金融・世界経済に関する首脳会合内外記者会見-平成20年11月15日

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金融・世界経済に関する首脳会合内外記者会見

【麻生総理冒頭発言】
 先ほど、「金融・世界経済に関するサミット」を終えたところです。その成果とともに、私の考えるところをお話しさせて頂きたいと存じます。
 世界は今、ご存じのように新しい時代に入ろうとしておると存じます。世界の金融というのは、グリーンスパンという人の言葉を借りるまでもなく、100年に一度というような大変な危機に見舞われております。しかし、危機というものは同時にチャンスでもあります。歴史は危機というものを克服したときに新しい秩序ができる、もしくはできたということを示しております。危機に対してうろたえているだけではだめです。1929年の大恐慌は、そのうろたえた結果を示していると思います。
 しかし、今回、今は全く違っていると思います。協調の枠組みができているからです。したがって、1929年の教訓に我々は学んだ、そして日本は、併せて1997年、98年の危機にも学んだと思います。
 今回の会合に際して、私は、日本に対する期待の大きさ、もしくは日本が果たさなければならない役割の大きさというのを感じたところです。
 一つは、日本の経験を示すことだと思います。バブルが崩壊し、それを克服してきた経験です。あの大変な危機を日本は一国で乗り越えました。もちろん大変な犠牲を払っての上であります。
 もう一つは、新しい時代の枠組みづくりを日本が主導することだと存じます。私は、それに応えるべく具体的な提言というものを行いました。それが首脳会談の宣言にも反映されております。もちろん、それを実行することは直ちに簡単にできるわけではありません。しかし、今回の提言が必ずや一つの礎になることを信じております。
 首脳会合の成果を簡単に説明します。各国は、現下の金融危機と、世界経済の減速への対応そして国際金融システムと金融規制・監督の改革の方向性と具体策で、一致をしております。
 まず、危機への短期的な対応については、各国が協力して行動を一緒にしていくことを確認しております。日本の場合の例を引かせてもらい、1990年から約15年間で、土地と株式の資産価格は日本のGDP3年分、1500兆ということです、下落したんです。しかし、日本のGDPそれ自体は、500兆円を大きく落ち込むことなく維持することができたと、これが日本の歴史です。私からは、こうした経験を踏まえて、次のように強調しております。どうしてそれが可能だったかといえば、銀行等にあります不良債権というものを徹底かつ早くに開示をしております、示した。金融機関に対しては、その不良資産というものを償却した後、少なくとも資本を増強する必要にあっては、公的資本を投入した。また、マクロ経済政策によって、実体の経済、金融だけじゃなくて、実体経済を支えること、この重要性というものを話しております。
 次に、中期的に、危機の防止策を考えねばなりません。この点については、今回の危機において影響を受けた中小国、新興国への支援を進めることが大事です。そして、IMF等の国際金融機関の資金の基盤というものが弱い、それを増強する必要性が皆さんとともに共有されております。そのため、日本としては、IMFに対して増資するにしても時間がかかりますので、今は時間が急ぎます。従って、日本としては1,000億ドルという資金の融通をする用意があるということを表明しております。
 三番目には、金融の規制・監督の改革ということになるんですが、有機的な、国際的に連携した機能の強化が必要です。一国だけでは対応できなかった。今回、それははっきりしています。そして、格付会社というものがありましたけれど、これはかなりシャビー、あまり信用のあるものではなかったということだと思いますんで、規制と監督体制を導入すべき。そして、市場の混乱している時には、時価会計基準というものを適用できるかといえば、市場がなくなれば時価会計基準は存在し得ないことになります。従って、その扱い等々、私が色々指摘をさせてもらったものに関しましては、世界各国の協調的な取り組みの必要性について共有をされたところです。
 また、これと反対に保護主義については、これを拒否し、決して内向きにはならないこと。更にドーハ・ラウンドの交渉の今後の枠組み、いわゆるモダリティと称するものですけども、については、年内に合意することについて努力していくことでも合意をしております。
 最後に、長期的な通貨体制のあり方として、次の点を申し上げております。今回の問題の起きた根底というものには、貿易の不均衡というものがあります。これを是正しなければならんのであって、是正をするためには、基軸通貨国は赤字の体質を改めてもらう。また、過度に、必要以上に外国の需要、外需に依存しているという国は内需拡大に努めてもらう必要があります。こうした、すべての国の政策協調というものによって、ドル基軸通貨体制というものを支える努力を払うべきだということを申し上げたところであります。
 他方で、アジアなど、域外に開かれた地域協力は、グローバリズムを補完するものだと思っております。日本としては、12月のASEAN+3や東アジア首脳会議等に向けて、アジア地域の金融協力の強化と自律的な発展のため、取り組みを進めていきたいと考えております。
 日本としては、今回の会合の成果を具体的な行動に移していかなければならないと思っています。また、新しい世界経済と金融というものに対応した、国際的な経済システムの実現に向けて、引き続きリーダーシップを発揮して参りたいと思っております。
 最後に、参加各国の協力とともに、急な呼び出しではありましたけれど、米国政府及び米国国民の皆様の歓迎とおもてなし、対応に対し、心より感謝と敬意を表して、挨拶なり発表に代えさせていただきたいと思います。ありがとうございました。

【質疑応答】
(問)
 今回の合意について、総理は改めてどのように評価されているか。また、日本が特に指導的な役割を果たしたと強調されているが、今後、特にどのような面で指導的な役割を果たすとお考えか。

【麻生総理】
 今回の会合は、歴史的なものだったと多分後世言われると思うが、少なくとも、先進国と新興国の双方の首脳が一堂に会して20人という人数を限って議論したこと、また、首脳会談の宣言も、始まる前まではどこまで纏まるのかという危惧があったが、少なくとも、今回の金融危機への対応は、短期的なものと中長期的なものとに分かれるが、これを盛り込んだ、結構具体的な、行動的なものとなった点は高く評価をされて然るべきと思っています。それぞれ抱えている問題は違う。かたわらは被害者だと思っていますし、そういった意味ではかなり意識は違うんですが、少なくともこの金融危機をまた起こさないために、これ以上その被害を大きくしたくないために、いろいろな意味もあったと思いますが、合意がされたと思っております。また、先ほど申し上げましたけれど、IMFの増資というか、IMFに対する融資を始め、少なくとも格付会社の話とか、また、監視機能を今ある組織を使ってやっていくんで、新しい組織を作るよりそちらの方がいい等々、色々申し上げましたけれども、具体的な形として取り纏めて頂きましたので、こういった私どもの提案を生かされておりますので、そういったものを現実にやっていくと言うことになろうと思います。
 また日本がやりました、不良資産というものを外して、それを銀行の中ではバランスシートから外したというような経験など、これは直ぐになかなか出来ているところはないと思いますし、いまそれをやれている国もありませんから、そういったことをやった結果、日本はあの金融危機をしのいだ、そういった経験というものは、日本としては、その経験を率直に言える、そういう資格もあるでしょうし、それが世界の役に立っていくんだと思っています。

(問)
 1000億ドル日本が資金融通としてIMFに出す用意があると言われたが、中国や産油国も同様に資金をIMFに融通すべきだとの御意見だったが、公式には、或いは公けの所では、中国はそうした発表を行っていないことを残念に思っているか。

【麻生総理】
 この種の話に対して、日本の申し出に対して、アジアの少なくとも今外貨準備高の多い国、例えば産油国とか今言われた中国とか、そういう国からも融資があっても喜ぶべきことだと言ったけれど、(それらの国々からの)発言はありませんでした。今回に限りませんけれど、大体、中国という国は、こういう席でみんなの前でその種の発言をしたという例は過去にありませんから、後でこの種の話しを持ち帰って協議の上、発言なり賛意なりということは言いますけど、その現場でimmediate reactionというものをあまりしない国だと思いますので、言わなかったからだめなんだ、という訳でもないと思って、その点は期待をしています。I hope interpretation is working O.K.

