「猛獣使いの少女」 (1952) | All the best for them

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好きな人と好きな人に関連するあれこれ、好きな物、家族とのことを細々と、時間があるときに綴っています。





















 

今日は、9月3日に日本映画専門チャンネルで放送された

「猛獣使いの少女」を記録しています。



goo映画でとりあえず根上さんの役名が岡田良平ということは、

調べたけど、あらすじにもその名前が出て来ておらず、あまり期待はせずに

再生し始めました。



まず、出てきたのが、「懐かしの銀幕スタア24」10月の番宣。

田宮二郎さんに続いて香川京子さん(「稲妻」での妹役)が紹介されて、

その2作目「暁の合唱」で、な、なんと共演 根上淳って~ビックリマーク

それだけでかなり舞い上がってしまったのですが、

後でHPで確認したところ、何?根上さんがプレイボーイだと?

これはえらいこっちゃ~ でよく写真を見ると、

確かに向かって右端の少々くだけた感じのお兄さんがそうではないかと。

で、共演があの高松英郎さんって、

もしかして彼に京子さんを取られてしまうんじゃないだろうなあと

心配になってきた私ですが、

まあ何はともあれ10月もレトロな映画を楽しめそうなのは嬉しいこと。



それから、本編に入る前にダイジェストが流れて…

江利チエミさんのバックでバイオリンを弾いている~うっそ~ラブラブ

もう心臓バクバクです。根上さんのバイオリン弾いているとこ、

一度は見てみたいと思っていたけど、まさか映画の中で実際に見られるとは…

で思い出した。江利チエミさん、バイオリン…もしや?ということで、

「代々木上原めおと坂」をめくってみたら、あった~

根上さん、江利チエミさんとのエピソードで、

この映画のことを書かれていらっしゃったのでした。

そこには、初対面の撮影所で突然「お兄ちゃん」と呼ばれたこと、

いつもチョコチョコあとをついてきて、

彼女の肩に手をまわして撮影所の近くのレストランに連れて行くのが

日課になったことなどなど書かれていた。

しかも、ペギーさんの書かれているところによると、チエミさんの初恋の人

というのが“根上淳”だったとか。またまた、わお~っ なことです。

もしかしたら、この映画でご対面したときに恋しちゃったのかなあなどと

色々想像しながら、本編に突入しました。



オールアメリカンサーカスが東京興行のために来日して、

その中にマユミという14歳の人気者の少女がいた。

彼女の実父山本専吉は市民権を持たず米国にいたため、

日米戦争勃発後、夫婦別れして日本に送還された。

マユミを妊娠していたヘレンは、マユミ誕生後死亡。

親友の江川浩介(サーカスの道化師)がマユミをひきとった。

そのマユミが祖国にて父を探す という記事が新聞に載ったのだ。

記事を読んだ専吉の兄・源太夫妻が、浩介の前に現われ、

マユミをひきとりたいと申し出るが、

専吉が現われるまで誰にも渡さないと、浩介ははねのけた。

一方でマユミは源太夫妻の後をつけて、家におじゃま、

そこの子どもたちと仲良くなる。

帰りが遅くなったマユミを浩介は叱り、マユミはしょんぼり。

そこをサーカス仲間のチェリーが、気晴らしへ銀座へ行こうと誘い、

2人は出かけた。

銀座へ行く前に隅田川前で車を降りた2人。

しばらくすると「Too Young」を弾くバイオリンの音が聞こえてきた。

その音に合わせてハミングした2人は、音の方へと歩くが、

ハットをかぶったちょっとずんぐりとした体型のその人の姿は

もうなかった。

銀座へやってきたマユミたちは、ちょうど花売りのアルバイトをしていた

源太の息子たちに会い、花束を買った。

花束を抱えてどうしようかと思案していたら、

また「Too Young」のバイオリンの音色が…

(今度は根上さんだろうと予感していたら、ビンゴ)

