mikenecoのブログ

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横須賀市 馬堀小児科医院 院長のブログです。

子どもの育ち・病気・ケガ・ワクチンなどについて正しい医学的根拠に基づいたわかりやすい情報をお伝えできるよう心がけています。

子どもが出てくる映画や本の紹介も。

コメディアンの志村けんさんが新型コロナウィルスCOVID-19の重症肺炎により亡くなったというニュースがありました。

 

 

子供の頃、『八時だョ!全員集合』を土曜日の夜に観るのが何よりの楽しみでした。『志村けんのだいじょうぶだぁ』も好きでした。

 

 

心よりご冥福をお祈り申し上げます。

 

 

 

 

 

新型コロナウィルスCOVID-19に関連したニュースの中で、重篤な患者さんの治療に用いられるECMO(エクモ)という医療用語がよく聞かれるようになりました。

 

 

志村けんさんも、ECMO使用のため転院されていたと報じられていました。

 

 

 

ECMO(Extracorporeal membrane oxygenation) とは、人工肺とポンプを用いた対外循環回路による治療です。(参考文1,3)

 

 

通常の治療では対応困難だが可逆性(治ると考えられる)の重症呼吸不全や循環不全の時に使用されます。

 

 

通常の人工呼吸器では肺へのダメージが大きいため、酸素を取り込み、二酸化炭素を取り除くという本来の肺の仕事をECMOが請け負うことで、肺を休ませます。

 

 

 

詳しい内容は、文末にリンクを貼っていますのでそちらを読んでいたければと思います。

 

 

 

写真: Pixabay

 

 

「志村けんさんは、著名人で資産もあるため一般庶民とは異なり最高の治療が施されていたはず」と考える人もいるようですが、それは違います。

 

 

 

ECMOを含む集中治療は、すべて保険診療(日本で有効な保険証があれば保険の負担により誰でも等しく受けられる医療)で行われています。

 

 

医療費が高額になった場合の救済制度もあります。

 

 

 

つまり、日本は医療を受ける人の地位や資産に関わらず、病気に対し必要で実施可能と考えられる治療が同じ自己負担額で受けられる国ということで、これは世界的に見れば非常に恵まれています。

 

 

 

(これは、同じ病気に同じ治療をすれば誰でも同じように治る、ということではありません。

 

また、患者さんの満足度がどの医療機関や医療スタッフでも同じであることを必ずしも意味しません)

 

 

 

 

ECMOを含む集中治療は、非常に高度な設備を備えた医療機関における、熟練した技術を持った医療従事者だけが実施可能です。

 

 

その数には当然限りがありますし、現場の負担は相当なものです。

 

 

 

これまでに新型コロナウィルスCOVID-19による重症肺炎でECMOを使用されたのは23例、うち12例が離脱(回復した)、残りは治療中と報告されています(3月11日付の報告)。(文献2)

 

 

これを見るだけでも、既に集中治療の現場の医療従事者はかなり疲弊していることが想像できます。

 

 

 

 

今後、新型コロナウィルスCOVID-19による重症の患者さんが爆発的に増えたときに、ECMOを含む集中治療のリソース(対応可能な医療機関や設備、スタッフの数)が足りないために命を救うことができない、という状況は避けたいと医療従事者は誰もが考えていると思います。

 

 

 

また、新型コロナウィルスCOVID-19以外の病気で入院治療を必要としている患者さんにも必要な治療がいきわたるようにする必要があります。

 

 

 

そのためには、新型コロナウィルスに感染する人数自体を増やさないことがまず大切です。

 

 

感染しやすい状況を避けた生活(自粛)と、有効な手洗いやマスクの着用を辛抱強く続けることが肝要と思います。

 

 

 

 

参考文献:

 

1. 日本集中治療医学会 COVID-19 急性呼吸不全への人工呼吸とECMO 基本的注意事項

 

2. 日本集中治療学会 COVID-19による重症呼吸不全 ECMO治療状況

 

3. 学校法人藤田学園 藤田医科大学 麻酔・侵襲制御医学講座 ECMO

 

4. 梅井菜央. 呼吸ECMOの導入と管理. 『人工臓器』 46巻3号p.208-211