最近、スマートフォンで、サブスクを使い音楽を聴いているのですが、何故かこの頃『松田聖子』さんの曲が無性に聴きたくなり、毎日、通勤途中の地下鉄の中や帰宅途中の道すがら、マスクに口が隠れていることを幸に、曲を聴きながら声を出さずに歌っていました。

 

久しく聖子さんの歌声に接していなかったのですが、あらためてじっくり初期の頃のシングル曲を聴いていたら、気分が高揚するというか、「フッ」と微笑んでしまう自分がいたんです。

 

いい曲をたくさん歌ってらしたんだなぁと思っていたら、最寄りの駅にある古本屋で、聖子さんを見出した伝説のプロデューサー、若松宗雄さんが書かれた『松田聖子の誕生』という本を見つけました。

 

今年の7月に発行された、新潮新書です。

 

芸能界入りに強く反対する父親、「地味だから売れない」と難航するプロダクション探しと決まらないデビュー…。

 

相次ぐハードルを独特の魅力を武器に鮮やかにとび越えた「他の誰にも似ていない」16歳の少女の“唯一無二の可能性”を信じ、間近で支え続け、やがて社会現象になるまでに育て上げた伝説のプロデューサーが初めて明かした興味深いお話の数々…。

 

とても面白い本でしたね〜。

 

歌手になりたい…強い意志を持つ一人の少女と、地味だ、売れないと誰にも注目されない中でたった一人「売れる」と確信したプロデューサー。そんな2人の本気が生み出した数々の伝説と、歌謡界に残した輝かしい軌跡…。

 

最終的に引き受けてくれた、サン・ミュージックの相澤社長も、最初はそんなに乗り気じゃなかったというのも初めて知りました。

 

側にいた人でしかわからない聖子さんの素顔や若松さんのお人柄、創作にかける熱い情熱、曲作りのこだわりや人生観にも触れられる一冊でした。

 

この本を書かれたプロデューサーの若松宗雄さんは現在、箱根町大平台で旅館「箱根上の湯」と、登山電車のスイッチバックが見える「スイッチバックカフェ」を経営されているんです。

 

82歳になられた今も、CD制作、アーティストのマネジメント、YouTube配信と大忙しのご様子です。

 

僕はずっと何故、筒美京平さんは聖子さんへの楽曲提供をしていないのかと疑問だったのですが、この本を読んで謎が解けました。

 

80年代に活躍した人気アイドル歌手の皆さんは、ほとんど筒美さん提供の曲を一曲は歌っていました。

 

プロデューサーの若松さんも聖子さんのデビュー曲を依頼されたそうです。でも当時の筒美さんは超多忙の日々。筒美さんから「引き受けてもいいけど順番待ちね」と言われたそうで、待っていられなかった若松さんは筒美さん一辺倒だった当時のアイドルとは違うものを作ろうと決心されるんですね。

 

今思うとそれは正解だったと思いますね。筒美さんは凄い作曲家ですけれど、みんな同じじゃ横並びになっちゃいますしね。

 

聖子さんがデビューした1980年、僕はまだ幼かったですけれど、よく覚えてるんですよ〜。

 

最初に歌声を聴いたのは資生堂の洗顔クリーム「エクボ」という商品CMのタイアップによってテレビで頻繁に流れていたデビュー曲の『裸足の季節』でした。

 

「エクボの〜」とTVでよく流れていたので耳についちゃってましたね〜。

 

どこまでも伸びてゆくような力強さもあり、どこか甘さもある歌声がとても魅力的でした。

 

聖子さんは「エクボ」のCMモデルのオーディションを受け、一次審査の面接、二次審査の水着審査に合格したのですが、最終審査のテスト撮影でどうしてもえくぼが出なかったため不合格となったらしいです。

 

CMには出演出来なくなりましたが、「エクボ」のCM制作サイドに所属事務所の相澤社長が陳情し、それによって何とかコマーシャルソングとしての聖子さんの起用が1980年2月に決定したんです。

 

逆に声だけの出演が「歌っているのは誰?」と話題になったんですよね。

 

優秀な音楽プロデューサーの資質は、山ほどあるデモ音源(当時はカセットテープ)から、「こんなすごい子がいるんだ!!」と思わせる声を発見する能力と、自ら発見した類稀なる声の力を信じ、必ずデビューさせ、ブレイクさせる力なんだなと思います。

 

現代と違って、ありとあらゆる環境がアナログだった時代に、スターを生みだす原動力は、夢と情熱、努力と運命だったと感じさせてくれました。

 

若松さんがプロデュースしたアルバムです。

 

◎1stアルバム『SQUALL』(1980年8月1日発売)

◎2ndアルバム『North Wind』(1980年12月1日発売)

◎3rdアルバム『Silhouette』(1981年5月21日発売)

◎4thアルバム『風立ちぬ』(1981年10月21日発売)

◎5thアルバム『Pineapple』(1982年5月21日発売)

◎6thアルバム『Candy』(1982年11月10日発売)

◎7thアルバム『ユートピア』(1983年6月1日発売)

◎8thアルバム『Canary』(1983年12月10日発売)

◎9thアルバム『Tinker Bell』(1984年6月10日発売)

◎10thアルバム『Windy Shadow』(1984年12月8日発売)

◎11thアルバム『The 9th Wave』(1985年6月5日発売)

◎12thアルバム『SOUND OF MY HEART』(1985年8月15日発売)

◎13thアルバム『SUPREME』(1986年6月1日発売)

◎14thアルバム『Strawberry Time』(1987年5月16日発売)

◎15thアルバム『Citron』(1988年5月11日発売)

 

こうやってアルバムタイトルを眺めていたら、僕全アルバム持ってました!。みんな好きでした。

 

今は全て処分してしまって、手元にはないのですが、ほとんどの曲がサブスクで聴けるので大丈夫です!

 

映画の主題歌『花一色 〜野菊のささやき〜』も『夏服のイヴ』も聴けますよ〜。この2曲も大好きです。「人の夢とペンで書けば 儚いって読むのですね」いい詩やわ〜。

 

僕はやはり、最初の結婚をされる前の聖子さんが好きですね〜。

 

シングル曲も『風は秋色』『チェリーブラッサム』『風立ちぬ』『渚のバルコニー』『野ばらのエチュード』『秘密の花園』『Rock'n Rouge』『ピンクのモーツァルト』『天使のウィンク』がお気に入りです。

 

その中でも、大滝詠一さん作曲の『風立ちぬ』は超名曲ですよね〜。アレンジが本当に素晴らしい‼︎この季節に聞くとぴったりなんですよ〜大好きです(笑)。

 

やはり本物と呼ばれる人や作品は、時代を超えて愛され続けるんだなぁ〜。デビュー40周年を越えて未だに輝き続ける聖子さんもその一人だと確信しました。

 

聖子さんは昨年の12月、一人娘である沙也加さんを亡くされました。

 

哀しみが癒えることはないと思いますが、聖子さんの曲は聖子さんにしか歌えない…僕はそう思っているので、負けずに歌い続けて欲しいです。

 

聖子さんが若松さんを前に言った言葉です。

 

「私は絶対に歌手になりたいのです。父は反対していますが、私の気持ちをいつか必ず理解してくれるはずです。とにかくあらゆる努力をしますので、これからも私自身の気持ちは変わりません。私にもう一度チャンスをください。どうかよろしくお願いいたします」

 

夢を叶え、成し遂げるには、強い信念と勇気が必要だとこの本を読むとよくわかります。

 

『松田聖子の誕生』は聖子さんファンなら読むべき本だと思います。