酒場の前で、バイオリンを大事そうに抱えているイケメンが…

キョロキョロ辺りを見渡して、そして歩き出した。

マユミたちの前を通り過ぎたところで、マユミが声をかけた。

お兄さん、お兄さんのToo Young とってもステキね。

「そうかい、ありがとう。姉妹(きょうだい)? 売れるかい、花?」

と、とびきり爽やかな笑顔で聞いてくる。

(この良平という人、芸術を生業としているからか、

今まで見てきた貧乏学生や田舎教師と全く違い、

前髪パラリのちょいと垢抜けた感じのお兄さんでした。

服装はジャケットのインにチェックシャツ、後で分かったのは

靴は白と何か他の色とのコンビというおしゃれなもの。

モノクロなので、服の色はジャケットはグレー、

チェックシャツは赤系と想像する私)

だめなの、さっぱりというマユミに

「そりゃいけないね~ボクについてらっしゃい。

とても稼ぎのいいところ案内しよう」 と2人を連れて行くお兄さん。



お兄さんが連れてった先はホール。

そこでお兄さんがバイオリンを弾いて、マユミたちは花を配ろうとするのだけど、

そこに三味線トリオがジャカジャカと入ってきて、お兄さんの音が消されてしまう。

バイオリンを抱えて困り果てるお兄さん…

(この抱き方が実にいいんです。楽器を慈しんでるって感じがしてね)

「あの連中が幅をきかしてね、事毎に邪魔して困るんだ」

そしたらマユミが、お兄さん、私歌うわ。Too Young 弾いてよ。

「え~しかし…」一瞬とまどうお兄さん。しばし考え、笑顔で頷いた。

そしてバイオリンを構えて弾き始めた~音譜

(チエミさんの歌声に根上さんのバイオリン、観客じゃなくても、

もううっとりでした~

情感たっぷりに澄み切った音色を聞かせる根上さんの弾きっぷりに

涙がこぼれそうになる。

また音楽に合わせてステップを踏むような歩き方がいいんですよね~

さすが、バイオリニストを目指して特訓に励まれただけあって、

見ていて訴えかけるものがありましたわ)


このシーンのことも、根上さんは書かれていて…

~チエミさんは録音した「テネシーワルツ」にあわせて、口をパクパク。

根上さんは同じく伴奏に合わせてバイオリンを弾いたのだけど、

「テネシーワルツ」の著作権使用料がベラボーに高すぎて、

音楽だけ「トゥーヤング」に入れ替えろと会社が注文してきた、と。

今度は出来上がった画面にあわせて、セリフや歌を録音しなければならないが、

「テネシー~」は3拍子で「トゥーヤング」は4拍子。歌詞も全く違うから、

画面に合わせられるわけはない。ずいぶん乱暴なこと~と。



なので、私は目を皿のようにして、チエミさんの口元と根上さんの指先を

じ~っと見ていたんだけど、何回見ても、きっちり「トゥーヤング」なのよ。

もしかして、結局は撮り直したのかな?なんて思ったり。

まさか根上さんだって、52年公開の映画が、

2012年にCSの電波に乗って全国に流れるなんて夢にも思ってなかったやろし、

87年出版のエッセイ本をもとに、その画面を凝視しているヤツがいるとも

エッセイ原稿書いた時には、思わんかったやろなあ。



さて、お兄さんなじみのバー・テネシーにて。

「近づきのしるしに乾杯!」 コッコッコとビールを飲み干した良平、

「ハハハ痛快だったなあ。先の3人組の顔ったらなかったよ。

ところですげえな、妹さんの歌。ホントに素人なんですか?」

ええ とチェリー。

マユミが、でもあなたのバイオリン、ステキでしたわ。

「いやあ、ボクなんか」 と照れる良平。

マダムが、良平さん、ずいぶん可愛いお連れね。

「いやあ、そこで初めて会ったんだよ」

マユミが、ううん、違うわ。あたしたち2度目よ

「どこで?」 隅田川で。「トゥーヤング」弾いてらしたでしょ?

