「家政婦は見た!」(1992.1.4.OA) | All the best for them

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好きな人と好きな人に関連するあれこれ、好きな物、家族とのことを細々と、時間があるときに綴っています。





















 

「舞の名門 華麗な一族の秘密

     したたかな女たちの跡目争い…」 



「松平右近事件帳」の有馬阿波守を見たあとで、

もうちょっとオジンな根上さんを見たくなり、

ちょうど未見のこの作品をチョイスした。

土ワイ…よく見ていたんですよねえ。

2時間ドラマって昔は大人が見るイメージありました。

夜は完全に大人の時間で、

子供がテレビ見られるのってたいがい9時までって。

里の家ではそれが暗黙のルールのようになっていて、

夜にオトンとオカンの間に混じっていてはまずいよなあ

みたいな空気を感じていて、あんまり2時間ドラマを見ることなかったです。

それが私も少しずつ年齢が上がって、20歳前後ぐらいから、

オカンの横で2時間ドラマを見ることも許されるようになったというか…

でも私の好みは、どっちかというとシリアスミステリーなので、

家政婦~はおふざけ系だと思っていたから正直毛嫌いしてましたね。

でも、ちっともそんなことはなかったです。

おばちゃんのようでいて、品の良さも持ち合わせている家政婦さんのキャラは、

市原悦子さんならではだと思うし、はまり役ですね。

ときどき入る家政婦さんの心の声は、風刺が効いていておもしろい。

家政婦さんの気持ちに相槌を打ちたくなったのは自分も年喰った証拠かしらね。



物語のほうは…

大沢家政婦紹介所に、

日本舞踊の名門・藤嶋流家元から依頼が届き、

礼儀作法をわきまえた人、ということで石崎秋子が派遣されることになった。



ということで出演者紹介。

主演の市原さんから始まって、2人ほど進んだところで、

おおっと、なんと大出俊さんが登場。かなりテンション上がりました。

で、しばらくして、最後のほうで根上さん登場。

こちらにもびっくり。

私はもう100%、

玉虫伯爵のように紋付はかまのいかつ~いのを想像していたから。

それが画面の中川公久なる人物は、洒落たジャケットを着こんで、

白い手袋はめて、何やら美術作品をにこやかに眺めているのよ。

年取ってからのこんな根上淳見たことない…

期待でわくわくです。



さて、藤嶋家へ到着の家政婦・秋子さん、

まず家のことを取り仕切っている若奥さまの中川美代子に挨拶。

そこには

夫で中川家の長男・藤嶋流の師範代の公一(芸名鶴一)と娘の公子もいた。

美代子が秋子をまず、現家元の中川ゆき(芸名鶴弥)のところへ連れて行った。

そこには娘の花(芸名花鶴)もいた。

家元が言うには花は踊りの天才なんだそうな。

次に美代子が案内したのが、

はい、根上さん演じる中川公久の書斎。

こんこん、とノックすると、「どうぞ~」と柔和な声が響いた。

公久は、内弟子の鶴乃をモデルにデッサン中。

この姿がばっちり板についていて、さっすが~でした。

お父さま、新しい家政婦さんです、と美代子に言われ、「ああ、そう」。

鶴乃の姿を見て、今日は名取試験で内弟子さんは忙しいんだから、

と、立腹する美代子。

「ああ、そうでしたか。じゃっ、また後でね」 と鶴乃に優しく微笑む公久。

鶴乃は美代子を睨んで部屋から出て行った。

公久はそのままデッサンを続ける。

お父さまはね、

藤嶋流の全国組織・藤嶋会の会長をしてらっしゃるのよ。 と美代子。

秋子が、踊りのほうのお名前は?と尋ねる。

「いやあ、踊りはやりません」 と公久。鉛筆を置いて、席を移動。

「藤嶋会の会長と言っても、床の間の置物のようなもんですよ」 と話す公久。

そんなことありませんわ。

華族出身のお父さまがこの家にいらっしゃったおかげで、

