「牟田刑事官事件ファイル 女たちの殺人パーティ」(85.5.11 OA) | All the best for them

All the best for them

好きな人と好きな人に関連するあれこれ、好きな物、家族とのことを細々と、時間があるときに綴っています。





















 

5日にBS朝日にて放送された

「牟田刑事官事件ファイル 女たちの殺人パーティ」、根上さん中心の記録です。



サンズトラベルサービス社長の畑谷がゴルフでホールインワンを出し、

そのお祝いと婚約者披露を兼ねたパーティがホテルで開かれた。

パーティの参列者には、牟田刑事官の娘でサンズトラベルに勤める君恵もいた。



前置きが終わって、オープニングの歌が流れた。

何せ古いドラマなので、内容も何も知らないまま臨んだわけですが、

80年代、根上さんは60前半で悪役街道まっしぐら~なときだったので、

今回も間違いなくべっこう縁か金縁のメガネのふてぶてしい?おじさま

なんだろうなあと確信していたのです。

サブタイトルが「青年社長をめぐる6人の女」だったから、

この青年社長の親父か何かちゃう?なんて思っていたらば…

キャスト紹介で映った根上さんを見て、びっくり。

なんと警察官、それもきちんと制服を着こんだどう見てもえらいさんなんですよ。

もちろん悪人メガネもかけてなくて、

ロマンスグレーのふんわりヘアに温和な笑みを浮かべている。

もう、うっそ~でしたよ。別人?

これが、同じ土ワイで江戸川乱歩シリーズや三毛猫シリーズで、

不敵な笑みを浮かべていた根上さんなの…?



場面は海沿いの岸壁。釣糸を垂れている牟田がぼやく。

「ホールインワンでパーティか?気楽な連中だ。

ボールが偶然穴に飛び込んだぐらいで大げさにホテルでパーティだって…」

ここでアップになったのが、

耳当てが垂れた防寒帽子をかぶり、マフラー、ジャンパー、スパッツを

着こみ、白い運動靴のおっさん(署長です)。

牟田の隣で同じように釣糸を垂れているのです。

「はっはっはっ」と一笑して呼びかけた。

「お前も年取ったな~、若い者のやることがいちいち気に食わん。

それで無視されて無性に腹が立つんだろ」

「バカ言え。俺はそれほど…」

ここで牟田の竿に反応があり、牟田は慌ててリールを巻き始めた。

「おっ、引いたのか?」

署長は立ち上がって覗きこんだ。



一方、パーティ終了後、

畑谷の取り巻きの面々がチャールストンクラブへと場所を移し、

2次会を始めていた。

畑谷とサキコ以外のメンバーは、STSの小早川専務、社長秘書・里谷マチコ、

営業の設楽コウジ、君恵、時枝弥生、三島にスチュワーデス・芙佐子であった。

ママがカクテルを作り、秘書がテーブルへと運んだ。

メンバーがグラスを囲み、乾杯の声がかかる寸前、

カウンターに座っていた三島がダイスでオールピンを出し、皆が集まる。

どうせ冗談だろう、

皆は三島の手元を覗きこんだが、すぐに元の位置につき、

目の前のグラスを取った。

乾杯! グラスを手にしたママはそっと設楽の横に移動した。

(ママは設楽の愛人である)

