少し前に本屋さんでこんな本を見つけました。
MUSIC MAGAZINNE 増刊『筒美京平の記憶』 監修=馬飼野元宏
半世紀にわたり歌謡曲をリードした大作曲家・筒美京平のヴェールに包まれた素顔や音楽創作法を総勢38名の関係者の証言と、200を超える名曲ガイドで検証する!
という本というか雑誌です。
日本の歌謡界を代表する作曲家、筒美京平さんが亡くなったのは2020年10月でした。もうすぐ丸2年が経とうとしています。時が経つのは早いですね〜。
日本で最初に新型コロナ患者が報告されたのは2020年1月だったかなぁ。その後、感染者が徐々に世界中に広まり現在に至っていますが、行動も規制され、それまで普通に行っていたことが制限され、精神的に辛い期間が続いた時も、僕の心を励まし支えてくれたのは大好きな歌謡曲であり、筒美京平さんか残された膨大な名曲の数々でした。
MUSIC MAGAZINNE 増刊『筒美京平の記憶』は、ミュージック・マガジン2020年12月号「追悼・筒美京平」特集を、名曲ガイドを拡大するなど大幅にアップデートしたもので、筒美京平という作曲家を知るために最適な一冊だと思います。日本の歌謡曲に興味のある方すべてにおすすめします。
◎インタヴューで登場する人々
[歌手]平山みき/麻丘めぐみ/伊集加代/太田裕美/岩崎宏美/庄野真代/ジュディ・オング/小泉今日子/松本伊代/なかやまて由希/円道一成/笠浩二(C-C-B)/西寺郷太
[作詞家]橋本淳/松本隆/阿木燿子
[編曲家]矢野誠/萩田光雄/水谷公生/船山基紀/鷺巣詩郎/武部聡志/新川博/小林俊太郎
[スタッフ]朝妻一郎/本城和治/草野浩二/笹井一臣/内沼映二/行方洋一/白川隆三/金子文枝/本多慧/鎌田俊哉/久保田英夫 などなど…。
筒美京平さんと関わられたたくさんの方々のインタヴューは興味深く読ませてもらいましたが、それだけではちょっと物足りないところも僕はありました。
筒美京平さんは、生前ほとんどメディアに登場されませんでした。過去の「日本レコード大賞」の映像などを観ると、作曲賞を受賞された時とか、野口五郎さんの曲の指揮をされていたりとか若き日のお姿は拝見できたりしますけど、ご自身のことをTVなどで語られたことはほとんどありません。
なので、2011年にNHKで放送された『希代のヒットメーカー 作曲家 筒美京平』という番組は貴重な映像遺産だなぁと思っています。
僕なんかは、どうしてもっと積極的に筒美京平さんにインタヴューするなりしてご本人の言葉やお姿を映像として残しておいてくれなかったんだろうと今は思っています。
歌謡史に燦然と輝く作品を筒美京平さんと共に作られた作詞家の「なかにし礼」さん、「阿久悠」さんのお二人は筒美京平という作曲家をどう感じていたのか?筒美さんにも偉大な作詞家のお二人をどう見ていたのかとか聞いてみたかったですよね。僕は。
筒美さんは、山口百恵さん、松田聖子さん、中森明菜さんには楽曲提供されていません。それぞれの担当ディレクターの思惑やレコード会社の方針とか何か理由があったのだとは思いますが、筒美さんご自身はこの3人のトップアイドルをどう見ていたのかも知りたかったし。
1975年11月21日に、CBS・ソニーレコードから発売された郷ひろみさん6枚目のオリジナルアルバム『HIROMIC WORLD』は全曲の作詞を荒井由実時代のユーミン、作曲を筒美さんが担当しているんです。
このアルバムは今では簡単には聴くことができないアルバムの一枚になってしまっているのがなんとももったいないのですが、このアルバムの製作過程秘話とかプロデュースをされた酒井政利さんにもお聴きしたかったし、ユーミンと筒美さんお二人の対談とかもあればよかったのに。酒井さんも亡くなってしまったし、もう聴けないじゃないですか〜(泣)。
1983年4月1日にCBS・ソニーから発売された、郷ひろみさん20枚目のオリジナルアルバム『比呂魅卿の犯罪』では中島みゆきさん作詞の『美貌の都』に筒美さんが曲を書かれていて、中島さんもご自身でセルフカバーをされているし、中島みゆきさんは筒美京平という作曲家をどう思っていたか…聴きたいなぁ〜。
作曲を手がけた筒美京平さんにとっても、初のオリコン週間1位を獲得し、第11回日本レコード大賞作曲賞を受賞した僕の大好きな曲『ブルー・ライト・ヨコハマ』の誕生秘話も聴きたかったなぁ〜。
『ブルー・ライト・ヨコハマ』を歌ったいしだあゆみさんは他にも筒美さんが作曲されたたくさんの名曲を歌われているので、その思い出を聴いて見たいしなぁ〜。
今更、何を嘆いても筒美さんはこの世にはいないし、「無い物ねだりの子守唄」ですよね〜(笑)。
ぼやくのはこれくらいにして、僕の好きな筒美京平さんの曲を紹介しておきます。
◎いしだあゆみ『さすらいの天使』(1972年)
(作詞=橋本淳/作・編曲=筒美京平)
◎ジュディ・オング『惑いの午後』 (1979年)
(作詞=阿木燿子/作・編曲=筒美京平)
◎岩崎宏美『さよならの挽歌』(1978年)
(作詞:阿木燿子/作曲・編曲:筒美京平)
◎西城秀樹『悲しき友情』(1980年)
(作詞:山川啓介/作曲:筒美京平/編曲:水谷公生)
◎郷ひろみ『恋の弱味』(1976年)
(作詞:橋本淳/作曲・編曲:筒美京平)
◎野口五郎『風の駅』(1977年)
(作詞:喜多條忠/作曲・編曲:筒美京平)
◎南沙織『バラのかげり』(1974年)
(作詞: 有馬三恵子、作曲: 筒美京平)
◎少年隊『ABC』(1987年)
(作詞:松本隆、作曲:筒美京平、編曲:船山基紀)
◎荻野目洋子『さよならの果実たち』(1987年)
(作詞:売野雅勇、作曲:筒美京平、編曲:武部聡志)
◎田原俊彦『原宿キッス』(1982年)
(作詞:宮下智、作曲:筒美京平、編曲:船山基紀)
◎小泉今日子『夏のタイムマシーン』(1988年)
(作詞:田口俊、作曲:筒美京平、編曲:川村栄二)
◎五木ひろし『愛しつづけるボレロ』(1982年)
(作詞:阿久悠、作曲:筒美京平、編曲:船山基紀)
まだまだたくさんありますけど、今日はこの辺で。
筒美京平サウンドは永遠です。