人口約350万、ヨーロッパの西のはずれの島国、アイルランドに住むのはかつてヨーロッパを席巻したケルト民族の末裔である。緑の島といわれるアイルランド島だが決して肥沃な土地ではなく、また大英帝国の隣国としての歴史は不遇の連続と言わねばならない。
全ての民族音楽にはその民族の悲哀と喜びが込められているがとりわけ虐げられた民族の音楽にはポジティブなパワーが溢れている。それはオキナワ音楽やジャマイカのレゲエにも共通する。古来から綿々と続く彼等の「音楽」は厳しい生活の憂さを晴らすための、また民族のアイデンティティを維持するための手段であり、救いであった。
そして、アイルランドの伝統音楽は移民によって北アメリカ大陸にもたらされカントリーミュージックを生み、やがてアフリカから連れ来られた黒人奴隷の音楽と融合し、ジャズとブルースひいてはロックンロールを生みだしたのである。
そしてそのブルースやロックンロールにいち早く目覚めたイングランドの若者たちの中にはアイルランドやウェールズ、スコットランドといった古代ケルト系民族の感受性を受け継ぐ者が少なからずおり、さらには英米の音楽産業の発展に刺激を受けたアイルランドの若者がアメリカのフォークやブリティッシュロックを自分達の国の伝統と融合させるという輪廻天象のようなことが起こり、そこから世界へ飛び出したのが冒頭に挙げたアイルランドを代表するミュージシャン達なのです。
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