「いいや、ボクじゃないよ」 でもトゥーヤングの弾き方、お兄さんそっくりだわ。

しばし考え込んだ良平、「ジョニーだよ!」 とマダムに。

ジョニーはマダムの彼氏だった。

お姉さんはお兄さんの? とマユミに聞かれて「あらっ」と照れているのが

さっきから良平の相手をしているお姉さん・愛子役若尾文子さん。

(「長崎の歌~」では体育館の松葉杖の少女で、

「妻は告白する」では妖艶な人妻だった若尾文子さんが、

ここで根上さんのGF役だったとは…意外なつながり)

そこへ、おっかない輩が入ってきた。

ちょっと顔貸しな~、おめえたちも来るんだ!

(三味線トリオの仇を討ちに来たのだ)

立ち上がったお兄さん、真っすぐに彼らを見つめて

「待ちたまえ。やるんなら俺1人にしろ、この子たちは…」

連中が、いきなりビール瓶でなぐりかかってきたけど、

お兄さんうまくかわして応戦。だけど大勢で次から次へと襲ってきて、危機一髪、

そこへジョニー登場。

彼の顔を見て、連中はすごすごと退散した。

「ジョニー、やっぱり帰ってたんだ。

この子たちがお前の『トゥーヤング』を聞いたんだ」

おじさんの「トゥーヤング」、wonderfulね。 

ありがとう、誰だ?

「新顔の花売り嬢さんだ。それに彼女の『トゥーヤング』素晴らしいんだ」

そいつは聞いてみたいなあ。

そして明日、ジョニーのバイオリンでマユミが歌うことを約束して、

マユミとチェリーは帰っていった。

お兄さん、さよなら 「さよなら」と2人に手を振る良平であった。



東京を離れていたジョニーは、銀座の夢を見て東京が恋しくなり

おととい帰ってきたらしい。

マダムが、新聞読んだ?と聞く。

何の新聞だい?とジョニー。

愛ちゃん、あの新聞取ってあったでしょ? 

