若手の保険セールスの方にはあまり馴染みがないかもしれませんが、生命保険業界には、昭和の時代から「保険料贈与プラン」とよばれる古典的な提案手法があります。
親から子に基礎控除の110万円以内、またはそれ以上で贈与を行い、10年~20年払込みの終身保険を[契約者:子 被保険者:親 受取人:子]でご契約いただくのが一般的です。
この10年ほど、予定利率の低下により保険料贈与の提案を目にする機会が減っていましたが、最近の金利上昇、特にドル建て終身保険の活用は、あらためて有効な対策になると感じています。
コンサルの立場で、保険料贈与のメリットとしてお客様にお伝えしてきたのが次の3点です。
① 保険金受取時に相続税の対象にならない(一時所得)
② 増えて戻ってくる(贈与税分をカバーする)
③ 浪費を防ぐ(使わせない)
このうち①番は、相続税率の高いお客様に特に有効です。
相続財産にはならず、相続人が一時所得として低い税率で納税資金を受け取れることがメリットです。
また②の「増えて戻ってくる」は、生命保険では当然の効果ですが、高額の贈与を実行いただく際に有効です。
例えば、400万円を贈与すると贈与税は33.5万円、税率は8.4%となります。
相続税と比べ有利であっても、お客様は「身内でお金が動くだけで33万円も税金がかかるのか…」となり、贈与がすすまない場面を多く目にしています。
これに対し、贈与資金を終身保険にして頂くことで、相続時には、贈与税分をカバーしてさらに増えて戻ってくるケースが多くなります。(当然、贈与額、年齢、性別によります)
さらに、ドル建てであれば増える効果が増し、より大きめの贈与を実行いただきやすくなると考えています。
そして③は、贈与するお客様の不安、例えば「子の教育によくないのでは」「無駄遣いするのでは」といった不安を払拭いただくのに有効です。
生命保険にしておけば、気軽に使うことはできず、納税資金として貯めておくことができます。
[持ち戻しにどう対応するか]
令和6年1月から、暦年贈与では、相続開始前7年以内の贈与財産が持ち戻されることになりました。
相続時精算課税も選択肢となりますが、人の寿命は分からないだけに、個別のアドバイスが必要です。
この選択の考え方は、
動画「暦年贈与と精算課税の比較検討」をぜひご視聴下さい。
また、持ち戻しの対策として、相続人ではない孫への贈与も選択肢となります。
[契約者:孫 被保険者:子 受取人:孫]という契約にすれば、次世代の相続税の納税資金準備となります。
後継者が決まっている経営者のお客様や、不動産オーナーのお客様には、有効な対策となるでしょう。

