【書籍】昭和プロレス 禁断の闘い | ~‡コキュートス‡~

【書籍】昭和プロレス 禁断の闘い

(−A−)という事で…

今回は、昨年12月には読み終わり、早く紹介したいぐらいの良書だったのに…"レビューもどき" を書くのが今になってしまった(苦笑)、こちらの一冊を紹介します。

■`21.12/2 読了

『昭和プロレス 禁断の闘い「アントニオ猪木対ストロング小林」が火をつけた日本人対決』

福留崇広 著

(2021年10月30日 初版発行)


(−A−)◎


 

凄惨な結末だった1954年12月22日の力道山vs木村政彦の後「封印されていた」と言われる "大物日本人対決"…その「封印を破った」とされる1974年3月19日のアントニオ猪木vsストロング小林の "歴史的名勝負" を、当事者の猪木と小林、仕掛人の新間寿を初めとする多数の関係者に取材して書き上げた、傑作ノンフィクション☆



(−A−)福留嵩広氏と言えば…


武藤敬司についてのノンフィクション『さよならムーンサルトプレス 武藤敬司35年の全記録』という名著を書いた人ですが… 


今回紹介する『昭和プロレス 禁断の闘い』も、ある意味で "武藤本" を凌駕する濃い内容となっています◎


また、本作は事実上の主人公とも言うべきストロング小林(※ストロング金剛の名前で芸能界でも活躍。本名・小林省三)に著者・福留氏が話を聞きに行くところから始まり、小林の述懐が肝(?)となるわけですが…


そのストロング小林さん、本書が発売された約2ヶ月後の2021年12月31日に逝去(81歳没)されまして。。。


小林さんが本書を生前に読んだかは分かりませんけど…もし読めていたならば、最高の餞になる一冊だったのではないかと思います。


m(__)m


(−A−)例によって(?)…


細かい内容についての抜粋や紹介は割愛しますが(汗)、以下が本書の目次になります。



禁断の扉から始まる物語「まえがき」にかえて


第1章 その異様な光景

「アントニオ猪木対ストロング小林」という事件


第2章 情熱と執念

新間寿の猪木への愛と、馬場への闘志


第3章 交渉と扇動

二人の傑出したプロレス記者の存在


第4章 動かす熱量

東スポの野望が日本人対決のタブーをこじ開ける


第5章 プレイバック日本人対決

アントニオ猪木が「小林戦」を見直し、語り尽くす


第6章 プロレス史上最大の謎

「力道山対木村政彦」の闇に分け入る


第7章 二人の運命

プロレスに賭けた力道山、プロレスラーになりきれなかった木村政彦


第8章 闘いの階段

相手の良さをどこで見極め、どう生かすか


第9章 「かませ犬」が反逆する

長州力の憎悪に藤浪辰巳が感応した「名勝負数え唄」


第10章 凄さと優しさ

藤波、長州が見た猪木、小林が感じた猪木


第11章 青春の結晶

「タイガーマスク対小林邦昭」はなぜ比類のない熱を帯びたのか


第12章 強さへの革命

プロレスを格闘技に移行させたUWFという実験場


第13章 不穏な試合

佐山と前田の確執の底に何があったのか


第14章 破壊と創造

「天龍革命」が全日本プロレスを内側から変える


第15章 怪物が目覚める

鶴田の覚醒によって革命は成就した


第16章 長く熱い日の終わり

「猪木対小林」は世間を振り向かせた


第17章 動き続ける時計

奇跡的な交錯、まったく別の人生


物語は語り継がれ、生き続ける「あとがき」にかえて



↑の目次を見ただけで、分かる人は分かるかと思いますが…


本書はアントニオ猪木vsストロング小林のみならず、日本のプロレス黎明期に行われた "曰く付き" の力道山vs木村政彦、'80年代の新日本プロレスブームを牽引した藤浪辰巳(現・藤浪辰爾)vs長州力やタイガーマスク(佐山聡)vs小林邦昭、その新日本プロレスから派生した第1次UWF末期に行われた佐山聡vs前田日明の不穏試合、全日本プロレスで勃発した天龍革命とそれに伴うジャンボ鶴田vs天龍源一郎という、今でも語り草になっている伝説的な日本人対決の数々についても書かれてるんですね。


