井戸端カイゴ2016、第34回目の終了報告!【2016年4月開催】 | 井戸端カイゴ ~介護職のための情報交換と交流会~

井戸端カイゴ ~介護職のための情報交換と交流会~

名古屋やその近郊で介護職としてがんばっている方たちが集まり、少人数で、「介護についてホンネで、真面目に、でも肩の力を抜いて語り合う」会です。

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2016年4月(第34回)以降の開催報告の詳細は、下記へ移転しました!


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皆さん、こんにちは~。お元気でしょうか。

お仕事は、いかがでしょうか。


さて、去る4月15日(金)の午後、


井戸端カイゴ ~介護職のための情報交換と交流会~


の、第34回目を開催しましたので、その報告です!



今回は上前津の「名古屋中生涯学習センター」で。


人数は後藤含めて7名でした。ほど良い(?)人数ですね。



人が多すぎないから一体感がありつつ、それでいて人が少なすぎることもないから必ず他の誰かが喋ってくれている。


だから、話の内容をじっくり考える余裕もあり、発言もしやすい、という絶妙なバランス。



いいですね、「7名」。


また、初参加者が1名(Frさん)と、久々にご参加のFkさんやSさん、それに常連メンバーもバランス良くいらっしゃり、いつにも増してとっても盛り上がりました。


会が終わったあとも、女性陣は会場の入り口のところで盛り上がってましたね~。

では、今月も頑張って、一所懸命書きますよ!

もしよければ読んでくださいね。




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さて、まずはいつもの通り参加者の紹介から!

※男性は○○「氏」、女性は□□「さん」と表記しています。


・Frさん:初参加です。昨年12月まで介護付き有料老人ホームに勤務されていました。

6年超勤務して退職されたそうです。在籍中、介護福祉士の取得後は「副主任」として新人の指導等にも活躍されていたようです。


上司や会社からの強いプレッシャーを受けながら、一所懸命やってもなかなか報われない日々。

夜遅くまでの勤務も重なり徐々にストレスがたまり家庭環境にまで悪影響を及ぼすようになったため退職されたそうです。

現在、後藤が転職を支援中ですが、少し苦戦中です。



・Kさん:介護の仕事は10年弱の経験者。住宅型有料老人ホームに在籍されています。

この会には発足当時から関わって頂いています。


KさんもFrさんと同じく、職場では現場だけでなく「管理」にも関わってこられた方です。


社内が大きく混乱する中、施設長や管理者などが次々退職し、信頼する仲間もひとり、またひとりと辞めていく。


そんな中、最後までわずかな望みを抱き残留されていましたが、いよいよ転職を決意されたため、現在後藤が転職を支援中です。



・Yさん:何度か参加頂いています。後藤が転職支援をさせて頂き、2月に某民間法人(グループホーム)から某医療法人への転職を果たされました。回復期病棟の介護職員として勤務されています。


3歳のお子さんがいらっしゃる正に子育て世代。ご主人の協力も得ながら、早番を中心に「非常勤」での勤務をされています。



・S氏:とても久々のご参加です。2年前に後藤の仲介で某社会福祉法人に入職しユニット型特養に勤務されています。

介護の仕事は計約5年の経験だそう。現職は訳あってのパート勤務。


去年の8月から、「いじられキャラ」で行こうと決め、最近はキャラとして確立してきたとおっしゃっていました。素晴らしいです。


また今年、社会福祉士の試験にも合格し、今後は相談職にも挑戦していきたいとのことです。さらにケアマネ取得も狙っているようです。



・A氏:いつもご参加頂いています。某社会福祉法人に在籍され、ケアハウスに勤務し約2年が経過しました。3年前までは全く違う業界で経理職。介護の仕事は3年くらいの経験です。


