中国訪問-平成21年4月29日・30日
平成21年4月29日・30日(現地時間)、麻生総理は中華人民共和国の首都北京を訪問し、胡錦濤国家主席、温家宝国務院総理との首脳会談を行いました。
http://nettv.gov-online.go.jp/prg/prg2547.html
平成21年4月29日、中華人民共和国を訪問するため政府専用機で羽田を出発した麻生総理は、同日午後(現地時間)、中華人民共和国の首都北京に到着しました。
まず、国際交流基金北京日本文化センターを訪問しました。国際交流基金の藤田安彦所長から、センターの活動状況についての説明を受けた後、国際漫画賞の展示ブースや北京外国語大学日本語学科学生のアフレコを視察しました。
その後、人民大会堂において歓迎式典に出席した後、温家宝国務院総理との会談を行いました。会談では、日中関係や北朝鮮問題について話し合いました。日中関係について、麻生総理は、日中両国は「戦略的互恵関係」を育てていくべきであると指摘し、両国は、本年も様々な機会にハイレベルでの意思疎通を継続していくことを確認しました。新型インフルエンザ問題についても、事態の深刻さにかんがみ、日中間で情報交換や予防措置の協力を行っていくことで一致しました。また、環境、エネルギー・気候変動問題、交流の推進、食の安全、東シナ海資源開発、核軍縮等での協力の強化について意見交換し、経済・ビジネス分野に関しては、第二回日中ハイレベル経済対話を6月7日に東京において開催することで一致しました。さらに、北朝鮮について、麻生総理は、我が国として北朝鮮の非核化を進めていく上で六者会合が最も現実的な枠組みと考えており、議長国の中国に重要な役割を果たして欲しい旨を述べ、中国側の引き続きの協力を求めたのに対し、温総理は、六者会合を通じて朝鮮半島の非核化を実現したい旨を述べました。
平成21年4月30日(現地時間)、中華人民共和国を訪問中の麻生総理は、新型インフルエンザに関する記者の質問に答え、「WHO(世界保健機関)が今回の新型インフルエンザのフェーズを4から5に引き上げたと報告を受けましたので、官房長官に電話をして、官邸で会合を開くだろうから、それに先立ってやるべきことをきちんとやって万全を期すように指示をしました。」と述べました。
この後麻生総理は、首都鉄鋼を訪れ、コークス乾式消火設備を視察しました。日本政府は首都鉄鋼に対して、1997年度から2000年度に新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)によるコークス乾式消火設備モデル事業を実施しています。
続いて、麻生総理は日中次世代ビジネスリーダとの集いに出席しスピーチを行いました。スピーチの中で「私たちが将来にわたって平和と繁栄を享受していくために、軍縮・不拡散、PKO、海賊対策、シーレーンの安全保障など、平和構築の分野での日中協力の可能性について、積極的に考えていくことが重要ではないか。そのような考えから、私は、ダイナミックな構想を、日中の明日を担う世代が模索し、継続的に議論をするための場として、『日中次世代リーダー対話』の立ち上げを昨日温家宝総理に提案し、ご賛同を得ました。地理・歴史的に「永遠の隣人」である日中両国は、『戦略的互恵関係』を築くことを選択しました。これが、日中『共益』を実現していく上で正しい道であるというのが、私の信念です。」と述べました。
その後、人民大会堂において、胡錦濤国家主席と会談を行いました。会談では、日中関係や北朝鮮問題について話し合いました。「新型インフルエンザ問題」について、日中双方が密接に情報交換を行い、必要に応じて感染防止についての協力を行っていくことで一致しました。また、日中間の「戦略的互恵関係」の推進を具体的に図っていくことで一致をしました。具体的には、第一に、経済・ビジネス分野について、世界金融・経済危機に関して今月初めのロンドン・サミットの合意を迅速かつ着実に実施すること。第二に、環境、エネルギー、気候変動問題について、対話と協力を一層進めること。第三に、日中両国民間の交流を一層推進すること、について一致しました。さらに、北朝鮮については、先般の北朝鮮のミサイル発射に関して、国連安全保障理事会において、迅速に国際社会の一致したメッセージを出すことができたことを歓迎し、同時に、六者会合の再開に向けて日中双方が緊密に協力をしていくことを確認しました。
会談の後に行われた内外記者会見で、麻生総理は、「今後日本としても、また中国としても、国内の経済対策、また、国際金融に関しての貢献など、色々な義務をきちっと履行して、以て経済の回復、金融危機の克服というものに日中が手を携えてやっていく意思というものを明確に確認しあったというところが一番大きな成果だったと思います。」と述べました。全ての日程を終えた麻生総理は、夜、北京を発ち帰国しました。
【麻生総理冒頭発言】
日中間では、毎年、一方の首脳が他方の首脳の国を訪問するという合意があります。今回の訪中は、この合意に基づいて、中国政府からの招待によって実現したものです。昨日、温家宝国務院総理と会談を行い、先ほど、胡錦濤国家主席との会談を終えたところです。胡主席、温総理とは、この半年余り、半年強になりますが、それぞれ4回ずつ会談をさせていただきました。日中両国が、緊密な意思疎通が行われる関係にあることを、大変喜ばしく思っております。
両指導者との会談では、いま深刻化しつつあります「新型インフルエンザ問題」について、日中双方が密接に情報交換を行い、必要に応じて感染防止についての協力を行っていくことで一致をしております。その上で、日中間の「戦略的互恵関係」の推進を具体的に図っていくということで一致をしました。
具体的な成果としては、次の三点が挙げられます。
第一に、経済・ビジネス分野についてです。世界金融・経済危機に関しては、今月初めのロンドン・サミットの合意を、迅速かつ着実に実施することで一致をしております。その上で、内需拡大を中心とするマクロ経済対策の推進、保護主義の抑止、アジア諸国への支援等で、日中両国が共に取り組んでいくことを確認しております。
第二に、環境、エネルギー、気候変動問題で、対話と協力を一層進めることで一致をしております。石炭火力発電の省エネ、黄砂・酸性雨などの広域大気汚染などに対応するため、協力を進めていくことで一致をしております。また、気候変動問題では、京都議定書の後の2013年以降の国際的な枠組み作りへの中国の責任ある参加を促しております。
第三に、日中両国民間の交流の一層の推進に関しましても、大きな成果が得られたと思います。本年も、引き続き、日中双方で4,000名の青少年交流を行います。特に、我が国は、「四川大地震」被災地域の中学・高校生約100名を、日本へ招待することをお伝えしております。また、羽田空港と北京の首都空港の間の定期チャーター便を、本年10月から開始することで、一致をしております。
