「シークレット部隊 #23 恋人たちの終着駅」 | All the best for them

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好きな人と好きな人に関連するあれこれ、好きな物、家族とのことを細々と、時間があるときに綴っています。





















 

後日…

売り場の田村は「じゃあ、頼むよ」と部下に声かけしていた。

そこへ、「ああ、部長、書類が出来ましたのでお持ちしました」 と

チェックマン・関が先日の盗難保険の書類を持ってきた。

「ああ」 田村はそれに目を通す。

「それから新規分のチェックを…」 

「どうぞ」 と田村。

「弘子さんは?」 関は弘子が売り場にいないことに気付いた。

「辞めましたよ」 と書類に目を通したまま冷たく話す田村。

「いらっしゃいませ」 女子店員の声が響いた。

田村は顔を上げ、声の方向を見ると、そこにはヒゲ江崎の姿が。

「ああ、いらっしゃいませ。先日はどうもありがとうございました」 

上客の来店に田村の声がはずんだ。

「さあ、どうぞ」 と別室に手引きしようとしたら、

ヒゲ江崎の背後から、スーツ姿の竹井たちが現れた。

怪訝そうな田村に 「私の秘書」と説明する江崎。

「ああ。さあ、どうぞどうぞ」 田村は気を取り直して江崎ら3人を応接に通した。



「お気に召しませんで?」 ヒゲ江崎の顔を覗き込む田村。

「5カラットぐらいのダイヤ、ないですか?」

「はあ、おい、君、例のあれを」 後ろの部下に急いで伝える田村。

「ああちょっと、ビルマのサファイヤ、コロンビアのエメラルド、

あったら一緒に見せてください」 と江崎。

部下が退室して、3人は白い手袋をはめ始めた。

にわかに不穏な空気が流れ始める…



一方、弘子は上野駅で江崎の到着を待ち続けた。



部下が持ってきた宝石がテーブルの上に並べられている。

と、田村の目の前で、江崎がそれらを持参したアタッシュケースに入れ始めた。

「あっ 何をするんです」 田村が立ち上がって制しようとしたところを、

「動くな!」 銃を構えた竹井が田村を脅した。

驚く田村。銃を突き付けられたまま、江崎らと一緒に部屋を出る。

異変に気付いた先ほどのチェックマン・関が後を追いかけた。

非常ベルが鳴り響く中、田村は地下駐車場に連れて行かれた。

そこへ関が追いついて、もみ合いとなるが、

竹井は江崎の車に飛び乗り逃亡。

残った早瀬も田村を盾にして、関から逃れる。

逃走の際、早瀬に肩を殴られた田村さん…お気の毒でした。



そして江崎は、竹井を無理やり車から振り落とし、弘子の待つ上野駅に急いだ。



さて、宝石を強奪された田村。

「頼む。警察へは内緒で宝石を取り返してくれ」 とキャップに訴える。

「何をおっしゃるんです。2億円もの犯罪ですよ」 と関。

「聞いてくれ。デパートは信用が第一なんだ。

警察が入り込んだり、週刊誌に色々書き立てられると困る。

それに…今度のことは僕一人の責任だ。

世間に知れると僕の経歴に傷がつくんだ。お願いする」 

ホントは隠したい過去まで明るみに出る恐れがあるから、

警察沙汰は絶対避けたい田村部長…

「田村さん、宝石が盗難に遭えば、その損害は保険会社が支払います。

つまり盗まれたと同時に保険会社の物になるんです。

あなたや我々の一存では…」 とキャップ。

「いや、保険会社には私が何とか頼んでみる。

それにこの人は(と関を見て)犯人たちの顔を見てるんだ。

手がかりさえつかめば、すぐに犯人は捕まえられるはずだ」 必死で懇願の田村。

「田村さん、落ち着いてください。

宝石を取り戻すのはわれわれチェックマンの仕事です。

出来るだけのことはするつもりですが…」 とキャップ。

