藤依里子さんとのコラボ企画、「お江戸にほんごあそび」もおかげさまで三回目を迎えます。

一回目から、藤さんには縁起物文様の解説、口上をしていただき、江戸時代の物売り口上を参考に、オリジナルの口上を制作してもらい、にほんごの面白さ、洒落を作品と絡めつつ楽しんでいただく趣向で開催して参りました。今回は物売りの中でも薬売りに注目していただきたいと思います。

2015年より茨城県笠間市にある愛宕山(岩間山)に伝わる天狗伝説を追いかけてきました。愛宕山山頂には13人の天狗が祀られています。江戸時代末期、江戸に住んでいた寅吉という少年がこの天狗に連れて来られ、難台山、愛宕山で修行をした話は平田篤胤著、「仙境異聞」のなかに詳しく書かれています。生身の人間が異界に暮らし、生きて江戸に戻り、天狗の暮らしについて詳細に語った体験談は他に例がなく、山の神として自然と共生し、様々の悪疫から人々を救おうとする天狗たちの話は現代人の心にも響き、近年「仙境異聞現代語訳」は当時Twitterで話題にもなりました。

この仙境異聞には寅吉少年の15歳以降のことについては書かれていませんが、その後寅吉のその後を知ることが出来ました。寅吉は天狗から学んだ医術、祈祷、薬草の知識でもって人々の病気を治すようになり、晩年は銚子に移って薬湯を作ったといいます。

筑波山から愛宕山にかけての地域は昔から修験道が盛ん、植生豊かな地域で薬草も多く、天狗から寅吉がその知識を得たということも納得がいきます。

全国には天狗だけではなく、河童から教わった薬、狐が教えてくれた膏薬など、沢山の伝承薬があります。民話研究をしていく中で、今も河童伝承薬を守り続けている方にもお会いしました。

そんな中で、伝承薬や薬草に興味が深まっている私に、文様研究家であり、グリーンアドバイザーの資格を持つ藤さんが共感してくださり、薬草についての知識をさらに深められ、楽しい薬売り口上が出来ました。薬効についても知ることができます。

朗読会の25日以外でも、会場設置のバーコードから藤さんの生の口上を聞くことが出来ます。

今回もいろいろな動物たちに楽しくにぎやかに売り子をしてもらいました。江戸時代の様々な物売りの売り声を想像しつつ、思いを馳せていただけましたら幸いです。


参考文献 :  三谷一馬著  「江戸商売図絵」・「彩色江戸物売図絵」






2022年になってますが、2024年です😅💦