にとっては思い出話かもしれないが、
5人にとってはそんな笑いながら聞ける話ではなかった。
「でも、耐えるのに必死だったよ?」
「せやからお前ら。はーくんに『厳しすぎる』なんて不満持っとるんやったら
大きな間違いやで? 次、また持ち物検査で引っかかってみぃ。
否応なしに地田の竹刀決定や。」
「一度味わったほうがいいんじゃない? この腕白少年たちは。」
5人はブンブンと必死に首を横に振り、保健室を飛び出していった。
「風丘ぁ! どうにかしろよこいつを!」
そう叫んで惣一がつばめを半ば引きずるようにして
風丘の部屋に連れてきたのはつい十分ほど前。
今、ふたりは一人はベッド、
一人はソファーに寝そべってお尻に濡れタオルをのせている。
~十分前~
「ふぇぇぇぇぇんっ ひくっひくっ・・・・ふぇぇぇっ」
「風丘ぁ! どうにかしろよこいつを!」
二人が部屋に入ってきたとき、つばめは本当に大泣きだった。
いつも「お仕置き」で泣かせている風丘ですら
本当に心配してしまうくらいの「本気泣き」だった。
「どうしたの、そんなに泣いて・・・・目が真っ赤に腫れちゃってるよ?」
「ふぇっ・・・だって・・・だってぇ・・・・お尻痛いぃ!! うぇぇぇんっ」
「ちょ、ちょっと待ってよお尻って・・・・今日、俺お仕置きしてないよねぇ?
惣一君、とりあえず説明してよ。俺分かんないんだけど・・・」
「あ、ああ・・・・俺とつばめ、また持ち物検査に引っかかったんだよ・・・」
それを聞いた瞬間、風丘はあぁ・・・・と思った。
つばめがこんなになるまで叩かれた理由も、なんとなく想像がつく。
風丘でもここまでしない、ってぐらいのお仕置きをする人。
そんなのこの学校には2人しかいない。
風丘がまだ泣きじゃくるつばめをベッドに寝かせ、
お尻を出した瞬間、どちらがやったのかも分かった。
「地田先生、かぁ・・・・・」
つばめのお尻は、お尻の下の方に赤みが集まっている。
これは地田がよくする叩き方の一つ、と
風丘は「経験上」知っていた。
特に2発ぐらい、お尻と太ももの境にヒットしているのがある。
「(確かに、これは慣れないときついよねぇ・・・・)」
あの竹刀で、体育教師で女とは思えない力を持つ地田に叩かれれば、
つばめがこうなってしまうのもうなずける。
風丘はタオルを水で濡らし、つばめのお尻に置いた。
つばめはまだヒクッヒクッと泣き声を漏らしている。
「惣一君。君はソファーに寝っ転がりなよ。痛いでしょ? 自分だって。」
「あ、ああ・・・。」
惣一は、いつも恥ずかしがるが、今回はさすがに痛いのか、素直に従った。
惣一も腫れているが、つばめほどではない。
「あれ? つばめ君のほうが多く叩かれたの?」
「ああ。だからさぁ・・・」
そう言って、惣一はここまでの経緯を話し始めた。
~1時間ほど前~
「部活に行く前に、持ち物検査だ! 昇降口に順番に並べ~!」
地田がそう叫んでいる。
惣一たちのクラスをはじめ、全校生徒が騒然となった持ち物検査から2日。
間髪入れずに行われた今回の持ち物検査も、先見をすることなどできず、
あれよあれよという間に生徒が引っかかっていった。
引っかかった生徒はまとめて地田が担任のクラスの教室に連れて行かれ、
呼ばれた順番に生徒指導室へ連行されていった。
もちろん、惣一とつばめも引っかかった。
真面目な洲斗、前回以降まだ様子見をしていた
夜須斗と仁史は無事だった。
「新堂と太刀川!!」
廊下で地田が怒鳴った。学年が上の順で呼ばれていたので、
2人きりの1年だった惣一とつばめが最後だった。
2人がため息をついてゆっくり教室を出ようとすると、
「行動が遅い!!」
と、地田が2人の腕をむんずと掴んで引きずっていった。
2人は逃げようとしたが、
風丘に勝るとも劣らない地田の馬鹿力に、抵抗する術はなかった。
「ほら、早く入ってそこの机に手をつけ!」
何をされるかは明白だ。
何せ、クラスで未遂とはいえ全く同じようなことが起こったのだから。
でも、何をされるか分かっているからこそ動きたくなくなる。
2人が入り口で突っ立っていると、
「お前たちはこんなこともできないのか!!」
と、地田の叱責がとんだ。と同時に竹刀が床をビシィィッと打つ。
2人はその音で仕方なく手をついた。
地田が、惣一のお尻に竹刀をあてがう。
「1人三発。態度が悪かったら回数に入れないからな。いくぞ!」
ビシィィンッ
「くぅっ!」
制服のズボンの上からといえ、
普段のむき出しの尻を叩く風丘の平手と変わらないくらいの痛み。
惣一はうめき声をあげたが、なんとか耐えた。
「次! 太刀川!」
ビシィィィンッ
「ひゃゃぁっ!」
つばめも大声をあげた。それでも、何とか体勢は保っていた。
2発目も同じように打たれ、最後の3発目。
「最後は厳しくいくぞ。歯を食いしばれ!」
ビッシィィィンッ
「いってぇぇぇっ!」
惣一は大声をあげた。机から手を離さないように必死だった。
「よし、新堂はいいぞ。次! 太刀川!」
ビッシィィィンッ
「いたぁぁぁぁいっ!!」
その時だった。
つばめはお尻を押さえ、その場にしゃがみ込んでしまった。
そう、前に光矢に靴べらで打たれたときと同じように。
それほどまでに、この最後の一発は痛かったのだ。
だが、ここで許すほど、地田は甘くない。
なんてったってその昔、今、五人組を手玉にとっている風丘ですら
恐れる存在だったのだから。
「回数に入れないと言ってあっただろ。早く元の体勢に戻れ!」
「いや! いやだよぉ。もう無理ぃっ!」
「そんなわがままが通用するはずないだろ!