現下の深刻な問題である北朝鮮をめぐる諸懸案も取り上げました。先般の北朝鮮のミサイル発射に関して、国連安全保障理事会において、迅速に、国際社会の一致したメッセージを出すことができたことを歓迎しました。同時に、六者会合の再開に向けて、日中双方が緊密に協力をしていくことを確認しております。
最後に、今般の訪中に際し、中国政府、北京市民、中国の国民の方々より、温かい歓迎とおもてなしを頂いたことを、心より御礼を申し上げる次第です。
なお、この場をお借りしまして、国民の皆様に新型インフルエンザ対策について一言申し上げます。政府としては、適確な情報を提供すること、水際対策を徹底するなど、万全の対策をとります。国民の皆様には是非冷静な対応をお願いします。私の方からは、以上です。
【質疑応答】
(問)
まず、新型インフルエンザ対策についてお聞きします。WHOが警戒水準を4から5に引き上げました。首脳会談で日中が連携して対策に取り組むことで一致したということですが、今後の日本政府の対応について具体的にお聞かせください。
もう一点は、首脳会談で、北朝鮮に6カ国協議復帰を促すことで一致したということですが、北朝鮮は国連安全保障理事会が謝罪しなければ核実験を行うと反発しております。日本政府の対応をお聞かせください。
(麻生総理)
まず、新型インフルエンザの問題につきましては、今回の首脳会談において、現下の事態の深刻さを考えて、日中両国間でも協力して対処していくことで一致をしております。また、日中両国は、今後の状況の推移を踏まえて、タイムリーな情報交換とか予防措置についての協力を行っていくこととなります。また、WHOが警戒水準を従来のフェーズ4から5に引き上げたことに伴って、日本政府の対応としては、まずは、水際対策を一層徹底し、仮に日本において感染が見つかった場合、その速やかな対応、必要な対応を講じる。また、行動計画というものを作っておりますので、その示された対策のうち、必要なものから弾力的にすすめていくということで既に指示を出しております。
北朝鮮に関しましては、これは国際社会におけるいかなる緊張も高めるというような行為は建設的ではありません。六者会合が早期に再開されることが重要という認識で日中は一致を致しております。これは、国際社会全体の考え方でもあろうかと思います。北朝鮮が、先の国連安全保障理事会の議長声明を重く受け止め、国際社会の平和と安定というものを損なう行動は慎み、国連安保理決議を守ることを改めて求めたいと思います。六者会合は、北朝鮮の問題を解決する上で、最も現実的な枠組みでもあると思っております。政府としては、六者会合のいわゆる議長国・中国を含みます関係国と今後とも緊密に連携しながら、六者会合の再開に向けて努力をしたいと考えております。
(問)
現在、中日両国は金融危機の挑戦に直面しています。戦略的互恵の前提の下、両国は、省エネ、環境保護、情報通信、エコ経済、ハイテク技術等の分野で積極的に協力を広げていくと思われますが、これらの協力の具体的な内容はどのようなものとなるでしょうか。
もう一つの質問は、総理の個人的な事柄に関わることですが、総理は1976年のモントリオール五輪に射撃の選手として出場されていますが、今現在でも射撃をやられていますでしょうか。
(麻生総理)
いろいろ質問を世界中で受けておりますが、これだけ脈絡のない質問は初めてで、すごく印象に残りました。
日中両国は、戦略的互恵関係の立場から、これまでも、昨年の5月、胡錦涛国家主席が訪日された時に、70の項目にわたって協力の合意をしております。そのうち大体8割ぐらいまでできあがりつつあると思っております。また、環境、省エネ分野の官民合わせて505件の協力実施など、広範な分野で、多くの協力を実施してきております。今回の訪中におきましても、温家宝総理との首脳会談において、省エネ、環境保護等の分野では、汚染が深刻になっております湖などの浄化、また、石炭火力発電所の省エネ、環境対策などの、「省エネ・環境総合プラン」を新たにスタートさせることで、一致しております。
また、発展というか進展が著しい情報通信分野においては、情報通信関連の法律の整備、また、次世代、次世代というのはnext generation、3G、色んな言い方がありますけれど、次世代通信の研究開発等の新たな協力を進めることで一致をしております。具体的な内容を詰めるため、来月、5月4日、5日に鳩山総務大臣を訪中させることにしておりますので、細目はそちらに聞いていただけると分かると思います。
モントリオールのオリンピック以来、鉄砲はどうだという、まことに適切なご質問、というとちょっとおかしいか、ご質問をいただきましたけれど、翌年に、青年会議所の会頭やら何やらをやり、その翌年に国会議員になって選挙やら何やらで、以来、鉄砲をああいった世界選手権レベルで争うというのはちょっとなかなか遠くなりましたし、目も、昔は百円玉をこうやって投げて、ばっとつかんで裏か表か見えるぐらい動体視力がよかったんですが、今は自分のゴルフボールも見えないくらい目が悪くなりましたので、残念ながら鉄砲はたまにという話で、射撃の選手としてはもうとてもじゃないけど引退です。
(問)
衆議院の解散についてお伺いします。総理は先に、「補正予算案や関連法案、海賊対策の法案などがある中で、補正予算だけ成立させて、あとは終わりという状況にはないと、みんな思っているはずだ。」と、いうふうに発言されています。今日も、昼間におっしゃっていましたが、エコカーを買った人に対する補助とかですね、新たな経済対策を実施するためには、その裏付けが必要になります。与党内にも、補正、関連法案成立した後の解散を求める声が多くなっていると思うんですが、政局より政策という姿勢でこられた総理としてはですね、補正予算案、あるいは関連法案、重要法案の成立を解散よりも優先させる考えでしょうか。
(麻生総理)
補正予算及び関連法案や、また、年金法案、海賊対処法案等いろいろ重要法案がありますので、いずれも、これは消費者庁法も含めて国民生活にとって、きわめて重要、かつ急がなければならないものだと思っております。これは国民感情も同じだと思っておりますので、少なくとも、野党の皆さんにも、この補正予算はもちろん、関連法案ももちろん、重要法案についても協力をいただきたいと思っておるのが基本的な姿勢です。十分協議の上、早急に結論を出していただきたいと思っておりますので、解散するか否か、それは最終的に私が決めます。
(問)
世界で第2位と第3位の経済大国である日本と中国ですが、双方ともに東アジアに属しております。そのような日本と中国は、金融危機に打ち勝つためにどのように連携して対応していくのでしょうか。そして、アジア経済の回復をどのように確保していくのでしょうか。
(麻生総理)
大変いい質問だと思います。今回の訪中において、胡錦涛主席、及び温家宝総理との間で、世界経済並びに世界の金融危機について、日中が協力していくことで一致をしております。