今年、晴れて介護福祉士に合格!昨年の雪辱を果たされました。

この勢いでケアマネもチャレンジされるようですね。ぜひ頑張って欲しいです。


現在、新卒男性職員の新人教育を担当しているようです。

電話の受け方や利用者との会話の仕方など、まさに基本の「キ」から指導しているようで、こどもを送りだす親の気持ちだとおっしゃっていました。



・Fkさん:久々の参加です。いつもこの会のために希望休を取ってくれているのですが、会当日に限ってご利用者が急変されたりして、なかなか参加頂けずだったのです。


今回も非常に多忙な中、「どうしても参加したかった」と言って、会の開始時刻から2時間以上くらい遅れてまで駆けつけてくれました。


ユニット特養のケアマネで40名を担当しつつ、受診送迎から夜勤までやっておられるようです。

12日連続勤務あり、8時から22時半過ぎまでの長時間勤務あり、ですが、強烈なモティベーションで仕事をこなしておられます。

井戸端カイゴの歴代参加者の中でも存在感を放つ方の一人と言えるでしょう。



以上の6名に、後藤を交えた7人でスタートしました・・・。



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■今回出た主な話題は、こんな感じでした↓


①【当初はとても良い職場だったが、徐々に悪化していく、そのつらさ…】


『当初はチームワークの良い職場だったのですが、経験のあるスタッフが立て続けに辞め、経験の浅いスタッフばかりになってしまったことで、ご利用者の体や心の変化を十分に察知できなくなっていきました。その結果、引きこもってしまった利用者さんもいらっしゃいます。

そんな状態でもスタッフが協力して心を配り、声掛けすれば引きこもりも解消されると思うのですが、それができない。

職場の雰囲気が良かったときは、私がそういう提案をすると、「そうですよね、やりましょう!」って後押ししてくれるスタッフが何人もいたのですが、今は、提案しても「あーめんどくさい。」とか言われる始末。このような雰囲気の職場を、みなさんはどうやって乗り越えてきていますか?』



<参加者の意見>


・「雰囲気を変えるのは、一人の力では無理だと思います。私の職場も同じでした。

以前はみんな協力的だった。自分の仕事だけでなく、『何か手伝いましょうか?』ってみんなで普通に言い合える職場だった。でも、人事異動で上司が変わってから、職場の雰囲気が悪化していった。