太刀川、残り2発に追加!」
「やだぁ! やだやだやだぁ!!」
つばめがこんなに泣きじゃくっているのなんかお構いなしに、
地田はつばめを無理矢理机に突っ伏させた。
そして・・・・
ビッシィィィンッ
ビッシィィィンッ
「いやぁぁぁぁぁぁっ!」
最大パワーの2発がつばめのお尻に炸裂した。
つばめは押さえつけられているため、叩かれた後も身動きができず、
その場でアンアン泣いていた。
「全く・・・・次。また引っかかったら今度はズボンを脱がすからな!」
地田はそう言うと、とっとと指導室を出て行ってしまった。
開放されたつばめはその場にへたり込み泣いていた。
「おい、つばめぇ・・・もう泣きやめよぉ・・・」
「だって・・・だってぇ~」
それから惣一が10分近くあやしているが、
一向に泣きやむ気配はない。
惣一もお手上げ状態だ。
「どうしろっていうんだよ、俺に・・・・」
困り果てた惣一は、結局他に頼るアテもなく、
風丘の部屋まで引きずるようにして連れて行ったのだ。
そして、今に至る。
「な~るほどね。確かに、こりゃあ相当やられたねぇ・・・」
風丘は、十年ほど前の光景そのままのようで、苦笑した。
しかし、ちょっと怖い顔を作ってタオルを取り替えながら言った。
「で・も! 2回目なんだから叱られても当然でしょ?
もうかばってあげないっても言ったよねぇ?」
「そ、それは・・・・そのぉ・・・」
「まぁ、今回は地田先生に結構やられたみたいだから許してあげるけど。
次は地田先生にどれだけお仕置きされたって、
その後俺もお仕置きするからね。」
「・・・・・・・・・」
「お返事は?」
「わ、わかったよぉ・・・・」
「つばめ君も。それ以上泣きたくなかったらわかったね?」
「・・・・はーい・・・・」
この風丘の脅しはさすがに効いたようで、
この後一週間、2人は検査に引っかからなかった。
ただ、こうなってしまうと気のゆるむのが2人の悪いところで、
残念なことに地田が職員会議で
「とりあえず今回で集中的な検査は終えましょう。」
と言ったその検査でまた2人仲良く引っかかってしまった。
「惣一ぃ・・・・どうしよぉ・・・・」
「どうしようもこうしようもねぇだろ。あー!
でもさすがに地田のあと風丘はきっついよなぁ・・・・」
「俺、痛いのやだぁ・・・特に地田のは・・・・だったら風丘だけがいい!」
「俺に言ったってどうしようもねぇから!
俺だってあのババアにやられるぐらいなら風丘の方がいいけど、
そうはいかねぇから困ってんだろ?」
「だってぇ・・・・」
つばめはいつになく弱気だ。
そりゃあ、2連続でお仕置きを受けなければならないなんてことになったら、
弱気になるのも仕方がない。
そして、意気消沈の2人を怒り心頭の地田が指導室まで引きずっていってから
わずか10分。
地田は次に風丘のがあるなんてことはもちろん知らない
(まぁ、知っていても手加減するような先生ではないが)
ので、以前にも増して強力な竹刀を2人のお尻に打ち込み、
とっとと指導室を後にした。
取り残された2人は、あまりの痛みに呆然としている。
しかし、その2人の目の前に一番目にしたくない人物が現れた。
「さぁ、約束通りだよ? 次は俺からのお尻ペンペン。」
それは、2人にとって死刑宣告並みに残酷な言葉だった。
「地田から厳しすぎるほどの竹刀でのお仕置きを受けたばかりの2人に、
風丘は言い放ったのだ。
「ヤダ・・・もう無理だよ、やだよぉ・・・・」
つばめは泣きながら言う。
「なぁ、頼むから風丘! 今日はマジで無理だって・・・」
惣一もいつも以上に弱気だ。
しかし風丘は・・・
「ダーメ。もう3回目でしょ?