藤嶋流は世間の信用を高めたんですから、 と美代子がよいしょする。

「私より美代子さんが歌舞伎の名門からお嫁に来てくださったことのほうが、

藤嶋流の役に立ってますよ」  と専用のルーペで絵画を覗きながら語る公久。

美代子の父は6代目松川菊十郎で藤嶋流の後援会長を務めている。

「まっ、私は好き勝手にやらせてもらってるだけです」 ととぼける公久。

秋子は、部屋に飾られているキリストや聖母の画像の数々を珍しそうに眺めた。

公久は海外旅行が趣味なのだ。

「ああ、この部屋の掃除は結構です。

おばあさまのお世話をお願いするんでしょ?」 と美代子に尋ねる公久。

ええ、それが主な仕事に…言葉を濁す美代子。

75歳でときどき分からなくなることがある、中川月乃(4世鶴後)のことを

まだ秋子に話していなかったのだ。



そのおばあさまは、認知症のふりをしていただけ。

秋子は、彼女の部屋に薬を持って行った際に、

彼女が現家元である娘のゆきと、

藤嶋流の跡目のことで密かに話をしているのを立ち聞きする。

順番でいうなら長男となるのだが、公一は芸が平凡、

一方、妹の花は踊りの天才。

藤嶋流に箔をつけるために、

華族から婿をもらい、歌舞伎の名門から嫁に来てもらったが、

それと芸は別…と30年前に、当時師匠であった母から言われたゆきは、

今、自分がその立場に立ち、非常に悩んでいた。

春の発表会のときには決めなければ、とゆきは思った。



さて、名取試験が終わり、家族がリビングへ集まった。

経理担当の美代子は、金勘定の真っ最中。

公久は、ゆうゆうと新聞に目を通していた。

ゆきが、今日の名取試験は20名全員合格にいたしました、と報告。

「ああ、そう」 と新聞を眺めながら返事する公久。

そこへ花が、美代子に小遣いをせびりに入ってきた。

会長さんに伺ってください と美代子は返す。

いいでしょう、お父さま?と娘に言われて、「ああ」 と公久は答えた。

公一が、お父さん、甘い顔しちゃだめですよ。

花の浪費には際限がない。経理を預かる美代子の身にもなってみろ、

春の発表会には多くの経費がかかるんだぞ、 と咎める。

「私は来月ロシアにイコンの収集に行くつもりですがね」 と公久。

又、何百万円もかけて?

発表会までは控えていただけませんか、と公一は文句を言うが、

ゆきが助け舟を出した。

どうぞいらしてくださいまし。30年前つぶれかかったこの藤嶋流は

あなたのおかげで盛り返すことが出来たんですから。

奥方さまのお許しが出て、

「では行かせてもらいますか」 

と読み終えた新聞をテーブルへぽんと投げた公久、

「高くつく道楽で働いてる皆さまには申し訳ないが…」 と少々嫌味ぽく言う。

あら、お父さま、イコンは立派な芸術よ。

大いに集めてらっしゃいな、と花が声をかけた。

「ハハハ…」 と笑いながら公一は部屋から出て行った。



この後、花はフィアンセである岩佐財閥の次男坊・芳夫とドライブに出かけた。

見送った秋子が、跡目を決めるのは春の発表会のときらしいですよ、

と美代子にもらす。。

秋に予定される花の結婚後かと思っていた美代子は大慌てで、

父の松川菊十郎に相談する。



と、これでようやく長い秋子の一日が終わった。

元華族というだけあって、

根上さんの雰囲気が同年代のドラマでよく見かける、

いばりちらすおっさんとは全然違った、柔和な笑顔のジェントルマンでした。

気の強い女の人に囲まれて、ちょっと遠慮しがちなマスオさん的存在。

かなり珍しいキャラだなあと思って見てました。

あと、服にも注目。

ちょい派手な柄セーターを、さらりとダンディに着こなしているのですが、

このセーター、あれですよね。

サライの朝めし自慢の取材のときに着てたやつ。

それが平成10年3月18日となっていたから、

もしかして、そのドラマで着たのを譲り受けて、大事に愛用してたのかな?

なんて考えた私。