新しい上司は、スタッフひとりひとりの責任を追及するタイプ。スタッフを叱りつける。

すると、以前はあんなに協力的だったスタッフたちも、『自分が怒られないように』という姿勢に変わり、協力し合うことがなくなっていった。

そして、以前の仲間が1人辞め、2人辞め・・・。


その代わりに新しく入職してくるスタッフは皆、その上司が好むタイプばかりで、『もっと合理的にやりましょう』という考えのスタッフが多かった。


たとえば、一人の利用者が2時間も部屋にこもっているから、『見てきてもらえる?』と頼んでも、私に返事もしてくれないとか。

以前の施設の雰囲気なら、スタッフの方から『気になるところがあったら見てきますよ』と言ってくれていたのに・・・。


スタッフが動いてくれないから自分が動くしかない。そうすると、上司から『何ひとりでバタバタしてるの!』と怒られる。

そうこうしているうちに、とうとう自分も「怒られないように」という仕事のしかたになってしまっていた。



・「職場の”良かったときの状態”を知っているだけに、その変化がツラいですよね。」


・「自分の良かったイメージに近づけようとすることが、施設の方針と相反するようになってくる。『ああ、自分が壁に、ネックになっているんだ』と。」


・「ご利用者は良く見ていますよね。『最近なんか雰囲気良くないわよ。なんとなく変じゃない?』って言われる。」


・「同僚とか後輩が、『ご利用者のために●●がやりたい』なんて言ってくれると、すごく元気になれる。『この子がそういうなら、やってやりたい』と。



【後藤の個人的な意見】


『法人のトップが現場と心が離れてしまうと、もうダメですね。特に入所施設の場合には。

トップが、「チームワーク」というものの価値を過少評価してしまうとダメだと思う。


例えば、とても良いチームワークの職場があるとします。

施設長のリーダーシップの元、利用者に寄り添ったケアを、チームとしてしっかり提供できている、そんな職場です。


でも、より良いケアをしようと思うと、どうしてもコスト(人件費)がかさみ非効率的になりますから、法人トップや本部層は気が気ではなくなります。


当然、トップは「より効率良く」と考えるから、「もっとコストを抑えろ!空床を埋めろ!利益を出せ!」となるわけです。


でも、現場を把握した上で具体的な指示を出すならともかく、号令を発するだけですから、現場はどうすれば良いか分からなくなります。

責任のなすりつけ合いが起こる。チームとして機能しなくなる。


すると、有能なスタッフから順番に辞めていく・・・。


だいたいこのあたりから、坂道を転げ落ちていきます。


法人トップは、現場のトップ(=施設長)を替えます。

たいがい、より効率を追及するタイプが多いです。現場の気持ちをあまり重視しないタイプ。


すると法人トップの思惑とは真逆に、さらに現場と法人トップとの距離が離れていきます。

で、次から次へとスタッフが辞めていきます。


すると、次から次へ採用せざるを得ません。


その結果・・・


・・・経験もなく考え方もバラバラのスタッフ達が、リーダーシップを全く発揮できない施設長の元で働くという、世にも恐ろしい状況になります。


この頃になりますと、利用者さんやその家族、ケアマネもその変化に気づき、徐々に離れていきます。



でも、でも、そんな世にも恐ろしい職場の状態であっても、実は、まだ火は消えきっていないのです。種火は残っているのです。


中堅の、心あるスタッフが残っているのですね、その中に。わずかですが。

現場で必死に、「このままではまずい、変えなきゃ」ともがいているのです。


だから、本当にトップが心から気づき、振り返り、改善を図ろうとすれば、実はまだまだ間に合うのです。


でも、トップはそれに全然気づいていませんし、気づきません。


トップの考え方・認識がシフトしない限り、絶対に施設は変わりません。良くはなりません。


本当に、もったいないですし、残念です。



私、介護士さんの転職サポートをしていていつも思うことがあります。


「こんなにもスキルがあり、経験もあって、ご利用者のことも、会社のことも、職場のこともバランス良く考えられる、どう見ても”大事にしなくてはいけない”介護士さんを、どうしてないがしろにするのだろうか?」と。


本当に、信じられません。


私は、そんな法人や施設で苦しみ悩んでいる介護士さんを一人でも救いたいと思っています。ですから、転職サポートやこのような会を続けているのです。』



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②【「介護の仕事」と「家庭(子育て)」の両立】


『ハートネットTV、見ました。子供が熱を出せば主任が代わりに現場に入る施設や柔軟なパート制度の導入で離職率が下がった、という施設も紹介されていましたね。

その中で、あるパート職員と施設長が会話をしていたのですが、とても温かい雰囲気が感られました。

現場トップが、スタッフ一人一人の生活環境をも把握し、「フォローするよ、サポートするよ」って気持ちが伝わってきて。会社として最大限の努力をしてくれているな~。と感じました。



<参加者の意見>


・「今の職場の先輩職員さんは、みな独身の頃から早番・遅番・夜勤で働いてきて、結婚・出産して産休・育休を経て復帰されている方ばかりなんです。私のように、子育て真っ最中で入職するのはかなり少数派。」


・「現在の職場では?お子さん(3歳)が熱を出したときとかは?」


・「対応してもらえています。ただし、同じシフトの方が2人いれば休めますが、1人だと休めません。また、現場の雰囲気も、『こどものことだから行っておいでよ!大丈夫だから!』って言ってくれる環境ですし。

ただ、条件的には枠があるので、非常勤に甘んじるしかない。」


・(後藤)「今いらっしゃる皆さんは、お子さんが小さかったころはどんな働き方でしたか?」


・「私の場合、こどもが3歳くらいのときは、15時くらいまでのパートでした。」


・「あ~やっぱり15時までですか。」


・「私は、デイからグループホーム(GH)へというように少しづつ勤務時間を長くするように職場を替わっていきました。

だから、新卒から同じ法人でず~っと働いている方を見ると、『なんか背中が違うな~』という感じがする。」


・「私の職場は、育休の後、育児短時間勤務を経て復帰される方が多い。短時間勤務は小学生に上がるまでです。

ですから小学生になったら一旦パートに変わり、そのあとまた正職員に復職する、という感じですね。」


・「私の職場では、昨年特養の相談員が産休・育休に入り、先日復帰されました。保育園に預けて、正職員のままで。

相談員は夜勤がないからそれができますが、特養の現場では早番遅番夜勤ができないといけませんが。」


・「『保育園落ちた・・・』というブログが話題になりましたが、「働く女性」に対する世論ってどうなんですか?

