「生命保険金は受取人固有の財産なので、遺産分割にかかわらず確実にのこせます」
一時払終身保険の営業でよく使われ営業トークです。
この根拠といわれるのが、平成16年10月の最高裁判決ですが、詳細を確認してみるとその意味は少し異なります。
実は、この最高裁判決よりも前から、生命保険金は受取人固有の財産であることは、専門家の間で明らかになっていました。
生命保険は、契約者と保険者間の契約であり、一定の要件を満たした場合に、保険者から受取人にお金を払うことを約束している契約だからです。
ここに民法が介在する余地はないということなのでしょう。
平成16年10月29日の最高裁判決が生命保険業界において重要視されているのは、
生命保険金は受取人固有の財産であるものの、著しく不公平となった場合には特別受益と同様にみなすとして、その判断基準を具体的に示したことにあります。
基準は、下記の3点を総合して判断するとされています。
①保険金の額、この外の遺産の総額に対する比率
②同居の有無、被相続人の介護等に対する貢献の度合いなどの保険金受取人である相続人及び他の共同相続人と被相続人との関係
③各相続人の生活実態等の諸般の事情
詳しくは下記の記事にまとめていますので、ぜひこちらでご確認ください。
保険金額の多寡や遺産との比率だけでは判断はできませんが、基準が示されたことで、遺産分割対策の提案がしやすくなったといえるでしょう。

