今年の4月17日(土)と18日(日)に東京国際フォーラム ホールAで、~筒美京平 オフィシャル・トリビュート・プロジェクト~『ザ・ヒット・ソング・メーカー 筒美京平の世界 in コンサート』が開催されました。
◎主催:DISK GARAGE / PROMAX / TBSテレビ / 朝日新聞社 / BS朝日 / TBSラジオ
◎後援:TOKYO FM / FMヨコハマ
◎特別協力:日音 / 筒美音楽事務所
◎協力:ソニー・ミュージックレーベルズ / ソニー・ミュージックダイレクト / 日本コロムビア / ビクターエンタテインメント / ユニバーサル ミュージック
◎企画製作・制作運営:DISK GARAGE / PROMAX
◎演奏:『船山基紀とザ・ヒット・ソング・メーカーズ 』
船山基紀(音楽監督・指揮) / 中西康晴(Keyboards) / 安部潤(Keyboards) / 土方隆行(Guitar) / 増崎孝司(Guitar) / 吉川忠英(A.Guitar) / 髙水健司(Bass) / 山木秀夫(Drums) / 斉藤ノヴ(Percussion) / AMAZONS(Chorus):大滝裕子・斉藤久美・吉川智子 / ルイス・バジェ(Trumpet) / 竹内悠馬(Trumpet) / 鍵和田道男(Trombone) / アンディ・ウルフ(Saxophone) / 石亀協子Strings
日本音楽界の至宝と言える、筒美京平作品総売上枚数は国内作曲家歴代1位の7600万枚超だそうです!
その名曲の数々を歌う豪華出演者と日本を代表するミュージシャンが一堂に会した奇跡のコンサートの模様がWOWOWで先日、放送されました。
筒美京平さんは、洋楽のポップな風味や香りをいち早く取り込み、洗練されたメロディーで数多くの名曲を生み出し、日本の音楽シーンに一時代を築き上げ、1968年の「ブルー・ライト・ヨコハマ」から2003年の「AMBITIOUS JAPAN!」まで、1960年代から2000年代の各年代でオリコンチャート1位を獲得してきた希代の作曲家です。
このコンサートは、オリジナル作品を歌った歌手だけでなく、筒美作品に影響を受けたトップアーティストも多数参加した、2夜連続での公演でした。
◎2021年4月17日(土)
<第1部>
01. OVERTURE / 船山基紀とザ・ヒット・ソング・メーカーズのテーマ① / バンドのみ
02. ブルー・ライト・ヨコハマ / 伊東ゆかり(いしだあゆみ)
03. 誰も知らない / 伊東ゆかり
04. 雨がやんだら / 夏木マリ(朝丘雪路)
05. 真夏の出来事 / 平山三紀
06. 芽ばえ / 麻丘めぐみ
07. わたしの彼は左きき / 麻丘めぐみ
08. 赤い風船 / 浅田美代子
09. にがい涙 / AMAZONS (スリー・ディグリーズ)
10. セクシー・バス・ストップ / 野宮真貴(浅野ゆう子)
11. 木綿のハンカチーフ / 太田裕美
12. 九月の雨 / 太田裕美
13. 東京ららばい / 森口博子(中原理恵)
14. リップスティック / 森口博子(桜田淳子)
15. 青い地平線 / ブレッド&バター
16. 哀愁トゥナイト / 大友康平 (桑名正博)
17. セクシャルバイオレットNo.1 / 大友康平 (桑名正博)
18. ドラマティック・レイン / 稲垣潤一
19. センチメンタル・ジャーニー / 松本伊代
20. 夏色のナンシー / 早見優
21. あなたを・もっと・知りたくて / 武藤彩未(薬師丸ひろ子)
22. 卒業 / 斉藤由貴
<第2部>
23. Romanticが止まらない / C-C-B
24. Lucky Chanceをもう一度 / C-C-B
25. WAKU WAKUさせて / AMAZONS featuring 大滝裕子(中山美穂)
