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ツバメ集会のお知らせ(2014/11/29大阪)

2014年11月29日(土)に大阪自然史博物館で開催するバードリサーチ研究集会の中で、ツバメをテーマにした集会を行います。

研究集会というと難しそうな名前ですが、野鳥観察の入門者から上級者まで楽しんでいただける講演会ですので、気軽に参加していただけます。

ツバメの他にも、フクロウと野外調査の集会が開かれます。
ツバメ集会のプログラムは下記の通りです。

1.河内長野市のツバメ営巣調査
   福岡賢造(日本野鳥の会大阪支部/日本バードレスキュー協会)

2.ツバメの巣さがし:大阪市内の巣、関西の駅の巣
   和田岳(大阪自然史博物館)

3.ツバメの集団ねぐらについて
   須川恒(龍谷大学深草学舎)

4.駅や商業施設でのツバメと人の共生支援
   神山和夫(バードリサーチ)

5.ツバメの情報交換・質問コーナー

詳しくは下記のホームページをご覧下さい。当日参加でも結構ですが、人数の把握のため、事前登録にご協力いただければありがたいです。

 http://www.bird-research.jp/1_event/kenkyu-shukai/20141129osaka_shukai.html

研究集会はバードリサーチの会員集会ですが、上記ページのリンクから、会費無料の「協力会員」に登録して下されば、どなたでもご参加いただけます。

皆様にお目に掛かれることを楽しみにしています。


ツバメをロゴマークにされている会社

インターネットで社内にたくさんツバメマークがある会社の紹介が見つかったので、もうツバメの子育ては終わった時期でしたが、社内のツバメグッズに加えていただければと思い、段ボールフン受けをお送りしました。

freeeという会計ソフトを販売されている会社で、下記が社屋の紹介記事です。会議室の名前を「コシアカ」「ショウドウ」などと付けられているところに、ツバメへのこだわりが感じられました。(えっ、感じませんか?)

http://japan.cnet.com/news/service/35050984/

ホワイトボードに貼ってくださっているそうです。上に何かを載せるのでしょうか。






ツバメの巣にカッコウが托卵する 証拠写真

イタリア語でRondine(ツバメ) Cuculo(カッコウ)を画像検索したところ、ツバメの巣にカッコウのヒナがいる写真が見つかりました。

下記ページには、いろいろな鳥がカッコウのヒナを育てている写真が載っていますが、一番下の写真をご覧下さい。

http://freeforumzone.leonardo.it/lofi/IL-CUCULO/D7651878.html

日本でも、スズメのヒナが落ちていたのをツバメの巣に入れておいたら、親ツバメが餌をあげて育ったというニュースを見たことがありますが、大きな口をパクパクさせていたら、誰の子かはおかまいなく、親ツバメはエサをあげなくちゃという気持ちになるのでしょう。

ただしカッコウヒナはツバメのヒナよりも早く孵化して、ツバメの卵を捨ててしまい、エサを独占して育つのですが。

ツバメの巣にカッコウが托卵する?

カッコウやホトトギスは、他の鳥の巣に卵を産んで、その鳥にヒナを育てさせます。自分では子育てをしないんです。こうした習性を托卵といいます。

ところで、イタリアでツバメの巣にカッコウが托卵したという記録があるようなのです。オンラインで見ることのできない文献ですし、イタリア語なので、詳細は分かりませんが。

Nido di Rondine Hirundo rustica parassitato dal Cuculo Cuculus canorus
https://getinfo.de/app/Nido-di-Rondine-Hirundo-rustica-parassitato-dal/id/BLCP%3ACN014023554

別の英語の論文が上記の文献を参考に書いているのを読むと、他の文献による報告例も合わせて、ツバメの巣にカッコウが托卵した例が、イタリアで5件あるそうです。

Avian brood parasitism in a Mediterranean region: hosts and habitat preferences of Common Cuckoos Cuculus canorus (Bird Study 56)
http://www.tandfonline.com/doi/abs/10.1080/00063650903013221#.VCjn5Wd_t8E

ツバメが他の鳥に托卵されるという話は聞いたことがなかったので、具体的にどういう例だったのか、とても知りたいのですが。

なお、ツバメ同士ではよく托卵をしています。こういう場合は「種内托卵」と言いますが、他人の巣に卵を産んで、1羽でも多く自分のヒナを残そうという戦略です。種内托卵は、たくさんの鳥の種で見つかっていて、それほど珍しい行動でもないようです。