1回目と2回目、注意だけにして、警告までしてあげたのにまた違反したね。
さすがにもうダメ。 俺からのお仕置きもちゃーんと受けてもらうからね。」
そう言うと、呆然としている2人の腕を掴み、
無理矢理自分の部屋へと引っ張っていった。
部屋につくと、風丘は2人をベッドに上体だけのせ、
ちょうどお尻を突き出すような格好にさせ、ズボンと下着を脱がした。
「(ああ~・・・)」
その瞬間、目に入ってきたのは以前にも増して真っ赤に染まっているお尻だった。
前は竹刀の跡で何発叩いたか分かったのに、
今回は全体を真っ赤に染められ、
跡で何発か、なんてとてもわかるようなものではなかった。
分かっていたこととはいえ、目の前でこうやって見てしまうと、
この上更に叩く、というのは気が引けてしまう。
しかし、だからといって叩かないワケにはいかない。
そんなことをすれば、またすぐに舐められてしまう。
風丘は、フゥとため息をついて、手を振り上げた。
ピシャンッ
「ふぇぇぇんっ」
ピシャンッ
「ってぇぇぇっ」
当たった瞬間、2人が大声をあげる。
けれど、今回風丘はかなり手加減していた。音こそ大きいが、
そこまで強く、厳しくは叩いていない。
普段受けているものと比べればだいぶ楽なはずなのだが、
おそらくさわられるだけでも痛いんだろう。
2人は当たるたびに絶叫している。
ピシャンッ
「やぁぁぁっ」
「全く・・・・言ったでしょう?」
ピシャンッ
「ひぃぃぃぃっ」
「次は俺からもお仕置きだよ、って。」
ピシャンッ
「ふぇぇぇぇんっ 痛いぃぃっ」
「あんなに地田先生に叩かれて・・・」
ピシャンッ
「いってぇぇぇぇっ」
「それでもまだ懲りないの?」
ピシャンッ
ピシャンッ
「やぁぁっ」
「ぎゃぁぁっ」
「君たちは!!」
ピッシャァンッ
ピッシャァンッ
「うああああああんっ」
「ぎゃぁぁぁぁぁぁっ」
少し強めのを炸裂させると、2人は限界を超えたのか、同時に大泣きし始めた。
特に惣一は、久しぶりの『本気泣き』だ。
「ふぇぇぇんっ 風丘っ もう痛いのヤダよぉ・・・・」
「もう、いいじゃん・・・ ヒック・・・反省・・・ヒック・・・したからぁ」
2人がこんなになって許しを乞うことは滅多にない。
風丘は少し考えたが、
「ダーメ。まだ言うこと言ってないでしょ?」
と答えた。
すると、2人は慌てて
「「ごめんなさいっ!!」」
と叫んだ。
風丘はそんな2人の姿に笑いそうになりながら、
「じゃあ、最後の1回。」
と、2人のお尻に片手ずつ手を添えた。
2人はそれを感じて体に力を入れる。
そして、痛みがお尻を襲・・・・・・・・・・・・・・わなかった。
風丘は2人のお尻をポンッと軽くさわると、
「そのままうつぶせになんな。タオル、持ってきてあげるから。」
と言った。
2人は、きょとんとしている。
「全く・・・・でもまぁ、これでさすがに懲りたでしょ?
ここまで真っ赤になったんだしねぇ・・・」
トマトのように赤い2人のお尻に、冷やしたタオルがのせられる。
2人は小さくうめいたが、あとは気持ちよさそうにベッドに顔を埋めた。
・・・・・・と、ふとつばめが呟いた。
「地田のお仕置きはさ・・・・」
「ん?」
「ヤダ。痛いだけなんだもん・・・・・」
惣一もうなずく。
「ああ。でも風丘のは・・・・風丘のも痛ぇけど・・・
地田のと違うっつーか・・・」
「よくわかんないけど、でも・・・・地田のよりはいい。」
その言葉を聞いて、風丘は微笑みながら
「当然。俺のお仕置きは愛情た~っぷりだからねっ」
と言った。
「ケツ叩くののどこが『愛情た~っぷり』だよ・・・・・」
惣一が呆れるように言うと、
「ん? 自分の手で叩いて手を腫らしたり、
無理矢理押さえつけたりして体力を消耗したりしてでも
良い子になってもらいたい、っていう愛情♪」
「そんな愛情いらねぇ・・・・」
「同感・・・・・」
「この学校はエスカレーター式の中高一貫。
俺、高校の教員免許も持ってるから、
高校までた~っぷり面倒見てあげるからね♪」
「「(マジかよ・・・・)」」
まさかの宣言に、2人はため息をつくのだった。
~後日談~
没収された違反物が地田から担任のもとへ渡り、
風丘は警告付きながらも
一週間そこらで返してしまい、
地田に『甘すぎる』とお説教を食らったのだった・・・