(問)
 今後、来週はAPECが開催され、日中韓首脳会議、ASEAN+3、東アジア・サミットという首脳レベルの会議が続くが、今回の金融サミットの成果をどのようにフォローアップしていく考えか。

【麻生総理】
 中小国とか新興国とかいろいろな表現があるが、今回の金融危機が実体経済にどのような大きな影響が出てくるかということが、多分一番の懸念なんだと思います。今、間違いなくインフレーションを心配していた国がデフレーションになるかもしれない。これは英国などが皆言うところですが、日本はついこの間までデフレをやっていた訳ですが、戦後、世界の中でデフレーションで不況ということを経験した国は日本だけです。そういった意味で少なくとも、こういったものは放っておけば自然に景気の波動で自立的に回復するというような状況ではない。今回は。従って、何らかの人工的な若しくは政治的な政策というものを加えないと、なかなか上手く景気回復の軌道にはのらない。中でも景気回復のいわゆる伸び率の高いアジアの、世界の成長センターと言われるのは、どう考えてもアジアです。アジアの中で経済成長を促していくということが必要であり、そういう意味では、APECやASEAN+3、東アジア首脳会議といった一連の会合はこれから開かれる訳だが、その中で各国の自律的な経済成長を各国で意図的にやってもらわないといけない、金融さえきちんとすればそういうものはできるはずであるので、少なくとも経済成長率が5%から10%の間くらいの国が多い訳なので、そういった意味ではやってもらわないといけない。
 それから、地域の協力というもの、いろいろな地域協力をやっているので、チェンマイ・イニシアティブなどいろいろ具体的な名前があるが、そのようなものを含めてやっていってもらわないといけない。金融の決済のシステムがよく出来ていないので、これは今からこういった国々でやらなければいけないことは基本的なところで言えば多分統計。統計というものがどれだけきちんととれているのか、その統計をどれだけ上手く活用しているのかと言ったようなことは長い間の経験というものを先進国は皆持っているが、それがないとなかなか経済というものは生き物であるので、きちんとした数字の把握をしておかなければならない。そのようなことなどについて日本としてはいろいろ一緒にやっていくことができると思うので、そのような基本的なところのフォローアップができないと、たらたら目先だけ発展しても格差がついたり、バランスがとれなかったりするということになると思うので、そういった細かなところにフォローアップが必要ではないかと思っています。

(問)
 米国の次期大統領に対しては、より大きな信頼(greater confidence)を持っておられるか。今後、日米関係はどうなると考えるか。

【麻生総理】
 この間、オバマ次期大統領から電話がかかってきたので、電話で話しました。電話で話をしただけなので、それで直ちに相手の人物なり性格が分かる訳ではありません。ただ、その時にインドネシアによく行っていたので、ハワイから日本経由でインドネシアによく行った話や、アジアに関する興味が示されていたのが印象に残ったのが一つ。今、米国務省でアジアに詳しい人がどんどん減ったので、その意味ではアジアに関心をもってもらうという人は大変我々にとっては大事であり、世界にとっても、人口の半分がアジアであるので、その意味では非常に大きいと思いました。二つ目は、電話で話をしていて、とにかくこれから貴方との個人的な人間関係の確立を是非という話もしたので、そう言った意味では電話で話しただけだが、何となくインテリジェンスのとても高そうな英語だったという記憶が私(総理)にはあります。I hope the interpretation will be right interpretation. Not distorted, I hope. Okay?

(問)
 最後になるが、総理はとても言葉も上手であり、メディアもいろいろと得意である。今後は日本の経験を活かして、どういう形でメディアも含めて顔が見える形のリーダシップをとっていくのか。また、先ほどのオバマ次期大統領の話に関し、今後はオバマ政権と上手くどういう形でいかそうと思われているのか。

【麻生総理】
 オバマ政権のスタッフが、どういった方がなられるのかということは、今から1月20日までトランジション・チームがずっと動き始めるので、それまでどういう方が出て来られるのか、ちょっとうわさだけですからね。新聞のうわさくらいあてにならないものはないでしょう。こういう人たちが作っている話ですから。あまりヒラリーが(国務長官に)なるとか、本当になるのか、誰がなるのか、毎日違う話を皆されるので、なるべくああいうのは見たり聞いたりしないようにしていますんで。答えが出れば、2ヵ月後には分かるんだと思って、そういうことは2ヵ月経ってからの話だと思っていますけれども。
 今の話で、やはりいろいろな意味で、これから金融というのはかなりプロフェッショナルな話である。金融のおかげで銀行の決済ができない、銀行間同士の決済ができない、マネー・マーケットが全然成り立たないというような話を殆どの人が全然興味もないし、分かりもしない。しかし、これが一番の決済の元ですから、その決済の元が止まったということは、えらいことであると思う。しかし、そのような重要性を、大変なんだと書いた新聞などありませんから。少なくとも日本ではない。そういうことをわかりやすく説明をするという努力を政治家がするなり、何なりしていかなければ、新聞は書かない、また誰も読まないということで、これはテレビとか街頭でやるとかいろんな形で直接言わないと、今のような危機に当たって、今、時間を急ぐ話に関し、どうしてカネを出さなければならないのか、多分米国のtax payerも全部ノーと言ったんですけれども、日本も97年、98年にノーと言ったために、対応が遅れて後で巨大なカネがかかることになった。あれは、前で決済しておけばよっぽど少ないおカネで済んだんですけど、後になった結果あれだけ大きくならざるを得なくなった。多分、米国も同じです。従ってそういった意味では、早い段階でこの必要性を政治家として訴えていくということは、メディアとの関係は非常に大きな要素を持っているのではないかと思って、努力をしないといけないと思っています。


