(後編)
むき出しの自分を、愛し直す覚悟。
木曜日の、夜。
一週間の疲れが、鎧の継ぎ目からじわじわと染み出し、
精神の深部まで冷え切っている時間です。
火曜日の前編では、
私たちが身につけた社会的地位や責任という名の鎧が、
今や自分を縛り付ける重荷になっている現状をお話ししました。
後編の今日は、その重い鋼を脱ぎ捨て、
むき出しになった自分として、
どうやって新しい戦場(環境)へと踏み出していくか、その具体的な覚悟についてお伝えします。
転職を決意し、退職願を提出する。
その瞬間、
あなたの全身を覆っていた、あの重苦しい鎧は、音を立てて崩れ落ちることになります。
それは、これまでの10年、15年という月日をかけて、
必死に磨き上げてきた看板を、自らの手で捨てる行為です。
周囲の人々は、驚き、あるいは憐れみの目を向けてくるかもしれません。
せっかく築いた地位を捨てるなんて。
この年齢で、丸腰になってどうするつもりだ。
そんな、
もっともらしい忠告という名の呪いが、あなたの耳に届くこともあるでしょう。
でも、知っておいてください。
鎧を脱いだあとに残るのは、
何もない空虚なあなたではありません。
そこにあるのは、
どんな鋼よりも強靭に鍛え上げられた、あなた自身の剥き出しの意志です。
鎧がなくても、
あなたはこれまで、数々の困難を乗り越えてきました。
鎧の力ではなく、
あなたの知恵と、あなたの粘り強さと、
あなたの誠実さが、今日までのあなたを生かしてきたのです。
鎧は単なる飾りであり、
本物の強さは、常にあなたの内側に、人知れず宿っていたはずです。
転職活動という名の、新しい荒野に立ったとき。
あなたは、風の冷たさに震えるかもしれません。
自分を隠してくれるものが何もない不安に、
夜、眠れなくなることもあるでしょう。
しかし、そのむき出しの状態で、
新しい誰かと出会い、新しい価値観に触れたとき。
あなたは、
かつてないほどの、「生きている」という強烈な実感を、全身で浴びることになります。
重い兜を脱ぎ捨てたからこそ、見える景色があります。
重い盾を捨てたからこそ、伸ばせる手があります。
あなたの本当の価値は、重厚な装備のなかではなく、
その軽やかになった足取りのなかにこそ、宿っているのです。
人生の時間は、砂時計の砂のように、
気づかないうちに指の間を、音もなくすり抜けていきます。
他人の期待に応えるための、
錆び付いた鎧を維持するために、あなたの貴重な残りの寿命を使い切ってはいけません。
転職は、単なる職場の移動ではありません。
それは、
あなたが、自分自身の皮膚の感覚を取り戻し、
自分の輪郭を愛し直すための、最高に贅沢な再起動なのです。
あの時、勇気を出して、
自分を閉じ込めていた鋼を脱ぎ捨てて、本当によかった。
数年後のあなたが、
自分に最もふさわしい光のなかで、誰にも似ていない軽やかな足取りで笑っている。
その景色を迎えに行けるのは、世界中で、今、
この瞬間に決意を固めた、あなた一人だけなのです。
さあ、深く深呼吸をしてください。
あなたの本当の旅は、
ここから、その自由になった体で始まるのです。
Believe in your core.
( 著者:TSK )

