眠ってばかりの日々が半年ほど経ち、少しずつですが状況は変化していきました。
私自身の大きな変化は、日中起きていられる時間が増えたことです。
十分な休息で心が回復してきたことと、
この異常な環境にも次第に慣れてきたことで
最悪の状況から少しずつ好転していきました。
この頃から、家族とも少しずつ日常の会話ができるようになりました。
まだまだ笑うのは難しくても、これは大きな前進でした。
起きていられるようになってからは、
日中のほとんどを家族が与えてくれたゲームをしたり本を読んで過ごすようになりました。
特にこの時期の本との出会いは、その後の私の人生を大きく変えてくれたことの一つです。
本はもともと母が好きで、家にはたくさんのミステリー小説がありました。
中学生が読むには難解な内容のものも多かったのですが、ミステリーには起承転結があり、ラストの結末知りたさに夢中で読み進めました。
まだ先の話になりますが、
このことが結果的に私に深い読解力を与えてくれ、学校に行っていないはずの私の学力の大幅な上昇に繋がりました。
とはいえ、まだまだこの時の私は知る由もありません。
ゴールの見えないトンネルにいるような気持ちで生きていることには変わらず、
死にたいと思う気持ちが時々大きな波となって襲ってくるのを耐えることに必死でした。
この後、母が話し相手になればと契約してくれた家庭教師との出会いが、
また一つ事態を好転させるきっかけとなっていきます。