■前回の対戦
プレナスなでしこリーグ2014 レギュラーシリーズ第7節
2014年6月1日(日) 13:00キックオフ・味の素フィールド西が丘
日テレ・ベレーザ 0‐2(前半0‐0) 浦和レッズレディース
得点者:51分 吉良知夏、82分 清家貴子
両チーム合わせて8名の選手を送り出した、なでしこジャパンアジアカップの中断明けの試合。
レッズレディースはのんと乗松が欠場でやや心配したものの、この頃はレッズレディース云々よりもベレーザの状態が良くない時で、戦術もロングボール主体というベレーザらしくない戦い方だった。
レッズレディースはベレーザの前線を孤立させ、両サイドをワイドに使いながら主導権を握り優勢に試合を進めた。
暑い季節に入ったばかりで終盤には運動量の低下もみられたが、中断期間にリーグ全体の流れが変わることもよくある中で、がっちりと首位をキープしたナイスゲーム。
■日テレ・ベレーザ
8勝3分3敗の3位
勝点5差で首位レッズレディースを追う。
また、得失点差でレッズレディースと2しかないところも見逃せない。
興味深いのは前回の対戦である第7節までとその後の戦績。
開幕から7節までの7試合: 2勝2分3敗
8節から前節(14節)までの7試合: 6勝1分0敗
前回の対戦でレッズレディースに敗れたのを最後に6連勝。
前節引き分けたもののレッズレディース戦を底に見事にV字回復という感じだ。
ここ最近の数試合ではベレーザらしい中盤で距離を近くしての組み立て、球離れの早いパス回しで主導権を取り最後はディフェンスラインの裏を崩すプレーが随所に観られている。
また、スタメンもシーズン前半はワントップ嶋田選手の両ワイドに籾木選手や隅田選手、中盤を長谷川選手、阪口選手、原選手で構成していたのを、スタンダードな4-4-2に変更しツートップに籾木選手と田中美南選手、左SHには中里選手が起用されているようだ。
加えて終盤の勝負どころや試合を締める交代としてベテランの小林弥生選手が投入されて存在感を示している。
乗りに乗っているというよりも戦術が整備されて個々の地力がいかんなく発揮されてた本物の強さという印象だ。
ベレーザにとってはレギュラーシリーズ優勝に向けて絶対に勝たなければならない一戦であろう。
■見どころ
守備ではディフェンスラインの裏をいかに取られないようにするかがキーポイント。
阪口選手と原選手という技術も経験もある選手が巧みにコントロールして組み立て、鋭い縦パスやダイレクトにワイドのスペースを狙ってくる。
また駆け引きが非常に上手で、誘うパスで相手を釣り出してから裏を狙うのもベレーザらしい攻撃パターンだ。
特に最近は田中美南選手を裏に走らせる形を徹底しているように見受けられる。
シンプルにワイドに開きサイドに人をかけて突破してくるチームではないので、中央をしっかりと締めて最終ラインでの駆け引きで主導権を握れるかがポイントとなるだろう。
前節の湯郷戦の失点シーンのようにラインにギャップを作られて裏を取られるシーンを繰り返さないようにしなければならない。
細かいラインの上げ下げに高畑のリーダーシップを期待したい。
またベレーザ戦は毎試合のことだが、阪口選手と岩清水選手という強力な2枚によるセットプレーも脅威である。
一方で個人的にはセットプレーの守備での阪口選手と岸川のマッチアップが楽しみの一つだ。
個々の争いでもしっかりも勝ち切り、逆にセットプレーでやり返してやりたい。
攻撃面では守備から攻撃への切り替えが鍵になることは間違いない。
なでしこTVで観た前節湯郷戦の映像では、これまでの試合のようにまずはサイドへ開くという考え方ではなく、隙あらば縦、行ける時はゴールへ直結する選択肢を積極的に選ぶ意識が感じられた。
今回も中盤の狭いエリアでの攻防が多くなると予想するが、その中でどちらが切り替え速く、隙をついて密集を抜け出せるか、スリリングで痺れる攻防をレッズレディースが制してくれると信じている。
猶本のフィジカルとセンスによる局面打開にも期待したい。
単にボールをどちらが保持しているかではなく、攻守においてどちらが主導権をもっているか、ボールの動きだけでなく連動した人の動きに注目だ。
最後は選手交代による終盤の勝負。
怪我人が出ているのは確かだが、逆にチーム内によい競争が生まれ、途中投入された選手が活躍しているのはよい状況だ。
一方でベレーザには小林弥生選手という切り札が好調である。
安心した状況で終盤を迎えられれば最高だが、1点を争う試合終盤をしたたかにしっかりと制す強さこそ優勝するチームに求められる強さかもしれない。
■注目選手
注目選手は猶本光。
中盤の攻防で鍵を握るのはやはりこの選手。
シーズン序盤はチームとしての彼女の活かし方を含めて試合ごとのプレーの波を指摘してきたが、試合を重ねるごとにその波が小さくなり、コンディションも上々の様子が伺える。
シーズン中の成長もあろうが、元々持っていた素質をアベレージで発揮できるようになってきているのはチームにとっても大きな力となっている。
この試合は中盤の狭い局面での切り替え合戦を予想するが、これまでも要所で見せてきたフィジカルと技術、そしてセンスも伴った存在感あるプレーをこの試合でも発揮してもらいたい。
猶本のプレーをスイッチにチームに縦への推進力が生まれ、一気にゴールを奪い切るシーンを期待する。
そしてそろそろホームのサポータに、猶本ファンに駒場でのゴールをプレゼントしてもいいんじゃないかな。
■試合に向けて
レギュラーシリーズも残り4試合。
優勝争いのライバルの中でも現在最も好調といってよいベレーザをここで蹴落とすことは、1勝以上の価値がある。
前々節のホーム駒場での新潟戦のような重苦しい雰囲気ではなく、優勝へ向け押せ押せで闘えるようなスタジアム全体の後押しで、宿敵ベレーザを叩きのめしてやろうではないか。
以上。