金融・世界経済に関する首脳会合第1日

金融・世界経済に関する首脳会合第1日
―日ブラジル首脳会談・日英首脳会談・日インドネシア首脳会談 ほか


平成20年11月13日夜(現地時間:日本時間14日午前)、麻生総理は金融・世界経済に関する首脳会合に出席するため、アメリカ合衆国の首都ワシントンを訪れました。

 14日午前、麻生総理はブラジル連邦共和国のルイス・イナシオ・ルーラ・ダ・シルヴァ大統領と首脳会談を行いました。会談では、ルーラ大統領は、実体経済への影響を避けるためにも、当面は十分な流動性を確保することが重要であると述べた上で、投機的マネーの動きを規制することの重要性を指摘し、今後はIMFや世銀のあり方を見直し、より多くの国がこれら機関の決定に参加することが重要であると述べました。これに対し麻生総理は、今回の会合ではブラジルを始めとする新興経済国と協力しながら、世界経済の課題の解決に努めるべきと述べた上で、新しい金融商品等に対し国際的協調の下で適正な規制を行うことの必要性、及び世界の現状を反映したIMFの見直しの必要性を指摘しました。

 午後、麻生総理は在米英国大使公邸において、英国ゴードン・ブラウン首相と日英首脳会談を行いました。会談では、主に金融危機に対する国際的な取り組みについて意見交換を行い、多くの点で意見が一致し、今後両国が協力していくことが確認されました。
 ブラウン首相は、金融市場への監督の協調と同様、金融・財政政策の各国協調が必要である旨を述べ、麻生総理の発表した新たな経済対策は意義がある旨を述べたのに対し、麻生総理より、日本の1990年代の経験を説明しつつ、各国が適切な金融・財政政策をとることの必要性を強調しました。

 その後、麻生総理はインドネシア共和国スシロ・バンバン・ユドヨノ大統領と首脳会談を行いました。会談では、金融危機に対する両国の協力・連携について意見交換を行いました。
 麻生総理より、先般、自分の特使にお会いいただき感謝する、同じ考えをもって当たっていけることはありがたい、100年に一度の金融危機に一緒になって解決に当たりたい旨述べられた。これに対し、ユドヨノ大統領より、麻生総理の発言に賛意が表明されるとともに、日本は今回の危機に当たって、グローバルな場においても、またASEAN+3等の地域的な場においても極めて重要な役割を果たしうるのであり、今回のサミットに当たって、両国で協調していきたいと述べました。

 終了後、ホワイトハウスにおいて、ブッシュ大統領主催の夕食会が開催されました。夕食会では、最初に4つの国際機関の長(国連・パン・ギムン事務総長、IMF・ストロス・カーン専務理事、世界銀行・ゼーリック総裁、金融安定化フォーラム・ドラギ議長)から発言があり、続いて、ブッシュ大統領が、最初に麻生総理を指名しました。
 これを受け、麻生総理より、「金融危機に対処する上でのIMFの役割については、新しい時代に即したものとしていく必要がある。特に、新興国・中小国への支援、早期警戒機能の強化が重要。」と述べました。



金融・世界経済に関する首脳会合第2日
―全体会合・ワーキングランチ・内外記者会見



平成20年11月15日、麻生総理は金融・世界経済に関する首脳会合で各国首脳と議論を行いました。

 午前に行われた先進国と新興国など20か国・地域(G20)の首脳等が参加した全体会合は、世界経済の成長を回復し、世界の金融システムに必要な改革を達成するために、協働すること等を盛り込んだ首脳宣言を採択して終了しました。

 その後、自由貿易・投資に焦点を当てる形で、金融・世界経済に関するワーキング・ランチが開催されました。多くの国より、現下の世界経済情勢においては、保護主義を拒否し、WTOドーハラウンドのいわゆるモダリティ合意を年内に達成すべく努力するとの首脳の決意を示し、貿易大臣に対し交渉の加速化を促すことが極めて重要との見方が示されました。

 サミット閉幕後の内外記者会見で麻生総理は、「今回の会合の成果を具体的な行動に移していかねばならない。また、新しい世界経済と金融というものに対応した国際的な経済システムの実現に向けて引き続きリーダーシップを発揮していきたい。」と述べました。

 全日程を終えた麻生総理は、同日政府専用機でワシントンを出発、帰国の途につきました。 


麻生内閣総理大臣記者会見-平成20年10月30日

http://nettv.gov-online.go.jp/prg/prg2233.html

平成20年10月30日、麻生総理は総理大臣官邸で記者会見を行い、景気不安や世界的な金融不安に対応するため、新しい経済対策「生活対策」の概要を発表しました。

平成20年10月30日、麻生総理は総理大臣官邸で記者会見を行い、景気不安や世界的な金融不安に対応するため、新しい経済対策「生活対策」の概要を発表しました。

 発表した対策では、「生活者対策」「中小・小規模企業等企業活力向上、金融対策」「地方」に重点を置き、「生活者対策」では定額減税や住宅ローン減税など、「中小・小規模企業等企業活力向上、金融対策」では資金繰り対策や株式配当等の軽減税率の延長など、「地方」では高速道路料金引き下げや道路特定財源の一般財源化に際して1兆円を地方に振り分けることなどが盛り込まれています。

 また、国際金融問題への対応についても麻生総理の問題意識と改革案を示し、金融機関に対する監督と規制の国際協調体制、格付け会社に対する規制の在り方、会計基準の在り方を、11月15日に行われるG8首脳会議で議論するとしました。

 会見で麻生総理は、「かつてない難しいかじ取りですが、日本政府の総力をあげて取り組んでまいります。」と述べました。


麻生内閣総理大臣記者会見

【麻生総理冒頭発言】

 それでは、今回まとめさせていただきました、国民のための経済対策を発表させていただきます。

 初めに、現在の経済の状況について、私の認識を申し上げさせていただきたいと存じます。現在の経済は、100年に一度の暴風雨が荒れている。金融災害とでも言うべき、アメリカ発の暴風雨と理解しております。米国のサブプライム問題に端を発しました今回の金融危機というものは、グリーンスパン元FRB議長の言葉を借りるまでもなく、100年に一度の危機と存じます。

 証券化商品という言葉がありますが、これに代表されます新しいビジネスモデルが拡大をした。しかし、その中で金融機関がそのリスクを適切に管理できず、金融市場が機能不全に陥ったと存じます。

 ただし、日本の金融システムは、欧米に比べ相対的に安定しております。日本の土台は、しっかりしているということです。しかしながら、全世界的な金融システムの動揺というものは、株式とか債券市場を経て、世界の、また日本の実物経済、実体経済にも影響を及ぼしてくることは確実であろうと存じます。

 こうした状況の中で、何より大事なことは、生活者の暮らしの不安というものを取り除くことだと確信しております。すなわち、国民生活の安全保障であります。暴風雨を恐れて萎縮してはなりませんし、台風が通り過ぎるまでじっとしているだけでもだめです。今回の対策は、こうした認識を背景に策定させていただきました。

 対策は、大きく分けて2つです。

 1つ目は、国内でできること。それは、生活者の安全保障であり、金融の安定です。考えられる限りの大胆な対策を、経済対策としてまとめさせていただきました。

  2つ目は、国際的にしなければならないことであります。金融の安定化のために、国際協調を進めます。

 まず、国民の経済対策について説明させていただきます。概要は配付していると思いますが、その資料のとおりです。今回の経済対策は、国民の生活の安全保障のための国民の経済対策です。ポイントはスピード、迅速にという意味です。これまでにない大胆なもの。重点を絞り、ばらまきにはしない。そして、財源は赤字国債を出さないこと。