ツバメの尾羽は、よく折れます

6月中旬に、調査でツバメの捕獲をしたのですが、オスもメスも、尾羽の折れたツバメがたくさんいました。

写真のメスは、向かって左の尾羽が折れています。折れてしばらくの間は、先端がV字型になっているので、見た目にも折れてしまったことがよく分かります。

右の正常な尾羽の先は、丸みを帯びています。しかし、折れた尾羽も時間が経つと削れてきて、双眼鏡や写真では、先端の状態の見分けがつきにくくなります。

原発事故の影響で、尾羽の左右の長さが違ったツバメがいるという書き込みをインターネットで見かけますが、一番外側の尾羽の長さが1cm以上も違っていれば、片方が折れていると考えて、ほぼ間違いありません。


追 記:

コメントで、うずさんからツバメの調査のことについて質問をいただきました。
このツバメ、少しお腹が赤っぽい色ですよね。ツバメは身体の大きさや色、尾羽の長さなどが、地域によってずいぶん違っています。世界中のツバメの特徴を調 べている研究者がアメリカから来ていたのですが、その人と一緒に日本のツバメの身体を調べていました。世界各地のツバメの体つきがどのようにして異なってき たのかを研究しています。

ツバメは、すぐまた放してあげました。

例えば、日本のツバメは、ほとんどが白いお腹をしています。アメリカのツバメのお腹は赤いんです。ヨーロッパやロシアのツバメは、また別なふうに違った色や形をしています。


長い長い時間をかけて、こうした違いが大きくなっていくと、イワツバメやコシアカツバメのように違った種類になっていくと考えられています。生きものの「種」というのがどうやって生まれるのかを、「種」になる一歩手前と考えられるツバメの地域差を調べることで、解明しようとしています。


ツバメがどんな虫を食べているかの調査

ツバメはどんな虫を食べているのでしょうか? ツバメは口の中に小さな虫を入れたまま巣にやって来て、それをヒナの口に押し込むので、外から見ていても虫の種類を知ることはできません。ツバメがどんな虫を食べているかは、わずかな観察情報から想像するほかなかったのですが、千曲川の鼠橋(緯度, 経度=36.42650, 138.18856)という場所で親ツバメがヒナに運んでいる虫を調べた調査の報告書が見つかったので、内容をご紹介します。

河川生態学研究会 千曲川研究グループ. 2001. 千曲川の総合研究-鼠橋地区を中心として-. リバーフロント整備センター. 東京.

この報告書の「3.4.1(2) 水生昆虫と鳥類(中村浩志・吉田利男・所洋一)」に、ツバメ、ハクセキレイ、キセキレイの親がヒナに運ぶ餌を調査した結果が乗っています。

調査時期: 2000年の繁殖期

調査方法: 羽毛がほぼ生えそろった育雛中期から後期のヒナの首に針金を巻き、呼吸はできるが餌は飲み込めない状態にすることで、親から給餌された餌が口の中に溜まったものを採取する頸輪法と呼ばれる方法によって餌の採集を行った。

調査対象: ハクセキレイは2巣から17回、キセキレイは2巣から8回、ツバメは2巣から5回、餌の採集を行った。1回当たりの採集時間(調査者が餌を回収する間隔)はほぼ2時間で、朝、昼、夕方など様々な時間帯に行った。

巣の場所: 報告書には文章の記述がなく略図が載っているだけですが、それから推定して、いずれも千曲川から約200m以内と思われます。

採食場所: いずれの種も河原で主に採食し、河原の外の集落やその付近で営巣していた。

ツバメ


キセキレイ


ハクセキレイ


この結果を見ると、この場所のツバメは、川から発生するカゲロウとトビケラを餌の大半にしていることが分かります。なお、報告書には調査した月が書いていないので、同じ場所でも時期による餌の違いはあるかもしれません。地面を歩き回っているキセキレイとハクセキレイも、クモ目の数が多いこと以外は、ツバメと同じカゲロウ目、トビケラ目、ハエ目といった飛翔性昆虫をたくさん食べているんですね。

