RSI 遠隔同時通訳というトレンド | カリフォルニア 会議通訳・翻訳会社 EJ EXPERT代表のブログ ザ・トランスレーター

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40歳過ぎて専業主婦からプロの同時通訳者と起業家に転身。会議通訳の仕事、翻訳や通訳スキルの習得、通訳翻訳会社の経営、独自のプロ養成コースなど、北カリフォルニアはシリコンバレーを中心に発信しています。

こんにちは、北カリフォルニアの会議通訳、EJ EXPERT代表のブラッドリー純子です。
 
最近アメリカでは、インターネットを使った遠隔同時通訳(Remote Simultaneous Interpreting)の案件が急増してきています。
 
このテクノロジー自体は2年ほど前からパイロット的に導入され始めたのですが、当時は精度がイマイチで実用的ではありませんでした。
 
私も当時オリエンテーションを受けたのですが、使いにくく、その後は特に音沙汰もなく忘れていました。
 
ところが先月くらいから大手エージェンシー数社から頻繁にRSIの打診が来るようになり、今月だけでも3つのカンファレンスを遠隔で同時通訳しています。
 
 
 
先週は4日間に渡り、ニューヨークで行われた大手保険会社のカンファレンスを東海岸の通訳者さんと通訳しました。
 
 
こちらは、フロリダ州のオーランドで行われたテクノロジー企業のカンファレンスを3日間遠隔で通訳。
 

人気番組シャークタンクに出演している起業家のデイモンド・ジョン氏がクロージングキーノートでした。
 
もちろんこういった基調講演はいつも初見ですが、デイモンド氏は今年5月にサンフランシスコのカンファレンスで同時通訳したばかりなので内容はある程度予測できていました。
 
現場の臨場感を肌で感じることはできませんが、ヘッドホンを通じて入ってくる講演者の音声は質が良く、表情もだいたいわかるので特に問題はありません。
 
また、大型のカンファレンスだとステージ裏か会場の一番後ろに通訳ブースが設置される事が多いです。
 
そのため、ブース内のモニターから登壇者を見るのですが、遠隔で通訳していてもブースとあまり変わりないかも知れません。
 
 
私は自宅オフィス用に使っているマイクロソフトのサーフェスでプラットフォームに繋ぎ、さらに最近出張用に買った小型版のサーフェスGoを辞書や検索用に活用します。

ヘッドホンの種類が指定されてたり、イーサネットの接続が必要だったり、ある程度の条件は決められています。

画面上にブース環境と同じように通訳コンソールがあり、マイクやミュートボタン、さらにはパートナーに交代の合図が送れるハンドオーバーボタン、カウントダウンのタイマーが付いているので遠く離れていても15分交代がスムーズに行えます。
 
また、セッション中は、会場にいるテクニシャンが常時サポートしてくれます。

パートナー通訳とも画面上のチャットでコミュニケーションが取れます。メモ出しもチャットで行います。

トラブルシューティングの目的でテクニシャンに通訳中にパソコンの画面を遠隔操作されることも。
 
つまり画面が見られる可能性もあるのでメールのチェックなどは別のパソコンやスマホでした方が無難という事です。

 


パートナーを組ませていただいた東海岸在住の先輩通訳と私に
 
クライアントから嬉しいフィードバックがおねがい
 
遠隔だからこそ、オーディエンスからのこういった反応は嬉しいのです。
 
今回の先輩通訳は、同時通訳にありがちな余計なフィラーを一切入れず、デリバリーがとても素晴らしい同時通訳をされる方。それでいて細かい部分も絶対に聞き逃さないので私も負けまいとモチベーションが上がります。
 
しかも優しくて気遣いが素晴らしい方なのでぜひ現場でもご一緒したいと思う先輩の一人です。
 
じつは今日もテクノロジー巨大企業の会議に遠隔パートナーとして入っていますが、小規模の会議でディスカッションがメインなので全員の発言がきちんと聞こえないため、RSIでは対応が難しいとい感じています。
 
色々な規模の案件をいくつかやってみて分かったのですが、RSIは大規模なカンファレンスでなら音源のクオリティも安定しているのでとても使える技術だと思います。
 
コンピューターに明るくない通訳者は躊躇する方が多いそうですが、今の時期は毎週1~2件の出張が入ってくる私としては家にいる選択肢ができて有難い限り。
 
セッションの合間の休憩時間に近所をジョギングしたり、晩御飯の支度をする、といったこともできるわけです。
 
通訳者にとって一番の疲労は仕事そのものではなく、飛行機などの移動や時差が原因であることが多いのでその点もうれしい。
 
私の場合は、例えば今週は東海岸からの遠隔同通を4日間入れて、来週は車で行ける範囲の逐次案件を1件と2日半の出張案件を1件入れて、その翌週にまたシドニーからの遠隔同通を3日間入れるといったパターンです。
 
日本で開かれるカンファレンスをRSIで通訳することもあります。

逆に日本のエージェンシーが活用しだしたら、今後は日本在住の通訳者がRSIでアメリカや海外のカンファレンスを通訳したりということもあるかもしれません。
 
メリットはやはり家にいながらも大きな会議や著名な方の同通ができるし、稼働日数もグンと増えます。デメリットは、生活音のコントロールですね

通訳者の声のクオリティやノイズは厳しくモニタリングされているので小さな子供がいる家庭では難しいです。
 
自宅なのでリラックスして緊張せずに通訳ができますが、逆に言うと現場の臨場感や空気を感じることができないので緊張感が足りずに眠くなってしまうことも。
 
現場だと疲れてたり寝不足でもアドレナリンで長時間ぶっ飛ばすこともできるんですが…(笑)。
 
というわけで今月はコーヒーの消費量が半端ないですコーヒー
 
 
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