5日にBS朝日にて放送された
「牟田刑事官事件ファイル 女たちの殺人パーティ」、根上さん中心の記録です。
サンズトラベルサービス社長の畑谷がゴルフでホールインワンを出し、
そのお祝いと婚約者披露を兼ねたパーティがホテルで開かれた。
パーティの参列者には、牟田刑事官の娘でサンズトラベルに勤める君恵もいた。
前置きが終わって、オープニングの歌が流れた。
何せ古いドラマなので、内容も何も知らないまま臨んだわけですが、
80年代、根上さんは60前半で悪役街道まっしぐら~なときだったので、
今回も間違いなくべっこう縁か金縁のメガネのふてぶてしい?おじさま
なんだろうなあと確信していたのです。
サブタイトルが「青年社長をめぐる6人の女」だったから、
この青年社長の親父か何かちゃう?なんて思っていたらば…
キャスト紹介で映った根上さんを見て、びっくり。
なんと警察官、それもきちんと制服を着こんだどう見てもえらいさんなんですよ。
もちろん悪人メガネもかけてなくて、
ロマンスグレーのふんわりヘアに温和な笑みを浮かべている。
もう、うっそ~でしたよ。別人?
これが、同じ土ワイで江戸川乱歩シリーズや三毛猫シリーズで、
不敵な笑みを浮かべていた根上さんなの…?
場面は海沿いの岸壁。釣糸を垂れている牟田がぼやく。
「ホールインワンでパーティか?気楽な連中だ。
ボールが偶然穴に飛び込んだぐらいで大げさにホテルでパーティだって…」
ここでアップになったのが、
耳当てが垂れた防寒帽子をかぶり、マフラー、ジャンパー、スパッツを
着こみ、白い運動靴のおっさん(署長です)。
牟田の隣で同じように釣糸を垂れているのです。
「はっはっはっ」と一笑して呼びかけた。
「お前も年取ったな~、若い者のやることがいちいち気に食わん。
それで無視されて無性に腹が立つんだろ」
「バカ言え。俺はそれほど…」
ここで牟田の竿に反応があり、牟田は慌ててリールを巻き始めた。
「おっ、引いたのか?」
署長は立ち上がって覗きこんだ。
一方、パーティ終了後、
畑谷の取り巻きの面々がチャールストンクラブへと場所を移し、
2次会を始めていた。
畑谷とサキコ以外のメンバーは、STSの小早川専務、社長秘書・里谷マチコ、
営業の設楽コウジ、君恵、時枝弥生、三島にスチュワーデス・芙佐子であった。
ママがカクテルを作り、秘書がテーブルへと運んだ。
メンバーがグラスを囲み、乾杯の声がかかる寸前、
カウンターに座っていた三島がダイスでオールピンを出し、皆が集まる。
どうせ冗談だろう、
皆は三島の手元を覗きこんだが、すぐに元の位置につき、
目の前のグラスを取った。
乾杯! グラスを手にしたママはそっと設楽の横に移動した。
(ママは設楽の愛人である)
そのときである。カクテルを口にした君恵が苦しみだした…
さて、おじさん2人は温泉でまったり。
「…年頃の娘を持つといろんな気苦労があるもんだなあ」
まず口を開いたのは、頭にタオルを乗せている署長。
「ああ、見合い結婚は絶対嫌だなんて言うんだ。
そのくせ、好きな男でもいるのかと思うと、全くそんな気配はない」
「うちの刑事部屋には君恵さんに推薦できる男はおらんもんなあ」
「いやあ、とにかく仕事がおもしろいらしいよ」
頭のタオルを手に取り、頭を拭きながら、
「君恵さん、会社でどんな仕事してんだ?」と尋ね、
タオルを縁にポンと置いた署長。
「今までは通訳の予約やスケジュールの作成をやってたんだが、
いつの間にか添乗員の試験に受かってね。
来月は50人ばかりの団体さんを連れてヨーロッパに行く」
