次は、各関節のウェイト設定をしていきます。
ウェイトの設定をする時は関節を動かしながらウェイトの数値を直していくんですが、その作業を続けていくとT字姿勢(初期姿勢)の形がどんどん変わっていきます。
ウェイト設定が終わった後に元のT字姿勢に戻そうと思っても、戻す作業に時間がかかるので結構大変です。
その無駄な時間を短縮する為に、最初にT字姿勢の位置情報を保存しておきます。
そうすると一々関節を動かしてT字姿勢に戻さなくても、一発で元の姿勢に戻すことが出来るようになります。
まずウェイトタグを1クリックします。

すると属性マネージャに”バインドポーズをセット”と”バインドポーズをリセット”というのが出てきます。

今回はT字姿勢を初期姿勢にしたいので、このポーズのままバインドポーズをセットを1クリックします。
すると現在のジョイントの座標が保存されます。
これによって関節をあれこれ動かしても”バインドポーズをセット”を押せば直ぐ保存した初期姿勢に戻ります

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これで準備が出来たのでウェイトの設定をしていきたいと思います。
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今このキャラクターは、関節を正常に曲げれるところもあれば・・・
そうでないところもあります。

写真を見ると右肘を曲げているのに、なぜか右耳も一緒に引っ張られて伸びてしまいます。
これは肘の影響度が耳の方にまで影響しているせいです。
この影響度を直さないといけません。

バインドするとウェイトタグが自動的について、ジョイントからの影響度がポイントメッシュに割り当てられます。

影響度を確認したい時はこのタグをダブルクリックすると、属性マネージャに各ジョイント名が表示されるので、調べたいジョイントをクリックします。
試しに先ほど影響度が変だった右肘(R-elbow)を選択してみます。
右肘の影響度の色は青になっています。

ビューで確認すると選択した右肘の影響度の色が表示されているので、影響されている部分が一目で分かります。
やはり右耳の方にも右肘のウェイトの影響が出ていました。
このせいで肘を曲げた時に右耳も伸びてしまうんです。

右肘の他にも正常な形にならない関節はあちこちにあるので、そういう部分のウェイトを一つ一つ見つけて影響度を直していかないといけません。
この作業は結構地味な作業なので根気が必要です。

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では右耳のウェイトを直していきます。
今、右耳は右肘のウェイトの色のブルーに染まっています。
よく見るとその色が濃いところと薄いところがあります。
濃い色がウェイトの影響度がもっとも高く、薄いところが低くなっています。

ここでその影響度の数値を見るために、マウスのポインタを耳の端にある一番突き出たポイントに重ねてみます。
ウェイトツールにするとマウスポインタが白線の円になるので、その円の中に見たいポイントを重ねると数値が出てきます。
耳の端のポイントに重ねるとbody[3168]100%、R-elbow(78.0%)、head(22.0%)と表示された文字が3つ出てきました。
これがこのポイントのウェイトです。
右肘のウェイトがこの耳のポイントに78%も影響しているということが分かりました。
また頭のウェイトも22%影響しているようです。
(※頭のウェイトは後で直すので、今回はそのままにしておきます。)

ちなみに他のポイントも見てみましょう。
今調べたポイントの直ぐ後ろのポイントにマウスのポインタを近づけてみると、数値が56.8%になりました。

そしてその後ろにある色のまったくないポイントを調べると”R-elbow”の表記はなくなり、代わりに”R-shoulder(13.0%)”という名前になっています。

つまりこのポイントには右腕のウェイトがなくて、右肩のウェイトが13%あるということになります。
この様にウェイトは各ポイントメッシュに細かく分けられているので、ウェイトを直す時は最初にどのジョイントのウェイトがどれだけ影響しているのか調べる必要があります。
そしてその数値を見て、ウェイトの%の数値をどれくらいにするか考えながら設定していきます。
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今、右耳には78.0%という必要のないウェイトがついているので、これからこの数値を0%にします。
そこでウェイトの数値を減らすために、属性マネージャの設定を変えます。
とりあえず今回使わない設定の説明は省いて、よく使うところだけ説明します。
オプションの”強度”と書いてあるところが、ウェイトの強度設定になります。
現在14%と書いてあります。

先ほど耳のポイントにマウスのポインターを重ねた時、スクリーンショットの写真では表示されていないんですが、実際はマウスのポインターの先にブラシのアイコンがついています。
ウェイトツールはブラシを使って色を濃くしたり薄くしたりするように、ウェイトを強くしたり弱くすることが出来ます。
だからマウスを動かすだけで、ウェイトの設定が変わっていきます。
では実際に先ほどウェイトが78%だったところの数値を変えてみたいと思います。
ウエイトの数値を減らすためには、減らしたいポイントメッシュの上にマウスポインターを重ねます。
そしてCtrlキーを押しながらクリックすると、白線の円が赤くなるのでその状態のままクリックします。

