【最終回】ジークンドー第７弾　JKD/KALIを深堀する。

こんにちは、お盆いかがお過ごしでしょうか。

元会員番号３番小橋健一郎だから知っているTSD KALIの歴史！

第７弾！最終回

日本にジークンドーというカタカナ表記とJKDというローマ字表記が初めて掲載されたのが格闘技通信でした。

（※私の記憶資料によると。）

そして私の師匠であるリズボク創始者TUこと内野隆司が
日本で初めてジークンドーのジムを1991年に大阪駅前第3ビルにオープンさせたのでした。

そのTUがTSD Kaliをオープンする前の時代に格闘技通信という雑誌に掲載していた記事をそのまま引用しました。

今回は、格闘技通信に掲載されたジークンドーを深堀する新規格の第７弾最終回をお届けいたします。

過去の記事は以下よりご覧になれます。

★ジークンドーとは？！第１弾はこちら

★ジークンドーとは？！第２弾はこちら

★ジークンドーとは？！第３弾はこちら

★ジークンドーとは？！第４弾はこちら

★ジークンドーとは？！第５弾はこちら

★ジークンドーとは？！第６弾はこちら

TSD KALI リズボク創始者TUが実技・解説しております。

今回はジュンファンの技術解説で渡辺氏も登場しています。

昭和63年 1988年９月号の格闘技通信 NO.22です。

■実技・解説リック・フェイ(ミネソタ・カリ・グループ) 渡辺一弘(東京JKD/Kali) 内野隆司(大阪JKD/Kali)

革命児―ジークンド－

■シリーズ⑦ 最終編

意識を拡大し真理を見出すための瞑想

これまで、技術・スピード・タイミング・アトリビュートなどを、さらに高度なレベルに上げるためにより科学的でムダのないトレ－ニングシステムを、JKD/Kaliの観点に基づいて紹介してきた。これらはJKDの活動的側面であるといえる。しかし、いくらこの活動的側面だけに集中し、努力しても、真の意味での自己の可能性に気づくことはできない。前号でも言ったように、脳の活性化をともなった活動が、自分が今までにつくりあげてきた"拘束"という鎖から解放される近道になる。型にはまった、狭い現実に定義された中での技(初心者のための練習方法としてはもちろん必要だが)だけに満足して、そこにとどまろうとすると、その技に拘束されてしまい、自己の可能性をそこで断ち切ってしまうことになる。それでは、活性化された脳を使い、拘束から解放された活動をするにはどうしたらいいのだろうか。

JKD/kaliでは、活動の内容は“息の質によって決められると考えている。最終回の今回は、活動の質を決定する休息について、またこの休息の方法が武道だけではなく、ストレスの高い現代社会にいかに応用できるかについて書いてみたい。

休息の重要性

疲れを感じさせない若い行動派のスポーツマンや武道家の方々に、

一見練習とは全く無関係にみえる休息の重要性と必然性を強調しても、あまりピンとこないことと思う。何でもかんでも根性・根性で、肉体的・精神的極限まで追いやって、常に気を張っていることが修行につながると考えているところがあるのではなかろうか。日本の会社を例にとってみても、残業に追いまくられ休む暇もなく、次の日も満員電車にもみくちゃにされながら、また残業というように、日本ではこれが美徳とされてきたようだ。武道の世界でもこれと同様のことが言えると思う。

人間には休息が必要である。ごく当たり前のことだが、休息が欠けると疲れと共にストレスがたまり、注意力・忍耐力・思考力・ヤル気などが減少し、この時点での努力や根性は逆効果になってしまう。結局、疲れやストレスがたまっている状態でどんなに素晴らしい練習方法や優れた先生のアドバイスを受けても、注意力・忍耐力に欠けるため、身につかなくなるのが現実である。