年輩の方とか特に政治家に多いですが、子育てする女性を軽視するような方が多いのですか?苦労されますか?」


・「夫の母は専業主婦です。3歳までは手元で育てるのが当たり前、という考えですし、夫も『働かなくていいよ』という考え。

自分の周囲は、3人くらい子供がいる家庭が普通になってきている気がします。

何となく、『働くことより、こどもがいることの幸せ』を優先する価値観が勝ってきている気がします。」


・「私の娘は、子供が1歳で復帰しました。2人目をあきらめて・・・。私自身は、一番下の子が高校卒業を待って介護の世界に入りました。私の母も”専業主婦”という価値観ですね。二兎を追わず、という。」


・「私は、仕事での充実ぶりを子供に見せるのも大事なことだと考えています。」


・「でも、母子家庭の方ですと、『働きたい』というより『働かざるを得ない』という方もたくさんいらっしゃる。私の場合は実家が遠いので市のサポートを受けている。」


・「私は、子育てを介護の仕事に活かすことができています。プライベートでは子の排せつ、食事、入浴をお世話し、仕事では高齢者のお世話。

子供の世話をしながら、『あ~こうすれば、楽に介助ができるのか!』と、ボディメカニクスについて学んだり(笑)。


発語なども、認知症の方への対応とかバリデーションに活かせますし。3歳児と90歳。年齢は違うけれども同じ人間ですもんね。

利用者さんが『痛い、痛い』と言っているときは、単なる体の痛みだけではなく、その奥に寂しい気持ちがあるとか。


こどもが泣いているとき、心の奥は、『だっこしてほしい』という気持ちだったり。

この前、利用者さんに、あんた「保育士になったらいいよ」って言われました(笑)。」


・「あっ思い出しました。私の尊敬する上司も保育士出身でした(笑)。」


・「私の場合、職場では優しいんです。仕事をなかなか覚えない方にも優しくふるまうことができる。でも家ではそっけなかったんです。だから時々ギスギス。


これではいけない”と思い家でも優しくしてみたら上手くいくようになりました。


職場では、私の話しを聞いてもらいたいから、イライラしないように意識し、やわらかい感じを演じている。

家では、聞いてもらいたいわけではないのでプンプンしていた。でも優しい”演技”をしたらうまくいった(笑)」


・「私は仕事で全力投球してしまい、家に帰ると燃え尽きた灰のようになってしまう。優しく接したいのだが、完全に放電してしまう。」


・「特に母親・妻が、無表情だったり、聞く耳を持たない状態というのが、家庭をイライラ・ギスギスさせますよね」


・「私も、子供が手を離れてからは夫に優しい言葉を掛けるようになった。ホンネじゃないけど(笑)。ほめてほめて上手く使いこなそうと(笑)。」



【後藤の個人的な意見】


『現在の介護業界。人手不足の状況を打破するためには、子育て世代の女性、それから60歳以上の高齢者、そして男性を活用するしかないと考えています。


そのカギはやはりマネジメント。トップの力量次第、ということになる。活用の仕組みをどう整えていくのか。


特に子育て世代の女性の活用は本当に大きなポイントだと思います。』



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③【開設3年目のユニット特養の実態】


『今、新しい施設がどんどん増えている。

「新しい施設なら自分の考える介護ができるのでは?」と考えて新規開設の施設へ移ろうとする人が多いが、それは違うと思う。

ちゃんと介護を覚えたいなら、すでに8年、10年しっかり運営してきている施設で教えてもらって技術を身につけることが大事だと思う。

私の施設もまだ3年目です。3年前に新卒で入職した職員たちの中で、一人でちゃんと移乗できる人が何人いるか?って感じで、シーツ移乗に頼らざるを得ない現状です。」』



<参加者の意見>


・「そういう職員は、『一人では移乗できません』と言ってくるのですか?」


