処方せんの電子化の検討 | セカンドライフの生きがい

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医療事務システム開発・販売会社を譲渡後、61歳でセカンドライフに入りました。別の仕事を続けながら生きがいを探す日々です。

電子カルテ「ユニカルテ」株式会社ユニコン社長の鶴田真一郎です。

GWの4連休の初日の東京は夕方まで強い雨が降っていました。皆様のお住まいの地域はいかがでしょうか?当社は今日3日と明日4日、従業員慰安のため全社休業していますが、5日(土)と6日(日)はレセプトのオンライン請求期間に当たりますので、当番が9:00から17:30まで、お客様のお問い合わせや現場対応の業務を行います。

さて、4月27日(金)、厚労省の医療情報ネットワーク基盤検討会は会合を開き、「処方箋の電子化に向けて(案)」と題した処方せんの電子化を検討する資料を提出しました。資料は20ページとかなりのボリュームがあるため、その前半部分のポイントをご紹介します。

処方せん電子化01

「処方箋の電子化に向けて(案)」の1ページ目「1.検討の経緯」です。平成16年9月の「今後の医療情報ネットワーク基盤のあり方について」に処方せんの電子化は制度運用の課題があり、現時点ではできないとされましたが、平成19年3月のIT新改革戦略評価専門調査会で、レセプトオンライン化の全体最適の一環として電子化への活用が記載されたことにより、検討が継続的に行われ、平成22年6月の「規制・制度改革に係わる対処方針」、平成23年8月の「情報通信技術利活用のための規制・制度改革に係わる対処方針」で、平成23年度中に処方せんの電子化の考え方を明確する方針が明記されました。こうした背景をもとに、本検討会の「処方箋の電子化の検討に関する作業班」で検討した結果が、この報告書です。

処方せん電子化02

「3.処方箋の電子化を含む医療情報の電子化の進展により実現されること」です。今まで処方せんが文書で交付されているのは、医薬分業が公正に行われるためであったと思います。しかし、情報通信が長足の進歩を遂げ、国民生活に占める紙の役割は漸減していますし、eTAXのように公文書等も電子化されるようになり、赤枠にあるように患者視点から処方せんの電子化が望まれています。また、青枠になるように「突合点検」がさらにやりやすくなるなど診療報酬の審査にも有用としています。そして、緑枠の、医療の効率化と質の向上、患者安全、経済効率の観点から処方せんの電子化が必要としています。 

処方せん電子化03

「3-1.処方箋の電子化に向けての取り組みと課題」の抜粋です。処方せんを電子化するには、赤の下線部の、ネットワーク基盤の整備、処方せんの「交付」がどの段階で成立するのか、保健医療福祉分野の公開鍵基盤の整備、処方箋の一意性の確保の4項目の課題をクリしなければならないとしています。連休明けから国会で審議される予定の「マイナンバー法案」の成立が処方せんの電子化に不可欠です。

処方せん電子化04

「3-2-1.主に医療機関におけるメリット」です。処方せんの電子化による医療機関と調剤薬局のメリットが列挙されています。医療機関と調剤薬局間での情報の共有・共用化が進むこと、処方せんの印刷コストが削減されること、一般名処方の普及による調剤薬局から医療機関への医薬品情報の提供が円滑に行われること、調剤薬局の処方情報の再入力の労務軽減と誤入力防止になること、調剤薬局の紙の処方せんの保管スペースが削減できること、などが主な項目で、医療機関より調剤薬局にメリットが多いようです。

処方せん電子化05

「3-2-2.主に患者等におけるメリット」です。患者へのメリットは、処方せん原本を電子データで受け取ることができる、処方された医薬品の履歴を自己管理できる、蓄積された医薬品情報を、他の医療機関に自らの意思で提示できる、診療の継続性が確保できることなどがあります。また、青の下線部にあるとおり、東日本大震災時に、カルテが消失したために問題となった医療関係者が患者等の常用薬を知ることが可能になるという大きなメリットもあります。

ここまでが、「処方箋の電子化に向けて(案)」の前半部です。ご覧のように医療機関、調剤薬局はもちろんのこと患者にもかなりのメリットがあると言えそうです。