具体的にはいくつかありますが、先ず、アジアを含む世界経済回復のためには、4月のロンドンのサミットで議論をされました点をよく踏まえて、今、劉さんとおっしゃるんだっけ、「第二、第三の経済大国である」という表現をされましたが、日中両国が、自分の国の内需拡大、輸出ではなく内需拡大を中心とする国内経済対策に全力を挙げるべきだと、その重要性を確認したところです。
また、さらに、両国とも、外貨準備、いわゆる資金の流動性というものをもっている数少ない国ですから、途上国への資金フロー確保のために、IMFや国際開発金融機関による積極的な対応、そして、保護主義の抑止、また、ドーハ・ラウンドの早期妥結、そういったことの重要性というものを確認をしております。
また、アジア経済の回復、これはアジアは経済回復における経済成長のセンターとしてはもっとも重要な地域だと考えますが、このアジア経済を回復させるためには、貿易をやっていくときに、保険、金融、そういったものの支援がないとなかなか難しくなっている面があります。また、チェンマイ・イニシアチブというものが、これはバイ、つまり1対1になっているものを、マルチ、つまりみんなでやっていく、また、アジア開発銀行(ADB)の一般増資の早期実施等が重要であることについて確認をさせていただきました。これは、今まで随分議論のあったところですけど、これを話をさせていただきました。あわせて、金融が安定すればいいというだけではなくて、やはり実体経済というものが発展をしていくためには、アジアの成長力の強化とそのための内需拡大というものが重要なんだということを確認したということが、今回、色々これまでの議論を詰めさせていただきましたが、この点に関して双方で合意ができましたので、この線にそって、今後日本としても、また中国としても、国内の経済対策やら、また、国際金融に関しての貢献やら、色々な義務をきちっと履行して、以て経済の回復、金融危機の克服というものに日中が手を携えてやっていく意思というものを明確に確認しあったというところが一番大きな成果だったと思います。
日中次世代ビジネスリーダーとの集いにおける
麻生内閣総理大臣スピーチ
~日中次世代リーダーに送る私の応援歌~
本日、ここには、日中関係の未来を担っておられる、若手の方々が、たくさんお集まりです。皆さんの前でお話できることを楽しみにして今日はやって参りました。
今回は、中国政府にお招きをいただいて、北京を訪問しております。昨年来、胡錦濤国家主席、温家宝総理との間で、今回を含めて、この半年余りでそれぞれ4回ずつお目にかかったこととなり、緊密に意思疎通が図れていると思っております。
「もし青年と呼ばれたいならば、自分の理想の現実化に悩むべきであり、決して安易に妥協に流されるべきではない。」
これは今から30数年前、私が日本青年会議所会頭として述べた言葉でありますが、今日ここでお話をするにあたり思い出した言葉です。
今の時代に限らず、いつの時代も、若い世代は、前の世代の経験を活かし前進します。私は、皆さんが、より開かれた、創造性と感性をもって活躍されていくことを信じて疑いません。
本日は、日中両国の次の世代を担うリーダーの皆さんに対して、応援歌を歌いたいという想いで話をさせていただきます。
(経済危機への対応)
現在、我々は、「100年に一度」と言われるような世界経済、金融危機に直面しています。この危機は、これまでの経済学の教科書では確実な解決方法が見つけられない、極めて深刻なものだと思っています。これまで起きたことのないことが起きています。貸出しの金利がほぼゼロでも、経営者が金を借りて設備投資をしないという前提で書かれた経済学の本はありません。つまり、このところ起きている経済現象を説明できる経済学の本はないということです。しかし、私は、今回の危機を教訓として、この困難を乗り越えた先には、より強い経済と、ガバナンスシステムの構築ができる、そういうチャンスに我々は向き合っていると、そう前向きに捉えていかねばならないと思っています。
この危機に際し、世界第二、第三の経済大国であり、世界経済に大きな影響力を持っている日中両国が、足並みを揃えることは極めて重要だと思っています。
具体的には、(1)金融市場対策としては、銀行システムの維持のためには流動性の確保、そして金融機関への資本注入、不良債権の処理、これを行う、また(2)大規模な財政の出動をやって、景気を刺激する、そして(3)1929年の世界恐慌を学んで、断固として保護主義に対抗する、といった政策の実施が必要です。
その意味で、中国が昨年来、約4兆元の規模の経済対策を実施していることを、我々は高く評価します。日本もこれまで、真水で総額12兆円、事業規模で75兆円、そしてこの月曜日、3日前ですが、さらに、真水で15兆円、事業規模で57兆円の経済対策を、今実施に移しつつあります。
(アジアの経済成長)
次に、この経済危機を克服した後、アジア経済をいかに成長させていくか、いかなる社会を創造していくかという問題に触れてみたいと思います。アジアは、世界で最も大きな潜在力を持った、「21世紀の開かれた成長センター」、その潜在力を十分に活かせる環境を整える必要がある。そのためには、アジアの経済をリードする日中両国が協力することが、その大前提になると思います。
まず、アジア地域の協力、対話の枠組みを力強く進める必要があろうかと思います。
例を3つほど挙げます。
第一の例は、東アジア域内における通貨危機を防止するための二国間、バイの通貨スワップ取極のネットワーク、いわゆる「チェンマイ・イニシアティブ」があります。この枠組みは、地域の金融システムの安定化に大きく貢献しました。今後、この力を更に高めるために、この枠組みをバイからマルチに早急に変えていく、拡げていく、それを実現したいと、今、日中両国は同じ思いでいると考えます。
第二の例は、アジア地域内の広域インフラ整備を進め、人と物と金と情報の流れを加速することです。これは、経済、社会に大きな影響を与えます。例えば、ベトナムのホーチミンからインド洋を渡ってインドのチェンナイまで、マラッカ海峡を経由して、陸路・海路で今は約2週間かかります。これをホーチミンからアンダマン海まで、ベトナム、カンボジア、タイ、この3カ国を通る陸路をつくります。この3カ国の陸路を整備し、通関、極めて煩雑な通関の技術的な諸手続きのために国境通過に多くの時間がかかっているのですが、これを短縮すれば、だいたい8日でホーチミンからチェンナイまで運ぶことが可能になります。
第三の例は、日中韓サミットです。昨年12月に、九州の福岡で初めて独立して開催された日中韓3カ国のサミットは、歴史的な会議でした。ご存知かとは思いますが、日中韓を合わせた経済規模は、英独仏を合わせたものよりも大きい。この三国間の協力は、世界の注目を集めました。本年、二回目が中国で開催されることになっていますが、この会議を成功させ、三国間の協力を更に推し進めていきたいと思います。日中韓で協力して同じプロジェクトを進めていくことはこれまでで初めての試みです。
(新しい社会の構築)
日中両国が持続的な経済成長を実現する上で、今後、両国の社会が共通して直面する課題も無視できないと思います。環境・省エネ問題はその最たる例の一つです。
