『レジェンド・三浦友和が登場 「西部警察」写真集第3弾「西部警察 PERSONAL3 三浦友和」が4日発売!』

 

という記事を最近ネットで見つけました。

 

石原裕次郎さんや渡哲也さんが出演し人気を集めたテレビ朝日系刑事ドラマ『西部警察』の写真集第3弾「西部警察 PERSONAL3 三浦友和」(青志社)が4日に発売されるんだそうです。

 

初公開を含めた写真174点やロングインタビューが収録されているようですよ。

 

昨年8月『西部警察PERSONAL 1 石原裕次郎×渡哲也』、11月に『西部警察PERSONAL2 舘ひろし』が発売され、続く第3弾が三浦友和さんのようです。

 

僕、同性愛者ですけど、男臭い人ダメで〜(笑)、それにまだ幼かったので『西部警察』も興味なくてよくわからないんですけど、三浦友和さん演じる沖田五郎刑事は人気があったみたいですね。

 

約40年の時を経てもこういった書籍が販売されるのは、今だに熱烈なファンがいるということなんでしょうね。

 

三浦友和さんは1952年生まれなので今年で70歳を迎えられました。現在もドラマ、映画に主役、脇役問わず活躍されています。

 

芸能界デビューは20歳の頃、もう50年ですよ〜。素敵に年を重ねられてますね。

 

1970年代には、山口百恵さんと共演した主演映画・ドラマが次々とヒットし、「百恵・友和=ゴールデンコンビ」と呼ばれ大人気でした。

 

僕も三浦友和という俳優を知ったのは、百恵さん主演のドラマ、映画を観た時です。「なんて、嫌味のない、端正な男性なんだろう」と思いました。

 

百恵さんとのコンビ作はどうしても百恵さんがヒロインでメイン扱いなので、デビューの頃の友和さんは、百恵さんの相手役に起用された幸運な新人との見方をされることが多く、百恵さんの引き立て役だと観る前から印象づけられていた感じがありますが、そんなことないんですよ。友和さんが相手役だったからこそ、百恵さんの存在が際立ち、魅力的に輝いているということに気づいて欲しいです。

 

百恵さんとのコンビ第1作『伊豆の踊子』での書生役は、世間の汚い部分に触れた事などないような青年で、当時、世間から差別され偏見の目で見られていた旅芸人たちにも邪気の無い笑顔で接し、世間を余りにも知らぬ無知とも言える純粋さが逆に百恵さん演じる踊り子たちを悲しくさせていることに気付かない若者でした。

 

次作『潮騒』で友和さんが演じた島の青年漁師・新治は、海女の母親と弟を養う18歳 の実直な若者。百恵さん演じる初江と恋に落ち、そのために初江の父親から命をなくすことになったかもしれない、厳しい試練を課されることになっても逃げずに立ち向かう勇気を持つ青年でした。

 

緊迫感の溢れる、有名な焚き火のシーン、もし目の前にあの友和さんが立っていたら、僕は迷わず火を飛び越えます!(笑)。

 

まだ封建的風土が色濃く残る第2次世界大戦当時の山陰地方を舞台にした『絶唱』では、親の無理解や戦争など、さまざまな障壁にぶつかりながらも必死で身分違いの純愛を貫こうとする大地主の子息でした。

 

『春琴抄』は、我がまま勝手なお嬢様・百恵さん演じる春琴に、感情の微細な動きを抑えて、倒錯的とも言える愛情で尽くし抜く、若き奉公人・佐助でした。

 

どの役柄も、友和さんでしか表現できない、誠実で美しい心を持つ、端正な男を演じてらっしゃいました。

 

まだまだ百恵さんとのコンビ作は名作が多いのですが、どの作品も友和さんに注目して見直すと新たな発見がありますよ。

 

友和さんは、百恵さんとの共演作ばかりがとれあげられ、語られることが多いのですが、70年代には百恵さんの相手役ではない、友和さんがメインの映画が数多くつくられています。

 

◎阿寒に果つ(1975年)

◎青い山脈(1975年)

◎陽のあたる坂道(1975年)

◎あいつと私(1975年)

◎星と嵐(1976年)

