この言葉でバレリーナになる夢を諦めた人や、辛い思いをした人、している人、迷っている人がきっと沢山いると思います。


ウィーンのオペラ座バレエ学校でも入学試験では医師が必ず骨格や股関節の柔軟性と足の回転度数や手足の長さをきっちり計ってチェックします。


骨格や柔軟性がバレエに向いていない場合、バレエのポーズをとることが難しく、踊ることで身体を傷める可能性もあるので多くの子供がバレリーナになる夢を諦め、違う道を考えるようになります。(もちろん諦めずに再度チャレンジして受かる子もいます。)


体型のせいで試験で落とされることはとてもショックなことですが、ある意味小さな頃にそうやって振り分けてもらえると傷が小さくて済むのかもしれません。


日本では誰でも同じようにレッスンしたり、同じようにコンクールに出場したり、仲間と一緒にバレリーナになることを夢見ているのに、思春期の真っ只中留学やプロになることを考え出した頃に突然「あなたはバレエ向きの体ではありません」と現実を目の前に突きつけられることもあるので、ショックはかなり大きいと思います。


人ごとのように言ってますが、私自身が幼い頃から「努力はするけど条件が悪すぎる」と言われてきました。


でもそれを言った先生方を恨んでいるわけではありません。だって将来のことを考えれば本当のことを言うべきですし、それをテーマにしない方が危険だと思うからです。


私のように柔軟性もなく股関節が回転しないO脚の足でそれをカバーしながら躍るのは、大袈裟ですが欠陥品で家を建てるような感じがしました。(それでもやめられないという私ってかなり変態)

 

特にパドドゥを踊っているときは、女性の身体がきっちりしたポジションに入っていないと両方のダンサーにとって危険だと感じました。


でももしも今あなたがすでにバレエに夢中になってしまっていて、挑戦してみたいんだ、何がなんでもやるんだと、当時の私のように思ってしまっているのなら、自分に責任持って、研究を重ね人一倍怪我に注意しながら丁寧に努力を積み重ねていくべきだと思います。


そしてどうかそれを理解した上で指導してくれる教師に出会えることを祈っています。

(頼りきるということではありません。


最近思い出したのですが、昔私が中学か高校の時にいつも読んで参考にしていた本。

「舞踊とバレエについての手紙 原典版 ジャン・ジョルジュ・ノヴェール著」

https://ja.wikipedia.org/wiki/ジャン=ジョルジュ・ノヴェール

 

静岡の書店で買ったこの本には、ダンサーの身体や特にアンデオールのことやO脚のことが書いてあったので、当時は本に線を引いたり、ノートに書き写したりしていました。(ずいぶん昔のことで、本も手元にないのであまり内容が書けなくてごめんなさい。)


この本はもう販売していないようなのですが、今はダンサーの身体についての研究も進んでいるので探せば色々な本があるはずです。


でも最後に言いたいのは、もちろんテクニックや体型はバレエを踊る上で重要な事なのですが、それだけにとらわれず、それ以外で何を観客に与えることができるのかを考えることもとっても大切だということです。


私は「見かけが悪いなら踊れてなんぼ!」って思ってレッスンしていましたが、バレエを観に来るお客さんはあなたのテクニックに点数をつけるために劇場に来るのではなく、バレエを楽しむため、そしてなんらかのメッセージを受け取るために劇場に来るわけですから、その一番肝心なところを絶対に忘れないで欲しいなと思うのです。


あなたがなぜ踊りたいのか、そこに大切な鍵がきっとあるはずです。