 策定に当たっての主な考え方を説明します。まず、日本の経済は全治3年という基本認識の下で、今年度から直ちに日本経済の建て直しに取り組みます。当面は、景気対策。中期的には、財政再建。中長期的には、改革による経済成長という3段階で経済財政政策を進めてまいります。

  また、今回の景気対策の意義は、単なる一過性、その場だけの需要を創出することではありません。自律的な内需拡大による、いわゆる確実な経済成長につなげる必要があります。そして経済の体質を転換し、日本経済の底力を発揮させることであろうと存じます。

  更に、財政規律維持の観点から、安易に将来世代に負担のつけを回すというようなことは行いません。経済成長と財政健全化の両立を目指してまいります。こうした考えに基づき、対策の財源は赤字公債に依存しません。
今回の対策の主なものを紹介します。

 まず第一は、生活者対策です。

  定額減税については給付金方式で、全所帯について実施します。規模は約2兆円。詳細は今後詰めてまいりますが、単純に計算すると、4人家族で約6万円になるはずです。
雇用につきましては、雇用保険料の引き下げ、働く人の手取金額を増やしたいと存じます。
また、年長フリーター、ロストジェネレーションとも言いますけれども、正規雇用をするように奨励します。
介護、子育てについても力を入れます。住宅ローン減税は、控除可能額を過去最大に拡大したいと思います。
第二に、中小企業・金融対策であります。

 これから年末にかけて、中小企業の資金繰りは苦しくなります。第一次補正で、緊急信用保証枠を6兆円としましたが、その後の国際金融情勢が、より厳しいものとなっております。中小企業、小規模企業の資金繰りをより万全なものとするために、私の指示で20兆円までこの枠を拡大します。
また、政府系金融のいわゆる緊急融資枠を、3兆円と前回しましたが、これを10兆円まで拡大します。合わせて約30兆円の対策となります。

  省エネ・新エネ設備を導入した場合に、即時償却、すなわち初年度に全額償却できるようにします。
金融対策につきましては、金融機関への資本参加枠の拡大を行わせていただきます。株式に対する配当課税など、現行10%しております軽減税率を延長させていただきます。

  第三は、地方についてです。

  高速道路料金を大幅に引き下げます。休日はどこまで行っても一律1,000円というわけではなくて、1,000円以下に。最高1,000円。平日は、昼間も3割引にさせていただきます。

 また、道路特定財源の一般財源化に際しましては、1兆円を地方に移します。

  以上のようなことを行い、その際にできるものから、順次実施させていただきます。法律、予算の伴わないものは、でき次第直ちに。

  次に、20年度補正予算と関連法律、その次に21年度の当初予算と関連法律の順に実施してまいります。
次に、財政の中期プログラムについて申し上げさせていただきます。今回の経済対策の財源は、赤字公債を出しません。しかし、日本の財政は、依然として大幅な赤字であり、今後、社会保障費も増加します。国民の皆さんは、この点について大きな不安を抱いておられます。その不安を払拭するために、財政の中期プログラム、すなわち歳入・歳出についての方針を年内にとりまとめ、国民の前にお示しします。

  その骨格は、次のようなものであります。

 景気回復期間中は、減税を時限的に実施します。経済状況が好転した後に、財政規律や安心な社会保障のため、消費税を含む税制抜本改革を速やかに開始します。そして、2010年代半ばまでに、段階的に実行させていただきます。本年末に、税制全般につきまして、抜本改革の全体像を提示します。簡単に申し上げさせていただけるのなら、大胆な行政改革を行った後、経済状況を見た上で、3年後に消費税の引き上げをお願いしたいと考えております。

 私の目指す日本は、福祉に関して、中福祉・中負担です。中福祉でありながら、低負担を続けることはできません。増税はだれにだって嫌なことです。しかし、多くの借金を子どもたちに残していくこともやめなければなりません。そのためには、増税は避けて通れないと存じます。勿論、大胆な行政改革を行い、政府の無駄をなくすことが前提であります。

  次に、国際的な金融、経済問題について申し上げます。

  まず金融機関に対する監督と規制の国際協調体制についてであります。今回のサブプライム問題に端を発した金融危機を見ると、次のような問題が挙げられると存じます。

 1つ目、貸し手側が行ったずさんな詐欺的な融資。
 2つ目、証券化商品の情報というものが不透明。
 3つ目、格付け会社の格付け手法に対する疑問。

  このような証券化商品のあらゆる段階において、不適切な行動が見られたということだと思います。
更にこうした証券化商品が、世界中の投資家の投資の対象になったことで、危機が全世界に広まったと思います。金融機関という、本来、厳格な規制が必要とされる分野におきまして、ここまで大きな問題点を見過ごした監督体制については、大いに反省すべき点があると思います。

 特に現在のような、各国当局がおのおの監督を行う仕組みでは不十分だと思います。金融機関を監督、規制する際に、いかに国際協調を構築するかについて、現実的な仕組みを来月15日にワシントンで開かれる、金融に関する、いわゆる首脳会議において議論をしたいと思います。

 2つ目は、格付けについての在り方です。格付け会社は、債券市場発展には不可欠なインフラ、いわゆる社会的基盤であります。しかし、サブプライム問題において証券化商品に関する格付けの在り方などに、深刻な問題点があったことは否めないと思います。このことが、世界的な金融不安を増長したという面がありました。こうした影響力を有する格付け会社に対する規制の在り方がどうあるべきか。

  また、アジアなど、ローカルな債券の格付けを行う地場の格付け会社を育成する必要があることを、首脳会議で議論したいと思っております。

 3つ目には、会計基準の在り方についてです。今回のような金融市場が大きく乱高下するような状況において、すべからく時価主義による評価損益の計上を要求することが、果たして適切であろうか。時価主義をどの範囲まで貫徹させるべきか。更に有価証券を売買するか。また、満期まで保有するのかによって、いかなる評価方法が適切であるのか。国際的な合意を目指して、首脳会議で議論を行わさせていただきたいと思っております。これが、国際金融問題に関する、私の問題意識と改革案です。

  以上、国民の経済対策と金融問題への対応について、その骨格を申し上げさせていただきました。かつてない難しいかじ取りであります。日本政府の総力を挙げて取り組んでまいります。国民の皆さんの御理解と御支援をお願いを申し上げて、説明に代えさせていただきます。

【質疑応答】
(問)
 総理が先ほど発表された、追加経済対策の柱となっています給付金の支給についてですが、平成11年に実施された地域振興券と同じように、財政負担の割には、景気浮揚への効果が薄いのではないかということもあって、野党側からはばらまきではないかという批判も出ています。総理は一貫して、政局より政策と主張されてきていますが、この中身を見ますと、生活対策より選挙対策という声も出ています。この批判について、総理はどうお考えですか。
  そしてもう一つ。この一部を実施するための第2次補正予算について、今国会に提出し、その上で会期を大幅に延長してでも成立を期すというお考えがあるのかどうか、お聞かせください。