(−A−)しかし…


単に「代表的な日本人対決について書かれたいくつかの話をまとめた書籍」ではないんです。


どういう事かと言いますと、1つ1つが独立した話ではなく…全て繋がるんです、猪木vs小林に。(←ここ重要)


取り上げられた試合を並べると、一見「猪木vs小林とは関係無いだろ」と思うかも知れませんし、私も読む前は「猪木vs小林を初めとした代表的な日本人対決について、それぞれ書いた本なんだろうな」と思っていました。


ところが!読み進めて行く内に「あ、これ…全部で1つの物語じゃん!」と気付いて、感嘆しましたねぇ♪


本書の太い幹として周囲にいた関係者含めた猪木vs小林の物語があり、そこから出てくる何らかのキーワードが例えば藤波vs長州の "名勝負数え唄" に繋がったり、はたまたライバル団体だった全日本プロレスで行われた鶴龍対決に繋がって行ったりするわけ。


もうね、お見事!と言うしかないです◎



(−A−)内容については…


これは買って読んでいただくのが一番良いです。(笑)


読んで損はしないとかの次元ではなく、読んで良かった!と感動しますから。



最後に1つだけ、私が最も感じ入ったとこを記しときますと…


"ストロング小林・最大の大勝負" とも言える猪木戦にプライドを持っていただろうストロング小林ですが、そのプライドの拠り所は…名勝負だったとか勝ち負けどうこうの話ではなくて、『猪木さんと自分が闘った事で蔵前国技館に超満員札止めのお客さんを集めた』という事なんですね。


これぞ、プロレスラーですよね。


関係者の証言によると、今では確実に消防法に引っ掛かるような、掛け値無しにぎゅうぎゅう詰めにお客さんが詰め掛けたらしいですからね、猪木vs小林の蔵前国技館。



(−A−)最後に、余談ですが…


昨年10/24に名古屋に観に行ってきた『古舘伊知郎トーキングブルース』の中で、「これぞ古舘伊知郎の真骨頂!」と言うべき『猪木・青雲編』という講談調の圧巻のパートがあったんですが…その中で古舘さんが "実況" 風に喋った試合の1つが、何を隠そうアントニオ猪木vsストロング小林だったんですよね。


その後、本書が発売され、購入後しばらくしてから読み始まった私は、「ちょうど古舘さんが "実況" した猪木vs小林かぁ…」というのもあって、奇妙な縁を感じながら読み耽り…


12月頭に読み終わって「良い本読んだな♪」という余韻に浸ったりしつつ…年が開けて少しした頃、ストロング小林の訃報が報道されました。


ストロング小林という選手は、私がプロレス好きになった頃には既に第一線からは退いてたと思いますので、リアルタイムでちゃんと試合を観た記憶は無くて…引退後にストロング金剛として『風雲たけし城』で一般参加者を脅かしてる姿なんかの方が印象に残ってるんですよね(笑)


なので、『古舘伊知郎トーキングブルース』の講談の中に出てきて、その後本書を読んで「プロレスラー・ストロング小林」という存在を改めて意識していた…そんな時に流れた訃報だったので、自分の中では何か一本の線が繋がったみたいな、不思議な感覚がありました。



m(__)m



(−A−)という事で…


この傑作ノンフィクションを紹介するには、稚拙に過ぎる "レビューもどき" でお茶を濁した記事でしかありませんが(苦笑)…


私の記事を見て、「面白そうだな」とか「読んでみたいな」とか思ってくれる人がちょっとでもいてくれたら、幸いです。


あらあらかしこ。


(−A−)y~ムフフ











間違い無く昨年(2021年)読んだ本ではNo.1の著作ですね。ルシファー推薦図書です(笑)