するとメッシュの形がガクンと減りました。
右腕のウェイトの%を見ると64%になっています。
つまり先ほど属性マネージャの設定にあった強度14%が78%から引かれた(減算された)ことになります。

反対にCtrlキーを押さないで、そのまま白い円の状態で78%のウェイトをクリックすると、今度は強度の14%が加算されて数値が92.0%になりました。

しかし元々この耳のウェイトは全部必要のないウェイトです。
つまりウェイトは全て0%でいいわけです。
今ウェイトの強度設定は14%になっていますが、その数値で減算させていくと何回もマウスをクリックしなければならないので人差し指が疲れます(=▽=;
耳のポイントメッシュを一気に0%にするには、強度を100%にして減算するとあっという間に右肘のウェイトがなくなります。
強度の設定を100%にした状態でCtrlキーを押したままにして、今度はポイントをクリックするのではなくブラシで塗るようにポインターを動かします。
すると耳のメッシュの色がどんどん黒くなって凹んでいき・・・・

普通の耳の形に戻りました。
ウェイトの%を見るとR-elbowの名前がなくなっています。

これで右肘を曲げても耳が伸びなくなりました(^^)

ウェイトを直す時は、この加算や減算を使い分けながら直していきます。
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ウェイトの影響値は体だけでなく服にもあります。
今回のキャラクターは袖なしの服を着ているので、腕を上げたり下げたりしても袖のウェイトの事を考えなくてもいいんですが、足の場合はスカートがあるのでちょっと厄介です。
例えば右足を上げるとスカートのあちこちが不自然な形になってしまいます。
このウェイト数値を直してスカートの形を自然な形にしていかないといけません。

ウェイトタグの右足のジョイントをクリックして、ウェイトがどこまで影響しているのか見てみると、影響が多過ぎるところや少ないところがたくさんあるのが分かります。
このウェイトを調整していきます。
調節の仕方は先ほどやった方法と同じです。

強度の%を調節しながらクリックしてメッシュの流れが綺麗になるまで直していきます。
場所によってはブラシのサイズを変えながら直します。
ブラシのサイズを変えたい時は、半径の数値を変えます。
今ブラシのサイズは半径30です。

例えばこのサイズでウェイトを調節しようとした時に半径が広すぎて、調節したくないポイントまで範囲に入ってしまうことがあります。
そういう時に範囲を縮めてウェイトを調整していきます。

半径のサイズを5にすると、輪が縮まって直したいポイントを選択しやすくなります。

他にも、タグの属性にある”投影”のチェックを外すと、マウスのポインタの円の形が変わります。
この状態にするとポインタがウェイトのペイントを始めるポイントに沿って動いてくれるので、塗りたいポイントを選択しやすくなります。
また投影にチェックをつけた時と違って、例えば塗りたいポイントの後ろにあるポイントを間違って拾ったりする事もなくなるので便利です。
そうやって色々設定を直しながら、右足を上げた時にスカートが綺麗な形になるまで直します。
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スカートのウェイトがだいぶ直ってきましたが、一部突出した部分が出てきました。
数値を見てみると、つま先のウェイトが混じっているのでつま先のジョイントを選択してウェイトを0%にします。

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後はまた右足のジョイントを選択して、ウェイトを塗り形を整えていきます。

足の関節を何度も動かしながら、スカートが綺麗に見えるように根気よくウェイトを直していきます。


スカート横のウェイトも、足を左右に広げながら直します。

右足が出来たら今度は同じ様に左足のウェイトも直していきます。
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足が終わったので他の関節も動かして、ウェイトの調整をしていきます。
例えば左腕を上げた時にインナーの服が見えちゃうので、そこを直したり・・・

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右肩を上げた時に顔や服が思い切り変形してしまうので、ウェイトの強度を100%にして余計なウェイトを全て消していきます。
後は指の関節を1つ1つ曲げていって、形が変になっているところがあったら直していきます。
人差し指の関節を上げると中指のメッシュが伸びてしまったので、この部分のウェイトを直します。

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これで腕、手、足の関節のウェイト設定が終わりました。
関節を動かしてもオブジェクトの変形は見られず綺麗に動かすことが出来ます。

しかし腰を動かすと、色んなパーツがそのまま残ってしまいます。
次回はこのパーツが一緒に動くように設定して、残りの関節のウェイト設定をしていきたいと思います。