私は、先日2020年の日本の成長ビジョンとして、低炭素革命(Low Carbon Emission Revolution)の推進を新たな成長戦略の一つとすべきだと表明しました。
低炭素の革命は、新たな技術と同時に国民の社会システムの変革からなります。そのため、日本は、太陽光発電、電気自動車、省エネ家電などの普及のための取組を開始しました。
この取組の鍵は、「新たな需要を、政策的に起こす」という強い政治的意志と、メッセージであります。太陽光発電については、まず(1)家庭の屋根にソーラーパネルを設置するにはそれなりのお金が必要であるので、設置に対する補助、(2)各家庭で作った電気がありますが、余った電気を電力会社に買ってもらう、各家庭で作った電気は通常の倍の値段で売れますので、こうした「買取制度」、(3)一万校以上の小中学校でソーラーパネルを設置。こういった政策パッケージを決めました。電気自動車などのエコカーの自動車の取得税、自動車を買うと取得税がかかりますから、重量税を無税にする、またエコカーを買ってくれた人には10万円、登録から13年経過した古い自動車から買い換えてくれた人には25万円の支援をそれぞれ行うこととしました。
中国でも2020年までの時期を総合国力向上のための「戦略的チャンスの時期」と位置づけられて、「科学的発展観」に基づく成長戦略を進められています。そこでも、環境への配慮は最も重要な要素です。
私は今日、日中両国の協力プロジェクトである首都鋼鉄という鉄工所に見学に行きました。そこでは、環境改善やエネルギー利用の効率化、これと鉄鋼生産を、見事に両立させていました。ご存知のように、中国は世界一の粗鋼生産国。そして日本は、世界最高水準の、環境・省エネ技術を保持しています。それらを総合させれば、日中両国は、更に飛躍できる。今日、その確信を一層強めたところです。
また、少子高齢化、これは中国は「一人っ子政策」を進めていますから間違いなく少子高齢化は必ずおきます。新しい社会を構築する上で、日中両国ともに、避けては通れない問題です。2015年には、中国で労働人口は横ばいとなります。そして高齢者数は2億人になる。こうした分析が出ていますが、人口動向への分析はまず当たりますから、2015年には高齢者数は2億人になる。日本は、2013年には4人に1人が、65歳以上になると推計されています。我々は、この現状に対し活力ある健康長寿社会を実現しなくてはなりません。暗くて貧しい高齢化社会ではありません、活力ある健康長寿社会を築かなくてはなりません。そのためには、高齢者も社会で活躍できる、医療・介護のシステムを整備することが不可欠です。そのための取組を日本では始めています。今後、日中両国は、少子高齢化対策においても、大いに協働で作業できると考えます。
(世界平和のための協力)
私はここまで、日中両国が、持続的に繁栄していく上での課題について述べてきました。しかし、日中両国を取り巻く国際環境が平和であってこそ、はじめて、そうした考えが意味を持つということを忘れてはいけないと思います。
日本は、戦後、平和国家として歩みを堅持し、平和的手段によって世界の繁栄と安定に貢献をしてきたところです。英国国営放送BBCの世論調査では、世界で日本がカナダと並んで、最も好影響を与えている国として、2年連続で高く評価されています。日本の総理大臣として、日本は、これからも平和国家として歩み続けていくことを表明します。
中国は、近年、急速な発展を遂げました。私は、中国の経済発展は、国際社会にチャンスをもたらし、当然それは、日本にとっても好機であると考えます。しかし、一部には、中国の経済発展が、将来の軍事大国化につながるのではないかと不安視する向きがあるのも事実です。私たちは、中国が近年、「平和的発展」という戦略を標榜し、恒久の平和と共同の繁栄をもたらす世界の構築に貢献していく決意であると承知しています。そして、中国が、そのような決意にふさわしい行動をとっていくことにより、地域や世界に不安や懸念を生じさせないことを期待をしています。
今後とも、日中両国が、軍事大国にはならず、また、互いに脅威になることなく、平和的な発展に向けて協力してゆく。それこそが日中両国が国際的に期待されていることなんだと確信をしています。
(次世代リーダーへの期待)
日中関係の将来を担う若手リーダー、若手ビジネスマンの皆さん。
本日は、将来の日中両国、アジア、そして世界をより良きものにするために、私が考えている視点をいくつか述べました。しかし、21世紀は、皆さんが活躍する場です。それ故、来るべき時代に備え、日中両国若手リーダーが何ができるか、何をすべきかについて、皆さん自身に考えていただきたいと思います。
かつて、高名な経済学者であるシュンペーターが、「創造的破壊」という言葉でイノベーションの重要性を指摘しました。私は、皆さんには、ぜひステレオタイプな考え方にとらわれず、あらゆる可能性を追求してほしい、そう考えます。例をあげます。
世界全体の貿易の四分の一以上を占めている東アジア地域、日中両国はその約半分を占めています。このような日中両国の更なる経済連携の可能性、場合によっては、日中EPAの可能性まで議論してもよいのではありませんか。
また、私たちが将来にわたって平和と繁栄を享受していくために、軍縮・不拡散、PKO、海賊対策、シーレーンの安全保障など、平和構築の分野での日中協力の可能性について、積極的に考えていくことが重要ではないか。
そのような考えから、私は、ダイナミックな構想を、日中の明日を担う世代が模索し、継続的に議論をするための場として、「日中次世代リーダー対話」の立ち上げを昨日温家宝総理に提案し、ご賛同を得ました。
(「永遠の隣人」)
日中両国とも、それぞれの国益を踏まえ外交を展開しています。また、両国にはそれぞれの歴史、文化、伝統があります。それ故、時には摩擦が生じることもある。関係が密なゆえに、今後も様々な話題、課題、問題が出てくることは避けられないかと思います。
しかし、私は、日中関係の将来に極めて楽観的です。なぜなら、将来にわたって日中で「共益」、共通の利益を実現していくことこそが、両国の発展、繁栄を後押しし、アジアや世界の平和と繁栄というものに繋がると確信しているからです。
地理・歴史的に「永遠の隣人」である日中両国は、「戦略的互恵関係」を築くことを選択しました。これが、日中「共益」を実現していく上で正しい道であるというのが、私の信念です。
若い世代の皆さんが、ビジネスをはじめとするあらゆる分野において、今まで以上に率直な対話を積み重ねられ、独創的なアイデアをたくさん提起されることを期待しています。我々の世代じゃない、あなた方の世代にこそ独創的なアイデアをどんどん提起していく責任があると考えています。そして、日中両国、ひいては国際社会の明るい未来を築いていかれることを強く確信しています。
最後に私の拙い中国語を贈って、皆様方の応援歌に代えたいと思います。
リーチョン ニェンチンレン,ジァヨウ (日中の若人よ、頑張れ!)