カゲロウやトビケラについては、図鑑のホームページがあったので、リンクをご紹介しておきます

千曲川の鼠橋周辺に生息する水生昆虫は、同じ報告書の「3.2.1(2) 水生昆虫の現存量とハビタット」によると、1997/3/6の調査で、水中にはカゲロウとトビケラの幼虫が多いことが分かっています。餌の調査と同じ傾向ですね。その他に川から発生する飛翔性昆虫として知られるものでは、ツバメの餌調査で1個体だけ採集されたカワゲラの幼虫は見つかっておらず、ユスリカの幼虫は少数でした。

カゲロウやトビケラは河川に広く見られる水生昆虫で、ツバメの巣が川沿いに多く見つかることからも、他の場所でもツバメにとって重要な餌であることが想像できます。一方、川から離れた市街地などでは、ツバメはどんな虫を餌にしているのか、ぜひ知りたいところです。

私が小中学生だった昭和50年代のころ、夏の夜になると、網戸にやたらと虫が付いていたものですが、いまでは網戸にほとんど虫が付かなくなりました。ツバメが餌にしている虫も、以前に比べると相当減っているのではないかと思います。


手作りの人工巣で子育て

ツバメネットのホームページでも人工巣の利用のことを説明していますが、ご自分で人工巣を作られたツバメの大家さんから、無事にヒナが巣立ったとのメールをいただいたので、ご紹介します。

滋賀県のKさんのお宅では、今年の3月にツバメのペアが古巣にやって来ていましたが、しばらく姿を見かけなくなったあいだに、事情があって巣を撤去してしまいました。その後、またツバメの姿を見かけるようになったものの、一向に巣作りをする気配がないため、ツバメネットのHPを参考にコルク粘土製の人工巣を作って5月初めに設置したところ、数日後からツバメが巣を使い始めたそうです。そして、6月下旬に5羽のヒナが巣立ちました。

Kさんのコルク粘土の巣は、表面に土の粘土を塗っていなくてコルクのままなのですが、ツバメは気ににならなかったようです。本物そっくりの巣でないとツバメが使ってくれないということはありませんので、巣が壊れてしまったお宅では、自己流の人工巣を作ってみられるといいかもしれません。

巣の取り付け位置は重要なポイントで、Kさんの人工巣のように、天井から握り拳が入るくらいの距離にある巣を、ツバメは好みます。

そして人工巣を付けても、たいていの場合、ツバメは自分で巣の縁に少し泥を塗ってから使用します。

Kさんのお宅の人工巣です。泥とワラを運んできて、リフォーム中。



卵を抱いているのかな。



大きくなりました。




ツバメフォーラムinいしかわ お知らせ

昨年の夏、石川県の小学生たちと韓国南部の慶尚南道を訪ねて、同じようにツバメ観察をしている韓国の小学生たちと交流をしたことをお伝えしましたが、この夏、今度は韓国の小学生たちが石川県を訪問します。

石川県で小学校のツバメ調査を実施している石川健民運動推進本部主催の公開行事もありますので、みなさまにご案内いたします。



つばめのとまり木、失敗の記

人工巣を使った引っ越し実験に協力していただいている、埼玉県の道の駅アグリパークゆめすぎとで、トイレの中で眠るツバメがフンを落とさないように、とまり木と、その下にフン受けを置いていました。

人工巣引っ越し実験はこちら
 http://www.tsubame-map.jp/1_michi/su-no-yudo.html

こんなふうに、夜は洗面台で眠るので、フンを落としてしまいます。


そこで、とまり木とフン受けを設置しました。ツバメさんも気に入ってくれたようです。


ところが、予想外のことが・・・、とまり木の先に巣を作られてしまいました。
残念ながら、止まり木を取り外しました。

なお、このとまり木は店舗などでノボリ旗を立てるために使う旗竿です。
ツルツルでツバメの足でもつかみにくそうなので、先端にビニールテープを巻いて使いました。
それ以外の場所は紙やすりでギザギザにしてみたのですが、ビニールテープの方がよさそうです。

 http://store.shopping.yahoo.co.jp/rabbitsign/873.html

道の駅庄和のツバメ、今夜テレビ埼玉で放送されます

首都圏でしか放送されませんが、ツバメ糞受けや人工巣を開発する試行錯誤の場を提供して下さっている埼玉県春日部市の、道の駅庄和のツバメが今夜放送されます。

道の駅庄和では、5月26日時点で26個の巣が利用されていました。昨年の繁殖つがい数はのべ30ほどだったので、今年はさらに多くなっているようです。

テレビ埼玉での放送は、17:45からのテレ玉イブニングニュースと、21:30からのニュース930の両方だということです。