・「『どうやってやるんですか?』って聞きにきますね。要するに、まだ施設3年目だから、開設当初は利用者さんもまだ自分で動けていたんですね。

少しずつ立てなくなってきた人が多くなってきた、ということです。」


・(後藤)「今までは、移乗の場面があまりなかった、ということですか?」


・「そうです。ADLが下がってきたんです。今までならお尻を少し押してあげればよかったものが、いよいよ抱えて移乗する必要が出てきた。


で、それができないからシーツに頼るわけですよ。そういう状態だから、今、機能訓練の先生に移乗の勉強会を毎週やってもらっている。


スライディングボードというものもあるけれど、これは体の大きい利用者さんだと不安です。もともと自分で自分の体を滑らせて移動するためのものだから。」



【後藤の個人的意見】


『新規開設の施設に関して、私も全く同意見ですね。今回の参加者さんのように鍛え上げられたベテランさんならいいですが、経験の浅い方であれば、新規の施設に入職するよりは、まずはしっかりとした運営のできている従来型特養とか老健で技術を身につける方がよいと考えます。


新規開設の施設は、確かに設備は最新ですし、綺麗ですし、人間関係も一からですから「働きやすそう」と感じるかもしれません。


でも、悪く言えば最初は単なる「寄せ集め」です。そこから、時間を掛けて、職員が何回も何回も入れ替わりながら少しづつトップの方針を反映した形に落ち着いていくのです。


その、オープン当初の「ぐっちゃぐちゃで混乱を極める状態」を面白がれる人や、そういう状況こそ積極的に関わりたいと考える方であればお勧めしますが、そうでなければ、ベテランさん以外には新規施設をまずお勧めしません。


私は、「介護の仕事初めて」という方の就職も数多くお世話させて頂いていますが、上手くいくケースは従来型の特養が一番多いですね。しかも10年以上も運営されてきている施設。

特に、”職員をじっくり育てる”という価値観が浸透している法人や施設だとスムーズに育つ可能性が高いです。


私が信頼を置かせて頂いている某従来型特養などは、「育てる」というよりは、「育つのをじっくり見守り、必要なサポートを適宜行う」という感じ。多くのベテランスタッフが脇を固めていますから、未経験の新人さんも、本当に安心して働けます。


新規開設の施設に行こうとしているあなた!良く良く考えて決めないといけませんよ。

もし良ければ相談に乗ります。』




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④【Fさん流施設ケアマネのありかた】


『特養の場合、ケアマネは100対1でいいのです。が、私のいる施設では40対1。1フロア40人の顔は毎日見に行きます。



<参加者の意見>


・(後藤)「へ~。実際に、ケアマネ1人で100人の利用者さんを見ている施設はあるのですか?」


・「知り合いの施設はそうですね。でも担当者会議の予定が組めないそうです。

ちなみに私は、今月7件。多いときで18件、認定調査6件。」


・「毎朝40人の顔を見るのは、どうしてもやらなくてはいけないことではない?」


・「私の気が済まないだけです。片付けしながら、声かけしながら、ですが。」


・「現場は、夜勤で一人で20人見なくてはいけないし、夜中もセンサー鳴りまくるから結構ハードワークなんです。で、朝半分寝ながら食事介助したりしてるから宿直の私が代わってあげたりします。


宿直の翌日は日勤なのですが、夜ずっと起きている利用者さんに付き合って5時まで起きていたり。そういうときは、先輩職員も早く帰らせてくれます。」


・「頼っちゃいますよね、現場は。Fさんみたいなケアマネさんがいると。現場大好きなケアマネさんなんですね(笑)。」


・「とにかく現場を把握したいんです。施設ケアマネはそれができるのが醍醐味だと思っている。

居宅の場合だとご自宅まで足を運ばなくてはならないから、どうしても十分把握しないまま計画を作成することになる。それが、イヤ。私の性には合わない。居宅と施設と両方やってみて、それが分かった。」


