いいや、それだけではないだろう。セフィロスは、もしかすると、ジェノバ細胞がいままで山本の力を制限しており、いまそれが解き放たれたせいでタガが外れたのかとも考えた。が、それはないだろうとも思う。なにせ、無意識下で影響するはずのため、正直考えにくい。
セフィロス【厄介だ。正直、これ以上戦いを長引かせたくはない。】
セフィロスは、早急に決着をつけたかった。それは、あいても同じなようで、山本もセフィロスが知らないような構えを取る。
セフィロス【ん?両手を下げて力を抜いた型とは。】
その構え、どう考えても隙だらけのはずなのだが、これのせいで逆に不気味だ。まるで、自分に攻撃してこいと言わんばかり。
山本【セフィロス。お前のあの技を打って来い!これで、どちらが上かはっきりするはず。俺か、お前かだ?】
言葉は発さずとも、セフィロスと山本は不思議と互いの意思疎通が取れていた。奇妙なことである。が、そこは高みに立つ者同士のなにかがあるのだろう。
セフィロスは剣の先を相手に向ける独特の構えから更に腰を落とす。彼の大技【八刀一閃】が繰り出される直前の構えだ。
長い長い静寂が流れる。先程までこの空間に響き渡っていた剣撃の音が嘘のようだ。