「ああ、ありがとう、頼むよ」 田村は肩を落として部屋から出て行った。



関は秋田と組んで、2週間前にデパートを辞めたという弘子のアパートを訪ねる。

部屋に落ちていた旅行会社の封筒を手掛かりに、

弘子が江崎と共に妙高高原ホテルに滞在していることを突き止めた。



ボートに乗る2人を密かに写真に収める関。

その江崎と弘子は、散策中、例の早瀬に襲われそうになった。

早瀬は弘子のアパートで、関たちの話を偶然立ち聞きし、

妙高まで追いかけてきたのだ。

もみあいの末、江崎が早瀬を殺害してしまった。

2人は無我夢中で江崎の遺体を蓮華沼に遺棄、

ほどなく遺体が上がり、顔を見た関は、

それが田村を盾にした男であることに気付いた。



ブレーンリサーチでは、田村が、関の撮った写真を見せられていた。

江崎が写っているのを見た田村は、

ヒゲ面の男が江崎の変装だったことに気づき、愕然とする。

が、チェックマンには、「いや、知らん、覚えがない」 とシラをきり、

そのまま牡蠣のように口を閉ざしてしまった。



一方、強盗の一味である竹井は、早瀬が殺されたことを新聞で知り、

妙高に乗り込んだ。

江崎と弘子は宝石入りのバッグを持ち、逃げようとするが、

バーへと追い詰められ、別々に脱出することに。



だが、弘子は竹井に捕まってしまった。

一方の江崎の前には…どど~んとびっくり、アップで田村が現れた。

「江崎、やっぱり貴様だったんだな。

あの変装は貴様だったんだな」 江崎に迫る田村。

「何のことですか、部長さん。私にはさっぱり…」

そそくさと逃げようとする江崎の襟元をがしりとつかんだ田村が、

「まだシラを切るつもりか? 

女と2人、バーへ追いつめられるところを見ていたんだ。

その鞄の中にはうちの店から盗んだダイヤが!」 とバッグをひったくろうとする。



竹井に捕まった弘子は、バチバチ叩かれて…

江崎は、逆に田村を脅し始めた。

「そんなに疑うんならこの鞄と一緒に俺をチェックマンの前に突き出して下さい」

「何?」

「そのときは俺に罪をなすりつけた交通事故のことをだまっちゃいない」

「貴様~」

「それに弘子に子供を孕ませたことも。

スキャンダルが明るみに出れば会長の娘婿でも出世はここまで。

それが気がかりであんた、のこのこここまでやって来たんだ」

田村は悔しそうに唇を噛んだ。

「チェックマンの目を引き付けて、俺を逃して下さい」

田村はしばし考えたが、ついに胸ポケットのキーを取り出し、

「私の車で」 と渡した。 江崎はそのキーを受け取って…



例の写真の男の素性が分かったと、

秋田が弘子たちを張り込む関のところへ知らせに来た。

写真の男は、デパートへ出入りする貿易商社の社員で、

田村もそれに気付いたようだが、その途端に口を閉ざしてしまい、

何か隠しているんではないか、と話している最中に、

背後からひょっこり田村が現れた。

煙草をくゆらしながら、渋~い二枚目姿で関たちに近づく田村。

「田村さん、なぜここに?」

「君たちがふがいないんでね。気になってやって来たんだ」

「おかしいですね~、宝石を追うのは我々の仕事ですよ」

右手をポッケに突っ込んで、左手で煙草を吹かす田村…

「長引いて警察沙汰にでもなってみろ。

私の立場がなくなるんだ。

現にここの警察じゃ湖の死体を

宝石ギャングと結び付けて動き出してると言うじゃないか」

田村が関たちと話し込んでいる隙に、江崎が田村の車で逃げた。

気付いた2人は慌てて外へ出るが、間に合わない。

室内に一人残った田村は、煙草をくゆらしながら、この光景を見ていた。



関は弘子のことが気になり、探し始め、地下で発見。

そこで竹井と揉み合いになり、関が負傷してしまった。

竹井は逃走、どさくさにまぎれて弘子も逃げ出し、

ようやく先に逃げた江崎と合流出来た。