抜群の歌唱力と圧倒的な表現力で天才歌手の名をほしいままにする『ちあきなおみ』さんが今月10にデビュー55周年を迎えられました。

 

芸能活動を休止されて32年くらい経ちますけど、毎年のようにベスト盤CDやLPの復刻盤、リマスタリング盤などのリリース、既発表LPのCD化が続き、聴く者をドラマチックな歌の世界に引き込む伝説の名歌手です。

 

過去にこのBlogで何度かちあきなおみさんのことは書かせてもらっていますが、今日はデビュー55周年を迎えた6月10日から、ちあきさんがこれまでにリリースしてきた楽曲が、音楽ストリーミングサービスおよびiTunes Store、レコチョク、moraなど主要ダウンロードサービスにて、全シングルタイトル曲・全オリジナルアルバム曲332曲にライブ音源を合わせたのべ425曲の一挙デジタル配信が開始されたことについて呟きたいと思います。

 

ちあきさんが在籍したレコード会社3社(日本コロムビア・ビクターエンタテインメント・テイチクレコード)が数年前から進めていた企画だそうです。

 

僕はどうして『ちあきなおみ』さんの曲はデジタル配信されないんだろうとずっと思っていたので、やっとだという想いで嬉しいです〜。

 

これまでにもベスト盤や全集が何枚もリリースされていますが、熱狂的なファンからは各レコード会社にはサブスク解禁の要望の声がひんぱんに寄せられていたそうですから、ファンの声に後押しされたということでしょうか。

 

配信にはちあきさんご本人の了承が必要でしょうし、僕たちファンの声がちあきさんの心に届いたんだと思いたいです。

 

僕が『ちあきなおみ』さんという歌手が歌っているところを初めて観たのは小学生の頃、ちあきさんが11年ぶりに出場した『第39回NHK紅白歌合戦(1988年)』で『紅とんぼ』を歌われた姿を観た時です。

 

それまで、『喝采』や『夜間飛行』という曲は両親の影響で父が運転する自家用車の中とかで聴いたことはあり、歌ったりなんかしていたし、ものまねタレントさんが誇張してパフォーマンスをしていたりして、ちあきさんに興味を持っていたので、『紅とんぼ』で初めて歌われている本人の姿を観て、幼いながらとても感動をしたことを憶えています。

 

昔、年末になるとNHKは『懐かしの紅白歌合戦』と題して過去の放送回を丸々放送していて、ちあきさんが『喝采』『夜間飛行』『かなしみ模様』『さだめ川』『酒場川』『夜へ急ぐ人』を歌唱した紅白を父が録画していてくれて、僕がちあきなおみさんて凄いねと言ったら嬉しそうに「こんなのあるよ」と観せてくれ、益々好きになりました。

 

この頃は、CDショップに行ってもちあきさんの日本コロムビア時代のアルバムはほとんどCD化されていなくて、代表的なシングル曲を集めたペストアルバムが数枚あるだけでした。

 

2000年に発売された6枚組CD-BOX『ちあきなおみ・これくしょん ねえあんた』は画期的なCD-BOXでしたね〜。『夜へ急ぐ人』が初めてCD化されたんですよね。これが4万セット以上を売り上げ、歌謡曲系のCD-BOXとしては異例のヒットとなり、以降次々と廃盤になっていたアルバムが復刻されて一大昭和歌謡ブームが起こったんです。

 

2005年11月にはNHK-BS2で90分の特集番組『歌伝説・ちあきなおみの世界』が放送され、大反響を呼びましたよね。歌伝説として取り上げられた歌手や作詞・作曲家のかたは何人かいましたが、初回放送を含めてBS2・NHK総合で2007年8月までに計6回放送されたのは『ちあきなおみ』さんしかいません。

 