(総理)
 給付方式はばらまきという御批判なんだと思いますが、私は減税方式に比べまして、少なくとも今年度内に行き渡るということが第一。税金を払っていない、あるいは納付額が少ないという家計にも給付される点において、より効果が多い方式だと私自身は思っております。
  また、これを今、補正予算等々の話を第2次補正にするか、これは今後の国会の運営の中で考えていくべき段階であって、今これを臨時国会中に出すか出さないかというのを、今の段階で決めているわけではありません。

(問)
 衆議院の解散総選挙の時期についてお伺いします。今後の国会は早期解散を求める民主党が抵抗を強めて、政策の実現は難しくなることが予想されます。党内には選挙で直近の民意を得て、本格的に政策を実現すべきという声もありますが、総理は解散総選挙をいつ断行するおつもりでしょうか。

(総理)
  解散の時期につきましては、しかるべき時期に私自身が判断をさせていただきます。

(問)
 それに関連してですけれども、公明党も早期解散を主張していましたが、先ほどの公明党の太田代表との会談、解散についてはどのようなやりとりがあったんでしょうか。

(総理)
 解散につきましては、公明党の方々の御意見、何も公明党に限らず、党内でもいろいろな御意見がありましたのは、御存じのとおりです。したがって、私自身としては、いろいろなことを勘案して、この解散の時期というのを決めさせていただくということで、公明党の方々と綿密な意見を交換させていただき、十分に意思の疎通が図られたと思っております。

(問)
 今の質問とも関連するんですけれども、公明党は11月30日に総選挙という前提で、本格的に準備を進めていたのではないかと思います。この点について、今後その選挙の時期に関する考え方の違いというのが、連立を運営していく上で何か影響があるのではないかということと、ここに至る経緯についての意思疎通について、何かしらの問題がなかったということでよろしいんでしょうか。

(総理)
 いろいろ特定な新聞社には面白おかしく書かれた例は、知らないわけではありませんけれども、私どもと太田代表との間に、いろいろな意味で意思の疎通によって、連立関係はおかしくなるというような関係はありません。

(問)
 今、解散についてお話しいただけなかったと思うんですが。

(総理)
 解散の時期については、私が決めますというのが答えです。

(問)
 この3年間、国民の審判を得ないまま、3代にわたって総理大臣が代わりました。麻生総理御自身も『文藝春秋』の論文で、国民の審判を最初に仰ぐのが使命だとお書きになっていたと思うんですが、その政権で政局より政策をずっと実現することに対する正当性について、どうお考えなのか。

(総理)
 うちは大統領制でないということは、よく御存じのとおりだと思います。ここは議院内閣制ですから。したがって、議院内閣制によって運営されているのであって、大統領制とは全く違うということであって、その正当性ということに関しては、全く問題がないと思っております。また、今、少なくとも世の中において、政局よりは政策、何より景気対策という世論の声の方が圧倒的に私は高いと思っております。

(問)
 総理の先ほどのお話の中で、2次補正については今国会に出すかどうかは、まだ決めていらっしゃらないということでありましたけれども、民主党の協力が得られるようであれば、今国会に提出することは当然考えていくということでしょうか。

(総理)
 私どもとしては、これは国会の運営上の話と密接に関係をしますので、それが本当に得られるかどうか。それを見極めながらでないと、何とも答えが出せない。もう御存じのとおりです。そういったことでありますので、きちんと今国会にしゃにむに出しますとも出さないとも言えないというのは、そういうことであります。

(問)
 地方への1兆円のことでお伺いしたいんですが、現在、国の道路特定財源の中から、約7,000億円を地方に交付する地方道路整備臨時交付金というのがあります。今回、一般財源化に当たって、臨時交付金というのはなくした上で、新たに1兆円を交付する仕組みをつくるのか。また、7,000億円を地方に交付する制度は維持した上で、これに加えて1兆円を交付する制度をつくるのか。そのいずれでしょうか。

(総理)
 これはまだ詳細に決めているわけではありません。しかし、基本としては1兆円というものを地方にということが基本です。

(問)
 総理は今、解散総選挙のことに関連して政局よりも政策、景気対策を求めるのが国民の声だとおっしゃいました。確認になりますけれども、ということは現在のところにおいては、当面は、解散はないというふうに受け取っていいわけですね。

(総理)
 NHKの当面という言葉の定義は詳しくわかっていないのでうかつなことは言えないんですが、当面と言ったではないかと言われて、どの程度が当面なのかよくわからぬからお答えのしようがありませんけれども、少なくとも今の段階において、補正予算というものが通るか、通らないか、国会の対応等々を見た上で、解散の時期等々はそれに関連してくるのは当然のことだと思いますが、いずれにしても私どもとしては、この政策というものを是非実現して、結果として国民の生活不安に応える必要があるというのが、私は優先順位からいったら一番なんだと、私自身はそう思っております。

(問)
 先ほど総理は100年に一度の危機だとおっしゃいました。そして、アメリカの大統領の選挙がありまして、アメリカもしばらく政治空白になることが予想される中で、やはり日本が解散によって政治空白をつくることがあるのかどうか。それについての率直な麻生総理の今のお考えをお聞かせください。

(総理)
 アメリカの場合は、11月4日から1月20日まで、いわゆる移行期間の間がなかなか難しい。これは4年に一遍必ず訪れる話ではあります。
 そういった時期に、世界第一の経済大国と第二の経済大国の日本とともに、それがかなり選挙等々でごちゃごちゃしているという状況は極めて好ましくないと、多分世界は思っている。事実言われたこともありますけれども、そういったことは確かに考えておかねばならない大事なところだと思います。
 しかし、一番大事なのは、この政治空白という言葉をどういう意味で言っておられるのかよくわかりませんけれども、少なくとも選挙になったからといって、突如と行政がなくなるわけではありませんし、政府はそこに存在をしておりますので、議院内閣制としては、アメリカのように一挙に何千人もお役人が変更するとか、変わるということもありませんし、そういった意味での政治空白というのは、この種の話の定義は難しいところですけれども、そういった意味で直ちに政治空白が起こると考えているわけではありません。




アジア欧州会合第7回首脳会合内外記者会見-平成20年10月25日

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平成20年10月25日、中華人民共和国を訪問しアジア欧州会合第7回首脳会合(ASEM7)や各国首脳との会談を終えた麻生総理は、北京市内で内外記者会見を行いました。

