「大都会PARTⅡ」第22話(1977.8.30) | All the best for them

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好きな人と好きな人に関連するあれこれ、好きな物、家族とのことを細々と、時間があるときに綴っています。





















 

「最後の戦場」



9月19日深夜にチャンネル銀河で放送された「最後の戦場」を記録しています。



東日工業所の旋盤工・木島の遺体が見つかった。

彼の指紋が、

半年前の窃盗事件(帝国金融の金庫が破られ500万奪われた)と一致した。

ここ4年間で同じような未解決窃盗事件が6件起こっている。

マルさんは、背後から心臓一突きという殺しの手口からみて、

犯人はかなりのヤツだと考えた。

聞き込みの結果、

木島が一人の老人と一杯飲み屋で10時頃まで飲んでいたことが判明。

老人は「岡部さん」と呼ばれていた。

木島は5年前まで「岡部印刷」に勤めていた。



トクとマルさんが岡部印刷所へ向かった。

首に巻いていた日本手拭を後ろポケットに突っ込んだ岡部(根上さんです)、

「お得意さんに会った帰り道にばったり木島に会いましてな」

何時頃? 「7時ちょっと前だったと思いますが」

そのまま2人は表に。表で待つトクにちょっと驚くが、話を続けて…

「それから飲み屋を3軒はしごしましてな。なんせ5年ぶりだったものですから」

別れたのは? 「10時頃ですか」

向かいの母屋に入った。 

そのあと直ぐうちに戻られたわけですね? 「そうです」

岡部は、まずタンスの上に飾ってある陛下の写真にお辞儀をしてから

「あっ、お座りください」と座布団を差し出した。

トクが、木島さんは理由あってやめられたんですか?と尋ねた。

「いや、金ですよ。

ご覧のとおり、うちは従業員3人の零細企業ですからな~

給料もあまり多くは出せないんですよ。(従業員が麦茶を持ってきた)

それが不満だったんでしょうな」 とうつむき加減に話す岡部。

マルさんがタンスの上の写真を見て、「ビルマですか?」

陛下・皇后の写真の他に戦時中の写真や

岡部莞璽が出征するときにもらった日の丸の寄せ書きが飾られている。

異様な空気すら漂う室内を見回るトク…

「33師団の生き残りです。ひどい戦でしたよ。

殺さなければ殺されるんですからな。あなたは?」

いえ、私は奥地?です とマルさん。

「あそこも大変だったようですなあ」

もうただ無我夢中で…それに私は上等兵どまりでしたから。

「自分は職業軍人でありましたから」 姿勢を正して声高に答えた岡部。

そのとき台所からゴトッと物音が聞こえた。

びっくりしてギクッとする岡部。

ガチャン! 驚いた拍子に手に持っていた麦茶のグラスを落としてしまった彼に、

トクが、どうかなされましたか?

「あ、いや別に…」 慌てて取り繕う岡部。

野菜が籠から落ちたようなので拾っておく とトク。

「ああ、はあ」 そわそわしている岡部の様子を、マルさんは見逃さなかった。

あの男をもう少し洗ってみる…



捜査線上に、木島の友人・常山と宮坂が浮上した。

常山の方は、元暴力団員で前科持ち、かつ事件当時のアリバイも不明。

さらに木島が岡部印刷所に勤めていた当時に住んでいたアパートの、

住人でもあり、5日前、木島と口論していたらしい。

宮坂は木島の高校時代の友人で、現在の木島と職場が同じ、

しかも金遣いが荒いとのことである。



だが岡部が気になるマルさんは、クロさんに相談する。

あの男には、犯罪者特有のおびえがありました。

台所の物音に対する岡部の反応は、常に緊張状態にある犯罪者特有のもの。

それにあの男は職業軍人です。兵隊は殺しのプロです。

もし岡部が戦争当時の精神状態を現在も維持しているとすれば、

人を殺すぐらいはたやすいこと…

クロさんは、引き続きマルさんに岡部を洗わせることにした。



トクたちが張り込んでいた常山が、姿をくらまし、

一方の宮坂が、殺された(脳天を一発)。

鑑識の結果、使用された拳銃が8口径であることが判明した。

マルさんは、

戦争中、将校用の拳銃で南部14年式のものが8口径であることを思い出す。



そしてビルマで岡部と一緒だった戦友を訪ねた。

そこで、岡部は将校でなく軍曹であったこと、

しかし日本へ引き上げてくるとき、

小隊長の伊藤中尉殿の形見として遺族に渡すために、

14年式を1丁持ち帰ったこと、

だが、遺族は拳銃を受け取らず、その後岡部自身が始末したと聞いている、

以上の情報を得ることが出来た。



再びマルさんの訪問を受けた岡部…

「何ですか、今日は?」 

作業中だった岡部は、眼鏡の奥からジロッとマルさんの顔を覗いた。

14年式の拳銃のことを尋ねたい とマルさん。

「14年式?」 ええ

「それが何か?」 とぼける岡部。

終戦当時にあなたがお持ちだったと耳にしたものですから…

「あ~ あれ、捨てましたよ」 どこへ? 