26. Oneway Generation / Little Black Dress (本田美奈子)
27. 抱きしめてTONIGHT / 藤井隆(田原俊彦)
28. 人魚 / NOKKO
29. AMBITIOUS JAPAN! / ROLLY (TOKIO)
30. バンドメンバー紹介曲 / 船山基紀とザ・ヒット・ソング・メーカーズのテーマ② / バンドのみ
31. 17才 / 早見優、松本伊代、森口博子、武藤彩未(南沙織)
32. 男の子女の子 / 郷ひろみ
33. よろしく哀愁 / 郷ひろみ
34. 甘い生活 / 野口五郎
35. グッド・ラック / 野口五郎
36. 時代遅れの恋人たち / 中村雅俊
37. 海を抱きしめて / 中村雅俊
38. たそがれマイ・ラブ / 大橋純子
39. 飛んでイスタンブール / 庄野真代
40. モンテカルロで乾杯 / 庄野真代
41. さらば恋人 / 松崎しげる(堺正章)
42. 魅せられて / ジュディ・オング
<アンコール>
E-1. 雨だれ / 太田裕美
E-2. 裸のビーナス / 郷ひろみ
E-3. また逢う日まで / 松崎しげる(尾崎紀世彦)
◎2021年4月18日(日)公演
<第1部>
01. OVERTURE / 船山基紀とザ・ヒット・ソング・メーカーズのテーマ① / バンドのみ
02. ブルー・ライト・ヨコハマ / 伊東ゆかり(いしだあゆみ)
03. 誰も知らない / 伊東ゆかり
04. 雨がやんだら / 夏木マリ(朝丘雪路)
05. 真夏の出来事 / 平山三紀
06. 芽ばえ / 麻丘めぐみ
07. わたしの彼は左きき / 麻丘めぐみ
08. 赤い風船 / 浅田美代子
09. にがい涙 / AMAZONS (スリー・ディグリーズ)
10. セクシー・バス・ストップ / 野宮真貴 (浅野ゆう子)
11. ロマンス / 岩崎宏美
12. 木綿のハンカチーフ / 太田裕美
13. 九月の雨 / 太田裕美
14. 東京ららばい / 森口博子(中原理恵)
15. リップスティック / 森口博子(桜田淳子)
16. 青い地平線 / ブレッド&バター
17. 哀愁トゥナイト / 大友康平 (桑名正博)
18. セクシャルバイオレットNo.1 / 大友康平 (桑名正博)
19. センチメンタル・ジャーニー / 松本伊代
20. 夏色のナンシー / 早見優
21. あなたを・もっと・知りたくて / 武藤彩未(薬師丸ひろ子)
22. 卒業 / 斉藤由貴
<第2部>
23. Romanticが止まらない / C-C-B
24. Lucky Chanceをもう一度 / C-C-B
25. WAKU WAKUさせて / AMAZONS featuring 大滝裕子(中山美穂)
26. なんてたってアイドル / 乃木坂46(伊藤純奈 & 樋口日奈)(小泉今日子)
27. Oneway Generation / Little Black Dress(本田美奈子)
28. 抱きしめてTONIGHT / 藤井隆(田原俊彦)
29. 人魚 / NOKKO
30. AMBITIOUS JAPAN! / ROLLY(TOKIO)
31. バンドメンバー紹介曲 / 船山基紀とザ・ヒット・ソング・メーカーズのテーマ② / バンドのみ
32. 男の子女の子 / 郷ひろみ
33. よろしく哀愁 / 郷ひろみ
34. 甘い生活 / 野口五郎
35. グッド・ラック / 野口五郎
36. 時代遅れの恋人たち / 中村雅俊
37. 海を抱きしめて / 中村雅俊
38. たそがれマイ・ラブ / 大橋純子
39. 飛んでイスタンブール / 庄野真代
40. モンテカルロで乾杯 / 庄野真代
41. さらば恋人 / 松崎しげる(堺正章)
42. 魅せられて / ジュディ・オング