平成21年4月29日・30日(現地時間)、麻生総理は中華人民共和国の首都北京を訪問し、胡錦濤国家主席、温家宝国務院総理との首脳会談を行いました。
http://nettv.gov-online.go.jp/prg/prg2547.html
平成21年4月29日、中華人民共和国を訪問するため政府専用機で羽田を出発した麻生総理は、同日午後(現地時間)、中華人民共和国の首都北京に到着しました。
まず、国際交流基金北京日本文化センターを訪問しました。国際交流基金の藤田安彦所長から、センターの活動状況についての説明を受けた後、国際漫画賞の展示ブースや北京外国語大学日本語学科学生のアフレコを視察しました。
その後、人民大会堂において歓迎式典に出席した後、温家宝国務院総理との会談を行いました。会談では、日中関係や北朝鮮問題について話し合いました。日中関係について、麻生総理は、日中両国は「戦略的互恵関係」を育てていくべきであると指摘し、両国は、本年も様々な機会にハイレベルでの意思疎通を継続していくことを確認しました。新型インフルエンザ問題についても、事態の深刻さにかんがみ、日中間で情報交換や予防措置の協力を行っていくことで一致しました。また、環境、エネルギー・気候変動問題、交流の推進、食の安全、東シナ海資源開発、核軍縮等での協力の強化について意見交換し、経済・ビジネス分野に関しては、第二回日中ハイレベル経済対話を6月7日に東京において開催することで一致しました。さらに、北朝鮮について、麻生総理は、我が国として北朝鮮の非核化を進めていく上で六者会合が最も現実的な枠組みと考えており、議長国の中国に重要な役割を果たして欲しい旨を述べ、中国側の引き続きの協力を求めたのに対し、温総理は、六者会合を通じて朝鮮半島の非核化を実現したい旨を述べました。
平成21年4月30日(現地時間)、中華人民共和国を訪問中の麻生総理は、新型インフルエンザに関する記者の質問に答え、「WHO(世界保健機関)が今回の新型インフルエンザのフェーズを4から5に引き上げたと報告を受けましたので、官房長官に電話をして、官邸で会合を開くだろうから、それに先立ってやるべきことをきちんとやって万全を期すように指示をしました。」と述べました。
この後麻生総理は、首都鉄鋼を訪れ、コークス乾式消火設備を視察しました。日本政府は首都鉄鋼に対して、1997年度から2000年度に新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)によるコークス乾式消火設備モデル事業を実施しています。
続いて、麻生総理は日中次世代ビジネスリーダとの集いに出席しスピーチを行いました。スピーチの中で「私たちが将来にわたって平和と繁栄を享受していくために、軍縮・不拡散、PKO、海賊対策、シーレーンの安全保障など、平和構築の分野での日中協力の可能性について、積極的に考えていくことが重要ではないか。そのような考えから、私は、ダイナミックな構想を、日中の明日を担う世代が模索し、継続的に議論をするための場として、『日中次世代リーダー対話』の立ち上げを昨日温家宝総理に提案し、ご賛同を得ました。地理・歴史的に「永遠の隣人」である日中両国は、『戦略的互恵関係』を築くことを選択しました。これが、日中『共益』を実現していく上で正しい道であるというのが、私の信念です。」と述べました。
その後、人民大会堂において、胡錦濤国家主席と会談を行いました。会談では、日中関係や北朝鮮問題について話し合いました。「新型インフルエンザ問題」について、日中双方が密接に情報交換を行い、必要に応じて感染防止についての協力を行っていくことで一致しました。また、日中間の「戦略的互恵関係」の推進を具体的に図っていくことで一致をしました。具体的には、第一に、経済・ビジネス分野について、世界金融・経済危機に関して今月初めのロンドン・サミットの合意を迅速かつ着実に実施すること。第二に、環境、エネルギー、気候変動問題について、対話と協力を一層進めること。第三に、日中両国民間の交流を一層推進すること、について一致しました。さらに、北朝鮮については、先般の北朝鮮のミサイル発射に関して、国連安全保障理事会において、迅速に国際社会の一致したメッセージを出すことができたことを歓迎し、同時に、六者会合の再開に向けて日中双方が緊密に協力をしていくことを確認しました。
会談の後に行われた内外記者会見で、麻生総理は、「今後日本としても、また中国としても、国内の経済対策、また、国際金融に関しての貢献など、色々な義務をきちっと履行して、以て経済の回復、金融危機の克服というものに日中が手を携えてやっていく意思というものを明確に確認しあったというところが一番大きな成果だったと思います。」と述べました。全ての日程を終えた麻生総理は、夜、北京を発ち帰国しました。
【麻生総理冒頭発言】
日中間では、毎年、一方の首脳が他方の首脳の国を訪問するという合意があります。今回の訪中は、この合意に基づいて、中国政府からの招待によって実現したものです。昨日、温家宝国務院総理と会談を行い、先ほど、胡錦濤国家主席との会談を終えたところです。胡主席、温総理とは、この半年余り、半年強になりますが、それぞれ4回ずつ会談をさせていただきました。日中両国が、緊密な意思疎通が行われる関係にあることを、大変喜ばしく思っております。
両指導者との会談では、いま深刻化しつつあります「新型インフルエンザ問題」について、日中双方が密接に情報交換を行い、必要に応じて感染防止についての協力を行っていくことで一致をしております。その上で、日中間の「戦略的互恵関係」の推進を具体的に図っていくということで一致をしました。
具体的な成果としては、次の三点が挙げられます。
第一に、経済・ビジネス分野についてです。世界金融・経済危機に関しては、今月初めのロンドン・サミットの合意を、迅速かつ着実に実施することで一致をしております。その上で、内需拡大を中心とするマクロ経済対策の推進、保護主義の抑止、アジア諸国への支援等で、日中両国が共に取り組んでいくことを確認しております。
第二に、環境、エネルギー、気候変動問題で、対話と協力を一層進めることで一致をしております。石炭火力発電の省エネ、黄砂・酸性雨などの広域大気汚染などに対応するため、協力を進めていくことで一致をしております。また、気候変動問題では、京都議定書の後の2013年以降の国際的な枠組み作りへの中国の責任ある参加を促しております。
第三に、日中両国民間の交流の一層の推進に関しましても、大きな成果が得られたと思います。本年も、引き続き、日中双方で4,000名の青少年交流を行います。特に、我が国は、「四川大地震」被災地域の中学・高校生約100名を、日本へ招待することをお伝えしております。また、羽田空港と北京の首都空港の間の定期チャーター便を、本年10月から開始することで、一致をしております。
