昨年は版画家棟方志功生誕120年の展覧会があり、滑り込みで観てきたあと、実家片付け中に没後一年の記念号を見つけた。ほかに10代の頃に古本屋で買った芹沢銈介とか数冊笠間に持ってきた。
私の祖父は若い頃に棟方志功さんとは交流があり、棟方さんの版画をデザインした包装紙を使っている煎餅屋さんの煎餅とかを買ってきてくれた記憶があるのでその影響か、棟方志功さんの版画が大好きだった。久しぶりにその版画に触れて、若い頃との感じ方に驚く。
昔は作品そのものよりもそこから滲み出る勢いや野心的なものに惹かれていた気がする。「ゴッホになる!」と意気込んだ志功さんのように私もこんな野心を持ちたいと憧れていたのも確かで。
かつては魅力的な作品とか工芸とか風景とか見ると自分の作品に反映させていかなければ!と思っていた。
ふと気が付くと、今はそれが無い。
エネルギーをもらって触発されることはあるけど。
自分は自分で、好きな世界の蓄積がようやく形になり始めた50代。素敵なものを観たときに素直に楽しむことが出来る。
まだまだ沢山のことを学んで吸収したい気持ちに変わりはないけど、野心がない分、柔らかに呼吸するように取り込めるようになってきた気がする。
今年も自然体で作り続けていきたい。