・「やはり、『向き・不向き』があるんですね~。」



【後藤の個人的意見】


『Fkさんは、本当に現場大好き、な方ですね。好きというより、ぜんぶ把握しないと「気持ちが悪い」のではないでしょうか。私も分野も違い、やっている仕事は違いますが、その気持ち、なんとなく分かります(笑)。』




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⑤【居宅ケアマネの腕とは?】


『居宅ケアマネの場合、夜にもお宅を見に行ったりするんですか?



<参加者の意見>


・「私の職場の居宅ケアマネは、独居のお宅の生い茂った庭木を剪定したり、病院の受診同行もしている。他の居宅ケアマネ(事務所)より親身だから、いきいき支援センターとかから「ぜひお願いできませんか?」と依頼がきます。」


・「介護保険の範囲をはみ出して、ということですか?」


・「多少ですね。暗黙の了解で、ということですよ。そうせざるを得ない生活保護の方とかはご家族の協力を全く期待できないことも多いですから。

もし独居だとすると、何かあればケアマネが行かざるを得ない。」


・「そこが難しくないですか?少しはみ出すくらい融通きかせないとお客さんが離れていっちゃうだろうし、あまりはみ出すと自分の首を絞めるだろうし。」


・「サービス事業所さんに、『少し余分だけど、これとこれやってもらえませんか?』と頼みに行ったり、『サービス内容の範囲で上手くやれないでしょうか?』って頼みに行ったりしている。」


・「やっぱり、『ケアマネの質』だって言いますもんね。」


・「ケアプラン作って、『ここまではやりますけど、ここからはやりません。』なんて白黒つけてたら、仕事にならない、ということですか?」


・「はい、仕事にならないですね。」



【後藤の個人的意見】


『居宅ケアマネさんも、”融通をきかせる”と言ってもキリがないだろうから、どこかで線引きはしているはずです。


ですが、その線引きが、介護保険法の教科書通りの線ではない、ということだと思うんですね。


各種制度や各サービス事業所の限界、自分自身の限界、利用者さんの性格、家族の協力体制…などを全部把握した上で一定の「線」を引いているのではないでしょうか?


多分、その辺の感覚が優れているのでしょうね。本当にできないことは、「できません」ってハッキリ言うでしょうしね。』



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⑥【職員教育についてのつれづれ】


『施設ケアマネの計画作成について。介護職に「このレベルではやって欲しい」という内容を盛り込むのだが、職員から「できないですよ」と言われる。本当に「できない」と判断したら内容を削る。

ただ、「これ削るんだから、あなたたち頑張ってよ!」なんて駆け引きします



<参加者の意見>


・「本当は、計画に盛り込む必要もないくらい当たり前のことなんだよ、って会議で指摘もします。月に1回だけバシッと言って、あとは言わない。」


・「ヘルパー2級から初任者研修に変わってから、歯磨きの仕方も教わっていないまま入職してくる方ばかり。本当に、できないことだらけですよね。」


・「ケアプランのサービス内容が2枚になってもしかたない。”手順書”みたいなものになるから、どうしても。ちゃんと書いておかないと、目ヤニがつきっぱなしになっていたりしますから。」


・「そうそう、『なぜヒゲをそらなくてはいけないんですか?』って言ってくる。」


・「顔もふかず、髪の毛もとかず・・・。『あなたのお母さんだったら、こんな状態で外出させられるの?』って聞きたくなる。」


・「人間らしい生活をサポートする、というのでなく、『言われたことや指示されたことをやればいいんでしょ?』という感じ。

利用者さんがきれいになったかどうか、ではなく、マニュアルで決まった工程を作業したからいいんでしょ?って。」


・「トイレで着替えさせようとする職員に対し、『普通、部屋で着替えるでしょ。』って指摘すると「本当ですね~。」って言ってくる。」


・「『本当ですね』って言ってくれるならまだいいが、「何がいけないんですか?」とか言ってくると言葉がないです。」


・「職員が、目に余ることをしているときは”ガツン”と言います。」


・「私は、『自分だったらどうなの?』と訴えかける。『自分はどうしてる?お年寄りはいいの?自分はいつもそんなことしてる?お年寄りは”物”じゃないからね。この汚い机の上であなたご飯食べるの?』って。」


