あれは小学4年の時



うつ伏せにコタツに入って、マンガ本を見ていた…



コタツの上には
母がおやつに出してくれたプチシュークリーム



本から目を離さないまま上半身を起こし手をコタツの上に伸ばしてプチシュークリームを食べるという お行儀の悪い事をしていた…



何回か繰り返し
また手を伸ばしたが届かない



手で探ってみたがプチシューに当たらない



無意識にパッと
振り返って
コタツを見ると
小さな人がプチシュー1個を抱え カプッとかじっていた…



そのまんま知らん顔してマンガ本を見たが、なんだろうと思い起き上がってコタツの上を見ると何もいなかった…



みまちがいかな~とも思って回りを見ると小さな人がプチシューを抱えて台所の方へササッと走って行くのが見えた



その姿が面白くて不思議というよりとにかく笑えた



小さな人の風貌は
頭でっかちで

チョンマゲを結い
剣道の胴着みたい
なのを着ていた…


あし足元は、はかまが長すぎて見えなかった



買い物から帰ってきた母にすぐに言ったが


またそんな事言ってと困惑していた


それからコタツの上にカールやキャラメルコーンといった軽いお菓子を置いたりしたが、一向に姿を見せなかった…



ある日、朝から大雪警報が発令され学校が休校になった



父も母も仕事が休めず、一人留守番する事になった



自分はコタツに入ってテレビを見ていた…



するとテレビとタンスのすき間からあの小さな人が出てきて
コタツの布団をよじ登りはじめた…


次回つづく…
集中治療室は面会時間が午前10時と午後3時の一日二回だけ…



それ以外は特別な事がない限り面会させてもらえない…


従兄弟と叔母さん達が一緒に帰ろうと言ってくれたが、どうしても病院から離れる事ができず、一人残る事にした…



病院には、手術中の患者の家族や救急で運ばれた患者の家族の為に待合所が設けられている



自分はそこで一晩過ごし、朝の面会を待った…



夜12時を過ぎても待合所は人の出入りが激しい



急変して緊急手術を受けている患者の家族、救急者で運ばれてきた人の家族



自分は待合所を出て集中治療室の前に行った



所々設置されている自販機のブーンとゆう低い音だけが響いていた…



時々、病院内を徘徊する人が近寄ってくるが、話す気分じゃないっと睨み付けてやるとスゥーといなくなる、いつもは知らん顔するのに…明らかに、その時の自分は気が立っていた…



そろそろ待合所のほうに戻ろうと思っていると



廊下の向こうからパタパタパタパタと数人が小走りでかけてきて、



集中治療室の前にあるインターフォンで連絡を取り 中へ入って行った


時間外面会? 誰か危篤なんじゃ?自分は、ハッと父の隣り合わせの向こうのベットの患者さんが危篤なんじゃ?と思ってずっと集中治療室の前から動けなくなった…



壁にもたれて、しゃがみ込んでいると、さっき入って行った家族らしき人達が出てきた…


どうやら家族が亡くなったようで 手分けして親戚に電話する相談をしながら廊下を歩いて行った…



ふと見ると
その人達を見送るように寝間着姿の老人が立っていた


自分は息をするのも忘れてその老人を見ていた…



その老人はクルっとこちらを向いて廊下を歩いて行く


左から右に目で追っていくと 昼間見た黒いシルクハットの男が立っていた…



寝間着姿の老人が、その男の後について行こうとしている



止めようと立ち上がった時、体が動かなくなった…



力を振り絞って逆らったが倍の力で押さえつけられる
邪魔をするな

低く重厚な声が耳元で響いた…



恐いのか悔しいのか説明のつかない感情が涙を出す



そのままズズズと壁に押さえつけた体ごと座りこんだ


すぐに金縛りはとけたが、動かずずっと座り込んでいた…



処置室の看護師が自分を捜していたらしくて、集中治療室の前に座り込んでいた自分を見つけて、父の意識がもどり家族を呼んでいる、直ぐに面会できる事を伝えてくれた



父は数日後、普通病棟に変わりリハビリを積んで後遺症もなく退院する事ができた



その後、あの病院ではシルクハットの男を見ることはなかったが、今思い返しても鳥肌が立つ…



いつかきっと
またあのシルクハットの男に会う事になるだろうと思っている…
その日は
朝から何か変だった


集中できないってゆうか、上の空ってゆうか…



胸騒ぎ?ってこんな感じなの?



お昼頃会社に電話が入った…



従兄弟からだった…



なー!!
おまえ携帯に何回も電話したんだぞ!!(携帯を家に忘れていた)
叔父さんが(父が倒れて入院したんだぞ!!



知らせを聞いて
直ぐに会社から実家の近くにある大学病院へ…



朝から変な感じだったし何故気がつかなかったんだろう…こんな時に限って携帯を忘れるなんて…と色んな事思いながら


どうか無事でいてどうか無事でいて

と病院に着くまでずっと心の中で唱えていた


病院に着くと
従兄弟と叔母さん達がいた


脳梗塞をおこし今は集中治療室にいるので会えないという…


父は朝から気分が悪いと言っていたが、そのまま仕事に行き倒れたらしい



夕方、一度面会できる事になったが家族のみに限定され自分だけが中に入った…



集中治療室の中はよくテレビで見るのと同じで患者がズラリと並んでいた…



意識は一度もどったようだが
自分が入った時には
眠っていて10分という短い面会時間の中で話す事は出来なかった…



父の顔を見て一安心したが、気が立っていて神経も過敏になっていた…


父の隣り合わせのひとつ向こうのベットに黒いシルクハットの男が立っていたので、睨み付け口の中で、こっちへ来たら許さないと呟いた



男の顔つきまではわからなかったが、直感で今晩あのベットの患者が亡くなるんだという事を感じていた…


次回つづく…