7月13日は中森明菜さんの誕生日です。明菜さんは1965年(昭和40年)生まれだから57歳になられたんですね〜。
昨年、5月1日にデビュー40周年を迎えられ、アナログ・シングル盤ボックスセッ『ANNIVERSARY COMPLETE ANALOG SINGLE COLLECTION 1982–1991』、『Listen to Me –1991.7.27-28 幕張メッセ Live<2021年30周年〉今年も『AKINA EAST LIVE INDEX-XXIII<2022ラッカーマスターサウンド>』がリリースされたり、先頃も『プロローグ〈序章〉』『バリエーション〈変奏曲〉』といった初期アルバムが再発売されました。
また、今年4月に1989年4月29日と4月30日に、よみうりランドEASTにて開催されたスペシャル・ライブを収録した『AKINA EAST LIVE INDEX-XXIII』('89ビデオ・オブ・ザ・イヤーで最優秀ミュージックビデオ賞)が4K画質相当の映像にリマスターされ『伝説のコンサート~中森明菜(1989年のデビュー8周年コンサート)』としてNHK–BSでオンエアされ話題になりました。
その、『伝説のコンサート~中森明菜』が今月の9日、NHK–総合で再放送されました。当初、先月19日に放送される予定でしたが、同日に発生した石川県での地震の緊急ニュースで休止になり、延期になっていたんですよね。
このライブ映像作品は1989年11月28日に、VHS とレーザーディスクの2形態で同時発売されたものです。当時、我が家にはレーザーディススク盤があり、何度も繰り返し観た記憶があります。僕がお小遣いで買った一枚ですね。
記録媒体がレーザーディスクからDVDへ移行してから、レーザーディスクは全て処分してしまい、このライブ映像はDVD化された後、買い直してはいなかったので、今回、久しぶりに観て、とても懐かしかったです。
フジテレビの伝説的音楽番組 『夜のヒットスタジオ』や1984–1988年のFNS歌謡祭の貴重な映像を収録した『中森明菜 in 夜のヒットスタジオ(BOXセット)』や伝説のNHK音楽番組「レッツゴーヤング」、「ヤングスタジオ101」の貴重な出演映像や、これまで8回出演したNHK紅白歌合戦の映像をすべて収録した『中森明菜 プレミアム BOX ルーカス 〜NHK紅白歌合戦 & レッツゴーヤング etc. 』は購入しました。
明菜さんは、楽曲、歌唱もそうですが、衣装、ヘアメイクとビジュアルも完璧で、同時代の歌手たちには無い、独特のオーラにいつも魅了されていましたから。
対極にいるような『松田聖子』さんも好きでしたけどね。
この何年間かは公の場所に姿を見せてはくれていませんが、今回の放送を観て、今なお鮮烈な存在感を放つ魅力的な歌手だなぁと改めて思いました。
このライブが行われた1989年というのは、中森明菜さんの歌手人生にとって特別な年だったですね。
この「スペシャル・ライブ」を成功させた後、確か7月だったか当時交際をしていた近藤真彦さんが住む都内のマンションで自殺未遂事件を起こしたんですよね。
僕はそれを聞いた時、「どうして、そんなことを!」と大きな驚きと、静かな怒りを感じたことを覚えています。
当時の二人は、トップアイドル同士で、付き合っていても不思議ではなかったし、ビッグカップルだったし、明菜さんが幸せになってくれればいいなくらいに思っていました。憶測でしか無いですけど、それを快く思わない大人たちが周りにいたのではなかったのかなと僕は思っています。
その年の大晦日に行われた会見も覚えていますけど、明菜さんは確かこう言っていたと思います。
「仕事をしていく上で、一番信頼していかなきゃいけない人たちを信用できなくなってしまった」と。
近藤さんの部屋を選んだことについても「信頼できたたった一人の人だったんで、近藤さんのマンションに行ってしまった。一番最初に見つけてほしかったんです。」と言っていたように思います。
今思えば「なんであんな男なんか好きになっちゃったの?」なんて思ってしまいますが、明菜さんにすればたった一人の心を許せる人だったんだなぁと思うと切なくなります。
