流行中の感染症 2025年 第26週 | mikenecoのブログ

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横須賀市 馬堀小児科医院 院長のブログです。

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こんにちは コスモス

 

 

このブログでは、国立感染症研究所ホームページに公表される感染症発生数の情報を元に、当院のある神奈川県の感染症発生状況をお知らせさせて頂きます。

 

感染症研究所ホームページの感染症週報の2025年26週の速報データが更新されました。

 

2024年までの累計報告数はリセットされ、2025年は0例から始まっています。

 

 

記事の後半に、増加傾向にある感染症や予防のための注意点をまとめていますのでそちらもお読み下さいウインク


 

公表されているのは、現在から約2週間前の数値ですが、おおよその流行状況を把握することができます。

※速報値のため、再集計の後に修正されることがあります。

 

 

尚、神奈川県以外の地域については文末のリンク 1からご確認いただくことができます。

 

 

【2025年 第26週 (6/23-6/29の神奈川県の感染症発生動向】

(便宜上、一般の患者さんの生活に密接した疾患のみをピックアップしています)

 

 

※ ( )内は同年第1週からの累積数です。

「増減」には、前の週と比較して1週間当たりの発症数が増えた場合は+, 減った場合は-を付けた数字を示しています。数が前週と同じものには+, - を示していません。

 

* 新型コロナウイルス感染症の報告数については、全数把握疾患ではなくなったため、定点把握疾患の項目に含めることになりました。

  第26週 累積 増減
結核 20 424 +3
腸管出血性大腸菌感染症 3 70 -7
劇症型連鎖球菌感染症 0 50 -1
侵襲性インフルエンザ菌感染症 0 34 -1
侵襲性髄膜炎菌感染症 0 2  
侵襲性肺炎球菌感染症 6 167 +3
先天性風疹症候群 0 0  
破傷風 0 2  
百日咳 163 1423 +42
麻疹 3 32 -7
風疹 1 1 +1

 

定点把握疾患(週報告)(神奈川県):
※ ( )内は定点医療機関当たりの報告数

  【 】内には、前の週と比較して1週間当たりの合計定点報告数が増えた場合は+, 減った場合は-を付けた数字を示しています。数が前週と同じものには+, - を示していません。

定点報告は県内すべての発生数を網羅してはいないので、報告数が無し(-)でも0件を意味しません。そのため、「-」の週からの増減数は示していません。

 

* 新型コロナウイルス感染症の報告数については、定点報告になりました。

  第26週 定点 増減
COVID-19 413 1.75 +173
インフルエンザ 53 0.22 -18
RSウイルス感染症 43 0.31 +15
咽頭結膜熱(プール熱) 84 0.6 +5
A群溶連菌咽頭炎 379 2.71 +47
感染性胃腸炎 716 5.11 +24
水痘 163 1.16 +66
手足口病 44 0.31 +25
伝染性紅斑(りんご病) 149 1.06 -30
突発性発疹 53 0.38 +14
ヘルパンギーナ 45 0.32 +24
流行性耳下腺炎(おたふく) 18 0.13 +5
細菌性髄膜炎   - -
無菌性髄膜炎 2 0.17  
マイコプラズマ肺炎 9 0.75 +4
ロタウイルス胃腸炎   - -

 

 

まとめ:

新型コロナウイルス感染症の発生数は2023年19週以降は、新型コロナウイルスの感染症法上の位置づけが5類定点把握対象疾患に移行したため、県内の発生数の全数の把握はできなくなっています。

2025年の定点あたりの発生数は増加傾向が続いており、23週は久しぶりに定点あたり1を超えました。24-25週は減少傾向でしたが、26週は大幅に増加し、再び定点あたり1を超えました。

 

自身や家族が感染しないために、日頃から感染予防の心がけを続けることがとても大切です。

新型コロナウイルスが5類感染症となり、マスク着用も緩和されていますが、新型コロナウイルスの感染しやすさが変わったわけではありません。人が多い室内・近くで声を出す活動をする環境で長時間過ごすときは、マスク(可能なら不織布マスク)を着けて生活しましょう。マスクから鼻が出ないようにしましょう。

 

体調が悪い時は無理して外出や登園・登校・出勤をせずに自宅で休むようにしましょう。

 

ご家庭では石鹸やハンドソープによる手洗い、外出先では消毒用アルコールによる手指消毒をし、規則正しい生活をして体調を整えて過ごし感染予防に努めましょう。

 

