コンクール審査の基準・審査員をしていて思うこと(音楽性について・クラシック) | エレクトーン・ピアノの演奏上達法ブログ

コンクール審査の基準・審査員をしていて思うこと(音楽性について・クラシック)

 

始めにお断りしておきます。

この記事の内容は
私と私のお師匠さんたちと
私の周りの
お付き合いがある講師さんたちとの会話をもとに
書いています。

考え方も感じ方も違う方が
たくさんいらっしゃることをご理解の上
こういう捉えかたもあるのだな
とお読みいただきたいと思います。

どなたの意見をうかがっても
まず譲れないのが
「 選んだ曲の本来の姿 」を
間違えず演奏することだと感じます。

※編曲により
 元曲とは違うジャンルになった場合を除きます

例えばクラシックであれば

・その楽曲が所属する時代による弾きわけ

・作曲者固有の特徴

※バロック音楽とロマン派では
 四分音符の弾き方ひとつとってもまったく違います。
 
ポップスであれば

・曲のジャンル

・ビートの位置

ざっくり言うとこんなところが
根幹になるでしょうか。
 
 
また長くなりそうなので
まずはクラシックから書いてみようと思います。

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【 クラシック音楽の表現における留意点 】

1:楽譜の選び方

クラシック音楽は
日々研究が積み重ねられています。

数年前までは常識だったことが
新しい研究により
音符そのものや表情記号までも
違う解釈が出てきたりしますので
アンテナを張り続けることが大事だと思います。
 
現在のように
デジタル記録が出来ない時代のものですから
作曲者が何を意図していたのかを
正確に知ることはできません。

過去の作曲者の遺稿や手紙などから
推測されて出版されているものなのです。

そのため原典版とでさえも
多数のものが出版されており
中には音符ですら違っている場合もあります。
 
作曲者そのものがのちに書き加えたり
書き直したりしたものが
後々みつかることもありますので
変更されることも多いです。

よって版元を選ぶことも必要になります。

昔は○○版がよいと言われていたが
今はこの版がよいと言われる
こうしたことがあるのもこのためです。 
 
クラシックの楽譜といえども
年々更新されることも多いのですね。

コンクールによっては版の指定があったりするのは
このあたりの混乱を防ぐためでしょうか?
 
私も生徒さんを出す側として
このあたりのことを常に学んでおかなければ
と思っています。
 

2:奏法を決めるために必要なこと

バロック音楽から古典音楽の初期までは
現在私たちが目にする
「 現代ピアノ 」とは違う鍵盤楽器で
作曲されています。

音の保持や音量などが全く違う
チェンバロやクラヴィコード
また1700年以降制作された
「 フォルテピアノ 」という楽器を
作曲者が使用していました。
 
この時代の作品を演奏するとき

・チェンバロのように聞こえるよう演奏する

・与えられた曲を現在の楽器で新たに再構築する

などアプローチを熟考しなければいけないことも
多いです。
 

エレクトーンでピアノ曲を編曲したり
オーケストラ曲を編曲したりするときも
これに似た下準備が必要です。
 
楽譜が決まったらそのまま弾くピアノと違って
エレクトーンの演奏の多くの場合は
編曲をしないと演奏できません。

スコアを読み込むときに
人数を想像することがとても大事になります。

スコアでヴァイオリンと書いてあっても
フルオケのスコアなら
音色にすると
stringsから選ぶことになります。
複数で演奏しているから当然です。

でも室内楽はオケのように
大人数で演奏するわけではないので
ヴァイオリンという音色を選択してもいいでしょう。
 
 
クラシックに含めてよいか
議論のあるところだとは思いますが
ブラバンの課題曲なども同じことが言えます。

数十人規模のブラバンでの演奏を想定した楽曲は
トランペットと書いてあっても
ストレートに単音のトランペットの音色で
その奏法を真似しても
「 何か違う 」ということになりかねません。

金管合奏など人数の少ないものは
前述のオケ同様
レジスト選びと奏法がブラバンとは異なります。
 

3:時代または楽曲の背景の考証

一番わかりやすく言うと
対位法(多旋律)で書かれている楽曲と
メロディ+伴奏で書かれている曲。

旋律の途中から次の声部の旋律が始まる
対位法の曲(主にバロック)は
曲の途中
どこかの声部に合わせてテンポを揺らすと
音楽が成立しないことは
お分かりになるかと思います。

逆にメロディに先導されるタイプの曲は
メロディやハーモニーの動きに合わせ
楽譜に書かれていないような
小さな揺れをつけなければ
特に標題音楽に分類されるものは
単調になってしまいます。
 
 
・どの時代のどういう作曲家が
・いくつくらいのときに
・どういう時代背景のもとこの曲を作曲しただろう?
と調べ
考えることを怠っては
クラシック音楽への正しいアプローチはできません。

これは私が学生のころから
師事させていただいたすべての先生から
譜読みに入る前に
必ず十分準備するよう言われてきたことです。

それだけ演奏において
重要な事柄なのだと思います。

そしてその考証結果が
演奏に反映されていけなければならないことは
言うまでもありません。
 

4:編曲するにあたって必要なこと

クラシックのコンクールにおいて
編曲可というのは珍しく
というかほとんどないことだと思います。

しかしヤマハのエレクトーンコンクールなどの
時間制限に合わせるため
曲をカットすることもあると思います。

私は個人的に演奏規定時間の
数倍にも及ぶ長さの曲を切って演奏するのは
好きではありません。
 
例えばソナタ形式の曲を半分以上カットすると
もうソナタ形式が形を成さなくなるからです。

どんなに気に入った曲でも
曲本来の姿を反映できない編曲は
やっぱり演奏にも無理が出てきてしまうと
思います。

ただし叙景や叙情の音楽
またバレエ音楽などの劇伴音楽には
カットしても問題ないものもあります。
(程度によりますが)

過去エレクトーンが今ほど楽器として
成熟していなかったとき
オーケストラ曲を再現できなかった時代には
こういうこともありました。
 
でも今エレクトーンは
クラシックをクラシックとして
表現できるだけの楽器になりましたので
「 無謀な編曲 」は意味が薄くなったと思います。
 
 
できるだけ多くの人に演奏の機会を
という観点から
時間制限が出来てしまうのは致し方ないと思いますが
カットするという考え方は
ほんの狭い世界でしか通用しません。

ポップスのコーラスをカットするのとは
クラシックの場合意味が違うことを
ぜひ考慮していただきたいです。
 

私は選考の基準には入れませんが
この方は形式というものを知っているのかな?
クラシックの作曲技法を
理解してくださっているのかな?
と聞いていて疑問に思うことがあります。
 
 
 
 
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何度も書き直し
長文打ちながらどうやってまとめようか
と考えていたらまとまらなくなりました。
 
…これはブログで論文じゃない.。
 
この調子じゃいつ全文書けるかわからないので
とりあえずこのあたりまでで
いったん投稿させていただきます。
 
 

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