・「今週から21歳の新人の若者を指導していますが、靴の揃え方とか、家庭のしつけみたいなことから指導しなくてはいけない。今は両親のしつけっていうものが欠けているのかな?」


・「そう。『いちいち、ひとつひとつ、最初から』っていうのがキーワード。先輩にそう教えられた。」


・(後藤)「経験があろうがなかろうが、ですよね。」


・「そう、経験があろうがなかろうが。『私たちの施設では、こうしています。』というのを一つ一つ伝えていかないといけない。」



【後藤の個人的意見】


『「いちいち、ひとつひとつ、最初から」っていうキーワード、いいですね。私も激しく同感です。

「こんなこと知っているかも」とか、「こんなこと教えたら失礼なのでは」とか、考えなくていいんです。

そんなこと関係なく、最初から教えてやればいいんです。だって、いくら経験があっても、その施設では初めてなのだから。


教える側にはそれだけの誇りが必要です。『私たちの施設では、こうしていますから、こうしてください。』と堂々と伝える必要がある。そして、教えられる側には、そのやり方を素直に受け入れる心構えが必要だと思います。』



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これらの話題以外にも、相談業務への転身についてや、業務をこなしながら利用者さんに傾聴することのバランスの難しさや、マニュアルについての話とか、盛りだくさんでした。


今回も、本当に楽しく、かつ有意義でした。参加して頂いた皆さま、本当にありがとうございました!


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■今回の参加者から寄せられた声です。



・ホーム内でケアについて相談し合える仲間が次々と辞めてしまい、自分の意見を発信することが難しくなってきてしまいました。他の方の話を伺えたらと思い、参加しました。


・周りの理解者を作ることと、自分自身の貫きたい思いを確立していくことを同時進行していきたい、と思いました。私はまだまだ強さが足りない、と思いました。


・ネットで井戸端カイゴの内容を知り、私も他の方々の体験談をお聞きしたかったので、初めて参加しました。

お一人お一人、本当に介護の現場で頑張っておられるのを肌で感じ、「このお仕事で引き続き頑張ってみよう」と思えるようになりました。


・以前の職場で、心身共にやりきってしまった感があり、再び介護の現場でやっていくことができるのかどうか、不安でした。

会で皆さんの話をお聞きして、とても勇気が湧いてきました。また、自分の介護に対する気持ちに間違いはなかった、ということも分かりました。安心しました。


・とても素敵な会に呼んでいただいて、感謝しております。


・最近ずっと参加できなかったですが、久しぶりに、「どうしても行きたい!」と思い、参加しました。やっぱり来れて良かったです。なかなか仕事が忙しいので、申し訳ありません。


・参加して印象に残ったことは、「新人さんに対しては、1からひとつずつお教えすること」、「自分に置き換えたら、どんなやり方をするの?」ということ。ここに集約されていると思う。きちんと指導できる体制があるといいと思います。


・笑いながら話していますが、私の施設内でもいろいろとやれていないことが多くあり、介護職員が大変なのを見ていると、どうにかしてあげたい、と思うのですが・・・


・しばらく参加できていなかったので、情報交換がしたく参加しました。色々と話を聞けてよかったです。


・自分の仕事における将来について、資格をどのように活かしていくか悩んでいました。皆さんの話を聞いて、勤務先へ要望を出していこうと思いました。


・情報交換の場として参加しました。ケアマネの激務についての話が印象に残りました。


・主宰の後藤さんに誘って頂き参加しました。前回もいらっしゃっていた方とお会いできてうれしかったです。温かく後輩指導してくださる方々がいることを知れてよかったです。