公費負担での小児の新型コロナワクチンの接種は、2024年3月いっぱいで終了しました。

 

過去に感染したことがある人が再度感染することもありますのでマスクや手洗いなどの基本的な対策は継続しましょう。

 

新型コロナウイルス感染症については、公的サイトもぜひご確認下さい。

・厚生労働省 - 新型コロナウイルス感染症について -
 

 

インフルエンザは減少傾向が続いており、2025年 26週は定点あたり0.22と、だいぶ少なくなりました。新型コロナと同様、マスク・手洗い・換気が予防のために有効です。

 

 

結核は2024年の1年間で神奈川県内で累計988件の発生がありました。2025年26週は、2桁の発生で、前週からは微増でした。上下しながら推移しています。

日本では、結核の発生が現代でもまだみられます。2024年9月に、東京都内で、学校内で結核の集団感染が報告されました。

幼い子供が結核に感染すると重症化しやすいので、BCGの接種対象月齢のお子さん(1歳未満)は忘れずに接種を受けましょう。

 

 

腸管出血性大腸菌感染症の全数報告数はほぼ毎週報告例が出続けています。26週は前週からは減少しました。牛肉などはしっかり中まで火を通して食べましょう。生の肉を触ったトングや箸を使って、焼けた肉を取り分けるなども汚染の原因になりますので生の肉と焼けた肉は別々のトングや箸で扱うようにしましょう。生野菜は、よく水洗いしてから食べましょう。

 

 

神奈川県の百日咳の登録は2024年の1年間で263例あり、2023年の1年間の発生数の5倍以上になりました。2024年は、毎週のように数例の百日咳の登録がありましたびっくり 2025年も多めで経過しさらに週を追って大幅に増加傾向となっています。24週は若干減少しましたが、25-26週は再び増加しました。当院でも、小学校高学年以上の小児を中心に陽性例が複数出ています。止まらない咳が続く場合は、必要に応じ検査・治療が必要です。

百日咳は、百日咳の予防接種をまだ受けていない乳児が感染すると重症化しやすく、時には死亡することもある病気です。

 

 

2024年は破傷風の登録が1年間で8例の登録があり、2023年より増加しましたびっくり 2025年は、発生数は不明ですが、累積が2例となっています。

 

5種混合(百日咳・破傷風・ジフテリア・不活化ポリオ・Hib)の対象月齢のお子さん(生後2か月~)は忘れずに接種を受けましょう(すでに4種混合で接種開始した人は4種混合+Hibで規定の回数の接種を受けましょう)。

小学校高学年が対象となる2種混合(ジフテリア・破傷風)も、免疫を持続させるために大切です(3種混合であれば、百日咳の免疫も高められますが、公費では打てません)。忘れずに受けて頂けますようお願いしますお願い

 

就学前に、任意接種(自費)ではありますが3種混合(百日咳・破傷風・ジフテリア)と不活化ポリオワクチンの追加接種を受けておくと、百日咳も含めた免疫をしっかり長続きさせることが出来ます。大人の方も、子供の頃に受けた予防接種の効果は消失していますので、3種混合の予防接種を追加で受けることが百日咳の乳児への感染予防のために有効です。ぜひ接種をご検討下さい。

 

 

2025年23週から継続して麻疹(はしか)の発生が県内で続いています。23週は2例、24週に6例、25週は更に増加して10例の登録がありました。26週は減少はしましたが、3例が報告されています。症状がある時に仕事をしていた人や公共交通機関を利用していた人もおり、今後の感染拡大に引き続き注意が必要です。

発熱や発疹などの症状がある場合は、大人も含め仕事や外出を控え、医療機関に事前連絡してから受診して頂けますようお願いいたします。

 

 

麻疹は非常に感染性が高く、免疫がない場合は小児だけでなく大人も感染します。一例でも発生があると、免疫の無い人へ感染し、どんどん感染が広がってしまう病気です。高熱や発疹・咳が出る病気で、それ自体もつらく、重症化することもあるのですが、麻しんでさらに恐ろしいのは、長期間を経てSSPEという脳炎を発症することがある点です

今後も流行を阻止するために、麻しん・風しん混合ワクチンの2回接種の接種率を社会全体で高い水準に維持することが大切です。

 

1歳と、6歳(年長さん)で定期接種(無料)として受けられる麻しん・風しん混合ワクチン(1期・2期)は忘れずに受けましょう。

上記の年齢で2回のワクチンを受けられず現在に至っている方(大人も含む)は、自費となりますがぜひ接種を検討下さい。

※定期接種以外の方は、予約のうえ、入荷を待っていただくことが多いです。

 