現下の深刻な問題である北朝鮮をめぐる諸懸案も取り上げました。先般の北朝鮮のミサイル発射に関して、国連安全保障理事会において、迅速に、国際社会の一致したメッセージを出すことができたことを歓迎しました。同時に、六者会合の再開に向けて、日中双方が緊密に協力をしていくことを確認しております。
最後に、今般の訪中に際し、中国政府、北京市民、中国の国民の方々より、温かい歓迎とおもてなしを頂いたことを、心より御礼を申し上げる次第です。
なお、この場をお借りしまして、国民の皆様に新型インフルエンザ対策について一言申し上げます。政府としては、適確な情報を提供すること、水際対策を徹底するなど、万全の対策をとります。国民の皆様には是非冷静な対応をお願いします。私の方からは、以上です。
【質疑応答】
(問)
まず、新型インフルエンザ対策についてお聞きします。WHOが警戒水準を4から5に引き上げました。首脳会談で日中が連携して対策に取り組むことで一致したということですが、今後の日本政府の対応について具体的にお聞かせください。
もう一点は、首脳会談で、北朝鮮に6カ国協議復帰を促すことで一致したということですが、北朝鮮は国連安全保障理事会が謝罪しなければ核実験を行うと反発しております。日本政府の対応をお聞かせください。
(麻生総理)
まず、新型インフルエンザの問題につきましては、今回の首脳会談において、現下の事態の深刻さを考えて、日中両国間でも協力して対処していくことで一致をしております。また、日中両国は、今後の状況の推移を踏まえて、タイムリーな情報交換とか予防措置についての協力を行っていくこととなります。また、WHOが警戒水準を従来のフェーズ4から5に引き上げたことに伴って、日本政府の対応としては、まずは、水際対策を一層徹底し、仮に日本において感染が見つかった場合、その速やかな対応、必要な対応を講じる。また、行動計画というものを作っておりますので、その示された対策のうち、必要なものから弾力的にすすめていくということで既に指示を出しております。
北朝鮮に関しましては、これは国際社会におけるいかなる緊張も高めるというような行為は建設的ではありません。六者会合が早期に再開されることが重要という認識で日中は一致を致しております。これは、国際社会全体の考え方でもあろうかと思います。北朝鮮が、先の国連安全保障理事会の議長声明を重く受け止め、国際社会の平和と安定というものを損なう行動は慎み、国連安保理決議を守ることを改めて求めたいと思います。六者会合は、北朝鮮の問題を解決する上で、最も現実的な枠組みでもあると思っております。政府としては、六者会合のいわゆる議長国・中国を含みます関係国と今後とも緊密に連携しながら、六者会合の再開に向けて努力をしたいと考えております。
(問)
現在、中日両国は金融危機の挑戦に直面しています。戦略的互恵の前提の下、両国は、省エネ、環境保護、情報通信、エコ経済、ハイテク技術等の分野で積極的に協力を広げていくと思われますが、これらの協力の具体的な内容はどのようなものとなるでしょうか。
もう一つの質問は、総理の個人的な事柄に関わることですが、総理は1976年のモントリオール五輪に射撃の選手として出場されていますが、今現在でも射撃をやられていますでしょうか。
(麻生総理)
いろいろ質問を世界中で受けておりますが、これだけ脈絡のない質問は初めてで、すごく印象に残りました。
日中両国は、戦略的互恵関係の立場から、これまでも、昨年の5月、胡錦涛国家主席が訪日された時に、70の項目にわたって協力の合意をしております。そのうち大体8割ぐらいまでできあがりつつあると思っております。また、環境、省エネ分野の官民合わせて505件の協力実施など、広範な分野で、多くの協力を実施してきております。今回の訪中におきましても、温家宝総理との首脳会談において、省エネ、環境保護等の分野では、汚染が深刻になっております湖などの浄化、また、石炭火力発電所の省エネ、環境対策などの、「省エネ・環境総合プラン」を新たにスタートさせることで、一致しております。
また、発展というか進展が著しい情報通信分野においては、情報通信関連の法律の整備、また、次世代、次世代というのはnext generation、3G、色んな言い方がありますけれど、次世代通信の研究開発等の新たな協力を進めることで一致をしております。具体的な内容を詰めるため、来月、5月4日、5日に鳩山総務大臣を訪中させることにしておりますので、細目はそちらに聞いていただけると分かると思います。
モントリオールのオリンピック以来、鉄砲はどうだという、まことに適切なご質問、というとちょっとおかしいか、ご質問をいただきましたけれど、翌年に、青年会議所の会頭やら何やらをやり、その翌年に国会議員になって選挙やら何やらで、以来、鉄砲をああいった世界選手権レベルで争うというのはちょっとなかなか遠くなりましたし、目も、昔は百円玉をこうやって投げて、ばっとつかんで裏か表か見えるぐらい動体視力がよかったんですが、今は自分のゴルフボールも見えないくらい目が悪くなりましたので、残念ながら鉄砲はたまにという話で、射撃の選手としてはもうとてもじゃないけど引退です。
(問)
衆議院の解散についてお伺いします。総理は先に、「補正予算案や関連法案、海賊対策の法案などがある中で、補正予算だけ成立させて、あとは終わりという状況にはないと、みんな思っているはずだ。」と、いうふうに発言されています。今日も、昼間におっしゃっていましたが、エコカーを買った人に対する補助とかですね、新たな経済対策を実施するためには、その裏付けが必要になります。与党内にも、補正、関連法案成立した後の解散を求める声が多くなっていると思うんですが、政局より政策という姿勢でこられた総理としてはですね、補正予算案、あるいは関連法案、重要法案の成立を解散よりも優先させる考えでしょうか。
(麻生総理)
補正予算及び関連法案や、また、年金法案、海賊対処法案等いろいろ重要法案がありますので、いずれも、これは消費者庁法も含めて国民生活にとって、きわめて重要、かつ急がなければならないものだと思っております。これは国民感情も同じだと思っておりますので、少なくとも、野党の皆さんにも、この補正予算はもちろん、関連法案ももちろん、重要法案についても協力をいただきたいと思っておるのが基本的な姿勢です。十分協議の上、早急に結論を出していただきたいと思っておりますので、解散するか否か、それは最終的に私が決めます。
(問)
世界で第2位と第3位の経済大国である日本と中国ですが、双方ともに東アジアに属しております。そのような日本と中国は、金融危機に打ち勝つためにどのように連携して対応していくのでしょうか。そして、アジア経済の回復をどのように確保していくのでしょうか。
(麻生総理)
大変いい質問だと思います。今回の訪中において、胡錦涛主席、及び温家宝総理との間で、世界経済並びに世界の金融危機について、日中が協力していくことで一致をしております。
