保険会社さんの研修テキストには、よく次のような必要保障額の計算式が出ています。
必要保障額 = ①負債の返済額 × 1.5倍(法人税を考慮) + ②事業継続のための資金
しかし、実際の提案場面では、まず、①の負債の返済額で悩みます。
その理由は、計算どおりに全ての負債をカバーしようとすると、とてつもなく保険料が高額になってしまうからです。
多くの場合、優先順位が低い負債をカットし、重要な箇所に提案を絞る必要が出るでしょう。
このような場面で、まず減額の検討の対象になるのが、取引上で生じる買掛金などの「仕入債務」です。
原材料や商品を仕入れた後、代金を支払っていない状況のままで決算を迎えると、
「買掛金」や「支払手形」などの仕入債務が、貸借対照表の負債の部に計上されます。
しかし、負債に「買掛金」がある場合、反対の資産には「売掛金」が計上されていることが大半です。
買掛金は支払う義務のあるお金ですが、一方で、売掛金は近々受け取れるお金ですから、負債だけを根拠として必要保障額の提案をしても、説得力に欠けます。
このような場合には、下記のとおり流動比率を計算してみましょう。
流動比率 = 流動資産 / 流動負債 × 100
流動比率は、貸借対照表の流動資産を流動負債で割ったもので、会社の支払い能力を見る指標です。
会社は様々な資産を持っていますが、その資産のなかで最も流動性が高いのが、現金です。
また、売掛金も近い将来回収して現金化するので、流動性が高いといえます。
一般的に流動比率が200%を超えると健全と言われていますので、これを超える場合、
買掛金など仕入債務に対する保障は、提案から外してよいでしょう。
このように、皆さんが決算書を確認する際には、負債だけをみるのではなく資産と負債の両方のバランスを確認することが大切です。
今回は一例をご紹介しましたが、その他の決算書の確認方法は、こちらの動画をご覧ください。