と良平の相手をしている愛子に尋ねた。 スタンドの下にあります。と愛子。

(ここでカメラが愛子にビールをついでもらっている良平をとらえた。

その良平、煙草を斜に構えて、愛子を見つめてたの。

もうこれはサービスショットの何ものでもない。

かっこよ過ぎましたよ、根上さんが恋の矢

マユミが実父を探しているという記事を読み、ジョニーは驚いた…



翌日、マユミのサーカスを見に来たジョニーは、浩介の楽屋に招かれた。

そこにマユミも来た。パパが現われたら嬉しいけど、今のパパ(浩介)に悪い

というマユミの言葉にジョニーは複雑な心境に。

マユミの出番の間に、「しがない流しの芸人で生活力も乏しく、

心が腐っているから、マユミを幸せに出来ない。

いつまでもマユミの良きパパであってくれ」という浩介宛の手紙を残し、

ジョニー(専吉)はマユミの楽屋から姿を消してしまった。



バー・テネシーの個室にて。

専吉の兄・源太とマダムがジョニーを説得しようとするが、

ジョニーは頑なに聞き入れず、個室を出てカウンターにいる良平のところへ。

彼の吸いかけの煙草を取り上げ、それを吸おうとするが、

愛子に咎められた。

何もかも遅すぎるんだよ、俺の手はアルコールとニコチンでぶるぶる震えてるし、

バイオリンだって満足に弾けない。

マユミはこんな男と暮らすより、サーカスにいた方が幸せだし、

お前だってマダムで収まっている方が幸せだ、とマダムに涙を見せるジョニー。

良平が「そんなこと言ったってお前、マユミちゃんに会ってみなきゃ…」

愛子が、何言ってんのよ。今会ってきたのよ

マダムが、そして名乗り出せずに逃げて帰ってきたんだわ、と言った。

ジョニーには返す言葉もなかった。

そこへマユミが現われた。

ジョニーがここにいた、と喜ぶマユミは、浩介からの手紙をジョニーに渡した。

~今夜一晩マユミの相手をしてやってくれ。

ジョニーとして会うか、パパとして会うかは君に一存する~



個室で語り合うマユミとジョニー。

思いっきり叱ってくれるパパが欲しいというマユミに、

ジョニーは名乗ることをまだためらっていた。

元気のないジョニーを、マユミが「カモナマイハウス」を歌って励ます。

彼女の陽気な歌声につられて、マダムや良平たちも部屋の中へ。

良平が、背もたれに向かい合って腰をおろした。

歌に合わせてリンゴを3回、良平に投げてよこすマユミ。

それをお茶目な表情で受け取る良平が、超・キュートだったわ恋の矢

そして、身体でリズムを刻みながら、リンゴを投げ返す良平でした。ドキドキ

 


で、ここのシーンのことも根上さん書いてるの。

~その時の彼女の顔はキラキラと輝いていて、

とても14歳の少女とは思えない色気があった…

当時、僕は主演映画を2,3本。それに近い役を10本ほどやっていたのだが、

まだまだとても、あんな自然な顔の演技は出来なかった~って。

そんなことない…

根上さんのスマイルは、いつも私をドキドキさせてくれるんだけどな~



結局、再び東京を離れる決心をして、ジョニーはマユミと別れた。

マユミは帰宅後、浩介がチェリーに、ジョニーがマユミの本当のパパだと

話しているのを立ち聞き、驚いたマユミは再びテネシーに戻った。



そこには、マダムと良平だけが。

良平が、「ジョニーのことだから気が向けば又帰ってくるよ」と

マダムを慰めていると、

そこにマユミが入ってきて、ジョニーはどこにいるの?と。

あたしのパパなのに、隠してたの…

「マユミちゃん、どうしてそれを?誰に聞いたんだい?」と良平。

あなたも知っていたのね。いじわる!

そこへチェリーが後を追いかけてやって来た。

ジョニーがどこかへ行っちゃった とチェリーに抱きつくマユミに、

「マユミちゃん大丈夫だよ。ジョニーはきっと今夜中に探し出してみせるからね」

とマユミの肩へ手を置き、優しく慰める良平なのだった。



サーカスに戻ったマユミは翌日の興行に出演。

ジョニーも観客席で密かに見守っていた。

だが、心に迷いが生じたマユミは、綱渡り中に落下してしまう。

防護網のおかげで怪我はなかったものの、心配したジョニーパパが

マユミに会いに楽屋に入ってきた。

どこへも行かないでというマユミに、ジョニーは

自分は銀座のジョニーおじさんでいい。

マユミのパパになる資格はない。今のパパの方が幸せなんだよ。

この興行が終わったら、今のパパと一緒にアメリカに帰るんだと

マユミに言って聞かせる。

ジョニーの思いを汲み取ったマユミは、

おじさんでいいからそばにいて、

もう一度「トゥーヤング」を弾いて とジョニーに願い出た。

万感の思いをこめてバイオリンを弾くジョニー。

そしてマユミは再びショーに戻る。

最後に、猛獣使いの少女の主題歌を高らかに歌い上げるマユミだった。



う~ん、思ったより良平の出番は少なめだったかも…

まあこれはほぼ江利チエミさんのプロモーションビデオでしたね。

ただやはり根上さんには楽器がよく似合う。

バイオリンを奏でる貴重な映像を見せてもらって、大感激でした。

さて、次は9日、同じ日本映画専門CHの「処女峰」。

これが50年の作品とくるから、もうどんなんよ~って感じなのですが。

今まで見た中で一番若いもん。楽しみやわ~にひひ