 

2024年は、侵襲性髄膜炎菌感染症の報告が3例ありました。2025年10週に1例目の報告がありましたが、12週の時点で累積が0になっていたため、報告が取り下げられたようです。18週に、1例の登録がありましたガーン

無症状の人も保菌していることがあります。感染して重症化すると、若く健康な人でも死亡することがある病気です。寮生活をする方や合宿が多い方は、予防接種をお勧めします。1回接種で済みますが、自費のため費用はある程度かかります。

 

 

感染性胃腸炎は2025年24週はやや大幅に増加し、25週は大幅に減少しましたが、26週は再び増加しました。定点あたり5台とまだまだ多めですので、注意が必要です。当院の外来でも、嘔吐・下痢の人がけっこういます。感染性胃腸炎をきたす病原体には複数のウイルスがあり、それをまとめて集計されています。ノロウイルスが有名ですが、それ以外の病原体も含まれます。

 

吐物や下痢から感染しますので、感染予防のためにオムツ交換後やトイレから出た後・食事の前には毎回、石けんやハンドソープで手をよく洗いましょうくもり

 

 

RSウイルス感染症、14週は、前週から大幅に減少傾向でしたが、15週は増加しました。16-19週は減少傾向、20-21週は増加しました。22-25週は横ばい~減少でした。26週は、増加傾向となりました。

RSウイルス感染症は、特に0-1歳で呼吸状態が悪化しやすい感染症です。2歳以上では再感染のことが多く、0-1歳よりは軽症と考えられますが、発熱が長引いたり咳が悪化する場合もあります。

お子さんの息がゼイゼイして苦しそう、顔色が悪い、ミルクや母乳の飲みが悪いという場合は早めに小児科の受診をしましょう。

 

 

プール熱(咽頭結膜熱。アデノウイルスによる感染症)は増減を繰り返していますが、24週は前週と比較し減少傾向でしたが、25-26週は増加しました。

咽頭結膜熱は、のどと目が赤くなり、高熱が長く(5日以上など)出るのが特徴です。咳を伴うことも多いです。感染力が強いため、症状が治まってから二日間休んだのちに登園・登校する必要があります(特効薬はありません)。

手洗い・マスクが予防のために重要です。

 

 

溶連菌感染症は増減を繰り返し流行中で、25週は大幅に減少しましたが26週は再び増加しました。まだ定点当たり2以上と多めで経過しており、今後も注意が必要です。

溶連菌感染症は、A群β溶結性連鎖球菌がのどや皮膚に感染し発熱・咽頭痛、場合により発疹や腹痛・嘔吐が伴いますが通常は咳は出ません。飛沫で感染しますので、マスクと手洗いが感染予防に有効です。

感染した場合は、リウマチ熱を予防するために抗菌薬を飲んでしっかり治療する必要があります。

劇症型連鎖球菌感染症もほぼ毎週のように登録がありガーン、16週にも1例の登録がありました。

 

 

水痘(水ぼうそう)は変動しながらも多めで推移しています。2024年の42週から増減を繰り返し、48週はやや大幅に増加、49週は更に増加しました。2024年50週以降は小幅に増減を繰り返しており、24-26週は大幅な変動をしており、26週は増加しました。感染力が強い感染症のため、今後も注意が必要です。潜伏期間が2週ほどと長いため、当院の周囲でも断続的に発生がみられています。今後も注意が必要です。

 

定期接種の年齢(1歳~2歳)のお子さんは、忘れずに水ぼうそうの予防接種を2回受けましょう。それ以上の年齢でも、自費での接種を受けることは可能ですので、まだ感染していない人はご検討下さい。

 

水ぼうそうは軽い病気と思われていることもありますが、脳炎や脳症の合併を含め重症化するケースもあります。「かかっておいたほうがいい」という考え方は危険です。また、基礎疾患やその治療などにより免疫が低下している人が水ぼうそうに罹ると生命の危険があります。社会全体で、水ぼうそうが流行しないようにするためにも、お子さんの水ぼうそうワクチンの接種をお願いいたします。

 

 

ヘルパンギーナの流行は2024年20週から増加傾向を認め、30-32週でピークを迎えましたが、その後は上下しながら減少傾向となり、ほぼ収束していましたが、21-22週はわずかに増加しました。24週は増加傾向はみられていませんでしたが、25-26週は増加しました。暖かいシーズンとなり、今後さらに増加傾向となるのか注視したいと思います。