<アンコール>
E-1. オレンジの雨 / 野口五郎
E-2. シンデレラ・ハネムーン / 岩崎宏美
E-3. また逢う日まで / 松崎しげる(尾崎紀世彦)
WOWOWでの放送は、2夜の公演から名場面の数々を編集したスペシャルプログラムでした。
筒美さんが亡くなったのが昨年の10月、もう1年も経ってしまったのですね。月日が経つのは本当に早いです。
日本中が愛し、時代が移り変わっても古びない筒美メロディーの素晴らしさに、胸が震えた3時間でした。
このコンサートを企画し、成功に導き、タクトも振るわれたアレンジャー 船山基紀さんは70年代から今日まで萩田光雄さんと共に歌謡界最強の編曲家として活躍されてきた方です。
筒美さんは元々、ご自分で編曲もされていたのですが、ジュディ・オングさんの『魅せられて』以降、編曲を随時他の人に任せるようになりますが、とりわけ篤い信頼の下で頻繁に起用されたのが萩田光雄さんとと船山基紀さんだったんです。
「萩田君は、僕が思っていた通りのアレンジをしてくれる。対して、船山君は僕が恥ずかしいと思うようなアレンジも平気でやってくれる」と筒美さんは船山さんに言われたそうです。
筒美さん作曲、船山さん編曲による、C-C-B『Romanticが止まらない』、少年隊『仮面舞踏会』等々を聞くと筒美さんが船山さんに言われた意味がわかる気がします。船山さんのアレンジはインパクトが強烈で華やかで僕は大好きです〜。
筒美さん作曲の少年隊の曲では、船山さんによるファンキーでゴージャスなアレンジが見事な「ABC」(1987年)という曲がミュージカルのメインテーマのような楽曲で良いんですよ〜。最高です。
このコンサートで僕が印象的だった曲と歌手の方のことを書いておきます。
まずはオープニング。筒美京平さんと言えばこの曲。いしだあゆみさんの『ブルー・ライト・ヨコハマ』です。僕の大・大・大好きな曲、カラオケの十八番です(笑)。
テレビタレントとして活動していたいしださんは、いずみたくさんに師事し、歌も歌ってらしたのですが、ヒットもなく中途半端な状態だったんですね。
これからは本格的に歌手活動に専念しようと、レコード会社を日本コロムビアへ移籍し、移籍後第3弾シングルが『ブルー・ライト・ヨコハマ』なんです。
いしだあゆみさんが歌手として認められ、作曲家・筒美京平さんにとっても初のチャートNo.1にしてミリオンセラーを記録し、筒美さんに最初のレコード大賞作曲賞をもたらした大ヒット曲です。
橋本淳さんの絶妙な詩を、筒美さんの情緒を湛えた哀愁あふれるメロディを華麗なオーケストレーションだ包んだ、日本の歌謡ポップスの礎を気づいた作品と言っても過言ではない名曲です。
今回、歌われたのは、伊東ゆかりさんでした。いつまでもお綺麗ですよね〜。伊東さんの変わらぬ歌声も良かったですね。
ご本人に歌って欲しかったという思いもありますが、いしだあゆみさんは、現在は女優として活動されてますし、歌からは遠去かっておられるので、ステージで歌われるのは難しいのでしょうね。
◎夏木マリさん『雨が止んだら』
酒井政利さんプロデュース、作詞、なかにし礼さん、1970年発売の名曲です。
いろんな方がカバーされている曲ですが、グリーンのドレスにバーバリーのコートを羽織った夏木さん、とてもカッコ良かったです。サイドを刈り上げたオールバックの金髪でちょっと突き放して歌う姿は決まってました。ロッカーが歌うバラードのようでしたね。
◎浅田美代子さん『赤い風船』
1973年発売、浅田美代子さんのデビューシングルです。TBSで放送されていたホームドラマ『時間ですよ』の劇中で歌われヒットしたんですよね。
久しぶりに、それもご本人の声で聞かせていただきましたが、いやぁ〜良かったです〜。浅田さんもステージで歌われるのは久しぶりだったのではないでしょうか?
