about 国宗周三 in 「稲妻」 | All the best for them

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好きな人と好きな人に関連するあれこれ、好きな物、家族とのことを細々と、時間があるときに綴っています。





















 

清子は実家を離れ、世田谷に引っ越したのであった。

同僚の太田が結婚し、その部屋を引き継いだのだ。

大家の杉山とめは、品の良さそうな穏やかな雰囲気の老婦人。

夫はすでに亡くなり、娘も嫁いで孫が2人いる。

夫の命日でそばを打ったので、どうかと清子に声をかける。



降りてきて、そばをいただく清子。

そこへ、笑顔の清楚なお嬢さんが顔を出した。

ごめんください、先ほどはごちそうさまでした。

あっお嬢さん、ととめが返事をして、清子を紹介する。

今度お2階にいらした小森さん。小森さん、お隣の国宗さんのお嬢さんです。

どうぞよろしく。

じゃあ、行ってまいります、鍵をお願いします。

はいはい、お兄さんもご一緒でしょ?結構ですね~いつも仲がおよろしくて。

(とめさんの「お兄さん」の一言に、ピピンとひらめいたひらめき電球

ううん、ちっともよ。


ついにお出まし~ラブラブ!

画面の中央にシュッと現われた根上さん…

今から60年も前、さすがに若々しい!!

まるで若葉のごとく瑞々しくて、

しかも目鼻立ちがくっきり、日本人離れしている~ドキドキ

満を持しての登場だったところが、

これからの大映を背負って立つホープであったことを物語っているようだった。


兄は、「おい、つぼみ、遅れるよ」と優しく妹に声をかけた。

とめさんと立ち話をしていたつぼみちゃん、お兄さまに挨拶するよう促した。

「ごちそうさまでした」 いいえ。

とめに礼を言い、ふと奥に座る清子に視線を移した。

美しい清子に、ややとまどいの表情を見せながら会釈すると、

清子も微笑んで頭を下げた。

「じゃあ、いってきます」と大股で出て行くお兄さまであった。

2人が出て行ったあと、とめさんが…

いいご兄妹なんですよ。妹さんをピアニストにしたいってお兄さん、

会社のほかにアルバイトの家庭教師もしていらっしゃるの。

妹さんの手が荒れるといけないってね、洗濯までなさるんですよ。

だと。(なんて微笑ましいニコニコ



清子が引っ越してきたこの世田谷は、ごみごみとした下町と違い、

何もかもが優雅でゆったりと時間が過ぎていくよう。

とめさん、国宗兄妹とも、

清子が今まで関わってきた人物とは、別世界の人たちのように思えた。

そして…清子とお兄さまの間に、なんとなくloveの予感が漂う…



この後、実家に残りの荷物を取りに行った清子が、

大きな風呂敷とボストンバッグを抱えて下宿へと歩いていたら、

後方から周三の姿が映ってきた。

清子が陰で汗を拭っていると、

追いついた周三が「お持ちしましょう」と声をかけた。

(とびっきり爽やかな淳smileときれいに並んだ白い歯が眩しすぎた~ラブラブ!

ペギーさんが2004年エッセイでキムタクって書かれていたけど、

今で言うなら向井理くんや三浦春馬くん、そういうイメージかな?

きっと銀幕のアイドルだったんだろうな~ラブラブ



あ、結構なんです。と清子は断ったが、周三は気にせずバッグを持つと、

さっさと先へ進んだ。

すみません、と追いかけてきた清子を振り返り、「いや~」と応える周三。

一呼吸おいて、清子の顔をにこやかに見つめながら、

「ご親戚なんですか?杉山さんと」と尋ねた。

いいえ、友達のあとを貸していただいたんです。

「じゃあ、やっぱりお勤めは?」 ええ、遊覧バスのガイドです。

「大変でしょうね。文句を長く覚えるのが」 ときどき間違えます。

「アハハッ、僕のピアノみたいだ」(えっ?周三もピアノを弾くの?と思った私)

そしたら清子も、ピアノ?

「ええ、妹に教わりながらね。アハハッ、怪しいんです」

和やかに会話していると、清子の下宿の前に着いた。

どうもありがとうございました、礼を言う清子に、

「いや」と言って、周三はバッグを渡し、会釈して自宅へと進んだ。

清子は、彼が家の中に入っていくのを、そっと見守るのであった。



次の場面…

窓辺で読書中の清子。隣家からピアノの音が聞こえてきた。

庭を見下ろすと、Tシャツ姿の周三が洗濯物を干している。

(たぶん、私が初めて見た根上さんの劇中でのTシャツ姿…

若い時分は、やはりスリムなのね~

しなやかに伸びた腕にキュ~ンときたわドキドキ

洗濯物をパンパンしてたら、しぶきが飛んだのか顔をしかめる。

(この頃の脱水事情はあまり良くなかったのか、

腕が水分で光っているのが印象に残った)

