浦和レッズレディース 2019シーズン体制 | Redの足跡 ~浦和レッズレディース~

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選手の動きに関して、他チームと比べると情報が出始めるのが遅く動き自体も鈍かった中で、ようやく新体制と背番号が決定した。
新加入選手記者会見では森監督も宮崎義正レディース部長も”目標はリーグ優勝”と述べており、当然私もそう思っている。

■選手の補強状況
単刀直入に言わせていただくと、大いに不満である。
確かにポテンシャルの高い現有選手たちを使いこなせてない状況で、若手の能力を引き出しながらリーグ3連覇を成し遂げた森監督を招聘したという考え方は理解する。
しかし2013年にチームの大幅な変革が起こり、その後リーグ優勝はあったものの逆に負け越しや降格の危機もあり、着実なチームの足場固めとステップアップ、一貫したスタイルの確立という面では不安定で、他チームに先んじて世代交代に動いたはずが上位チームに対し成績でも若手の躍進という観点でも後塵を拝している。
 

昨シーズンの途中で2名が退団し、さらに今オフにも5名が退団した。
逆に4名が加入し、加入選手に対しては当ブログでも期待を述べてきたが”期待できる”と”計算できる”では全く意味が異なる。
”優勝”という言葉を口にするのならば、そのプロセスとして即戦力として”計算できる”レギュラークラスの選手を獲得せねばその言葉は単なる願望にしかならない。

それから必要なのは”補強”であり"増強”ではない。
2018年シーズンの結果を分析、総括した上で、足りない部分を文字通り補っていかなければならない。
一部のポジションでの層の薄さは埋められておらず、それは公式戦での選手のやり繰りへの影響だけでなく、紅白戦やトレーニングマッチにおいてセカンドチームの選手たちが本来のポジションでプレーできなければ、トレーニングの質や控え選手のモチベーション、競争力の低下に繋がる。

結果的にどうなるかは別として、チーム作りのプロセスとして現在の補強状況は納得できない。
過去にもチーム体制の発表後に新加入の発表があったので、もう少しだけ待ちたいとは思うが。


■スタッフ体制
まず、千葉GKコーチの退任については一つのトピックとして本人のコメントを添えて発表したにも関わらず、柳田コーチについては新加入選手記者会見の中で「柳田(美幸レディーススタッフ)さん」とさらっと触れられており、名取コーチにつていはまるでなかったかの様に取り扱われていることに強い違和感を抱く。
当ブログではコーチ陣の交代と正木さんの監督としてのまとめについても近日中に記事にするつもりでいる。

またコーチ陣の編成で気になっていることは2点あり、一つ目は今回の体制に関して森監督の意向がどれだけ繁栄されているかということで、クラブの中のことは分らんが、コーチ陣は監督を支え、一枚岩になってもらわねば困る。

それから2つ目だが、昨シーズンはコーチ2名+GKコーチという体制で、試合では正木コーチが監督補佐、柳田コーチがサブ組みの面倒を見るという役割だったが、今シーズンは正木さんにヘッドコーチという肩書きを与えながら一人体制だ。
コーチ編成はチームよって様々で、なでしこリーグでは1名体制のチームの方が多いのかもしれないが、少なくともレッズレディースについては昨シーズンからマイナスになっており、その影響も見て行きたい。


下部組織について触れると、神戸ユース監督は新年度のユースメンバーの多くをジュニアユース時代から指導しているし、育成年代の指導実績は十分であり信頼している。
またジュニアユースの監督に元レッズレディースの選手で前オルカ鴨川FC監督でもある百武江梨が就任したのも非常に楽しみだ。
下山ユース監督の退任については、特に2018年シーズンは成績でも育成面でも結果を残せなかったので致し方ないが、現レッズレディースのメンバーや他チームに所属する選手も含めて個性的な選手を育成しまとめあげてきた実績に感謝と労いの言葉を送りたい。



■新加入選手記者会見
ここでは新加入選手についてではなく、その中で述べられているチーム作りについて触れたいと思うが、会見についてはオフィシャルに掲載されている文字に起こしたものだけでなく、オフィシャル動画でその場の雰囲気、監督や選手の表情や声、話し方の間やニュアンスなどを感じながら観ていただければと思う。

まず、宮崎義正レディース部長が述べている「優勝したチームとは、少し差ができたと認識しています。」について、同じ認識を共有できたことをポジティブに捉えるが、実際の選手の補強状況と合っていないのは上で述べた通りである。
先に要望しておくと、是非ともシーズンの終わりには成績に現れない部分も含めてこの差がどうなったのかをきっちりと総括しコメントしてもらいたい。

次に森監督の「選手たちをフラットな目で見て行きたい」という言葉について、新たな競争への期待と一からのチーム作りへの不安の両面あるが、基本的には大歓迎であり、開幕スタメンを楽しみにしたい。

それから「うまく勝利に結びつくようなゲーム運び」について、まさにレッズレディースの弱点として私も指摘し続けていることであり、加えてベレーザの駆け引きの巧さについても触れてきた。
「相手の時間を尊重しながら耐えていく」という言葉も興味深い表現で、シーズンスタートにあたり修正すべき課題が具体的であることに好感を持つ。
ここを改善するのは簡単なことではないと思うが、シーズンを通しての注目ポイントとしたい。

さらに森監督に託された「ユース、ジュニアユースの部分も」という点も、何度か指摘しているクラブとしての一貫性に繋がる話だ。
例えば誰が見てもわかるところでは上から下まで同じシステムを採用しているかなどがあるが、個人ベースで見てもユースから昇格した選手たちがトップの戦術になかなかフィットできなかったり、それ以前にユースで得意としていたポジションで起用されなかったりと課題は多い。
「そんなに口を出すつもりはありません」などと言わず、森監督にはユースの試合も観に来ていただきたいと思う。


最後に、”優勝”という目標を掲げるのは当然ではあるが理想論だけではダメで、森監督の場合はクラブの外から招聘した監督の最初の記者会見にも関わらず、修正すべき課題のいくつかを具体的に述べている点について信頼がおける。
一方で具体的であるからこそ改善する難しさも感じ、観る側にとっては白黒の評価を下しやすくもある。

とにもかくにも体制が決まるといよいよシーズンのスタートだという期待感と身の引き締まる思いが生まれ、開幕が待ち遠しくなってくる。
色々述べてきたが、いつも通り選手、監督、スタッフを信じるというスタンスで臨もうと思う。

頼んだぞ。


以上。