【書籍】史論―力道山道場三羽烏 | ~‡コキュートス‡~

【書籍】史論―力道山道場三羽烏

(ーAー)はい、という事で…

今回は、こちらのプロレス関連書籍を読み終わりましたので、ざっくりとですが紹介しますね。




■'20.7/30読了
『史論―力道山道場三羽烏』
小泉悦次 著
('20.6/1 初版第1刷発行)

(ーAー)◎

 

 

“日本プロレス界の父” 力道山が産み落とした “三羽烏” と称される代表的な3人、ジャイアント馬場、アントニオ猪木、大木金太郎のアメリカ武者修行時代の詳細を掘り下げ、冷戦時代の日・米・韓のプロレス史までを炙り出したノンフィクション☆


プロレス(史)専門ムック『Gスピリッツ』に掲載されたプロレス史研究家・小泉悦次が執筆した『ショーヘイ・ババのアメリカ武者修行』『カンジ・イノキのアメリカ武者修行』『キンタロウ・オオキのアメリカ武者修行』の3本の連載記事を大幅に加筆修正し、新たな書き下ろしを加えて構成された一冊です。


3ヶ月に1回ぐらいの頻度で発売されている『Gスピリッツ』、私が創刊号から毎号買っている雑誌なので、当然本書の元記事である3本の連載も読んでいたんましたが…

それでも本書の発売を知り「え?これは買わなきゃ!」と決めたのは、雑誌掲載時にワクワクしながら興味深く読んだ連載だったからであり、それらをまとめた一冊なら是非購入して改めて読みたいと思ったからです。


(ーAー)ちょっと説明しますと…

昨今では大手の新日本プロレス以外で行っている団体はほぼ無くなってしまいましたが、日本のプロレス界において若手選手が出世する過程に「海外武者修行を経て凱旋帰国」という定番のパターンがありました。

本書では、力道山門下からデビューしたジャイアント馬場、アントニオ猪木、大木金太郎が若手時代を経て旅立ったアメリカで、トップ選手への成長の糧としてだけでなくプロモーター的な意味でもその後の礎となったであろう武者修行時代の足跡を詳細に調査した結果が記されています。

この3選手ぐらいの大物となれば、武者修行時代の活躍や戦歴はそれぞれの経歴やプロレス史の一部として紹介されており、それが “共通認識” となっていましたけど…小泉氏は'60年代の米国各地の資料や記録を出来うる限り調査する事で、これまで語られてきた話とは違う “事実” をいくつも示していきます。


( ̄ー ̄)まあ…

情報の伝わり方が今ほど正確でも早くもなかった昭和期は、東スポを初めとしたプロレスマスコミも誤報があったり、限られた情報を想像で補って記事を作ったりしてましたからね。(笑)

今の視点で見れば “出鱈目” というか “捏造” なんて言われてしまうかも知れませんけど…時代背景だったり、そうした記事を見た当時のファンが如何にワクワクしたかなどを考えれば、決して “間違い” ではないですからね。

(ーAー)閑話休題。


小泉氏の入念な調査を元にした文章によって、アメリカ修行時代の馬場、猪木、大木の “真の物語” が浮かび上がってくるわけですが…

それぞれが回ったテリトリー、要するにアメリカのどこの地区で闘ったのかという部分の違いなんかも面白いんですね。

3人が武者修行をした'60年代のアメリカマット界は、全米各地に有力なプロモーターがいて、それぞれが人気選手を抱えたり、数ヶ月単位で入れ替えたりしながら興行を行っていました。

2m以上の長身の東洋人という得難いキャラクターを持つ馬場は、そのプロレスラーとしての才能も相まって武者修行の段階から全米のプロモーターから引く手あまたの売れっ子になり、それ故に当時の黄金テリトリーを中心としたルートで熟成していきましたが…

馬場の輝かしい武者修行に較べると、その後に修行に出た大木や猪木が回った地区は比較的地味なテリトリーだったりするわけ。

この辺も、プロレスラーとしての彼らが形成される上での違いというか、特徴となっていく。

( ̄ー ̄)うーん…面白いですね♪


また、後に日本プロレス界の二大巨頭となる馬場・猪木に較べて、大木金太郎はまた異質な存在なんですが…それは大木が韓国人だった事も関係してくるんですね。

記事が終わらなくなるので詳しくは書きませんが…大木のバックには当時の韓国大統領が付いていて、その辺の絡みから世界チャンピオンのルー・テーズにセメント(※ガチンコ)を仕掛けて返り討ちされるという “事件” に繋がったりなど「それ、マジか⁉️」と疑いたくなる物凄い裏話が出て来たりします。

気になる人は買って読んでくれたまえ。


(ーAー)最後に…

本書の主役はジャイアント馬場、アントニオ猪木、大木金太郎という “力道山道場三羽烏” ではありますし、彼らのアメリカ武者修行時代にスポットを当てたノンフィクションですけど、彼らが修行した'60年代当時のアメリカマット界の事細かな状況も詳しく解説されていて、そういう意味でもマニア心をくすぐる興味深い一冊ですね。

傑作にして名著です。(きっぱり)

(ーAー)y‐~ムフフ










馬場・猪木の話も面白かったんですが、その物語は悲哀に満ちている感じの大木金太郎の話が一番興味深かったかな。とAndroid携帯から投稿…こういう今いち報われない人の話って感情移入しちゃうとこあるよね(笑)