2020なでしこリーグ第11節 浦和レッズレディース vs INAC神戸レオネッサ | Redの足跡 ~浦和レッズレディース~

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システムは4-2-3-1のイメージだろうが、猶本は菅澤の近くでプレーし、動き方や守備ブロックの作り方からも実質ツートップの形と言えるだろう。

また長船が欠場し高橋と南がCBを組み、サブには大熊が入る。

 

試合の立ち上がり、相手のバックパスに猶本が詰めると、ペナルティエリア外に出て処理しようとした相手GKがパスミス。

カットした菅澤が無人のゴールへ流し込み、開始2分で先制。

 

思わぬ形で試合が動くが、両チームとも得失点は忘れてという形で落ち着いた序盤となる。

 

神戸は前から激しくプレスをかけることはせず、高すぎず低すぎずの位置にコンパクトなブロックを形成し、レッズレディースが中盤から前へ運ぶところで網を狭めて囲い込む。

神戸はとにかくブロックの距離感を大事にしながら待ち構え、神戸らしいやや荒っぽい対人プレーが鳴りを潜めていたのも印象的。

 

そのためレッズレディースは最終ラインでは落ち着いて繋げ、菅澤の足元を起点としながらそれなりにリズムも作れていたが、神戸の最終ラインを崩すところではアイディア不足で、ボールは保持するものの良い形を作れない。

ただ、少し強引ではあったもののシュートの意識が高かかったのはポジティブだ。

 

一進一退の攻防が続くなか、34分に中盤でのルーズボールに対し神戸の処理が中途半端になったところを菅澤が裏へ飛び出してかっさらい2点目を挙げ突き放す。

 

神戸の攻撃は高いポジションに人をかけてショートパスで崩す狙いが伺えるものの、人を前にかけるが故に少ない人数でのビルドアップに苦慮し、レッズレディースは中盤でのプレスとパスコースの限定で良い形を作らせない。

逆に神戸の狙いがうまくはまったのがレッズレディースにとっての失点シーンと言えるだろう。

 

一点を返したことで神戸に勢いが出始めるが、失点直後には池田から「大丈夫。このままのやり方を続けろ」との鼓舞も聞こえ、それに呼応するように弱気にならずに踏みとどまり、リードして折り返す。

 

後半に入るとレッズレディースの守備のギアが上がり、奪ってそのまま攻撃に転じる良いシーンが見られ、その流れのまま攻めあがった佐々木がPKをゲットし、菅澤が冷静に決めてハットトリック。

後半開始早々に再び2点差に突き放す。

 

そのままの勢いで攻守の切り替えからリズムをつかむレッズレディースに対し、優勝争いという意味では勝点3が必須のはずの神戸は2点差をひっくり返すような勢いやそれを促す交代策を打てず、逆にレッズレディースは自陣で奪ってからの絵にかいたようなカウンターでとどめを刺す。

 

ここでようやく神戸が交代カードを切るが目立った効果は生まれず、対してレッズレディースは安藤と長嶋に加えこれまで1試合しか出番のなかった乗松や、最終盤にはGKの福田を初出場させるなど神戸の心までへし折る采配で締める。

 

4-1の勝利。

 

 

これまで何度も悔しい思いをしてきた相手に対しての圧勝に喜びは大きいが、冷静に見ると森体制2年目のレッズレディースと新監督を迎えてチームを作り直している神戸との成熟度の差は感じられ、加えてこの試合は選手個々のコンディションにも優位性があったように思う。

 

重要な試合でハットトリックを決めた菅澤や猶本のとどめの一撃はシュート自体もそれに至る流れも美しかったが、コンパクトな神戸の守備網のなかで抜群のキープ力を見せた水谷や狭い局面で相手をいなす塩越のキレのあるプレーも目についた。

逆に長船欠場のなかで綻びを見せず良い意味で目立たなかった南と高橋のCBコンビも取り上げておきたい。

 

まさに総合力の勝利であり、チケット完売のホームゲームで結果も内容も伴った素晴らしい試合だった。

 

試合後のインタビューではしゃべりがあまり得意ではない森監督が敬老の日や倍返しのネタで笑いを誘うなど最後まで満足の夜だった。

 

 

さあ、ここからまた気持ちを切り替え、気を引き締めて臨まなければならない。

昨シーズンまでのベレーザは首位を走りながらもあくまで自分たちの理想に向けて貪欲に上を目指していた。

 

そして次節は今シーズン唯一敗れているセレッソであり、前回はベレーザとの重要な一戦に勝利した後の試合で完全にはめられて良さを消されてしまった。

 

自分たちの成長を示す意味でも重要な一戦だ。

 

 

以上。