・勤務時間が、正社員になれる状態ではないことに悩んでいますが、焦らずに今(子育て中)は、できることをしていこうと思います。


・こうして集まれる機会があること、安心して思うように会話できることは、本当にありがたいです。


・初めての参加でしたのに、皆様の温かい雰囲気に甘えてしまい、ついついお喋りし過ぎてしまいました。反省しております。


・参加された皆さんは、本当に介護職に真摯に向き合っておられますね。もっともっとお話を伺い、お勉強させていただきたいと思いました。

次回からも都合のつく限り、参加させていただきたいと思っております。宜しくお願いいたします。




■編集後記


今回、前半と後半で完全に雰囲気が変わる会でした。


遅れて駆けつけてくれたFkさんが現れてからは、もう独壇場でしたね・・・。

まだお若いのに、既に介護福祉の重鎮のような雰囲気を醸し出すFkさんの、経験に即した話の数々に、参加の皆さんが食いつく様が実に興味深かったです。



さて、最近、「居場所」というキーワードが降りてきました。


それぞれの介護士さんには、それぞれ「本来の居場所」があるはずだと私は考えています。


そのときそのときで変わってくるでしょうし、その「居場所」を見つけるのは簡単ではありません。


変な先入観にとらわれていたり、求人”広告”を鵜呑みにしたり(あくまで”広告”ですから、鵜呑みにせず確認しなければ・・・)、「縁」という言葉で自分をごまかしたり・・・。


先入観を取り除き、客観的に自分と介護業界全体を見ることすら、一人では極めて難しい作業です(正直不可能ですね)。


だから、私は介護士の皆さんをサポートしているわけです。


数ある介護施設をフラットにテーブルに並べ、消去法で消して行き、残ったものだけを自分の目で見て、自分の肌で感じて、比較検討する。


その結果、たった一つの職場にたどりつく。


その職場こそ、今のあなたが本来いるべき「居場所」。



ひとりでも多くの方に、「本来の居場所」を見つけてほしい。


そしてのびのびと、ご自身の力を発揮できる職場で思う存分活躍してほしい。



Fkさんは、本当に水を得た魚のように居場所を得ている感じです。もちろんご苦労やストレスは絶えないでしょうが。


Aさんも、しっかりとご自身の居場所を固めておられます。


Sさんは、人知れず葛藤されたことと思います。でも、資格取得のために割り切り、かつ自分のキャラを大きく振ることで現状を打開しようとされています。


Frさんには、ふさわしいご活躍の場がなかなか現れてきませんが、これからです。サポートし続けます。


Yさんは正に子育て世代。両立は簡単ではないと思いますが、職場の協力も得て、出来る限り両立できる方向で道を探し続けて欲しいです。


Kさんには、安心して力を発揮できる職場との間をつなぐことができそうなところまで来ました。もう少しです。



本来の居場所でない職場で苦しんでいる介護士さんを、

一人でも多く救い出し、

本来の居場所を一緒に探し、寄り添い、決断をサポートする。


大げさに聞こえるかも知れませんが、私が日々やっている仕事は、まさにこれです。


この井戸端カイゴも、そのための一環として、続けているのです。



皆さん、今回も、長~い報告ブログをお読み頂き、本当にありがとうございました。


<後藤>



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★お問合せや参加申し込みは下記まで。

goto●aqua-brain.co.jp (●を@に置き換えて送信してください)

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■次回の開催概要



【日時】平成28年5月20日(金) 13:15~16:30(13:00開場)


【場所】<上前津>名古屋市 中生涯学習センター(第3集会室)


<地下鉄>名城線「上前津」下車、6番出口より南へ約250m

<駐車場>20台(30分以上1回300円)


【参加費】500円


【定員】15名


【主催】TSC事務局(こころLink内) 後藤 剛




★こころLink公式サイト

http://www.kokorolink2.jp/


※ホームページ、イメージチェンジしました。

女性達のリクエストにお応えし、全面パステルカラーです!

是非一度ご覧くださいね~。


※介護職員さんからの転職相談、受付中。