2026年4月から、国税庁で「取引相場のない株式の評価に関する有識者会議」が開かれており、非上場株式、いわゆる自社株の相続税評価が、昭和39年以来の大きな見直しを迎えようとしています。
現時点では方向性が示された段階ですが、この秋にとりまとめ、12月の税制改正大綱への反映を経て、2028年からの適用が想定されています。
来年以降の法人保険提案の前提が変わる可能性がありますので、今のうちに、大きな方向性を押さえておきましょう。
まず、これまでの評価方法を整理します。
自社株の評価は、資産から負債を差し引いた「純資産価額」が、法人の資産価値にあたります。
そのうえで、会社規模が大きくなるほど「類似業種比準価額」を多く使える仕組みになっています。
この類似業種比準価額は、純資産価額よりも低く算出される傾向があり、会計検査院の調査では、その水準は純資産価額の約27%にとどまっていたとされています。
そのため、会社規模が大きくなるほど、より評価が下がる傾向となっていました。
これに対して有識者会議で示されているのが、会社規模の区分も、類似業種比準方式も廃止して、
「簿価純資産+数年分の超過収益」という一つの方式に統一するという考え方です。
つまり、これまでの純資産と類似の折衷(組み合わせ)ではなく、合算で評価する方向への転換となります。
この考え方は、突然出てきたものではありません。
M&Aにおける企業価値評価では、会社の値段を「純資産+のれん(収益力)」で考えることが一般的です。
近年は中小企業でもM&Aが増え、実際の取引価格と相続税評価額との開きが問われるようになったため、今回の見直しは、税務上の評価をM&Aの企業価値評価の考え方に近づける意図があるそうです。
ただし、法人への生命保険提案に関わる皆さんにとって、重要な論点があります。
それは、中小企業の株式が持つ「換金性の低さ」が、どのように考慮されるのかという点です。
上場株は市場でいつでも売却できますが、中小企業の株式は、そもそも買手を見つけることが困難です。
M&Aの実務でも、非上場株式には非流動性ディスカウントを行うことが一般的ですが、現時点の資料では、この点は還元率の設定に委ねられており、明確な結論は出ていません。
ここが十分に考慮されなければ、「売ることも、配当を受け取ることもできない株式」に対して、多額の相続税が課されるケースが増えることになるでしょう。
いずれにしても、収益力の高い会社ほど自社株評価が上がる方向であることは、間違いありません。
この改正によって、相続時にまとまった資金を確保できる生命保険の重要性はさらに高まります。
「改正後の株価はいくらになるのか?」を社長と一緒に確認することが、法人提案の入口になります。
まずは経営者のお客様に、この見直しの動きを情報提供することから始めてみましょう。
M&Aの株価(実勢価格)の考え方については、こちらの動画でもご説明しています。


