今回は開幕に当たり大きな興味のひとつであるポジション争いについて。
昨シーズンは開幕前最後のTRMの先発から4バックの内3選手が入れ替わったということもあったが、今シーズンもまずは先日行われた仙台とのTRMを参考にしたい。
出遅れていた三知、高畑、長船、猶本、和田などがスタメン出場。それぞれフィジカルや試合感が戻ってない様子も感じられたものの、まずは目処が付いたということだろう。
またそのTRMで栗島と三谷が復帰したことはその日一番嬉しかった出来事で、正直すぐに出場は難しいと感じるが、万全であれば栗島は既に計算できる選手であり、三谷も泊とあかねが抜けた穴を埋める存在として期待したい。
FWの争いでは白木は既に目処が立った印象。
プレーの幅、連携面、守備面を考えても90分十分に計算でき、開幕スタメンの可能性も高いと感じている。
仙台とのTRMでは白木が左右に流れて起点になり、三知が中央の一番厳しいゾーンで身体を張って勝負するという分担も明確で、両SHも絡めて良い連携が目に付いた。
清家は当面は昨年同様試合終盤の切り札として考えると、吉良知夏にとっては勝負の1年になるかもしれない。
途中からの投入を考えても運動量で掻き回したり、高さ、速さ、ドリブルなどの一芸で勝負するタイプの選手ではないので、しっかりと目に見える結果を残していかないと生き残りが厳しいだろう。
昨シーズン後半はカツカツだったボランチはのんが復帰し、栗島も戻れば選手層としては問題ないだろう。
スタメンでは攻撃面を考えても猶本の信頼は高く、もう一枚をのんと岸川で争う構図か。
岸川は先日のなでしこ交流戦でもフル回転で出場を続けて一皮むけ頼もしくなった印象だ。
交流戦の記事では怪我をしかねない無理な起用法に苦言を呈したが、成長を促すためのスレスレの荒療治となったのか、結果的には良い方に作用している。
一方でのんは確実性、運動量、ゲームコントロールの面で岸川より上で、特に左右に広くカバー出来るところを高く評価している。ただ、怪我が多いのは気にしておく必要がある選手であり、途中出場で機能しやすいのはのんの方と考えると、岸川が先発というのも一理ある。
ディフェンスラインは右SBに乗松、CBに高畑と長船、左SBは昨年同様和田と臼井が争うことになりそうだ。
バックアップには石井やりなぞう、CBは乗松はもちろんのこと岸川もTRMで試されており、試合終盤の5バックへのシステムチェンジも含めて一応各ポジション2枚の準備は出来ている。
さらにちばみのや大戸の成長も期待したい。
ただし高畑、長船、和田、臼井とプレシーズンでは出遅れた選手が多く、特に新加入の長船はコンビネーション、試合勘ともに気になるところ。
GKの争いも熾烈。
さっこは質の高いキックにムラがなくなりコーチングにも成長が見られ、昨シーズンの平尾の活躍に対する危機感が成長を促しているという印象がある。
平尾は昨シーズンさっこの怪我を埋めて余りある活躍をみせ、特にハイボールの対応の安定感は抜群。
交流戦の記事でも触れたとおり田尻の成長も著しい。
一度決まると頻繁に代わるポジションではないだけに吉田監督が誰を好むのかは興味深い。
一番心配なのは両SHの選手層。
幸い昨シーズンは千佳も華も怪我なくやりきってくれたが、本来は運動量が非常に求められるポジションであり、得点が欲しい場面で変化をつけやすいポジションでもある。
特に千佳は着実な成長を続けているが、それをもう一段加速させるためにも競争が必要ではないかと考えている。
泊とあかねが抜けた中でTRMでは左に吉良、右に清家が試されているが、栗島の復帰や三谷の成長、またはユースからの登録など計算できる選手の確保が急務だ。
そしてそのユースからの2種登録選手。
フライングなので名指しで話はしないが、即戦力として活躍を期待したい選手が数名いる。
この年代の選手の成長は予想を簡単に超えていくので楽しみであり、逆に1、2名は活躍してもらわねば困る。
後は交流戦でかなりの時間出場していた練習生がどうなったのか少し気になっている。
最後にチームをリーグ優勝という結果に導いた吉田監督にあえて注文を付けるなら、昨シーズンは選手起用の幅、ポジション毎の競争という意味では面白みがなかった。
ベストと考える選手で固定してシーズンを戦い抜けるなら、それはある意味では理想形なのかもしれないが、ファン心理としては色々な選手を観てみたいし、腐らずに練習して裏方に徹している選手にもピッチで日の目を浴びて欲しいという思いもある。
とにかく一年という長いシーズン、少なからず怪我人も出るだろうし、ポジション争いにまつわるドラマも生まれるに違いない。
まずは開幕のピッチにどんなイレブンが立つことになるのか、各選手それぞれの場所からスタートだ。
以上。