ブルース・リーの動き・考え・人間そのものに目を見張るものがあるのは、彼は休息と活動のバランスの重要性を認識し、彼なりに最高の休息法を見つけていたからである。もっとわかりやすくいうと、さらに活動の質が変わると技自身の質も変わってくるのである。植物の根を休息にたとえると、根が長く深く、また広く横に広がっているほど、エネルギーの源となる樹液を得ることができる。休息が深ければ深いほど、より一層エネルギーがわく。ブルースは、根を地中に深くおろし、あらゆる可能性の源である樹液を、普通の人以上に深いレベルからくみ上げていたのである。

優れた休息法

疲れやストレスの少ない人ほど、心にゆとりができ、人に対しての思いやりができ、感受性もさらに豊かになる。実際、物事を見たり感じたりするのは本人であり、質の高い休息をとっている人ほど、何をしていてもその本質を見極めることができる。ブルースはそれができたために、武術のみならずあらゆる分野(映画製作・俳優・ダンス音楽等)で活躍でき、さらにそれらを武道にも応用できる心の余裕を持ち備えることができたのだ。休息の方法といっても睡眠、音楽鑑賞テレビ、何もしないでボーッと過ごすなどいろいろあるが、どういう方法を使えば最も深い休息を得ることができるのだろうか。 JKD/Kaliグループでは瞑想を薦めている。

瞑想を行えば、深い休息をとることができ、意識を最も純粋なレベルまでもっていくことができる。これは仏教で俗に言われる「無」の状態のことである。この「無」の状態こそが人間の原点であり、そこから全ての行動が生まれてくる。この状態の時は、脳が最も活性化されている。どの分野でも、その道の達人といわれる人は、必ずその原点を見極めている。実社会のビジネスの世界においても、それは例外ではない。

JKD/Kaliの究極目的は意識の拡大にあり、その拡大された意識により真理を見出すことである。我々が常日頃から修行しているブルースのJKDという武術は、あくまでも手段であって目的ではない。この手段の過程において、JKD/Kaliという武術を通し、自己を確立しようとしているのである。

もちろんこの純粋意識(無の状態)の重要性を把握しているのなら、JKD/Kaliだけが手段として選ばれなければならないということはない。この点においては、JKD/Kaliであろうと、他流派であろうと、バレーボールであろうと、すべて平等の立場に立っている。もし、いろいろな手段が真理を得るための平等な立場に立っているということを真に理解すれば、自分がやっていることが一番優れているのだとか、正しいのだとかいう、他を否定する考えは、意識が拘束されてしまうため結局、自滅してしまうということがわかるだろう。それ故、流派の良し悪しを決めるために強さの比などをしても、全く無意味だということがわかっていただけたかと思う。我々は、我々の意志で、 JKD/Kali を手段として選んだのだ。

瞑想を一つの手段として、休息の大切さはこれでわかっていただけたかと思う。しかしながら、一日中休息しているというのも、これまた逆に疲れを増し、かえってストレスがたまってしまう。最も大切なことは、休息と活動のバランスがとれていることである。この二つがバランスのとれた状態にあれば、道場での練習は、今までになく効果的で有意義であり、素晴らしい充実感を与えるだろう。

瞑想は、このように柔軟で余裕のある心を養うのにとても効果的である。なぜなら、人間の進化の最大の障害物であるストレスや疲労を取り除いてくれるからである。

技術解説の方も、いよいよ最後となってしまったが、これまでの6回で代表的な技術はだいたい紹介できたと思う。

前回はコンセプトにそった動きを紹介したが、これは初回でも扱ったものである。このコンセプトにそった動き(流れ)が自然に表現できるようになったとき、JKDの本質が見えてくるのである。そのためには、これまで紹介してきたトレーニング法を積み重ねていかねばならないのはもちろんのことである。むろん高度な技術もあり、そう簡単には修得できないだろう。だが夢中になって、そして根気よく続けていけば、必ず自分のものにできるのだ。しかし一度身につけてしまえば､すべての物事(流派)に対応でき、必ず人生(実戦)に役立つであろうことは保証しよう。