「ほおっ」 牟田の話に身を乗り出した署長。
縁に置いた腕が丸太のようにご立派。その上に顎を乗せた署長。
「そりゃ大したもんだ。それじゃあ当分結婚はお預けだなあ」
「ハハハ、そういうこと。
向こうで青い目の男には引っかかるなって釘刺したんだがね」
「ハハハハハハ」 署長の笑い声が広がった。
そこへ「牟田さんいらっしゃいますか?」とホテルの従業員が覗いた。
署長も声の方向に振り向く。
何でも東京の奥さんが至急電話を欲しいとのこと。
部屋に戻ったおじさん2人。
牟田さんは早速電話を入れ、署長はビールを2本持ち、テーブルへ。
「何?君恵が倒れた?」
話を終え、牟田は席についた。
「倒れたってどこで?」
牟田に尋ねつつ、自分のグラスにビールをそそぐ署長。
浴衣の上に羽織を羽織り胸元からはシャツが覗き、素足。左手には煙草。
煙草を一服うまそうに吹かした署長は、
続いて牟田のグラスにビールをついだ。
「パーティの2次会らしい。調子に乗って飲み過ぎたんだろう」
とりあえず、乾杯する2人…
牟田の妻・明子が病院にかけつけた。君恵は重体らしい。
しかも嘔吐物からストリキニーネが発見され…
「ストリキニーネ?」捜査課長・梶原から連絡を受けた牟田は、
急いで身支度を始めた。
ただならぬ気配に、署長も表情が曇る。
心配そうに牟田の側に寄り、「俺も行くよ」と声をかけた。
「署長はごゆっくり」
「一人でどうすんだい?」 そしてダイヤルを回して、
「ああ、駅までタクシー頼む。
いや熱海(腕時計を見て)横浜になるかもしれんな。急いでくれよ」
ガチャンと受話器を置いた署長は険しい表情で立ち上がった。
そして朝…
タクシーが神奈川県山下警察署前に着き、
まず署長が降り、あとから牟田刑事官が続いた。
コートを持ち、制帽制服姿の署長は、さすがの風格。
思わず、艦長!と声をかけてしまいそうなほど。サマになってます。
入口の警官に敬礼してから扉を開ける。
出迎えた警官の「おはようございます」に、「おはよう」と返した署長は、
帽子とコートを彼に預け、中へと入っていった。
捜査課の扉が開き、一同が立ち上がる。
「大丈夫だ。どうやら峠は越したらしい」 と署長が応えた。
そして課長を呼び寄せ「で、どうなんだ?」と聞く。
「殺人未遂で捜査を進めています。自殺の線も…」
署長はふんふんと頷く。
「そんなはずはない!」牟田は言い切った。
課長がチャールストンクラブにいた面々の名簿を牟田に見せる。
それを覗きこんだ署長、「身元は全員分かってんだな?」と確認する。
クラブ経営者のトガエリ・ユカ、スチュワーデスの光芙佐子
畑谷ヨシオの婚約者の稲原サキコ、
それ以外は皆サンズトラベルサービスの従業員であった。
「ホールインパーティの出席者が全員いたわけじゃないんだな…」
牟田が、全員を集めて現場検証をしたいと申し出た。
だが、署長はしばし考え込み、牟田の側に寄った。
「うん、気持ちは分かるがねえ、今回は君が表に出るのは…」
事件関係者が肉親の場合、警察官は捜査活動を禁じられているのだ。
そこへ病院から電話が入った。
君恵が口をきいたと嬉し涙を流す牟田夫人からであった。
ニッコリ微笑んだ署長、「良い知らせのようだな」 と声をかけた。
「物を言うようになったそうです」
「そうかあ、いやそれは良かった」 嬉しそうに頷く署長。
そして「課長、部屋へ戻ってるから何かあったら知らせてくれ」
課長にそう言うと、ゆっくりと扉の向こうへ消えて行ったのだった…
部屋から出て行った署長を見送って、なんだか嫌な予感がした私。
もしかして、これで出番終わり?まさか、ね…