この番組は本当に良い番組だったなぁと思います。作り手の『ちあきなおみ』さんに対する愛を感じましたし。NHKならではの映像が満載で編集も見事でしたね。ただ『ビッグショー』の映像が残っていないのがとても残念です。視聴者から提供されたダビングを繰り返したようなものしか残っていないんですよね。ちあきさんは『ビッグショー』で『夜へ急ぐ人』をフルコーラスで歌ってるんです。他にないんですよそんな映像。

 

そして今年、ちあきさんの曲たちが満を持して音楽ストリーミングサービス、ダウンロードサービスにて一挙配信ですよ〜。時代は進みますね〜本当に。こんな時代が来るとは…感無量です。

 

早速、お気に入りの曲をスマホにダウンロードして通勤中に聴いてます。過去に発売されたCDの曲はほとんど聴いていましたが、今回、あらためて聴いてやっぱり良いなぁと思った曲は…

 

◎雨に濡れた慕情

1969年6月10日に発売されたちあきなおみさんのデビューシングル。デビュー曲なのにこの完成度、凄いです。

 

◎朝がくるまえに

何度聴いても、かっこいいなぁと思う曲です。アレンジが素敵です。

 

◎劇場

前座歌手としてスター歌手の一座に入り、衣装や化粧道具を抱え、バスや船で日本各地を巡業する「ドサまわり」と呼ばれる旅から旅への生活を経験したちあきさんだから歌える名曲。

 

◎かなしみ模様

自分から別れを決めたはずなのに、諦めきれずに涙する女性の心情が熱く伝わる曲。

 

◎立待岬

森昌子さんのオリジナルはもちろん良いんですけど、サラッと歌っているようで、吉田旺さんの詞が深く滲み入るようなちあきさんの歌唱も抒情的で素晴らしいです。

 

◎未練の波止場

松山恵子さんのオリジナルを聞いた時はそれほど良い曲とは思わなかったんですけど、このちあきさんが歌う『未練の波止場』を聴いた時、こんなに良い曲だったの?と驚きました。艶があって伸びやかな歌唱で素晴らしい名曲です。大好きです。

 

◎錆びたナイフ

◎黒い花びら

この2曲は、石原裕次郎さん、水原弘さんの代表曲ですけど、ちあきさんが歌う男歌も良いんですよ〜。男が歌うよりシャープでかっこいいんです。アレンジも最高です。

 

◎赤坂の夜は更けて

◎女の意地

この2曲は、西田佐知子さんの代表曲です。いろんな歌手の方がカヴァーしてますけど、ちあきさんが歌うと空気を一瞬にしっとりとさせると言いますか、濡れたようなという表現がぴったりな声に痺れます。

 

◎愛のくらし

オリジナルは加藤登紀子さん。加藤さんが書く詞が良いですよね〜。中森明菜さんの『難破船』もそうですけど、「愛」と「別れ」をストレートに素直に描かれるところに共感します。ちあきさんの歌唱もとても真っ直ぐで気持ちいいです。

 

◎百花繚乱

和と洋が混ざり合った豪華絢爛なアレンジで、桜吹雪が舞い散る中で歌うちあきさんの姿が目に浮かぶような楽曲です。すごくクオリティの高い曲だと思います。

 

最近、毎日聴いているのはこの曲たちです。カヴァーが多いんですけど、自分の曲ではない、他の歌手の代表曲を歌わせてもらっているのだから、自分の曲以上に心を込めて大切に歌わせていただくという、ちあきさんの想いが伝わってくるようで良いんですよ〜ちあきさんのカヴァー曲は。

 

やっぱり歌謡曲に限らず歌というものが大好きな人間は、いつの時代も人間の香りがする、心が伝わる本物の歌が聴きたいんですよ。そんな時には『ちあきなおみ』さんの曲で決まりです。

 

いつかまた、僕たちの前で歌ってくださるだろうと微かな願いを抱いていた時もありましたけど、今はもう元気でお過ごしであればそれで良いと思っています。

 

『ちあきなおみ』さん。デビュー55周年、本当におめでとうございます。デジタル配信を許可していただいて感謝です。