さて、最終回である。今一度、エンプティハンドとカリのスティックファイトを紹介することでこの稿を終えよう｡

ジュン・ファンの動き

まずリードジャブ (ジュン・ファン・ウエスタンボクシング)に我(左)は先制攻撃をしかける。すると相手はリードハンドでパリして防御する(写真①)。

我はすかさず相手の防御した手をパックサオにて下方に招き、同時にグワッチョイ(裏拳打ち)を顔面にたたき込む。技法はジュン・ファン・ウィンチュンである (②)。

もし相手がこれを防いだのなら、相手の意識は上方にある。そこで我は相手の大腿部にニースラストをぶち当て、大腿筋を破壊しバランスをくずさせる。このとき相手の意識は下方へ移動している (③)。

そしてフォワード・エナジーにのり相手の手をつかみ引き寄せながら、エルボーストライク(ヒジ打ち) を顔面へもっていく (④)。

③での技法はフィリピノ･カリやインドネシアンペンチャック・シラットで多用されるもの。④でのエルボーはカリでもシラットでもムエタイでもかまわない。しかしこの写真では､相手の腕を引きながら打ち込むことで相乗効果をあげている。これはジュン･ファンの技法である。ジュン・ファンは詠春拳を母体としているため、フォワード・エナジーにのっとった直線動作が多い。一度相手にエンタリングしたら、超スピードの攻撃で相手を地にはわす。攻撃の最中に相手のエナジーを感じていることは、むろん当たり前である。

カリのスティックファイト

互いにガーディング・ポジションNo. 1 にて構える(写真①)。

相手 (右)がNo.1のアングルで攻撃してくるのに対し、我は体さばきと同時にインサイドスウィープで防御する (②)。

このとき、我のスティックは相手の手をストライクしていることに注意。実戦ではだいたここで勝負がついてしまう。練習では危険防止のため、スティックをストライクし、同時にチェックという二段防御法をとることになっている。防御したスティックは流れのまま相手の脇腹への攻撃に移っていく。と同時に相手の足を踏み、後退できぬようにする。左手はアガオ (スティックを取り去る技)の中の、カウンター・クロックワイズ・スネイクという技法を使い、相手の右手を不動にするかスティックを取り去る

(③④)。不動にした我の左手で引き続き相手の右手首を握り、スティックで後頭部を攻撃する (⑤)。

流れのままスティックをのど元へ差し込み圧迫する。そしてテコの原理を利用して後方へ倒していく (⑥⑦)。

ここで出てきた、相手を不動にする技を“クン”と呼んでいる。

今回のこれら一連の流れもごく自然に行われていることを理解されたい。決してその場その場で考えることはしないのである。

山奥の小さな泉が大海にたえず注ぎ込まれるがごとく、状況に応じ自然に変化し無限の可能性を自らのものとするこれが我々JKD修行者が目指す道理であり、未来へ語りつぐ真理である。

7回に渡ってJKDの技法を紹介してきたが、動かない写真であるから、なかなか理解しがたかったかと思う。やはり実際の指導を受けていただくのが一番だと断言できる。機会があれば指導を受けるなり、ビデオなどで研究していただきたい次第である。

以上格闘機通信Ｎｏ．２2より引用

JKD /KALIの総合デモンストレーション

演武：リック・フェイ、内野隆司、グレック・ネルソン

※金沢で同好会で活動していた頃、このビデオのデモンストレーションを覚えて、ジークンドーとはこんなこと練習しますと、見学にきた人や、いろんな場所で見せました（笑）言葉で伝えるより見せるのが早いと思ってやってました。

完結編は

いかがでしたでしょうか。

今１〜７を読み返してみると

私自身気づくことが多く、今のリズボク・TU KALIにすべて繋がっていることを実感しております。

このシリーズは、一旦完結しましたが、これからは、まだまだある格闘技通信の今となっては貴重な資料をアップしていきたいと思います。

お楽しみに！

★ジークンドーとは？！第１弾はこちら

★ジークンドーとは？！第２弾はこちら

★ジークンドーとは？！第３弾はこちら

★ジークンドーとは？！第４弾はこちら

★ジークンドーとは？！第５弾はこちら

★ジークンドーとは？！第６弾はこちら

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