最近増えているRSI案件例 (後半) | カリフォルニア 会議通訳・翻訳会社 EJ EXPERT代表のブログ ザ・トランスレーター

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40歳過ぎて専業主婦からプロの同時通訳者と起業家に転身。会議通訳の仕事、翻訳や通訳スキルの習得、通訳翻訳会社の経営、独自のプロ養成コースなど、北カリフォルニアはシリコンバレーを中心に発信しています。

こんにちは、北カリフォルニアの会議通訳者、EJ Expert Inc.代表のブラッドリー純子です。

 

前回の記事の続き、RSI案件についての質問はこのようなものでした。


RSIプラットフォームを使ったリモート同通。白い部分には録画が見れるようになっていて左下が音量インプット&アウトプットの調整、右側がマイク操作です。エンジニアが全て設定してくれます。

【背景】最近RSI案件を受けたところ、技術的な内容のプレゼンテーション動画を見ながら同時通訳を録音するという業務だった。

 

IT用語が満載、さらに英語に訛りのあるエンジニアが早いスピードで話すので聞き取りにくく、結局事前に翻訳作業をして当日はボイスオーバー的に読み上げるという対応を取った。

 

ちなみにご本人は会議通訳者としては経験も長くIT分野も実績はあるけれど、リモート通訳の経験はほとんどない。

 

 

【質問】料金体系について目安みたいなものはあるのかどうか。

 

2時間の動画だったのでレートは通常の半日料金の訳半分程度だった。

 

4時間だと通常の半日料金の額だが、準備だけでも16時間以上を費やしてしまった。

 

リモートに不慣れなのと訛りの強い英語で苦戦したが何度かすれば準備時間も削減できると思うが、やはり料金が低いため、エージェントに交渉した方が良いか?

 

 

 【私からの回答】まずこのようなRSI案件はコロナ以後問い合わせが増えています。

 

あらかじめ録画された複数のプレゼンやウェビナーにRSIプラットフォームを使って同通をし録音する形式です。

 

案件によって差はありますが、プレゼン動画は平均で10分〜20分程度が多いようです。

 

エンジニアが遠隔で付いてサウンドチェックから本番まですべてお膳立てしてくれるので通常のRSI業務とあまり変わりません。

 

異なる点はプレゼン動画ファイルを事前に視聴できること。用語など確認できるので初見同通よりハードルが低くなります。

 

 

ここまでお答えしたので続きを書いてみようと思います。

 

初見RSIよりハードルは低いですが、動画ファイルや資料の数が多いと事前視聴だけでもかなりの時間を費やすことになります。

 

私がこれまで担当した同様のRSI案件は、30近くの動画を同通するというもので、見るだけでも半日かかってしまいました。その他には送られてきたグロッサリを確認したりする作業が1時間くらい。


5分ずつの休憩を数回入れたのみで数時間で終わらせました。


休憩時間中はお手洗いに行ったりお茶を入れたり。アップルウォッチのタイマーをセットしておくと安心。

RSI案件は、自宅に居ながらできるし移動時間も着替えやメークも必要ないのでエージェントによってはかなり低いレートをオファーしてくるところもあります。

 

この方の場合もそうで、このような会議通訳の案件内容で一名体制ならミニマム半日レートでアサインすべきだと思います。

 

 

参考までに私が受けているRSI会社のレートは、

 

業務拘束時間が半日で1名体制=終日料金(半日レートがミニマム)

業務拘束時間が終日で2名体制=終日料金(終日の場合は必ず2名体制)

 

となっています。

 

4時間程度の業務でも終日レートをチャージできるなら、準備に半日ちょっとかかっても納得できます。

 

今回の相談で気になったのは、

 

準備だけでも16時間以上を費やしてしまった、という部分。

 
しかもミニマム半日ではなく、2時間分。ということは時給での請求ですよね。
 
 
準備に16時間以上+本番2時間+エージェントとのやり取りや事務に恐らく1時間
となると通算20時間をこの案件に費やしてしまっています。
 
仮に時給100ドルだったとしても2時間で200ドル。
 
通算時間で割ったら時給10ドルの世界です!
 
うちの高校生男子のバイトでも時給15ドル超えてますよガーン
 
素晴らしい実績があるのですから、Withコロナ時代でリモート通訳が増えてもプロとしてのレートは維持したいところ。
 
まずミニマムでも半日レートで請求できるように交渉してみることをおすすめします。
 
 
また、IT分野の通訳経験はあるにもかかわらず、翻訳原稿をつくらなければ対応できない
 
話し手の英語の訛りやスピードが原因でその場で同通ができない
 
ということであれば、
 
残念ながらこの案件に関しては適任でなかった可能性もあります。
 
 
IT分野はほとんどが非ネイティブの英語がマッハスピードで話す案件が多いですし、
 
情報もめまぐるしく変化して、日本側からのクオリティに対する要望も厳しいので
 
 
よほど日頃からテック業界の現場同通で切磋琢磨していないと今回のようなRSI案件への対応は難しいかもしれません。
 
通訳って言葉だけを訳しているようでじつは非言語的コミュニケーションに頼っているところも大きいですよね。
 
だから小さいスクリーン画面とイヤホンから聞こえる音声だけに頼らざるを得ないRSIの通訳は、
 
現場よりもじつは難易度が高かったりします!
 
よほど電話通訳やリモート通訳に慣れた方やRSIの経験がない限り、エージェントもそれを知っているのでやっと打診が来たかと思ったら足元を見て今回のようにレートの値踏みをしたりしてくる。
 
そのようにRSIを含むリモート通訳を受注する際の条件や準備方法なども
 
リモート通訳特別講座ではレクチャーしていく予定です。
 
受講希望者やすでにお申込みをいただいている方には会議通訳者として中堅レベルの方も多く
 
リモート通訳への熱意がうかがえますキラキラ
 
シラバスの中から一部抜粋します。
 

Course Objectives:
Withコロナ時代でさらに需要が高まりが予測されるリモート通訳のみにフォーカスする特別講座。遠隔同時通訳(RSI)、遠隔逐次通訳(RCI)、録音同通(RI)、電話通訳(OPI)などリモート通訳に必要となる技術や知識を最短で効果的に習得できるカリキュラム。

授業では、RSIプラットフォームなど実際の会議で使用される最新システムを使い、RSI等の実例案件を教材に演習を行う。難易度の高いといわれるリモート通訳の問題点や留意点に取り組む。

また、いち早くリモート通訳で稼働するためのマーケティングや業務環境の整え方、エージェント登録の方法や目安となるレートや条件なども学ぶ。RSIを含む、リモート通訳実績が500時間以上ある講師が指導。

 
まさに今需要が高まってきている注目のリモート通訳の講座ということで私も楽しみです!
 

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