アジア欧州会合第7回首脳会合出席内外記者会見

【麻生総理冒頭発言】
 第7回ASEM、アジア・欧州首脳会合に出席をさせて頂いた。非常によく整理がしてある、また、組織が作ってあって、こういったことにこれまでいろいろ中国外務省をはじめ努力をしてこられたんだと思うが、オリンピックが終わった直後のこととはいえ、こういった形できちんとした整理ができていることに、心から敬意を表すると同時に、感謝を申し上げる次第である。
 また、同様に、日中平和友好条約締結30周年ということでも、いろいろこれまで関係者の方々にご案内いただく等々、いろいろしていて頂いたんだと思うが、改めて感謝を申し上げる次第である。
 今回はアジアと欧州から43カ国、出てこられた大統領、国王はじめ37カ国のリーダーと意見交換を行った。話題は何といっても最近の国際金融、それが与える国際経済への影響ということで、多くの時間を割いた。また、環境を含む気候変動問題、そして北朝鮮やアフガニスタンなどの地域情勢についても、活発な議論が行われた。
 また、ASEAN+3の他、個別に中国、韓国、ドイツ、フランス等々の首脳と会談も行った。
 ASEMについて、今回の主要テーマは、先ほど申し上げたように何といっても国際金融。その金融、これは決済という意味だが、金融決済システムということになるが、アジア・欧州の実物経済に与える影響にかなりつっこんだ議論が行われた。
 私の方からは、先般発表されたG7の行動計画の重要性を語り、IMF等々の国際機関の役割を言い、アジアにおける地域協力の必要性を訴え、賛同を得たところである。日本を含むアジアは1997年にアジアの金融危機というものを経ているので、そういった意味では、各国が協調して、この問題に取り組む姿勢というものを示せた、と考えている。
 中国の胡錦濤主席とも、来月ワシントンD.C.で行われる首脳会議、いわゆる緊急首脳会議をはじめ、今後の国際的な取り組みに関し協力していくことで一致した。
 地域情勢に関しては、私の方から、北朝鮮の核問題や拉致問題の解決の重要性を強調し、各国から理解も得ている。ヨーロッパの場合はイラン、アジアの場合は北朝鮮、地域性があるのは当然のことと思うが、当然、ヨーロッパ側からはイランの問題が提出されている。
 また、アフガニスタンの復興支援、テロとの闘いに引き続き積極的に参加していく考えを伝えた。
 気候変動問題では、すべての主要排出国が参加できる、そういった枠組み作りが大事で、産業など部門別の積上げ方式による削減目標、また、途上国への協力、などを呼びかけた。
 日中については、今回は、総理として初めての中国訪問であった。これまで総務大臣等で訪問したことはあったが、そういった意味では、胡錦濤国家主席、温家宝総理とそれぞれ会談し、日中間の戦略的互恵関係の推進を確認したところである。
 何かあれば、すぐに電話で話ができるように信頼関係を構築しておく必要があるのではないかということで、その点も一致した。
 「日中平和友好条約締結30周年」記念行事に胡錦濤国家主席とともに出席し、日中関係について、私の所信を申し述べ、記念すべき節目を祝福させていただいたところである。
 韓国の李明博(イ・ミョンバク)大統領とも、非常に有意義な会談を行った。北朝鮮の問題についても、日韓、さらには、日米韓3カ国で一層緊密に連携していくことを確認したところである。
 いずれにせよ、中国政府、並びに多くの中国の国民の方々、北京市民の方々、交通規制や何やらいろいろあったと思うが、いろいろ歓迎とおもてなしを頂いたことに対して、心より御礼を申し上げて冒頭の発言とさせていただく。

【質疑応答】
(問)
 金融危機が世界経済に与える影響が非常に深刻化していると思う。今回のASEM首脳会合でこうした危機に対処するため、有効なメッセージを発することができたと総理はお考えか。また、それについて、日本が果たした役割についてもお聞かせいただきたい。そして、11月15日にワシントンで緊急の金融サミットが開かれるが、今回の成果をこの場でどう活かしていこうとお考えか。

【麻生総理】
 メッセージは打ち出せたか(ということであるが)、45カ国から参加しているわけであるが、これは各国によって国内に与えられている影響は違う。ヨーロッパの方が傷が深いと思っている。アジアはそれに比べて、97年の経験があったせいもあると思うが、傷はヨーロッパに比べて深くないという状況にあると思う。少なくともアジアと欧州の両首脳が少なくとも金融危機というものに対して深い懸念を持っているということで、「国際金融情勢に関する宣言」としては、かなり明確なメッセージが出せたと思っている。
 日本として何を言ったかということであるが、これは97年、98年、貴方(注:質問した記者を指す)もご記憶かと思うが、これは三洋証券にはじまって山一証券、その間に北海道拓殖銀行、その翌年には日債銀、長銀とバタバタといかれた、その前には住専の話もあったし、そういった経験というのがあったので、どういうことを我々があの時行い、結果としてそれをおさめたかという経験というのがあるので、そういった意味であの時は日本だけで片付けているが、しかし、今回は各国当局による協調をしないとこれだけ広がっているので、難しいと。そしてこれを解決するためには各国は景気対策や経済対策をきちんと行わないとなかなか対応できないと。そのために外需主導ではなかなかできないので、そういったことを考えたとき、各国は自分の国内のための内需拡大等々を行わなければならないと。そして、IMFというものを97年の時と違って、今回はIMFの役割については、きちんともう一回役割を認識して、このところを大いに使うべきではないかと、結果的にそれは宣言となっていると思う。
 また、中、韓、仏、独、伊との二国間会談でも金融危機への対応ということに関しては、圧倒的に日本の方が経験、いい意味でも悪い意味でもこの問題では経験があるので、アメリカにおける首脳会議でも緊密に協議をしていくことで一致している。少なくとも我々としては、こういったものを単発で、その場でわんわん言うのではなく、ある程度意見をきちんと一致させていかないと、少なくともこれまでやったことのないことが起きているので、この経験を持っているという国は、こんな大きな規模のものをもった経験は1920年代以来ないとグリーンスパンの言葉を借りればそういうことになる。そういった点も考えてきちんとした対応していくべきだという点で、いずれももうちょっとなかなかまとまりにくいかなと思っていたが、金融危機が深刻という意識が皆あるんだと思うが、かなりまとまったものができたと思っている。

(問)
 自分は中国のインターネット・メディアの記者であるが、中国では多くの若者がインターネットを活用している。この機会に、総理は中国の若者に対して何かメッセージはあるか。今年は、日中青少年友好交流年であるが、日中関係において、若者はどのような役割を果たしていくべきと総理はお考えか。

【麻生総理】
 中国の未来をつくるのは若者、日本の未来をつくるのも若者、そしてたぶん、世界の未来をつくるのも若者、だと私自身は思っている。若者というのは、自分の息子がその世代、娘もその世代にいるせいもあるのかもしれないが、若者の力というのはあるんだと思う。「近頃の若い者は」という言葉はいつの時代でも必ず出る。エジプトのピラミッドの中にも「近頃の若い者は」と書いてあるそうだから、5000年前から皆同じことを言っているんだと思っている。そういった意味で、しかし、現状というものを改革して、新しい未来というものをつくっていくのは、これはどう考えても常に若者だったと思っている。若者の定義もいろいろあろうが、少なくとも若い人が行っていた。したがって築いていくのは若者なんだと思っているが、今、「青少年交流年」という話であったが、約3300人が相互訪問することになっている。是非、若い人には、中国の若い人には生(なま)の日本を、同じく、日本の若い人には生(なま)の中国を、見てもらうのが一番いいことだと思っている。胡錦濤国家主席も、このプロジェクト、この活動に大変興味を持っておられるというか、ご自身が1985年にそれを率いて日本に来ておられるし、その前の年に確か3000人日本から第一回目に訪中したと思うので、この話も主席と話をしたが、これは是非積極的に進めていくべき、今後ともこの交流は進める方向で日本としては考えている。