具体的にはいくつかありますが、先ず、アジアを含む世界経済回復のためには、4月のロンドンのサミットで議論をされました点をよく踏まえて、今、劉さんとおっしゃるんだっけ、「第二、第三の経済大国である」という表現をされましたが、日中両国が、自分の国の内需拡大、輸出ではなく内需拡大を中心とする国内経済対策に全力を挙げるべきだと、その重要性を確認したところです。
また、さらに、両国とも、外貨準備、いわゆる資金の流動性というものをもっている数少ない国ですから、途上国への資金フロー確保のために、IMFや国際開発金融機関による積極的な対応、そして、保護主義の抑止、また、ドーハ・ラウンドの早期妥結、そういったことの重要性というものを確認をしております。
また、アジア経済の回復、これはアジアは経済回復における経済成長のセンターとしてはもっとも重要な地域だと考えますが、このアジア経済を回復させるためには、貿易をやっていくときに、保険、金融、そういったものの支援がないとなかなか難しくなっている面があります。また、チェンマイ・イニシアチブというものが、これはバイ、つまり1対1になっているものを、マルチ、つまりみんなでやっていく、また、アジア開発銀行(ADB)の一般増資の早期実施等が重要であることについて確認をさせていただきました。これは、今まで随分議論のあったところですけど、これを話をさせていただきました。あわせて、金融が安定すればいいというだけではなくて、やはり実体経済というものが発展をしていくためには、アジアの成長力の強化とそのための内需拡大というものが重要なんだということを確認したということが、今回、色々これまでの議論を詰めさせていただきましたが、この点に関して双方で合意ができましたので、この線にそって、今後日本としても、また中国としても、国内の経済対策やら、また、国際金融に関しての貢献やら、色々な義務をきちっと履行して、以て経済の回復、金融危機の克服というものに日中が手を携えてやっていく意思というものを明確に確認しあったというところが一番大きな成果だったと思います。
日中次世代ビジネスリーダーとの集いにおける
麻生内閣総理大臣スピーチ
~日中次世代リーダーに送る私の応援歌~
本日、ここには、日中関係の未来を担っておられる、若手の方々が、たくさんお集まりです。皆さんの前でお話できることを楽しみにして今日はやって参りました。
今回は、中国政府にお招きをいただいて、北京を訪問しております。昨年来、胡錦濤国家主席、温家宝総理との間で、今回を含めて、この半年余りでそれぞれ4回ずつお目にかかったこととなり、緊密に意思疎通が図れていると思っております。
「もし青年と呼ばれたいならば、自分の理想の現実化に悩むべきであり、決して安易に妥協に流されるべきではない。」
これは今から30数年前、私が日本青年会議所会頭として述べた言葉でありますが、今日ここでお話をするにあたり思い出した言葉です。
今の時代に限らず、いつの時代も、若い世代は、前の世代の経験を活かし前進します。私は、皆さんが、より開かれた、創造性と感性をもって活躍されていくことを信じて疑いません。
本日は、日中両国の次の世代を担うリーダーの皆さんに対して、応援歌を歌いたいという想いで話をさせていただきます。
(経済危機への対応)
現在、我々は、「100年に一度」と言われるような世界経済、金融危機に直面しています。この危機は、これまでの経済学の教科書では確実な解決方法が見つけられない、極めて深刻なものだと思っています。これまで起きたことのないことが起きています。貸出しの金利がほぼゼロでも、経営者が金を借りて設備投資をしないという前提で書かれた経済学の本はありません。つまり、このところ起きている経済現象を説明できる経済学の本はないということです。しかし、私は、今回の危機を教訓として、この困難を乗り越えた先には、より強い経済と、ガバナンスシステムの構築ができる、そういうチャンスに我々は向き合っていると、そう前向きに捉えていかねばならないと思っています。
この危機に際し、世界第二、第三の経済大国であり、世界経済に大きな影響力を持っている日中両国が、足並みを揃えることは極めて重要だと思っています。
具体的には、(1)金融市場対策としては、銀行システムの維持のためには流動性の確保、そして金融機関への資本注入、不良債権の処理、これを行う、また(2)大規模な財政の出動をやって、景気を刺激する、そして(3)1929年の世界恐慌を学んで、断固として保護主義に対抗する、といった政策の実施が必要です。
その意味で、中国が昨年来、約4兆元の規模の経済対策を実施していることを、我々は高く評価します。日本もこれまで、真水で総額12兆円、事業規模で75兆円、そしてこの月曜日、3日前ですが、さらに、真水で15兆円、事業規模で57兆円の経済対策を、今実施に移しつつあります。
(アジアの経済成長)
次に、この経済危機を克服した後、アジア経済をいかに成長させていくか、いかなる社会を創造していくかという問題に触れてみたいと思います。アジアは、世界で最も大きな潜在力を持った、「21世紀の開かれた成長センター」、その潜在力を十分に活かせる環境を整える必要がある。そのためには、アジアの経済をリードする日中両国が協力することが、その大前提になると思います。
まず、アジア地域の協力、対話の枠組みを力強く進める必要があろうかと思います。
例を3つほど挙げます。
第一の例は、東アジア域内における通貨危機を防止するための二国間、バイの通貨スワップ取極のネットワーク、いわゆる「チェンマイ・イニシアティブ」があります。この枠組みは、地域の金融システムの安定化に大きく貢献しました。今後、この力を更に高めるために、この枠組みをバイからマルチに早急に変えていく、拡げていく、それを実現したいと、今、日中両国は同じ思いでいると考えます。
第二の例は、アジア地域内の広域インフラ整備を進め、人と物と金と情報の流れを加速することです。これは、経済、社会に大きな影響を与えます。例えば、ベトナムのホーチミンからインド洋を渡ってインドのチェンナイまで、マラッカ海峡を経由して、陸路・海路で今は約2週間かかります。これをホーチミンからアンダマン海まで、ベトナム、カンボジア、タイ、この3カ国を通る陸路をつくります。この3カ国の陸路を整備し、通関、極めて煩雑な通関の技術的な諸手続きのために国境通過に多くの時間がかかっているのですが、これを短縮すれば、だいたい8日でホーチミンからチェンナイまで運ぶことが可能になります。
第三の例は、日中韓サミットです。昨年12月に、九州の福岡で初めて独立して開催された日中韓3カ国のサミットは、歴史的な会議でした。ご存知かとは思いますが、日中韓を合わせた経済規模は、英独仏を合わせたものよりも大きい。この三国間の協力は、世界の注目を集めました。本年、二回目が中国で開催されることになっていますが、この会議を成功させ、三国間の協力を更に推し進めていきたいと思います。日中韓で協力して同じプロジェクトを進めていくことはこれまでで初めての試みです。
(新しい社会の構築)
日中両国が持続的な経済成長を実現する上で、今後、両国の社会が共通して直面する課題も無視できないと思います。環境・省エネ問題はその最たる例の一つです。