◎青年の樹(1977年4) 

◎姿三四郎(1977年)

◎残照(1978年)

◎黄金のパートナー(1979年4)

◎遠い明日(1979年) 

 

全て東宝の配給なので、友和さんを東宝の新たなスターとして育てたいという思惑が当時あったんだと思います。

 

名画座でも『三浦友和特集』ってあまり開催された印象がなく、BSやCS放送でもなかなか放送してくれないので今日はこの中の僕の好きな一本を紹介したいと思います。

 

『残照』という作品です。

 

『残照』(ざんしょう)

1978年(昭和53年)4月29日公開

◎製作:東宝映画

◎配給:東宝

◎カラー/上映時間93分

 

《スタッフ》

◎製作:河崎義祐、馬場和夫

◎監督:河崎義祐

◎企画協力:中山和記

◎原作:大宅歩

◎脚本:勝目貴久、中岡京平

◎撮影:福沢康道

◎美術:樋口幸男

◎録音:増尾鼎

◎照明:平野清久

◎編集:小川信夫

◎助監督:井上英之

◎音楽:槌田靖識

《キャスト》

◎遠野翔:三浦友和

◎久美子:原田美枝子

◎遠野光子:五十嵐めぐみ

◎高梨健一:下条アトム

◎遠野進吾:小林桂樹

◎遠野久子:司葉子

◎遠野めぐみ:神保美喜

◎遠野努:田鍋友啓

◎健一の父:今福将雄

◎健一の母:川上夏代

◎石沢医師:芦田伸介

◎西田:速水亮

◎アケミ:赤座美代子

◎江藤:綿引洪

◎白鳥おじさん:吉川繁男

 

《同時上映》

『愛の嵐の中で』

◎東宝・サンミュージック提携作品

◎監督:小谷承靖

◎主演:桜田淳子、篠田三郎

 

大宅歩著『詩と反逆と死』、『ある永遠の序奏』を素材として、しのびよる死の幻影と闘いながら、限りある日々を必死に生きようとした青年の短い生涯を描いた作品です。

 

《こんな物語です》

遠野翔(三浦友和さん)は、高校時代のラグビー仲間、高梨健一(下条アトム)を新潟県瓢湖に訪ねます。健一は白鳥の世話をしていましたが、ある夜、密猟者に銃で撃たれ、息絶えるのです。

 

東京に帰った翔は、ラグビーの練習中に倒れてしまいます。病院にかけつけた翔の母、久子(司葉子さん)は、翔が高校時代にラグビーで頭をケガし、その後遺症に苦しんでいる事を知るのです。

 

取材旅行から帰り、翔の後遺症の事を知った父・進吾(小林桂樹さん)は、残り少ない命の翔が精一杯生きれるように願うのです。

 

数ケ月後、翔のもとへラガー仲間が集まり、リーグ戦優勝の酒宴が開かれます。その夜、翔は妹・光子(五十嵐めぐみさん)の部屋で彼女が恋人にそそのかされて、父の原稿を盗もうとしているのを見つけます。

 

翔が激しく光子を責めた時突然、彼は発作を起こします。入院した翔は、石沢医師(芦田伸介さん)から絶対安静を言い渡されながら、病院を抜け出し、ネオン街を彷徨うのです。

 

水商売の女(赤座美代子さん)を連れ、翔は、恋人の久美子(原田美枝子さん)の部屋を訪れます。死を覚悟した翔は、酔ったふりをして彼女に別れを告げるのでした。

 

夜行列車で瓢湖に着いた翔は、亡くなった健一の後を継ぎ、白鳥のために黙々と働きます。そして、最後の白鳥が飛び去った夜、翔は静かにこの世を去ったのでした…。

 

僕がこの作品を観たいと思った理由は、中学生の頃、大宅歩さんの『ある永遠の序奏』を読んでいたからです。

 

僕は時々、下手な歌謡詩みたいなものを書いてるので、子供の頃から『詩』に興味がありました。

 

谷川俊太郎さん、高村光太郎さん、堀口大學さん、萩原朔太郎さん、室生犀星さんなんかを読んだりしていて、ある日、本屋さんで見つけたのが大宅歩さんの『ある永遠の序奏』だったんです。

