吉良知夏 退団 | Redの足跡 ~浦和レッズレディース~

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私にとっては浦和レッズレディースそのものと言ってよいほどチームを象徴する選手で、目を閉じれば美しいキラキラゴールのシーンが、2本や3本ではなく、10本くらいは瞬時に、しかもはっきりと思い出せる。

それは凄いことだよ。

 

吉良知夏 退団

 

若い年代の代表で活躍した点取り屋は加入した年こそ怪我もあったが、2年目の2011年シーズンには安藤梢の10番を引き継ぐと、開幕からコンスタントに活躍し、リーグ戦9得点を挙げ新人賞を受賞した。

 

その後もチームで結果を出し続け、ゆくゆくは日本代表のエースへとの期待も膨らんだが、そこからは伸び悩みもあった。

 

ずば抜けたシュートセンスを持つものの、スピードや高さ、テクニックを駆使して個で打開していくタイプではなく、またオフザボールでの駆け引きもそれほど上手ではなく、周りにお膳立てしてもらわなければ活きない選手で、格上のチームとの対戦や、自分より上の世代が占める代表の中では存在感を示すことが出来なかった。

 

さらに2016年シーズンの途中には大怪我で長期離脱を余儀なくされ、もう選手としてのピークは過ぎてしまうのかという気持ちにもなった。

 

しかし長期離脱から復帰すると変化が見られた。

相手ゴール前でシュートチャンスを待つだけではなく、良く動き、特に献身的に守備をするようになった。

そしてここ最近ではチームで一番スライディングをする選手になった。

 

さらには出番がない時でもピッチへと声を送ったり、ピッチサイドへ来た選手にいち早くドリンクを渡したり、試合後に仲間を労ったりとピッチ内外でチームのために貢献できる選手になった。

それが得点という結果が出なくとも、監督が代ろうとも、信頼を得て出場機会を与えられ、10年間一線でプレーを続けられた要因だろう。

 

またそういったプレーの裏側での努力についても触れたい。

チームの結果が出ない時期には居残り練習で足を振り続け、怪我の時期にはフィジカルを鍛えて一回り大きくなって戻って来た。

退団の公式コメントで本人も述べているように「毎シーズンタイトル獲得に向け本気で過ごした10年間」だったに違いない。

 

キラキラゴールと歌われる華麗なシュートも、在籍後期の献身的な泥臭いプレーも、その裏での努力も、すべてが美しく輝く思い出だ。

 

こうやって振り返ると、改めて色々あったなと、まるで映画を観ているように充実した10年を一緒に過ごすことが出来た。

ありがとうという言葉では収まり切れない思いが溢れ出す。

 

また美しいゴールに拳を突き上げたいな。

またみんなでチャントを歌いたいな。

寂しいな。

でも新たな旅へと送り出してやらなきゃね。

 

いつまでもキラキラした人生を。

ありがとう、吉良知夏。