私は、先日2020年の日本の成長ビジョンとして、低炭素革命(Low Carbon Emission Revolution)の推進を新たな成長戦略の一つとすべきだと表明しました。
低炭素の革命は、新たな技術と同時に国民の社会システムの変革からなります。そのため、日本は、太陽光発電、電気自動車、省エネ家電などの普及のための取組を開始しました。
この取組の鍵は、「新たな需要を、政策的に起こす」という強い政治的意志と、メッセージであります。太陽光発電については、まず(1)家庭の屋根にソーラーパネルを設置するにはそれなりのお金が必要であるので、設置に対する補助、(2)各家庭で作った電気がありますが、余った電気を電力会社に買ってもらう、各家庭で作った電気は通常の倍の値段で売れますので、こうした「買取制度」、(3)一万校以上の小中学校でソーラーパネルを設置。こういった政策パッケージを決めました。電気自動車などのエコカーの自動車の取得税、自動車を買うと取得税がかかりますから、重量税を無税にする、またエコカーを買ってくれた人には10万円、登録から13年経過した古い自動車から買い換えてくれた人には25万円の支援をそれぞれ行うこととしました。
中国でも2020年までの時期を総合国力向上のための「戦略的チャンスの時期」と位置づけられて、「科学的発展観」に基づく成長戦略を進められています。そこでも、環境への配慮は最も重要な要素です。
私は今日、日中両国の協力プロジェクトである首都鋼鉄という鉄工所に見学に行きました。そこでは、環境改善やエネルギー利用の効率化、これと鉄鋼生産を、見事に両立させていました。ご存知のように、中国は世界一の粗鋼生産国。そして日本は、世界最高水準の、環境・省エネ技術を保持しています。それらを総合させれば、日中両国は、更に飛躍できる。今日、その確信を一層強めたところです。
また、少子高齢化、これは中国は「一人っ子政策」を進めていますから間違いなく少子高齢化は必ずおきます。新しい社会を構築する上で、日中両国ともに、避けては通れない問題です。2015年には、中国で労働人口は横ばいとなります。そして高齢者数は2億人になる。こうした分析が出ていますが、人口動向への分析はまず当たりますから、2015年には高齢者数は2億人になる。日本は、2013年には4人に1人が、65歳以上になると推計されています。我々は、この現状に対し活力ある健康長寿社会を実現しなくてはなりません。暗くて貧しい高齢化社会ではありません、活力ある健康長寿社会を築かなくてはなりません。そのためには、高齢者も社会で活躍できる、医療・介護のシステムを整備することが不可欠です。そのための取組を日本では始めています。今後、日中両国は、少子高齢化対策においても、大いに協働で作業できると考えます。
(世界平和のための協力)
私はここまで、日中両国が、持続的に繁栄していく上での課題について述べてきました。しかし、日中両国を取り巻く国際環境が平和であってこそ、はじめて、そうした考えが意味を持つということを忘れてはいけないと思います。
日本は、戦後、平和国家として歩みを堅持し、平和的手段によって世界の繁栄と安定に貢献をしてきたところです。英国国営放送BBCの世論調査では、世界で日本がカナダと並んで、最も好影響を与えている国として、2年連続で高く評価されています。日本の総理大臣として、日本は、これからも平和国家として歩み続けていくことを表明します。
中国は、近年、急速な発展を遂げました。私は、中国の経済発展は、国際社会にチャンスをもたらし、当然それは、日本にとっても好機であると考えます。しかし、一部には、中国の経済発展が、将来の軍事大国化につながるのではないかと不安視する向きがあるのも事実です。私たちは、中国が近年、「平和的発展」という戦略を標榜し、恒久の平和と共同の繁栄をもたらす世界の構築に貢献していく決意であると承知しています。そして、中国が、そのような決意にふさわしい行動をとっていくことにより、地域や世界に不安や懸念を生じさせないことを期待をしています。
今後とも、日中両国が、軍事大国にはならず、また、互いに脅威になることなく、平和的な発展に向けて協力してゆく。それこそが日中両国が国際的に期待されていることなんだと確信をしています。
(次世代リーダーへの期待)
日中関係の将来を担う若手リーダー、若手ビジネスマンの皆さん。
本日は、将来の日中両国、アジア、そして世界をより良きものにするために、私が考えている視点をいくつか述べました。しかし、21世紀は、皆さんが活躍する場です。それ故、来るべき時代に備え、日中両国若手リーダーが何ができるか、何をすべきかについて、皆さん自身に考えていただきたいと思います。
かつて、高名な経済学者であるシュンペーターが、「創造的破壊」という言葉でイノベーションの重要性を指摘しました。私は、皆さんには、ぜひステレオタイプな考え方にとらわれず、あらゆる可能性を追求してほしい、そう考えます。例をあげます。
世界全体の貿易の四分の一以上を占めている東アジア地域、日中両国はその約半分を占めています。このような日中両国の更なる経済連携の可能性、場合によっては、日中EPAの可能性まで議論してもよいのではありませんか。
また、私たちが将来にわたって平和と繁栄を享受していくために、軍縮・不拡散、PKO、海賊対策、シーレーンの安全保障など、平和構築の分野での日中協力の可能性について、積極的に考えていくことが重要ではないか。
そのような考えから、私は、ダイナミックな構想を、日中の明日を担う世代が模索し、継続的に議論をするための場として、「日中次世代リーダー対話」の立ち上げを昨日温家宝総理に提案し、ご賛同を得ました。
(「永遠の隣人」)
日中両国とも、それぞれの国益を踏まえ外交を展開しています。また、両国にはそれぞれの歴史、文化、伝統があります。それ故、時には摩擦が生じることもある。関係が密なゆえに、今後も様々な話題、課題、問題が出てくることは避けられないかと思います。
しかし、私は、日中関係の将来に極めて楽観的です。なぜなら、将来にわたって日中で「共益」、共通の利益を実現していくことこそが、両国の発展、繁栄を後押しし、アジアや世界の平和と繁栄というものに繋がると確信しているからです。
地理・歴史的に「永遠の隣人」である日中両国は、「戦略的互恵関係」を築くことを選択しました。これが、日中「共益」を実現していく上で正しい道であるというのが、私の信念です。
若い世代の皆さんが、ビジネスをはじめとするあらゆる分野において、今まで以上に率直な対話を積み重ねられ、独創的なアイデアをたくさん提起されることを期待しています。我々の世代じゃない、あなた方の世代にこそ独創的なアイデアをどんどん提起していく責任があると考えています。そして、日中両国、ひいては国際社会の明るい未来を築いていかれることを強く確信しています。
最後に私の拙い中国語を贈って、皆様方の応援歌に代えたいと思います。
リーチョン ニェンチンレン,ジァヨウ (日中の若人よ、頑張れ!)