少し不安そうにもお見受けしましたが、優しく微笑みながら歌われる姿に胸が熱くなりました。いい年を重ねてこられたのだなぁと感じる、真っ直ぐな心が伝わる歌声でした。衣装も歌の世界観に合ってて素敵でしたね。
◎岩崎宏美さん『ロマンス/ シンデレラ・ハネムーン』
『ロマンス』は、1975年、セカンドシングルとして発売されました。僕は、岩崎さんのデビュー曲「二重唱(デュエット)」(1975年)、「ロマンス」(1975年)、「センチメンタル」(1975年)、「ファンタジー」(1976年)、「未来」(1976年)など初期のシングルはみんな好きですけど、『ロマンス』はやはり別格ですよね〜。
筒美さんは、1970年代前半に一世を風靡した、ストリングスを擁した華麗で柔らかく甘めのサウンドが特徴のフィラデルフィア発のソウルミュージック(フィラデルフィア〈フィリー〉・ソウル)やディスコ・サウンドが好きで、岩崎さんの楽曲に取り入れたと言われています。
代表的な曲が『シンデレラ・ハネムーン』ですね。
僕、『ロマンス』の前奏が流れ出した時に、何故かわからないんですけど涙がポロポロ溢れてきて、自分でも理由がよくわからず一瞬、困惑してしまいました。
何か僕の心を揺らしたのか、響かせる物があったのかなぁ。
本当に日本の歌謡史に残る名曲の一つだと、あらためて思いました。岩崎さんは『ロマンス』はキーの高い曲なので、喉に負担を掛けないよう気を使いながら、ファルセットを多用して歌われていましたが、圧巻の歌声でした。さすがです。
岩崎さんは、初めてのレコーディングの時、筒美さんから「将来、多くの人から高音を褒められるだろうけど、あなたの良さは中低音だから、それを忘れないでね。あとはリズム感がちょっと甘いから、リズムのある曲を聴いて勉強しなさい」と言われたそうです。
素敵なアドバイスですよね。これから歌手として羽ばたいていこうとしている才能ある一人の少女の行く末を、大事に見守っていこうという筒美さんの優しさを感じます。
◎ジュディ・オングさん『魅せられて』
酒井政利さんがプロデュースで、1979年に発売された、日本レコード大賞受賞曲です。当時ソニーの大賀社長から「絶対にレコード大賞をとれ」っていう至上命令が出ていたそうで、それに向かって会社全体で動いていたから熱意は凄かったと筒美さんはおっしゃっています。
阿木燿子さんの詩が艶かしくて、女性にしかかけない詩だなぁといつも感じています。いつ観ても煌びやかな、芸術的な衣装が幻想的な歌の世界を表現していました。
阿木さん、筒美さんコンビがジュディさんのために作られたゴージャス歌謡の決定版『麗華の夢』も聴きたかったです〜。
筒美さんが、自身で作った曲の中で一番のお気に入りとおっしゃっていた『魅せられて』大好きです!
野口五郎さんと郷ひろみさんは、筒美さんに特別に愛されたという印象があるお二人ですね。
提供された楽曲もお二人は多いですしね。お二人がコンサートを大きく盛り上げてくれたように思います。
お二人を見ていたら、どうして西城秀樹さんはいないんだろうって寂しい気持ちにもなりましたけどね。
西城さんと筒美さんってあまり接点がないように感じますが、西城さんのデビュー曲『恋する季節』は筒美京平さん作曲です。
この曲は元々、尾崎紀世彦さんのために書かれたものだったそうなので、西城さんと筒美さんの縁は薄いように思いますが、『勇気があれば』と『悲しき友情』は筒美京平さんが西城さんのために書き下ろした名曲です。
1980年、リリースの『SONGS』というオリジナルアルバムには、『勇気があれば』を含め、全10曲のうち6曲の筒美作品が収録されています。おすすめですよ。
西城さんの『勇気があれば』は、『魅せられて』と同じ年、日本レコード大賞金賞受賞曲で、大賞が発表された瞬間、喜びと感動と驚きで、フラフラと立ち上がったジュディさんの手を取ってステージまでエスコートしたのは西城秀樹さんだったんですよ〜。
秀樹ファンとして言っておきます(笑)。
『抱きしめてTONIGT』は田原俊彦さん本人の歌唱で聴きたかったなぁとか、中原理恵さんは今、どうしてらっしゃるのだろう『ディスコ・レディー』聴きたかったなぁとか、近藤真彦さんもあんなこと起こさなかったら、このステージで歌っていたかもしれないのにとか、小泉今日子さんの『ヤマトナデシコ七変化』、中山美穂さんの『ツイてるね ノッてるね』を聴きたかったなぁとか、小柳ルミ子さんの『来夢来人』は名曲なのになんで出演されなかったの?とか五木ひろしさんの『愛しつづけるボレロ』って良い曲なのにとか、本田美奈子さんだったら『1986年のマリリン』じゃない?とか、荻野目洋子さんの『さよならの果実たち』聴きたかった〜とか、梓みちよさんが存命なら『よろしかったら』歌ってくれたかなぁとか、筒美さんは、ちあきなおみさんにも『色は匂へど』って曲書いてんのにとか、コンサートを観ながら色々と考えてしまったりもしましたけど、筒美さんが残してくれた、日本の音楽業界の宝物のような楽曲の数々は、いつまでも僕を含め、たくさんの人々の心を癒し続けてくれるんだろうなぁ〜と感じるひとときでした。
コンサート第二弾あるかなぁ〜。