相当、深い傷だったそうですから、助かって本当によかったですよ。
でも…もう何十年も前のことですからね、いつまでもそんなことグジグジ言っていては明菜さんも不愉快だろうし、過去なんてたまに「あんなこともあったなぁ」と思い出すだけのもので、いつまでも拘っていても仕方のないものだし、人は今を大切に生きるしかないんじゃない?と僕は思っています。
どんな理由があるにせよ、自分で自分の命を絶つなんてよほどのことだし、他人には窺い知れない深い闇に囚われてしまうのかも知れませんけど、純粋で善良であろうとする人ほど、不器用だったり、上手に立ち回れないのだろうなと感じます。
「図太く、したたかに生きれば良いのに」と何気なく言われる言葉に追い詰められる人もいるのです。
そう生きたくても、生きられない人もいるのですからね。
家族との不和や、精神面、身体の不調など、マイナスのイメージを植え付けるような芸能ニュースに長年晒されてきた明菜さんですけれど、強くあって欲しい、負けないで欲しいと強く願います。
『中森明菜 スペシャル・ライブ1989 リマスター版』
《セットリスト》
◎TATTOO
◎DESIRE -情熱-
◎Fin
◎SOLITUDE
◎BLONDE
◎I MISSED "THE SHOCK"
◎SAND BEIGE -砂漠へ-
◎AL-MAUJ (アルマージ)
◎ジプシー・クイーン
◎TANGO NOIR (タンゴ ノアール)
◎ミ・アモーレ[Meu amor e...]
◎難破船
◎飾りじゃないのよ涙は
◎禁区
◎少女A
◎十戒 (1984)
◎1/2の神話
◎サザン・ウインド
◎北ウイング
◎Blue On Pink
◎LIAR
◎トワイライト-夕暮れ便り-
◎セカンド・ラブ
◎スローモーション
現在はデジタルが主流で、ライブを収録した映像とえいば、ハイコントラストで解像度も高く、テレビ的な画調のものが多いのですが、このコンサートライブ映像は、フイルム撮りで、アナログのSD画像(アナログテレビの標準画質〈DVDレベルの画質〉)ですから、いくら4Kにアップコンバートされても、解像度的には甘いのですが、画調とカメラワークが良いんですよ〜。
デジタルには出せない、アナログなフィルムだからこそのあの時、あの場所の空気感や風の色が伝わる画調が、中森明菜という類まれなる歌手の歌世界にフィットしていて素晴らしい映像記録だと思います。
ヘアースタイルもあえてガチガチにセットしていないんですよ。まとめていても風にちゃんとなびくようにしてあるし、メイクも本当にナチュラルで、衣装もとてもシンプルに見えて手の込んだ作りだし、明菜さんの意見が反映されているのでしょうが、スタイリストさんのセンスが光ります。
このコンサートライブ映像のディレクター、河合敏彦氏はこう言っています。
「明菜は、歌で演技できる唯一の歌手です。私は彼女のドキュメンタリー、中森明菜という人間を撮りたかったんです」と。
今、よくあるコンサート・ライブ映像は、同時に配信されることが多いので、【スイッチング】という複数のカメラを切り替える操作で撮影されているので、その場で編集しているのに近い感覚で作業できるそうなんです。後で編集することなく、本番終了時に大体の作品が完成しているんですね。
明菜さんのスペシャル・ライブが行われた1989年当時は今とは違いますし、フイルムで撮るしかなかったのかも知れませんが、テープでのライブ音とフィルム映像を同時に再生し、その時々で「一番強い」(つまり、いちばんよく明菜さんの表情をとらえている)カットを選び、つないでいくという作り手の想いが込められているように感じられる、後で編集するしかないフイルムだからこその良さが溢れているんですよね。
『中森明菜 スペシャル・ライブ1989 リマスター版』何度でも観返したくなる貴重なライブ映像だと思います。
でも明菜さんを『伝説』と扱うのはどうなんでしょう?
明菜さんは引退したわけじゃないし、現役の歌手なんだし、57歳なんてまだ若いじゃないですか。60歳の『難破船』聴いてみたいですよね〜。
ファンの前で歌い、喝采を浴び続けることが明菜さんに与えられた使命なのではないでしょうか。
また勝手なこと言ってますね(笑)。