クリスティアーネ・エルツェの「子供の不思議な角笛」 | セカンドライフの生きがい

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12月2日(日)サントリーホールで行われた東京交響楽団第606回定期公演を聴きに行きました。演目は、マーラー歌曲集「子供の不思議な角笛」抜粋とブルックナー交響曲第6番イ長調(ノーヴァク版)指揮 ユベール・スダーン(東京交響楽団 音楽監督) 管弦楽 東京交響楽団 ソプラノ クリスティアーネ・エルツェ

東京交響楽団12月01

東京交響楽団サントリーホール2012年冬季定期演奏会のパンフ。赤枠が今日の公演内容です。スダーン&東響のブルックナー交響曲は、8番、9番を以前聴きましたが、いずれも素晴らしい演奏でした。今回の6番は、ブルックナーの中では地味な作品のため演奏会で取り上げられることが少ないので貴重な機会ですし、このコンビならきっと良い演奏が聴けるに違いないと思っていました。

しかし、今回の演奏会に行く事にした一番の理由は、前プロのマーラー歌曲集「子供の不思議な角笛」を歌うクリスティアーネ・エルツェ(ソプラノ)を聴くことです。


クリスティアーネ・エルツェ01 クリスティアーネ・エルツェ02

マルクス・シュテンツ指揮ケルン・ギュルツェニヒ管弦楽団のマーラー全集の中で、クリスティアーネ・エルツェが歌っている「子供の不思議な角笛」歌曲集と交響曲第2番「復活」。どちらのCDでもエルツェの素晴らしい歌唱を聴くことができます。(このマルクス・シュテンツのマーラー全集(現在進行中)は、演奏、録音とも数多あるマーラーのCDの中でも優れているもので、これ以外に1番、3番、8番と全部で5枚持っています。) 今日、クリスティアーネ・エルツェを聴きたいと思ったのは、上記のCDがきっかけです。

東京交響楽団12月02 東京交響楽団12月03

12月の東京交響楽団演奏会のパンフ。表紙の絵は、ウィーンの分離派会館にあるクリムトの壁画「ベートーヴェン・フリーズ」の一部です。12月は恒例の「第九」演奏会が組まれているためでしょう。次の写真は、12月1日、2日のプログラムです。

マーラー歌曲集「子供の不思議な角笛」は14曲(12曲の場合も)ありますが、今日は、その中から「ラインの伝説」、「だれがこの歌をつくったんだろう」、「麗しきトランペットが鳴り響くのは」、「この世の生活」、「原光」(交響曲第2番 第4楽章)、「番兵の夜の歌」、「高い知性への賛歌」の7曲を抜粋して、エルツェが歌いました。

「ラインの伝説」と「番兵の夜の歌」は、男声が一般的と思いますが、エルツェは女声の利点を生かして巧みに歌いました。また、最後に歌った「高い知性への賛歌」のウィットに富む表現は彼女の歌手としての才能だけでなく豊かな人間性も感じさせるものでした。そして、何といっても聴きものは、「原光」と「麗しきトランペットが鳴り響くのは」の2曲でした。エルツェの深みのある美声(容姿も一流)とテクニック、表現力で、この名曲の良さを120%引き出した本当に素晴らしい歌唱だったと思います。7曲があっという間に終わったという感じです。もちろんスダーンと東京交響楽団のサポートが良かったことは言うまでもありません。特に、首席トランペットが良かったです。

クリスティアーネ・エルツェを聴くことが第1の目的の演奏会でしたが、期待以上の内容に大満足しました。なお、エルツェは12月5日にトッパンホールで、ピアノの名手 河村尚子さんの伴奏によるリサイタルを開くそうです。私は行けませんが、きっと良い演奏会になると思います。

長くなりましたから、メインのブルックナー交響曲第6番についてはコメントしませんが、全体としてレベルの高い演奏でした。この曲が生きるかどうかは第2楽章の長いアダージョで決まると思うのですが、この日の演奏はとても美しいものでしたので、これが成功につながったのだと感じました。

なお、ブルックナーやマーラーにおける東京交響楽団のトロンボーンは、いつも物凄い音量を出しますが、今日もその面目躍如の演奏でしたから、弦のパートの皆さんは大変だったと思います。