…いつの日の事だったか。対戦相手がどこだったかもよく覚えていない。
ポカポカと気持ちの良い天気の午後。
俺たちのホームグリスタでの試合。
いつもの席に座り、いつものように祈るような思いでピッチの選手たちを見つめていた。
ボールを蹴る音が聞こえる。
選手達の叫ぶ声が聞こえる。
対戦相手のチャントが聞こえ、聞き慣れた俺たちのチャントもよく聞こえていた。
ピッチの選手たちはただひたすらに、そして必死にボールを追いかけ、走っていた。
ふと気づくとすぐそばに・・・幼稚園生くらいだろうか。
黄色いシャツを着た少年が立ち、精いっぱいの声で「がんばれー」「いけー」と叫んでいた。
一瞬微笑ましいとさえ思ったけど、それがその少年にとっての精一杯の応援なんだと気づいた時にその熱い思いに感動さえ覚えた。
少年は自分自身の誠心誠意を持って「ゴールを決めて欲しい!」「勝って欲しい!」という思いを体全体を使って表現していたんだ。
そう。
応援する熱い思いはみんな一緒。
その方法やカタチこそ違えど、思いはみんな一緒なんだ。
誰が一番とかじゃない。
サポーターに上も下もない。
全員がそれぞれ熱い思いを持って応援している。
この少年も含めて全員が仲間なんだ。
…少年は栃木SCのチャントに合わせて手をたたき、少年なりの精いっぱいの思いをピッチに送っていた。
その一生懸命な姿に、頼もしいとさえ思った。
こんなに頼もしい仲間がいるんだって。
当たり前のようにあった週末がなくなり、いつしかサッカーのない週末に慣れてきたけど、だからこそあの日々が輝いて見える。
あの名も知らぬ少年も今頃寂しい思いをしているのかな。
いつかまた一緒に応援したいな。
いつかまた、君と一緒にあんな風に声援送れる日が来るといいね。
グリスタですこし大人になった君に会いたい。