元会員No.3創世記メンバー小橋健一郎です。 1988年の「格闘技通信」という雑誌に連載されたジークンドーの7回にわたる記事の6回目について、非常に核心にだとおもう内容だったのでもう一度投稿させていただきます。
【ブルース・リーの伝えたかった真理】
JKDの真の目的、究極の目的とは、まず第一に何が自分にとって必要なのかを、この世の中のすべての事柄の中から探し出すこと。
そして第二に、それらを利用しいかに自分というものを向上させるかである。 つまりゴールそのものではなく、ゴールへ行きつくための方法や過程一それがJKDである。 科学的で合理的な練習体系の数々は、まさにそのためにある。 JKDは決して他者を批判しない。なぜなら他者には他者の真理 があるからだ。 個人個人がそれぞれに最良と思 われる方法=真理を選出し、自分の身につけていけばよいのだ。 練習する過程では、どの武術のどのドリルが一番か、どちらが強いのかなどという低レベルの比較は避けるべきである。 JKDの練習者は、互いにテクニックはもちろん肉体的にも精神的にも向上するよう努めなければならない。 練習者同士の脳と肉体がかみ合うことによって、互いの長所や短所が発見され、そして発展していくのだから。 練習者は誰でも一通りは同じドリルをこなしていく。だが全員が同じスタイルになってはならない。 なぜなら、人間はひとりひとりが 違った肉体と気質とを備えているからだ。したがって、どの武術からどの要素を何抽出し、わがものにするか、これはその個人のまったくの自由である。 我々が最も困るのは、ブルースのものまねばかりする人間だ。しかし、これはJKDの正しい姿が、これまできちんと紹介されてこなかったことにもよる。 確かにこれまでの情報は偏った ものがほとんどだった。 ひどいものになると、JKDはブルースの死とともに消滅したなどと書いてみたり、あるいはイノサント師の行っているものを「あれはイノサント拳法であり、JKDではない」などと師父を愚弄する者まで出る始末である。 はっきりさせておこう。イノサント師父は、ブルースが伝えたJKDの最高の理解者であり、それさらに発展させた功労者なのである。 JKDとは単なる名前にすぎない。その名の示すものを理解でき なければ、練習者の前には単なる技術の羅列があるにすぎない。 コンセプトの理解が、すなわちブルースの伝えたかった意志を理解することである。 ブルースの動きをまねたところで、それはあなたのJKDにはあらず。インストラクターに指導を受けながらなお発展もせず自己発見もないもの これもまたJKDにあらず。 さあ、わかっていただけただろうか? JKDとは真理であり、形のないものなのだ。そして発見し発展させるのはあなたである。 さてJKDの何たるかが理解できた読者諸君の中には、ではブルース自身のJKDはどんなものだったのだろうと思った方も少なくないだろう。ブルースのJKDは「ジュン・ ファン」と呼ばれ、実はわれわれ修行者にとっての必修課目になっているのである。 そしてまた、ジュン・ファンこそがJKDという真理に達するための、ブルースが残した道しるべなのだ。 ではこのジュン・ファンとは、どういった体系なのだろうか。 まずテクニックだが、これは3つのパートに分かれている。 ① パンチングとキッキング ②投げ、関節極めや締めなどのグラップリング ③ ウェポン、つまり武器術 パンチングとキッキングは、ジ ユン・ファン・ウィンチャン、ジ ユン・ファン・ウェスタンボクシ ング、25派の南北中国武術、ムエタイ、サバットそしてブルースの オリジナルを含むジュン・ファン・ キックボクシングから構成されている。 ジュン・ファンという名が各格闘技の前に付いているが、これは各格闘技をブルース流にアレンジしたものと解してよい。 グラップリングは、日本の柔術、中国の擒拿、そして西洋のレスリングで構成されている。ウェポンでは、やはり第一にフィリピノ・カリが来る。 映画の中でもカリのウェポンを使用しているし、何と言ってもブルースのあの素早い動きはナイフ・スパーリ ングのたまものなのだ。 ウェポンを構成するものとしては、他に琉球古武道、居合道そしてフェンシングなどがあげられる。 これらはフォワード・エナジーを含んだ攻撃動作をするが、それは6つのパターンに分けることが できる。 ① ABC — Attack By Combination(連撃攻撃 / アタック・バイ・コンビネーション) ② ABD — Attack By Drawing(誘い攻撃 / アタック・バイ・ドローイング) ③ SAA — Single Angular Attack(単純角度攻撃 / シングル・アングル・アタック) ④ SDA — Single Direct Attack(単純直接攻撃 / シングル・ダイレクト・アタック) ⑤ HIA — Hand Immobilization Attack(手封じ攻撃 / ハンド・イモビライゼーション・アタック) ⑥ PIA — Progressive Indirect Attack(段階的間接攻撃 / プログレッシブ・インダイレクト・アタック) これらは単独でも使えるが、ふつうは状況に応じ複合して使うことが多い。 そしてブルースが最も得意としたものに、ジー・テクニックを使用したインターセプティングがある。 しかしこれは極めて困難な動作であり、誰もができるわけではない。 さて、このジュン・ファンにおける進歩過程(ジュン・ファン・ プログレッション)はどんなものだろうか。まず第一段階として、物事(武術)における核心、中軸となるものに忠実に行動する時期がある。 つまり、不満や反感を抱かず素直にすべてを吸収しようと努めるのである。第二段階として、その核心や中軸から解放される。つまり吸収したものを捨て去るのである。そして第三段階として、初心にもどり、新たに独創的なものを造り上げ、自由となる。この段階で 第一段階をふり返ってみると、また新たな良さが発見できることもある。以上がジュン・ファン・プログレッションである。これはJKDコンセプト同様、修行者にとって極めて重要な道しるべと言えるだろう。 ジークンドー深堀第6弾はこちら