 

タイトルが素敵でしょ?『ある永遠の序奏』って。子供でしたから、そんな単純な理由で、大宅歩さんがどんな人かも知らずに読み始めて、とても胸を震わされたんですよね〜。

 

17歳の時、ラグビー試合中の怪我がもとで脳に障害を負い、その後遺症に苦しめられながら、孤独や虚無と向き合い続け、結晶のような透明な哀しみに満ちた言葉で綴られた沢山の詩を残された…。

 

33歳の若さで早世された純粋な魂の輝きに子供ながらに感動したんです。

 

大宅歩さんのお父様は「マスコミの帝王」と言われ、昭和の言論界をリードしたジャーナリスト、ノンフィクション作家、評論家でもある大宅壮一さんです。毎年気鋭のノンフィクション作家に贈られる「大宅壮一ノンフィクション賞」にその名が刻まれています。

 

ジャーナリストの大宅映子さんは妹さんなんですね。

 

その詩集が三浦友和さん主演で『残照』というタイトルで映画化されていると知り是非、観たいと思っていたのです。

 

CS放送の「日本映画専門チャンネル」で随分前に放送されたものを鑑賞しました。

 

『残照』の監督は大学卒業後、東宝に入社し、当初は宣伝部に勤務されていましたが、1962年に製作部に転属になり、黒澤明監督の『どですかでん』、加藤泰監督の『日本侠花伝』、岡本喜八監督の『日本のいちばん長い日』、森谷司郎監督『ゼロ・ファイター 大空戦』など、約40作品の助監督を務めた実力派、河崎義祐さんです。

 

河崎監督のデビュー作は1975年の『青い山脈』。金谷六助役は三浦友和さんでした。

 

青春グラフィティ スニーカーぶる〜(1981年)、ブルージーンズ メモリー(1981年)、グッドラックLOVE(1981年)、ウィーン物語 ジェミニ・YとS(1982年)や

プルメリアの伝説 天国のキッス(1983年)など、当時人気絶頂だったアイドル映画の監督も河崎義祐さんでした。

 

友和さんの『残照』を観て感動した百恵さんが「次は河崎監督に撮って欲しい!」と直訴して生まれたのが名作『炎の舞』なんです。

 

脚本も書かれる方なので、とてもしっかりとした構成力のある作品を撮られる方ですね。

 

あなたは「あとこれだけの命」ですと宣告された時に人はそれをどう受け止め、向き合い、最後の日まで生きればいいのか?…

 

友和さん演じる翔は、自分の命はあと僅かと分かっていても、絶望したり悲壮ぶったりしてみせません。屈折したものをかかえ込んでいるはずなのに、自暴自棄になり周りにあたったりもしないのです。

 

両親に心配をかけまいとし、妹や弟の行末を案じ、友人の意志を継ぎ魂を鎮めてあげ、愛した女性の心の負担にならないように静かに身を引いてゆく…。

 

出来過ぎた男なんですけど、友和さんが演じると普通に受け止められるし、納得できるんです。

 

悲しい時に号泣するのは当たり前の芝居なんです。設定や役柄にもよりますけど、暑苦しい熱演だけが上手い芝居じゃないよと言いたいんです。

 

友和さんの演技は、淡々としていて、感情があまり伝わらないと言われる方もいますが、それが逆に魅力だと僕は思うし、僕はいつも友和さんの演技を観ていると、静かに燃え続けている埋火のような熱さを感じます。

 

この『残照』はそれを特に感じる作品ですね。悲しいストーリーなのに、観終わると何故か清々しさを感じてしまうとても良い映画だと思います。

 

友和さんの両親を演じた、小林桂樹さんと司葉子さん。東宝ならではのキャスティングもとても良かったです。友和さんの彼女を演じた原田美枝子さんも良いですね〜。

 

古い映画を観る楽しみは、現在、名優、大物と呼ばれる方々の若き日の姿が観れるところです。皆さんの初々しさにいつも胸を打たれてます!(笑)。

 

何歳になられても、若々しさを失わない、名優・三浦友和さんの50年にも及ぶ俳優人生をお祝いしたいと思います。大好きです(笑)。