全く学校に行けないまま、私は中学3年生になりました。
義務教育のためか、出席日数が足りなくても留年するということはありませんでした。
でもこの休んでいる間、私はまったく勉強をしなかったので、
たとえ卒業できても高校へは行けないだろうと思っていました。
中卒でもできる仕事ってあるのかな?と考えてはまた暗くなり、未来のことを考えるのはいつも苦痛でした。
母から家庭教師を呼んでみないかと提案があったのは、その頃でした。
近くの国立大学に通う女性で、週に1回。
勉強しなくてもいい、ただ誰かと話してみるのはどうかと言われました。
その時は、私がそうしたいというよりも、
そうすれば少しは母が安心するかもしれないと思い、家庭教師をお願いすることにしました。
母はこの女性に、私が学校へ行っていないことを伝え、勉強は教えず話し相手になってくれるだけでいいと伝たそうです。
でもそれはそれで何を話せばいいか私も結局困るだろうということになり、数学と英語だけ習うことになりました。
そうしてその女性が週に1回、私に勉強を教えてくれることになりました。
教えるといっても、勉強することを目的にしていなかったためか、先生が授業のように学校の勉強を教えてくれるわけではありませんでした。
問題集を用意してくれ、
「次回までにここまで解いてみてね。分からないところは質問してね」
という、話す話題をつくるための勉強というような進め方でした。
私はもちろん、学校へ行かなくなった中学2年生の途中からの勉強は、全て分からない状態でした。
でも真面目な性格上、やりもせずにまったく解けなかったとは言えませんでした。
そのため必要な範囲の教科書を自分で読んで勉強してから、ドリルを解いてみることにしました。
前回、読書によって読解力が身についた話をしましたが、それが知らず知らずのうちにこの時に活きていたようです。
あんなにも学校の勉強にブランクがあったにも関わらず、私は授業で教えてもらわなくても教科書から必要な知識を読み取ることができました。
そして数学の問題集の回りくどい表現や英語の長文にも抵抗を感じず、解き進めることができました。
学校に行っていた頃も成績はいい方でしたが、
どちらかというと人より記憶力が良く、テスト直前の丸暗記で対応できてしまうタイプでした。
でも、この時期の自分の力で理解してから問題を解くという作業の繰り返しは、知らないうちに私自身の知力を大幅に上昇させました。
ただ、家でこもっていた私がそのことに気づくのは、まだずっと先のことです。