(問)
 衆議院の解散・総選挙について伺いたい。総理は、この問題について「政策よりも政局という時代ではない」、あるいは「一番いい時期に」という風におっしゃっている。世界的な金融危機、あるいは株価や為替の急激な変動ということを踏まえると、少なくとも経済に関しては一番いい時期とはいえないと思う。総理はどのように認識されているか。また、国会戦術についても、野党は早期の解散を念頭に国会対応をしているが、解散が先に伸びると言うことになると国会の戦術も変わって国会運営も難しくなるかもしれない。そうしたことをふまえて、総理はどのように考えていかれるか。

【麻生総理】
 解散・総選挙の時期というのは、様々な要素を勘案して決めなければならないのは当然のことである。今言われたように、グリーンスパンという人の言葉を借りれば100年に一度の国際的な経済危機だという表現を使っておられるが、これは非常に大事なところである。日本の場合は、アメリカ、欧州に比べて傷は浅い、今のところは、と思っているが、少なくとも過去8年間、日本は外需一本で、輸出に頼ってやってきた部分があるので、この部分は明らかに伸びがなくなるので、そういった意味では国内の景気対策、内需、国内需要を喚起する必要がある。その意味では、いわゆる「国内的な政局」という政治の話より昨日、今日各国から伺っているところをみていると、どう考えても「国際的な役割」を優先する必要性の大きさというのは、今回ここに来て改めて感じさせられたところでもある。
 今、国会審議への影響という質問があった。国内で永田町周辺にいればそういった意識が出てくるのは当然なので、それも十分に考慮しなければならない重要な点であると思うが、今申し上げたように、まだまだいろいろなことを考えなければならぬ問題、今この段階でするとかしないとか決めているわけではないので、これ以上、ちょっと答えようがない。

(問)
 金融市場は、来月15日にワシントンで開催される金融危機サミットにおいて、より多くの行動計画が表明されることを期待し始めている。90年代の金融危機を克服した経験を持つ日本として、このサミットを言葉だけではなく行動を伴ったものとして成功に導くために、どのような貢献を行えるのか。そして、アジアの経済構造を外部要因により依存しないものとするために、日本とアジア各国はどのような政策をとるべきか。

【麻生総理】
 すぐ、これが答だというものを持っているわけではない。ただ、先般G7で発出した行動計画に基づいて、主要国が今断固たる行動を取るということで、日本としても、日銀の流動性の確保を行ってみたり、補正予算が今週成立したり、また新たな対策というものを来週には出さなければならいと思って、迅速な手を打っているところである。
 サミットに臨んでは、大事なことは、短期的には、今の差し迫った金融危機の解決、株だとかいろんな問題があると思うが、中長期的には、やっぱり国際金融システム、正確には国際金融の決済のシステムというべきなのであろうが、そういったものを首脳間でもう少し議論する必要があるのではないかと思っている。簡単に言えば、今回は金融業界が開発したデリバティブと称する金融派生商品というが、金融派生商品という新たな商品の内容について、例えばそういったものの格付けや何やらをやるところ、もしくは政府が新しい商品というものをきっちり監視できていなかった、またもしくはその商品の透明性に問題があったのではないか等々、今いろいろな反省、もしくはそれに対していろいろな意見というのが出されているのは貴方(注:記者を指す)のご存知のとおりである。したがって、この問題をどういう具合にするかというのは、各国いろいろ意見が出てくるところだと思うので、是非この部分に関してもう少し規制をすべきであるという意見と、いや、規制をすると自由なイマジネーションというか、いろいろなイノベーションというかそういったものができなくなるとか、いろいろ分かれるのだと思うが、問題はやっぱり被害が出たということである。ここが一番問題。それがだまされたのではないか、といって買わされて損をした人は何となく納得していないというところが、こういったものを監督する側の行政としては問題。商品はインターナショナルにどんどん回るが、それを監督する方は一国で行っているので、国単位で行っても国際商品がぱっと回ったら監督できない、そういったものをどういう具合に行うべきか等々、考えなければならぬ問題がいっぱいあると私にはそう見える。したがって、この問題について各国が11月半ばまでにいろいろ案を考えると思うので、そういったものに日本としても積極的に参加をして、少なくとも当面はまず危機を乗り越えて、その後の中長期的なものをきちんとつくっていくという、二段階必要なのかなという感じがする。


アジア欧州会合第7回首脳会合(ASEM7)第1日

平成20年10月24日、麻生総理はアジア欧州会合第7回首脳会合(ASEM7)に出席するため、前日夜より中華人民共和国の首都・北京を訪れました。

 午前、麻生総理は人民大会堂で、東南アジア諸国連合(ASEAN)+3(日本・中国・大韓民国)首脳による非公式朝食会に出席しました。この中で麻生総理は、ASEAN+3諸国の持続的発展のためには、適切なマクロ経済政策を通じて、中長期的により自律的な発展をもたらす経済への転換、貿易・投資の一層の自由化、ASEANの統合努力への支援が重要である旨を指摘するとともに、アジア諸国の努力を引き続きODA等を通じ積極的に支援していく考えである旨を述べました。

 その後、麻生総理は北京市内のホテルで、韓国の李明博大統領と日韓首脳会談を行いました。会談では、未来志向の「成熟したパートナーシップ関係」構築に向け共に取り組んでいくことで一致し、また国際経済については、日韓両国で引き続き緊密に連携して対応していくことで一致しました。さらに北朝鮮問題について、麻生総理は、我が国にとっては核問題に加えて拉致問題もあり、双方について引き続き韓国の協力も得て対処していきたい旨を述べ、李大統領は日本の立場に対する支持を表明されました。

 終了後、麻生総理は人民大会堂で、中国の温家宝国務院総理と会談を行いました。会談では、食の安全などについて議論し、麻生総理は「食の安全」に対する消費者の不安・不信にしっかり目を向け、日中両国で協力してこれを取り除くことが急務であるとの立場から、中国による取り組みを求めたのに対し、温総理は中国政府として責任を負う、日本との協力を強化したいという旨を述べられました。その後、麻生総理と温総理は日中刑事共助条約の批准書交換及び日中領事協定の署名に立ち会いました。

 続いて、麻生総理は胡錦濤国家主席と会談を行いました。会談では、日中関係などについて議論し、電話会談等を活用した頻繁かつタイムリーな意思疎通を行うことで、首脳間の個人的信頼関係を構築していくことで一致しました。また、麻生総理から、青少年の相互交流などを来年以降も着実に継続し、国民レベルの相互理解を深めたい旨を述べたのに対し、胡主席からも、人的・文化的交流を強化したい旨が述べられました。

 午後、麻生総理は日中平和友好条約締結30周年記念レセプションに出席し、挨拶を行いました。麻生総理は挨拶の中で「私たちは、同じ未来を見据えています。日中関係の「底力」に、日中協力の可能性に、私たちはもっと自信を持っていい、私はそう思います。」と述べました。