「川です。立会川です。今もう埋め立てられましたなあ」 

立会川? マルさんの口調の変化をとっさに察知した岡部、

「立ち話もなんですから、どうぞ」 とそそくさと母屋に移った。

厳しい表情で座布団を差し出す岡部。

夕べの11時頃、どこへ? とマルさん。

「ふふふ、どうもあなたの質問意図がよく分かりませんなあ。

(テーブルをパンとたたいて)この部屋にいましたよ」

それを証明できますか?

「私がいなかったということが証明できますかな?」

挑戦的な態度で、マルさんを睨む岡部であった…



一方、常山に女がおり、彼女が平川玲子であることを突き止めたトクたちは

彼女がパスポートを所持していることを知り、そのまま彼女を尾行する。

新宿ルミネを訪れた彼女は、人を訪ねるふりをして警備員室に入り込み、

警報装置のコードを切断した。

そして常山と落ち合い、トクたちから常山を逃がす。

玲子はそのまま連行されたが、黙秘を続けた。



マルさんが何者かに狙われる。物陰から差し向けられた拳銃…

撃ち損なって逃げた犯人は恐らく…岡部?



現場に残された弾が、

宮坂殺しに使われたのと同じ拳銃から発射されたものと判明して…



一方、ブルゾンを羽織って陛下に向かって最敬礼の岡部は、

ゴルフバッグを抱えて帽子を被って出かけていく…



その後、捜査員たちが岡部宅を捜査、

台所の床下からバッグに入った札束が見つかった。

何で金だけ残して?と言う坊さんに、

マルさんは、

ヤツは金が欲しくて窃盗の山を踏んだんじゃない。戦っていたかったんだよ

と応えた。



その岡部が、ルミネで待つ常山の前に、煙草を吸いながら現れた。

サツに追われた、玲子のヤツが捕まったんだ と常山。

「それがどうした」 やばいぜ。

「命令だぞ!」 と怒鳴る岡部。 分かった、するよ…

「ドアの警報器はどうした?」 玲子がうまくやった。

一服して戦場となるルミネを見上げる岡部…



岡部が隠し持っていた札束のナンバーが

帝国金融から盗まれた札のナンバーと一致、

そして入れられていたバッグから常山の指紋が検出された。

2人(木島・宮坂)をやったのは岡部 と玲子が自白。



カーキの戦闘服、日の丸に必勝の文字の入った鉢巻をしめ、

ゲートルを着けた岡部たちが、駐車場から侵入する。

(正直、時代錯誤の異様な光景だった)

常山が、ゴルフバッグの中のバーナーでドアの取っ手周りを焼ききり…

売上金が入った金庫に向かって、懐中電灯を照らしながら進む岡部たち。

金庫を見つけた岡部が、常山に開けるよう促す。



2人(木島・宮坂)が足を洗うと言い出したから殺したって。

あのじいさん、少しおかしいのよ、 と玲子は続けた。

戦線離脱だなんて。

(常山と)2人で外国へ逃げようと思ってた。

あんなじいさん付き合ってられない…

そして、岡部と常山が今新宿ルミネにいると話した。



岡部は、周囲に細心の注意を払っていた。

常山が開けた金庫から、札束をバッグに詰めて、事務所から出て逃げる。

途中、警備員の足音が近づいて来て…

這いつくばって物陰に身を潜める2人。岡部は銃の準備をした…



クロさんたちも、ルミネに到着。



びびった常山が音を立ててしまった。警備員たちが気づいた。

近寄ってくる彼らの正面に、突然姿を現した岡部、

ひざを立ててまっすぐ腕を伸ばして銃を構えると、

獲物を狙うような獣の目つきで引き金を引いた。



バン! バン!  館内に銃声が2発、響き渡った。

駆けつけたクロさんたちにも緊張感が走る。



なんで殺したんだ、殺すことねえじゃねえか! 常山が叫んだ。

岡部は、どことなく達成感に満ちた表情をしている。

おめえにはついて行けねえよ という常山に、

「上官に反抗する気か?」 岡部の怒号が飛んだ。

嫌だ、嫌だ~ 

「待て~!」 逃げる常山の背中に向かって銃口を向けた岡部。

バーン!