すぐに隣の2階の窓から覗いている清子に気づいたみたいで、

たちまち笑顔になって「やあ」と頭を下げた。

清子も笑顔で頭を下げる。

そしたら、清子の部屋へ姉・光子が上がってきた。

神田に「喫茶リボン」を開店するので、その挨拶にやって来たのだった。



後日、その「リボン」を覗きに行った清子だったが…

そこには例の綱吉もいた。

何でも、開店にあたって光子に色々助力したらしい。

悪い予感がする清子。

しかも綱吉は、光子が奥へ行ったすきに、又清子に迫ってくるのであった。

怒る清子。そこへ、なんと縫子までやって来た。

綱吉と待ち合わせをしていたのに、

待ち合わせ場所にやって来なかったとカンカン。

立腹した清子は出て行った。



ピアノの音が聞こえる。

清子が下宿先で、光子のことを心配する手紙を書いていたら、雨が降ってきた。

隣家の庭には洗濯物が…

とまどいつつも、庭に下りてきた清子は、それらを取り込もうとした。

彼女の気配に気づき、ピアノが止まった。

「あ、どうも」 中から出てきたのは周三であった。

すぐやみそうですけど… 「あっ、うっかりしてました」

お妹さんは? 「あ~市場へ行きました」

洗濯バサミを渡すと、「あっ、どうも」と周三が受け取った。

ここに、つぼみが戻ってきた。

清子を見つけ、あらっ、いらっしゃい と声をかけた。

そして、兄に、洗濯物を取り込んだかと思って…でも、感心ね。

「小森さんが取り込んでくださったんだ」

どうもすみませんと礼を言うつぼみ。もうやみましたわ、と清子。

お兄さま、お昼寝? いいえ、ピアノ弾いてらしたんですよ。とってもお上手!

おめでとう、お兄さま。初めてね、ほめられたの。

「こらっ!」 周三は、手に持った靴下をくるくる回しながら

部屋へ洗濯物を置きに上がった。

さっどうぞお上がりになって、瓜が冷えてますから、どうぞ。と清子を誘うつぼみ。

周三が「手ぇ切るなよ」と声をかけた。 お兄さまじゃないわ、とつぼみが返す。

そして清子に「さっ、どうぞ」と座布団をすすめる周三であった。

あぐらをかいて、「あの~小森さんは山国ですか?」と尋ねる。

いいえ、東京です。どうしてですか?

「いやあ、きれいな目してらっしゃるから」 あら~清子が照れる。

「アハッ、妹が言ったんです」 周三もでれでれで、左手で膝をすりすり。

つぼみが瓜を運んできた。

なあに? 「東京の方だってさ。だから僕、始めからそう言ったんだ。

言葉の歯切れがいいからね」

あらっ?それは私よ。

お兄さま、目がきれいでいらっしゃるから、きっとどこか高い山のふもとの

水のきれいな村の方だ、なんて。

(本当のことをばらされて

少々バツが悪そうに妹を横目で睨むお兄さま…超・ラブリ~ラブラブ

清子が、そういうところへいっぺん行ってみたいと思いますわ、と答えた。

喜んだつぼみが、

今度、ご一緒にいいでしょ?お兄さま。あたしたち、山が大好きなんです。

「荷物もみんな持たされてね」と下唇をとがらかす兄

(またこの表情が、たまらなくキュートだった恋の矢

張り合いがあるでしょ、そのほうが。とつぼみが返す。

そして、さあどうぞと清子に瓜を差し出した。縁側に腰掛ける清子。

周三は瓜の皿を手に持って、

「小森さん、かっちりしてますからね、妹は、見かけによらず。

お近づきになって、いろんな用を頼まれますよ」と清子に言う。

あたしたち、両親いないんです。

兄と2人っきりなもんですから、いつもやられてますの、あたし。

「どっちが~?」 と言い返す兄に、妹は、さあ~ととぼける。

うふふっ、そのやりとりを微笑みながら見ている清子。

周三が清子に「小森さん、ご両親は?」と尋ねた。

はあ、母がおります。姉兄も3人おりますけど、あたし、1人になりたかったんです。

あら?どうして?と言うつぼみに清子が返事に詰まっていると、

とめさんが、小森さん、お客さまですよ~と声をかけた。 はい。

じゃあ失礼します。

又どうぞいらしてくださいね。 

ええ。ごめんくださいと周三たちに頭を下げて帰っていく清子。

周三たちも頭を下げて見送った。

彼女が去ったあと、つぼみが、いい方らしいわね。

「うん」と笑顔の周三が、瓜にフォークを刺した…

(これで国宗兄妹の出番は終わりだった)



清子の部屋には母がいた。

光子を探しに来たのだ。清子が「リボン」を去ったあとで、

綱吉を巡って縫子と一悶着あったらしい。

子どもたちは皆勝手だと嘆く母。

清子は、産んでもらわなくて良かった。幸福だなんて思ったことないと

涙を流す。

母ちゃんだって、子どもを不幸にしようと思って産みやしないよ、

一人一人おなかを痛めて産んだんだ。

誰が悪いってんだよ、と泣き崩れる母。

遠くで稲妻が光った。気を取り直して母と仲直りした清子。

鏡を見て、お母ちゃん、あたしの目きれい?と尋ねた。 知らないよっ。

そして、光子が家に戻ってきているかもしれないからと

家に帰ろうとする母を送っていく清子なのであった…



清子言うところの有象無象の下町の親戚と、

いかにもハイソな世田谷の国宗兄妹たちが、

対照的に描かれていて、そこがおもしろかった。

どんな状況に置かれても自分を見失わず、

前向きに生きていこうとする清子の凛とした姿勢が最大のみどころかな?

結局、清子と周三の間にロマンスの風が吹かないまま、

エンドになってしまったけど、

清子がこれからも世田谷に住み続けるのか、それとも下町に帰っていくのか、

気になるところです。

とにもかくにも、20代の根上さんを拝むことが出来た、貴重なフィルムでした。