そのときである。カクテルを口にした君恵が苦しみだした…



さて、おじさん2人は温泉でまったり。

「…年頃の娘を持つといろんな気苦労があるもんだなあ」

まず口を開いたのは、頭にタオルを乗せている署長。

「ああ、見合い結婚は絶対嫌だなんて言うんだ。

そのくせ、好きな男でもいるのかと思うと、全くそんな気配はない」

「うちの刑事部屋には君恵さんに推薦できる男はおらんもんなあ」

「いやあ、とにかく仕事がおもしろいらしいよ」

頭のタオルを手に取り、頭を拭きながら、

「君恵さん、会社でどんな仕事してんだ?」と尋ね、

タオルを縁にポンと置いた署長。

「今までは通訳の予約やスケジュールの作成をやってたんだが、

いつの間にか添乗員の試験に受かってね。

来月は50人ばかりの団体さんを連れてヨーロッパに行く」

「ほおっ」 牟田の話に身を乗り出した署長。

縁に置いた腕が丸太のようにご立派。その上に顎を乗せた署長。

「そりゃ大したもんだ。それじゃあ当分結婚はお預けだなあ」

「ハハハ、そういうこと。

向こうで青い目の男には引っかかるなって釘刺したんだがね」

「ハハハハハハ」 署長の笑い声が広がった。

そこへ「牟田さんいらっしゃいますか?」とホテルの従業員が覗いた。

署長も声の方向に振り向く。

何でも東京の奥さんが至急電話を欲しいとのこと。


部屋に戻ったおじさん2人。

牟田さんは早速電話を入れ、署長はビールを2本持ち、テーブルへ。

「何?君恵が倒れた?」

話を終え、牟田は席についた。

「倒れたってどこで?」

牟田に尋ねつつ、自分のグラスにビールをそそぐ署長。

浴衣の上に羽織を羽織り胸元からはシャツが覗き、素足。左手には煙草。

煙草を一服うまそうに吹かした署長は、

続いて牟田のグラスにビールをついだ。

「パーティの2次会らしい。調子に乗って飲み過ぎたんだろう」

とりあえず、乾杯する2人…



牟田の妻・明子が病院にかけつけた。君恵は重体らしい。

しかも嘔吐物からストリキニーネが発見され…



「ストリキニーネ?」捜査課長・梶原から連絡を受けた牟田は、

急いで身支度を始めた。

ただならぬ気配に、署長も表情が曇る。

心配そうに牟田の側に寄り、「俺も行くよ」と声をかけた。

「署長はごゆっくり」

「一人でどうすんだい?」 そしてダイヤルを回して、

「ああ、駅までタクシー頼む。

いや熱海(腕時計を見て)横浜になるかもしれんな。急いでくれよ」

ガチャンと受話器を置いた署長は険しい表情で立ち上がった。



そして朝…

タクシーが神奈川県山下警察署前に着き、

まず署長が降り、あとから牟田刑事官が続いた。

コートを持ち、制帽制服姿の署長は、さすがの風格。

思わず、艦長!と声をかけてしまいそうなほど。サマになってます。

入口の警官に敬礼してから扉を開ける。

出迎えた警官の「おはようございます」に、「おはよう」と返した署長は、

帽子とコートを彼に預け、中へと入っていった。



捜査課の扉が開き、一同が立ち上がる。

「大丈夫だ。どうやら峠は越したらしい」 と署長が応えた。

そして課長を呼び寄せ「で、どうなんだ?」と聞く。

「殺人未遂で捜査を進めています。自殺の線も…」

署長はふんふんと頷く。

「そんなはずはない!」牟田は言い切った。

課長がチャールストンクラブにいた面々の名簿を牟田に見せる。

それを覗きこんだ署長、「身元は全員分かってんだな?」と確認する。

クラブ経営者のトガエリ・ユカ、スチュワーデスの光芙佐子

畑谷ヨシオの婚約者の稲原サキコ、

それ以外は皆サンズトラベルサービスの従業員であった。

「ホールインパーティの出席者が全員いたわけじゃないんだな…」

牟田が、全員を集めて現場検証をしたいと申し出た。

だが、署長はしばし考え込み、牟田の側に寄った。

「うん、気持ちは分かるがねえ、今回は君が表に出るのは…」

事件関係者が肉親の場合、警察官は捜査活動を禁じられているのだ。

そこへ病院から電話が入った。

君恵が口をきいたと嬉し涙を流す牟田夫人からであった。

ニッコリ微笑んだ署長、「良い知らせのようだな」 と声をかけた。

「物を言うようになったそうです」

「そうかあ、いやそれは良かった」 嬉しそうに頷く署長。

そして「課長、部屋へ戻ってるから何かあったら知らせてくれ」

課長にそう言うと、ゆっくりと扉の向こうへ消えて行ったのだった…




部屋から出て行った署長を見送って、なんだか嫌な予感がした私。

もしかして、これで出番終わり?まさか、ね…