銃声を聞き駆けつける捜査員たちの足音が、岡部の耳に入った。

とっさに札束のバッグを奪って階上へ逃げる岡部。

捜査員も追いかけた。



本棚(書店に隠れた)の間に潜んで、狙いを定める岡部…

時に這いつくばって移動したり…

クロさんの指示で照明が点けられ、一瞬館内が明るくなった、

が、岡部は天井のブレーカーを探して、仰向けになって一発。

再び館内は真っ暗に…

弾を新たに詰め込む岡部…

機動隊も到着した。

這いつくばって様子を伺っていた岡部が

仰向けになり突然笑い声を上げた。

「ハハハ、ハハハ、ハハハ…」 

おとなしく拳銃を捨てて出て来い!

笑い声が止まった。

おそるおそる移動し始めた捜査員たちの背後にさっと現れた岡部が、

引き金を引いた。 一人が撃たれた。



クロさんたちにあせりの色が見え始める。岡部の目が光る。

マルさんがクロさんと打ち合わせ。

まずクロさんが出て、マルさんが囮になり、クロさんが撃つことに。

クロさんが前に出た。

岡部も構える。 そのとき…

岡部~!  バーン!

背後からマルさんの声がして、岡部が後ろを振り向いた瞬間に、

クロさんがすかさず撃った。

撃たれた岡部は、這いつくばって後退、本棚の間に身を潜めたが…

クロさんたちが近づく。

「バンザーイ!」 バキューン!

追い込まれた岡部は、自分の頭部へ自ら銃口を向けることで、

この戦いに終止符を打ったのだった…

床に横たわった岡部の遺体を見たマルさんは、思わず目を背けた。

そして岡部との会話を思い出すのだった…



~「男の本能は闘争ですよ。

戦後男が弱くなったのはその本能を法律が禁じてしまったからです」

それであなたは今も戦っているんですか?

戦うことに異常なまでの執念を持っていた男が、

終戦と同時にその対象を失った。

しばらくは平穏な生活が続いたが、あることで又その本能が蘇った…

「それが妻や娘の死だって、そう言いたいんですか?」

タンスの上の写真を見上げて、ふと淋しそうに笑う岡部。

4年前から起きている窃盗事件にあなたがかんでると私は見ている。

それに角筈の殺し、渋谷駐車場の殺しもね」

「何か確証がおありなんですかなあ?」

依然としてポーカーフェイスを装う岡部に対して、マルさんは、

証拠は何もない。我々の捜査リストからさえ外れている。

しかし立場こそ違え、あなたと私は同じタイプの人間のような気がする。

私は私流のやり方で必ず確証をつかんでみせる…」 と言い切った。

そんなマルさんの話を、岡部は黙って耳を傾けていた~



根上さんが国宗のお兄さんで出ていた「稲妻」で

確かバス運転手役だったマルさんの、いぶし銀の味が光った作品でしたが、

非常に重苦しい空気が残る終わり方…

岡部の人生って、一体何だったのか?と思う。

一瞬足りとも気の安まることのなかった人生で

唯一の安らぎがきっと、奥さんと娘さんと過ごした時間だったことは

今でも岡部の薬指で光る指輪が物語っていた。

奥さんと娘さん、何で死んじゃったのかな?

これで又、歯車が狂いだして…もう哀れでたまらない。

半ば自暴自棄?自分で自分をコントロール出来なくなってしまったのかな?

岡部の凄まじい人格を形成した元凶が戦争というのが、とてもやるせない。

これを又根上さんが演じてるものだから、妙にリアルなのです。

非常に難役だったと思うのです。

見方を変えれば、時代錯誤の狂ったオッちゃんだし…

戦争体験のある根上さんがあえて挑むことで、

逆に戦争の悲惨さ、愚かさを訴えようとされたのかどうなのだか…

根上さんの渾身の演技に心が揺さぶられた私でした。



それにしても…

トクに玲子が、岡部のことを「じいさん」呼ばわり…

ちょっとひどいなあと思いつつ

だけど私も、岡部を初めて見たとき、

根上さん、えらい白髪増えたなあ と思ってしまったわよ。

75年の傷天のときは、もみ上げの生え際以外は、まだまだ黒かったのに~

しかも、いつもダンディを誇っているおじさまが、

このドラマでは、髪もパサッとしたままで、

波平さんが着るような前開きのたぶんクレープの半袖肌着姿。

ザ・オヤジって雰囲気で、わ~お、だったわよ。

オヤジに見えるように工夫を凝らしたのね。

世捨て人風の辻蔵之助と同じ匂い…

またまた、新しい一面を見せてもらったわ。



でも、このまま重苦しい空気のままはイヤだなあ。

と思って、「子連れ狼」の予告を録ってみた。

こちらは、若い!? 精悍な風貌だったんですけど~

どうなんでしょう? 月曜が楽しみです。