明智小五郎は、舞谷藤子の出身地である丹後半島・伊根を訪ねていた。
舞谷家の墓前で、藤子に出会った…
喧嘩別れした福田と瀬島はお互いホテルを変わっていたが、
そんな折、瀬島が黒づくめの男に呼び出され、神戸へ。
同じくして明智も神戸へ着いた。
黒づくめの男の指定どおり、夜7時に例の洋菓子記念館の千代の絵の前に
向かった瀬島だが、闇夜に先客がいた。
「やっぱりお前か!」
はい、グラサン姿の福田のおじさまでした。
黒いタートルにツイードのジャケットを羽織って、グラサン。
いやあマフィアのドンさながらの貫禄でしたわ。しかもかっこいい
瀬島が、妙なマネするなよ、と内に隠したナイフをちらつかせると、
「ふん、ご同様だ」とジャケットの内側のナイフを見せるのです。
正直、しびれました。
おじさま、何でこうも悪党の役が似合うのでしょうか…
「ふ~ん、すると我々をここに呼んだのは…あ~!これは?」
ライターで千代の絵を照らすと、絵の中の千代は黒いハット、サングラスに
口ひげを付けていた。
「これは…国男くんを襲った男とそっくりじゃないか?」
犯人は千代だ!と瀬島。
「千代だからあの押絵を動かすことが出来た。
ここの戸の鍵をはずすことが出来た」
警察へ届けようとする瀬島に対し、
「待~て。それがヤツの狙いだぞ。
警察に検挙される。何もかもぶちまける。俺たちの過去の罪を。
これだけの事件で世間は注目している。
俺たちはズタズタだぞ。あいつはせいぜい傷害と器物破損で執行猶予だ」
(さすがに悪党だけあって、考えを巡らせるのも素早い)
そして2人は千代の住む別荘へ侵入(ここがまるでコソ泥だよ)。
おじさまがナイフで扉をこじ開け、靴を持って、ソ~ッと忍び込む。
千代の腕をつかみ 「自業自得だ!つまらんマネしやがって!」と襲いかかる。
(床に置かれたたくさんの花瓶のバラをどかどか踏みつけている)
千代はあえなく気絶。
「ちょうどいい、海へ沈めよう」 2人が彼女を抱きかかえようとすると…
黒づくめの男が背後に現れ…
「この野郎!」 2人は男に殴りかかるも、逆に振り回されて…
突然もがき出した。
「うっ…」 あおむけに倒れ、ついに息絶えてしまった。
靴を脱いでバラを踏みつけたので、足から毒が回ったものと思われたが…
一方、神戸での明智は、小林から千代につきそっている女性・竹井が
木谷の腹違いの妹であることを知らされ、彼女に会っていた。
そのとき、外が騒然とし始め、河野邸に駆けつけたら、
福田たちが死んでいたのであった。
(口が半開きなのよ~、おじさまったら。
悪党を気取ってたのに、なんか哀れな死に様だった)
助手の小林と秘書の文代が資料を揃えて明智と合流した。
河野千代のカルテのコピー、女学校の学籍簿と卒業写真。
ハンカチの血液検査表。
これらのことから、舞谷藤子が犯人だと確信する明智…
弥生と国男の身を案じ、事件の終結に向かった。
六甲山のホテルにて藤子と会う。
~洋菓子記念館で泣いているのを見られた犯人は、
それが内見会に招待されている私立探偵の明智であることを知り、
帰りの新幹線で押絵を持って明智の前に現れた。
そして押絵を使って復讐の予告をした直後、掃除婦を装い弥生を誘拐、
そして国男を誘い出し殴って気絶させた後、コレクションを壊し、
黒づくめの男のふりをして弥生に姿を見せ、その直後に着替えて、
鍵をかけて密室状態にし、自ら麻酔をかぎ、気絶した。
その後、福田と瀬島を呼び出し、
バラのとげの傷痕からアコニチンが入ったと見せかけて殺害した。
(争う隙にアコニチンを注射して殺害したが、注射の痕はまず検出されない)
足の傷痕から毒が入った事故死と警察は解釈し、
2人はスキャンダルを暴かれ、復讐は成し遂げられた。
共犯者が、付き添い係の竹井、
彼女は押絵を落とした男と誘拐を実行した掃除婦、
福田・瀬島を神戸へおびき出した。
舞谷藤子とは、
中学を卒業後家と母を捨て、手紙も写真も証拠となるものは一つとしてない~
これだけのことを言い残して、明智は部屋から出て行った。
その帰り道、車の前に突如黒づくめの男(これは竹井)が現れて…
急ハンドルをきった明智は谷底へ、車は爆発してしまった…
河野邸へ戻った藤子を待っていたのが…
竹井扮する黒づくめの男のマスクを被った明智。
宮津の老人施設で、舞谷藤子の母を見つけた千代が、
行方不明の娘藤子になりすまし、母を自分の偽者に仕立て、
竹井に協力させた、と語った…
千代は…超自然的な力が働いているか何かで、若いときのままの姿なのだ。
守の愛の力が働いて、年が押絵に封じ込められている…
事故後1年して、正気に戻った千代は、守殺害の真相を知り、
復讐を誓った。そして奇跡が起こった。
千代の代わりに、絵が年を取るようになったと。
自分は化け物だと嘆く千代。
押絵の老女の顔を剥ぎ取ったら、辺りにぶわ~っと風が吹いて、
千代がいっぺんに白髪の老女になってしまった。
正気でなくなった千代はそのまま車を暴走させ、爆死。
押絵の中の老女は、若い娘の姿に変わっていた。
弥生と国男は改めて結婚を決意し、その押絵は2人のものになった。
あ~、これも非常にややこしい話で、
まとめるのがしっちゃかめっちゃかになってしまった。
千代の復讐がテーマというよりは、
メインは若い千代が老女に変化するその怪奇現象にあったような…
どうもつじつまがよくかみ合っていないような物語だったわ。
とにもかくにも
乱歩シリーズにおける根上さんの怪演?熱演?に拍手を送ろう。
どのキャラも百癖くらいある強烈キャラなので、
剛三氏が一番おとなしく見えるのですが…
改めて、テレビの乱歩シリーズは、美女の存在感もさることながら、
脇を固める男性陣が魅力的でないと、美女も輝かないということが
よ~く分かった。
さてさて、今日は根上さんの誕生日ということです。
おめでとう~と言ってよいものかどうなのか…
生きてらっしゃれば89歳。わお~っですね。
今の時代をどう思われるのか、ちょっと聞いてみたいな