A子さんは
どこにでもいる
平凡な主婦



家計を助けるためパートに出ている


パート先は
無添加と手作りにこだわった
お弁当屋さん…



主婦ばかりが働くその店は
安くて栄養もよく考えられ味もいいし自分もよく利用する…



そこの常連客に
白髪のかわいい
お婆さんがいる



火曜と金曜は
デイサービス
月に一度は
地域の支援による独り暮らしの老人に食事を というサービスを利用していて
それ以外の日は必ず このお弁当屋さんにやってくる


歳は80は軽く越えているだろうか…いつも白髪を後ろでクルッと結わえ椅子付きの手押し車を押し、疲れた時には、道の端に車をよせて
ちょこんと座っている姿を何度か
見かけた…



店には、いつも10時を過ぎた頃やって来る…


いつもの日替わり弁当に 白米を少なめに入れ おかずは食べやすいように細かく刻み
一品多く入れる


別にお婆さんに頼まれた訳でもないが常連さんだし 自分の母親と重なるところもあり
サービスしている


ゆっくりゆっくりやって来て…



中にある椅子に腰掛けて少し世間話なんかをする…



中々の物知りで
特に芸能ニュースには詳しい…
今朝TVで見た
芸能情報をしゃべる



店が忙しくなる頃帰っていく
とても心遣いのいい小さなかわいいお婆さんだ



ある日…
自分が弁当を買いに行くと
店の前にお婆さんが立っていた…



こんにちわ
一緒に入りましょうか?
と声をかけると



急に息子が迎えにきて 息子の所へゆく事になったので お世話になった人に お別れをしにきた

というのだ…

近くに息子らしき人が立っていた


その姿を見て
涙が溢れてとてもとても辛かった…



次回つづく…
同僚のあまりの
取り乱しように
ビックリしていた時



今度は下の階の扉がひぃーっと重く開く音が聞こえて…



カツカツカツカツ


小走りで上がってくる足音が聞こえ…


どうしました?
大丈夫ですか?



と言いながら走り上がって来たのは警備係のおじさんだった…



自分はホッと安心したが、同僚の方はというと、未だに取り乱し続けて…



すみませんが一緒に、支えて下りてもらえますか?



自分が気分が悪いのも忘れて警備係のおじさんと一緒に同僚を支えて階段を下りてゆく…


この同僚、太っているわけでもないのに…やけに重い…



やっとのことで
玄関ロビーのエントランスまで
たどり着いて



震える同僚を
なだめながら
携帯で裏口にタクシーを呼んだ…



警備係のおじさんはタクシーを呼んでいる間にいなくなり…



お礼も言ってないし、裏口から出たあとカギを閉めてもらわないといけないのに…
色々考えながら
同僚をかかえ
裏口に行った…



とにかく重かった…

先程階段を下りてくる時と変わらないのが頭の何処かにひっかかったまま…



裏口はオートロックになっていた



外に出ると もうタクシーが横付けされており
倒れ込むように
タクシーに乗り…


その日は仕方なく自分の家に連れて帰った…



次の朝、どうしても気になって…



同僚が言うには



あの時カツーンカツーンって誰かが下りてくる音がして、上を見上げるとスーツを着た
男が下りてくるのが見えたんだけど
とここまで説明してまた震えて泣き出した…



とにかくその男は青白い顔で首にはヒモのようなものを垂らして近づき彼女の耳元で罵声を浴びせたそうだ…



どうして自分には見えなかったんだろう



その日は同僚を休ませて、一人で出勤した…



昨日残って仕事した同僚は 自分達以外 そのまま会社に泊まったようだ



泊まりといっても椅子を合わせて上に寝るだけ…



昨日の騒ぎは誰も気づいていない…


警備係のおじさんに お礼を言わなくては…と思い
さがしたがみつからなかった…


というよりも
このビルは
元々、セキュリティ会社と契約をしているが
警備員や警備係を常駐させてはいないというのだ…



同僚に

昨日かかえてもらって階段を下りるの手伝ってくれた警備係のおじさんを覚えているかと聞くと



そんな人知らないし階段は あなたが一人でかかえて下ろしてくれたじゃない…って言うのです…。



入社二年目を過ぎた頃


本格的に仕事を任されるようになった…



それまでは
伝票整理だの
宛名書きだの
会議用資料の作成だの雑用ばかりだった…



企画営業部…

所属するフロアはビルの五階



仕事内容も自分の考えをそのまま
企画提案し
うまく採用されれば直接商品に反映させてもらえる…


新企画立ち上げ
プロジェクトスタッフに選ばれると残業も多くなり
疲れるが
それだけに
やりがいもあるし何より楽しい



6月に入り
残業も度々
その中でも就業時間を大幅に越えてしまう時など…
「会社の入っているビルでは夜の11時を過ぎるとエレベーターがストップしてしまう」
度々非常階段を使わなければならない…



その日も
企画案のプレゼンの準備で遅くなり深夜11時を回ってしまった…



非常階段を使い
階下へ…



非常階段の扉は重く、開けると
ひぃーと嫌な音が出る…



階段を下りる靴音だけが静けさの中に響きわたる…



四階から三階へ下りる途中の踊り場当たりから気分が悪くなり



ちょっと立ち止まった…



大丈夫?気分悪いの?


ちょっと立ちくらみ…


とだけ答えて手すりを支えにしゃがみ込んだ



この感じは
おかしいな…
いつもと違う
と思った…



いつも非常階段
を下りる時は
二階の踊り場の壁がわのすみに
ぼんやり立っている人を見るのだが


こんなに気分が悪くなった事はない


何だろう!?



同僚に支えてもらい立ち上がった…


一段一段支えてもらいながら下りてゆく…



三階の踊り場にきた時またその場にしゃがみ込んだ…


カツーン
カツーン
カツーン


と上階から誰かが下りてくる足音が聞こえてきた



同僚が…
嶋田さんかな?
あの足音?
と言いながら
上を見上げた…



カツーン
カツーン
カツーン



やだ何?
あれ何?

と同僚がしゃがみ込んだ…



自分も上の階の方を見上げたが
何も見えない…



嶋田さんじゃないの?
どーしたの?



って聞いても
同僚は



やだやだやだ~
こわい こわい~を連発するだけで…


その間も
足音はどんどん下りてくる…



同僚は自分にしがみついてブルブル震えている…

???

自分には見えない

そのうちに
いやーいやー
と泣き叫びだした…



自分は訳がわからず…てゆうか


同僚には何かが
見えているのだ
どうして自分には見えないんだろうその事の方が
不思議だった…



次回つづく…