 

手足口病(エンテロウイルスによる咽頭炎・四肢を中心とした発疹をきたす疾患)の発生数は2024年30週ごろにピークを迎え、その後いったん減少傾向となりましたが、37-42週にかけて再びピークとなりました。43-52週は、減少傾向が続いていました。2025年は小幅に上下しながら推移していましたが、24週は増加傾向となり、25週は減少、26週は増加しました。これから継続して増加傾向となるのかどうか、今後も注意して経過をみたいと思います。

 

一般的にヘルパンギーナや手足口病を含む感染症は「夏かぜ」と言われ夏季に大きな流行を認めることが多いのですが、2023年、2024年は気温が下がってきてからも、多くの発生がみられるようになっています。

これらの発熱性疾患の多くがエンテロウイルス系によるもので、3,4日で解熱することがほとんどですが、場合によっては無菌性髄膜炎をきたすこともあります。高熱に頭痛・嘔吐を伴うときは受診しましょう。

いずれも、予防にはマスク・手洗いが有効ですくもり

 

 

おたふくかぜ(流行性耳下腺炎)の定点あたり発生数は、2024年を通じ増減を繰り返していました。2025年も26週にかけて小幅に増減を繰り返しています。今後も注意が必要です。

 

おたふくかぜは、ムンプスウイルスによる感染症で飛沫から感染します。発熱、耳や顎の下の腫れで発症しますが、無菌性髄膜炎や感音性難聴などの合併症も生じうるため、あなどれない感染症です。

予防のためには、おたふくかぜのワクチンを受けることが大切です。1歳から接種できますが、多くの自治体では自己負担が必要です。当院でも予約を受け付けていますので、ご検討下さい。

 

 

伝染性紅斑(りんご病)は2025年も多めに推移し、26週にかけて増減を繰り返していますが、ずっと定点当たり1以上で経過しています。今後の推移に注意したいと思います。

 

 

2024年29週から、マイコプラズマ感染症が増加傾向となり、32週から45週大幅に増加し大流行しました。2025年も小幅に増減を繰り返していましたが、おおむね15週頃から16週は増加がみられなくなり、全体的に感染が収束傾向となっているようでした。が、22週から26週にかけては、それ以前よりは若干多めの水準で上下しており、今後も注意が必要です。

Mycoplasma pneumoniaeという細菌による感染症で、幼児~小中学生が感染することが多いですが、成人にもうつります。発熱や、どんどんひどくなる咳が特徴で、時には肺炎になることがあります飛沫と接触により感染します。抗菌薬で治療可能ですが、発症初期にはほかの風邪と区別がつかないため、症状の出始めからマイコプラズマの治療薬を使うことはできず、症状の経過をみる必要があります。

予防のため、発熱や咳のある人との密着を避け、マスク・手洗い・十分な換気を行い十分注意して過ごしましょう。

 

 

突発性発疹はその性質上、基本的に季節性の流行はありません。

 

 

(県内の詳細は、リンク3を参照下さい)

 

 

【データをご覧になる際の予備知識】流れ星

感染症発生数の報告は、全数把握疾患(全国で発生したすべての症例を数える)と、定点把握疾患(あらかじめ指定された医療機関からの報告症例を数える)があります。



定点は報告する疾患によって5種類(インフルエンザ定点、小児科定点、眼科定点、STD定点、基幹定点)があります。指定医療機関の数は地域の人口によって決められています。


神奈川県では、インフルエンザ定点185、小児科定点233、眼科定点52、STD(性感染症)定点70、基幹定点12の機関が指定されています。(当院は定点機関ではありません)

 
小児科定点機関からは、RSウイルス感染症、咽頭結膜熱、A群溶血性レンサ球菌咽頭炎、感染性胃腸炎、水痘、手足口病、伝染性紅斑、突発性発しん、ヘルパンギーナ、流行性耳下腺炎が集計されます。

 

 

今後もご注目下さいウインク

次回の更新予定は7月17日ごろです(国立感染症研究所の更新日の後です)。

 

 

 

リンク:

1.国立感染症研究所ホームページ IDWR速報データ 2025年26週


2.神奈川県衛生研究所ホームページ 感染症情報センター 感染症発生動向調査

 

3.神奈川県衛生研究所ホームページ 週報