 その後、麻生総理は北京市内のホテルで、ドイツ連邦共和国のアンゲラ・メルケル首相と日独首脳会談を行いました。会談では国際金融危機や世界経済の問題について議論され、麻生総理から、実体経済への影響が及びつつあるアジア経済の現状について見方を述べたのに対し、メルケル首相からも、現下の状況が実体経済への影響を懸念するとの見方が示されました。

 終了後、再び人民大会堂に戻った麻生総理は、ASEM7歓迎式典に臨み、参加する各国の首脳と写真撮影を行った後、開会式に出席しました。終了後、国際経済・金融情勢をテーマにした首脳会合で各国首脳と議論しました。


アジア欧州会合第7回首脳会合(ASEM7)第2日

平成20年10月25日、中華人民共和国の首都・北京を訪問中の麻生総理は昨日に引き続き、アジア欧州会合第7回首脳会合(ASEM7)に出席しました。

 午前、麻生総理は人民大会堂で、グローバルな課題をテーマにした首脳会合で各国首脳と議論しました。この中で、食糧問題及び気候変動対策に関して議論され、短期・中長期双方の取り組みの必要性が指摘されました。

 その後、パキスタン・イスラム共和国のマクドゥーム・サイヤド・ユースフ・ラザ・ギラーニ首相と会談を行いました。

 会談後、持続可能な開発をテーマにした首脳会合に出席しました。この中で、気候変動、エネルギー安全保障及び開発について議論され、気候変動に関する次期枠組みについてのCOP(締約国会議)の議論を促進させる必要性で一致しました。また、麻生総理は、気候変動問題に関し、全ての主要排出国が参加できる枠組み作り、産業など部門別の積み上げ方式による削減目標、途上国への協力を呼びかけました。

 終了後、ワーキングランチが開催され、国際情勢・地域情勢について、アジアと欧州の地域協力、朝鮮半島情勢、アフガニスタン情勢、イランの核問題、ミャンマー情勢等、幅広く意見交換が行われました。この中で、麻生総理は北朝鮮の問題について、、核問題・拉致問題の早期解決に向けた協力を求め、これに対し各国から理解を得ました。また、麻生総理はアフガニスタンについて、復興支援や「テロとの闘い」に引き続き積極的に参加していく考えを表明しました。

 その後、麻生総理は、イタリア共和国のシルヴィオ・ベルルスコーニ首相と会談を行いました。

 会談後、文明間の対話をテーマにした首脳会合に出席しました。この中で、多くの国が、異文化、伝統や宗教に敬意を払い、相互理解を増進していくことの重要性を強調しました。また、グローバル化に伴い生じる国家間の衝突や対立を緩和する上で、異なる文明間の対話や文化交流が果たす役割を認め、ASEMパートナーが一致した行動をとることの重要性について意見が一致しました。

 こうして2日間の議論を終え、議長声明などの成果文書を発出し、ASEM7は閉会しました。

 閉会式前には、麻生総理はフランス共和国のニコラ・サルコジ大統領と会談を行いました。

 ASEM7閉会後、麻生総理は北京市内のホテルで、今回の中国訪問について総括する内外記者会見を行いました。

 この中で、麻生総理は「ASEM7については、何と言っても国際金融、金融決済システムということになりますが、アジア欧州の実物経済に与える影響についてかなり突っ込んだ議論が行われております。私からは、アジアにおける地域協力の必要性を訴えて賛同を得たところであります。」と、最近の国際金融などについて多く議論したことを強調しました。また、「地域情勢に関しましては、私の方から北朝鮮の核問題や拉致問題の解決の重要性を強調し、各国から理解も得ております。また、アフガニスタンの復興支援、テロとの戦いに引き続き積極的に参加していく考えを伝えております。」と述べました。さらに、内閣総理大臣として初めての中国訪問に関連して日中関係について「胡錦濤国家主席、温家宝総理とそれぞれ会談をさせていただき、戦略的、日中間の戦略的互恵関係の推進を確認したところです。」と述べました。


総理の動き-航空観閲式に出席-平成20年10月19日

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平成20年10月19日、麻生総理は、茨城県小美玉市の航空自衛隊百里基地で開かれた航空観閲式に出席しました。浜田防衛大臣とともに特別儀状隊の栄誉礼を受け、各部隊を巡閲しました。

 自衛隊の最高指揮官として、訓示の中で、「自衛隊の活動は、非常に多岐にわたります。昼夜を置かず、怠ることのできない、警戒監視。何時起きるかわからぬ、災害への対応。ペルシャ湾での掃海活動。カンボジアや、東チモールなどでのPKO活動。そして、津波支援などの国際緊急援助活動。現在も、はるか中東の、ゴラン高原や、イラク、インド洋、ネパールにおいて、自衛隊は、国際社会のため、そして、我が国の国益のために、汗を流しております。そして、間もなく、アフリカのスーダンにも、隊員が派遣されることになります。私は、ご家族と遠く離れ、厳しい環境の中で、任務に真摯に取り組む諸官を、誇りに思います。」と述べました。

 また、国際平和協力活動については「我が国は、国際社会の責任ある一員として、国際社会の平和と安定のため、人的貢献をしていく必要があります。航空自衛隊によるイラク復興支援活動は、国際社会から、高い評価を得ております。平成16年3月から約4年7か月、大きな事故一つなく、任務を全うしています。大変素晴らしく、誇りに思っているところでもあります。これらの実績を踏まえ、今後とも「テロとの闘い」をはじめとする国際平和協力活動に、主体的・積極的に取り組んでいく必要があります。」と述べました。

 さらに、インド洋での補給支援活動については、「補給支援活動は、日本が、日本の国益をかけ、日本自身のために行ってきたものです。 そして、多くの国が、尊い犠牲を出しながら、アフガニスタンへの関わりを、むしろ増やそうとしております。来年早々、この活動の期限を迎えますが、国際社会の一員たる日本が、この活動から手を引く選択は、ありません。」と、継続する必要性を訴えました。

 最後に「私は、自衛隊の最高指揮官として、諸官と心を一つにし、我が国の独立と平和を守るという、崇高な使命を果たす決意であります。諸官においては、日本が、長く平和と繁栄を享受できるように、その礎として、常に国民とともにあり、国民を守り続けていく使命を常に自覚し、任務に精励されることを強く希望して、私の訓示とかえます。」と締めくくりました。

 その後、麻生総理は陸海空の各自衛隊の隊員約5,000人、航空機約40機を観閲しました。


総理の動き-スーパーマーケットの視察-平成20年10月19日

http://nettv.gov-online.go.jp/prg/prg2214.html

平成20年10月19日、麻生総理は東京都内のスーパーマーケットを訪れ、商品の価格等について説明を受けながら、乳製品売り場や鮮魚売り場などを視察しました。

 視察を終え、麻生総理は、「今、物価の話とか、物が品切れの話とか、値段が同じだけど量が減ったとか、よく、いろいろな人がしている話を、現実にどうかなと関心があった。」と述べました。

 その後、駅前のタクシー乗り場で乗客待ちをするタクシーの運転手から、一日の売り上げなどについて話を聞きました。